日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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性急な給付削減懸念/国保の都道府県化で参考人/小池氏質問

2015年05月23日

「赤旗」2015年5月23日付

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(写真)参考人に質問する
小池晃議員=22日、参院厚労委

参院厚生労働委員会は22日、医療改悪法案に盛り込まれた、国民健康保険の都道府県化について参考人質疑を行いました。

三重短期大学の長友薫輝教授は、「保険者のみならず医療機関、地域住民までもが医療費抑制に駆り出される」と指摘。「標準保険料率」と「医療費適正化計画」が一緒になって、「給付削減が性急に進められる懸念がある」と述べました。「皆保険堅持のためにも、保険原理を不当に強調することなく、社会保障として地域の医療保障をつくる視点が求められる」と強調しました。

全国知事会の福田富一栃木県知事、全国町村会の渡辺広吉新潟県聖籠町長は、子ども医療費の窓口助成に対する国庫補助削減のペナルティーに対し「廃止に向けて検討を」(福田氏)と求めました。

健康保険組合連合会の白川修二副会長は、後期高齢者支援金の全面総報酬割導入で組合負担増となることについて「被用者保険から調達するのは国費の肩代わり」だと批判しました。

日本共産党の小池晃議員は、都道府県化が強力な医療費抑制策になると質問。長友氏は、国保運営方針は都道府県知事が決め、市町村議会が関与できない仕組みであり、「住民の参加も議会の承認も議論もない方針が国保以外の方にも影響する」と述べました。

小池氏は、病院にかからないと保険料を還付する制度の導入について質問。白川氏は「健康な方の保険料を下げ、病気の方の保険料を上げるなど皆保険ではあってはならない」と批判しました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
長友参考人に最初にお伺いしたいんですが、先ほどお話の中で、今度の都道府県化が、影響が国保加入者にとどまらないということで、やっぱり全体として、医療費適正化計画、それから地域医療構想、そして国保運営方針と、これが一体としてやはり都道府県に行くということで、強力な医療費抑制の仕組みになっていくと。この辺りをもう少し補足的に説明していただけますでしょうか。

○参考人(長友薫輝君) 先ほど少し触れなかった点なんですが、国保の運営方針についてです。
これは、現在の広域化等支援方針の延長線上にあるというふうに考えています。それで、その中でも、先ほどお話しした部分で申し上げると、標準保険料率等についてが明記されていくということと、あと、国保運営方針の策定に当たっては運営協議会での議論を行うということで、市町村長の承認を得るということが言われています。
ただし、この仕組みの運用次第では、市町村の加入者に拘束力を持つのが国保運営方針で、この方針が運営協議会や市町村長の了解だけで都道府県知事が決めるということになるわけです。ですから、市町村議会の承認を得る必要がありませんし、これまで市町村議会が関わってきた国保の保険料率の決定ですとか議論、こういったことも県議会も関与できないような仕組みになっています。
ですから、国保を、先ほど川田議員が言われたように、住民の参加ですとか、こういったものが必要だと思うんですが、そうした参加だけでなくて、議会の承認も議論もないという形で進められて決まってしまう、その方針が国保以外の方々にも波及するということですので、こういった点では非常に問題があるんじゃないかなというふうに思わざるを得ないというふうに考えています。
ありがとうございます。

○小池晃君 ありがとうございました。
福田参考人にお伺いしたいんですけれども、福田参考人は記者会見でも、今回三千四百億円で止まってしまうんじゃないかと、これから医療費が増えていく場合にどんどん持ち出しが増えるんではないかという懸念も表明されております。
そもそも、被用者健保、協会けんぽなどと比べても、一人当たりの保険料負担率はやっぱり市町村国保は大変高い、言わば不公平な状況にある中で、財政基盤の安定という点で抜本的なやっぱり国費の投入ということが必要だと思うし、今後の医療費の給付費の増に対応して定率的な形で安定的なやっぱり財政支援が必要なんではないかというふうに考えるんですが、参考人のお考えはどうでしょうか。

