日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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論戦ハイライト トランプ関税巡る日米交渉 小池書記局長追及 参院予算委

2025年04月25日

赤旗2025年4月22日付

 日本共産党の小池晃書記局長は21日の参院予算委員会で、トランプ米政権による関税措置をめぐる交渉で米側が安全保障分野で日本に負担増を要求していることについて、日本が他の同盟国と比べ、すでに負担が突出している実態を示し、「不当に不当を重ねる要求は断固としてはねのけるべきだ」と石破茂首相に迫りました。

 

米軍駐留経費の負担増要求

 

小池 主権国家として断固はねのけよ

 

首相 どこまでできるか議論する

 

小池 さらに負担増やすとの発言だ

 

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=21日、参院予算委

 小池氏はトランプ関税が日米貿易協定、世界貿易機関(WTO)条約など国際ルールに違反し、各国の経済主権を侵害する暴挙だと指摘。石破首相が同委で関税交渉に関し「日本は最優先」「世界のモデルになる」と述べたことに対し、「ここで不当な要求を受け入れてしまえば他の国々への影響も計り知れない」と強調し、「東アジアをはじめとする世界各国と結束をして不当なトランプ関税の撤回を求めていく。このことこそ経済と暮らしを守る道だ」とただしました。石破首相は「不当なという、そういうふうに評価をされるものに対してわが国はそれに応じることはない」と答えました。

 

 小池氏は「不当なものは当然撤回させなければならない」と強調。その上で、トランプ米大統領が在日米軍駐留経費を念頭に「日本は負担が足りない」などと日本の負担増に言及したことについて不当な発言だと批判しました。

 

 小池氏は、日米安保条約の下で、戦後70年以上も米国から巨大な米軍基地を押しつけられ、その結果日本は世界最大の「米軍基地国家」になっていると強調。沖縄の民意を踏みにじり米軍辺野古新基地建設を強行し、首都圏でも米空軍横田基地や米海軍横須賀基地などが存在しているとして「こんな国が独立国といえるか」と指摘し、米側はこれだけの負担を押しつけながら日本の負担が足りないなどと要求していることについてただしました。

 

 小池 不当な要求に対し主権国家として断固はねのけるべきだ。

 

 首相 同条約は押しつけられたものではない。憲法の範囲内において、日本がどこまでできるかをさらに国内で議論する。

 

 小池 憲法の範囲内であればさらに日本の負担を増やすとの発言だ。

 

 石破首相が「唯々諾々と負担を増やすつもりはない」と答弁したのに対し小池氏は、米国の求めに唯々諾々と応じ、これまでの政府解釈を覆し安保法制で集団的自衛権の行使を可能にしてきたと指摘。トランプ氏の「われわれは数千億ドルを支払い日本を守るが、彼らは何も支払わない」との主張は「まったくもってふざけた発言だ」と断じました。

 

他国と比べ突出する日本の負担

 

小池 むしろ削減こそ

 

首相 安全保障は別の問題

 

グラフ

 小池氏は、日米安保条約上支払い義務のない「米軍思いやり予算」の負担を開始した1978年度当初は米軍基地内の日本人従業員の福利費など一部負担だったのにその後、基地施設整備費、基地内の光熱水費、訓練移転費などに次々と拡大した結果、78年度に62億円だった「思いやり予算」が2025年度に2274億円まで膨張し、48年間で合計8兆7000億円にも上ると強調しました。

 

 さらに、米軍の駐留経費総額のうち米国の各同盟国がそれぞれ負担している割合(2004年)を示した米国防総省の報告書を提示(棒グラフ)し、日本は74・5%と突出し、すべての同盟国の同費負担額合計の52%を占めている(円グラフ)と指摘。防衛省の資料では15年度の在日米軍駐留経費総額の負担割合は86・4%にまで上ったと紹介し、米軍再編経費、沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)経費などを含めると、24年度は総額8601億円に上り、4年連続で過去最大を更新していると批判しました。

 

 小池氏は、第1次トランプ政権で大統領補佐官を務めたボルトン氏が「回顧録」で、19年来日時にトランプ氏が当時の駐留経費の約4・3倍の年約80億ドルを要求したと証言していることに言及。グラス新駐日米大使は「思いやり予算」について日本と話し合う必要があると主張し、コルビー米国防次官が主張する日本の軍事費の国内総生産(GDP)比3%への引き上げも焦点になってくるとして石破首相に迫りました。

 

 小池 これ以上の米軍駐留経費の負担増の要求を受け入れるなど断じてあってはならない。むしろ削減を求めるべきだ。

 

 首相 関税の交渉と安全保障の問題は別の問題だ。

 

 小池氏は、首相は06年の著書で「思いやり予算はもっと減らす余地があると思う。米軍駐留経費を見てみると、日本の負担率は突出していて、同盟国全体の50%以上を占めている。国民1人当たりにしても結構な負担です。なんでこんなに払わなければいけないのか」と記しているとして、「私と同じことを当時言っていた。今こそ、その議論をトランプ氏にぶつけるべきだ」と迫りましたが、首相はまともに答えませんでした。

 

 小池氏は、日米地位協定の下、横行する米軍犯罪、有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染が野放しにされ、米国の言うがままに安保3文書で敵基地攻撃能力の保有に踏み切るなど「米国追従の日米同盟で思考停止に陥る今の日米関係を根本から見直す時がきた」と強調。トランプ米政権に付き従っていては、日本は滅びてしまうと警告しました。

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