○参考人(福田富一君) これは、我々は、財政的な基盤、これはすなわち構造的な問題の解決ということになるわけですけれども、そして持続可能な制度になるのであれば引き受けますと、市町村と一緒に責任を担いますということをずっと申し上げてまいりました。
結果として赤字分三千四百億を手当てするということになりまして、当然それでは今後足らない場合が出てくるかもしれないと。ついては、その足らない分を地方に押し付けられては困ると、これは全国の知事がそのように考えていると思います。ゆえに、政府、厚労省の政務レベル協議、国保基盤強化協議会ですけれども、そこでも何度か申し上げてきた結果、大臣としては、知事会の指摘については真摯に取り組みますと、こういった発言があって、こうして広域化へ進んだという歴史が、経緯があります。
さらに、これから先、じゃどういうふうに国がその財源の責任を、財政の責任を担っていくのかということにつきましては国保基盤強化協議会の中で議論を深めていくということになっておりますので、今後もこの場を活用しながら我々の意見を申し上げていきたいと思いますし、国としての責任を果たしてもらえるよう、その場で方向付けをしてもらうよう努力をしていきたいというふうに思っています。

○小池晃君 ありがとうございました。
長友参考人にもう一問。
総報酬制の問題、先ほどから議論になっていて、被用者保険の間で負担をし合って、国だけが、何というか、肩代わりという話もありましたけど、率直に、横取りというかピンはねというか、そんなことになってきているわけで、やっぱりこういう財源の、何というか、責任の押し付け合い的なやり方というのは、この点についてはどういうふうにお考えになりますでしょうか。

○参考人(長友薫輝君) 御質問ありがとうございます。
被用者保険からの支援金を増やして浮いた費用を充てるということですけど、これは、基本的には、先ほど社会保険の原理というのを少しだけお話しさせていただきましたけど、国の責任をやはり後退させるものだというふうに思います。結果的には保険者間の助け合いというものに変質させるという狙いが、そういう性格を帯びているのではないかなというふうに思います。
結果的に保険者間での財源の奪い合いというふうな、そういう性格を持たせるんじゃなくて、そしてそういう奪い合いに終始するのではなくて、社会保障制度として医療保障をやはり確実なものとする、住民の方々の医療アクセスを保障する、そういう観点から財政責任を共同で求める、そういう取組がむしろ必要ではないかなというふうに考えています。
ありがとうございます。

○小池晃君 ありがとうございました。
白川参考人にお伺いしたいんですが、今までの話とちょっと外れるんですが、ヘルスケアポイントとか保険料への支援の問題について参考人は医療保険部会で懸念を表明されておりまして、これは慎重に考えるべきだと、過去一年間保険診療を受けなかった場合にキャッシュバックすると、こんなことでいいのかという御発言されていて、私は本当にこれは共感したんですけれども、この点での懸念について御説明いただけますでしょうか。

○参考人(白川修二君) お答えいたします。
健保組合では保健事業に力を入れておりまして、従来から様々な保健活動を展開する中で、いわゆるヘルスポイントみたいなものを与えて、点数たまれば健康グッズを景品として差し上げますと、いわゆる常識の範囲内でのサービスというのは以前からやっておりました。
ところが、今般、保険料まで個人に対するインセンティブを与えたらどうかとか、実例として中国地方のある市で、キャッシュバック一万円だったかと思いますが、そういう例が発表になりまして、少し社会保障審議会で議論になったんですけれども、私は、保険料でありますとか、現金を渡すということは実質保険料を変更するということになりますので、それについては反対でございます。
理由は非常に単純でございまして、そういう健康な方の保険料を下げるということは、病気の方の保険料を上げるということにしませんと財政が保てませんので、そういう世の中であっては私は日本の皆保険制度はいけないというふうに思っておりますので、そういう発言をさせていただきました。
以上でございます。

○小池晃君 もう全く同感で、やっぱりそうなってくると、本当、民間保険と何が違うのかという話にもなってくる議論だと思いますので、この点も今の進め方に対する懸念であります。
最後、一点、子供の医療費などの問題で、無料化のペナルティー、これ渡邊参考人、先ほど、今回の仕組み、今回はこれはまだ解決できていないという御発言でしたが、やはりこれは本当に大きな課題だし、党派を超えて与野党からこういう声が出ていますので、何としてもこのペナルティーはやめさせるべきだと思うんですが、この点、更に御発言いただけますでしょうか。

○参考人(渡邊廣吉君) 現状においては、法案の中でペナルティーというふうな捉え方されていますけれども、私ども町村サイドで地方の単独事業として今取り組んでいる現実があるわけでありますので、それが反対だとか云々というふうな趣旨じゃなくて、いかにそれを取捨選択しながら、その辺を法案との絡みの中でどう位置付けて、市町村固有の施策と位置付けながら継続した対応が可能なのかどうか、この辺は検討に値しているのじゃないかなと思っています。
以上です。

○小池晃君 地単カットはもう本当にやめるべきだということで、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。

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