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小池 晃

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「思いやり予算」増額要求は不当 参院予算委で小池書記局長 米国従属やめ削減迫れ

2025年04月25日

赤旗2025年4月22日付

 日本共産党の小池晃書記局長は21日の参院予算委員会で、トランプ米大統領が関税措置に加え、軍事分野でも「日本の負担が足りない」と負担増を求めたことについてただしました。小池氏は、日米安保条約のもとで世界最大の米軍基地国家になり、日米地位協定上も義務のない「思いやり予算」まで負担している異常な実態を告発しました。(論戦ハイライト)

 


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(写真)パネルを示して質問する小池晃書記局長=21日、参院予算委

 小池氏は、世界各国と結束して不当な「トランプ関税」の撤回を求めるよう主張し、トランプ氏の軍事費負担増要求は「不当に不当を重ねるとんでもない発言だ」と批判。沖縄・辺野古新基地建設が強行され、首都圏に米軍基地が集中している実態を示し、「これ以上の不当な要求は主権国家として断固はねのけるべきだ」と強調しました。

 

 石破茂首相は「撤回を求める」とは一言も言わず、「憲法の範囲内でどこまでできるか責任を果たす」と答弁。小池氏は「さらに負担を増やすということではないか」と批判しました。

 

 小池氏は、異常な対米貢献ぶりを指摘。1978年度に始まった際は62億円だった「思いやり予算」は今年度2274億円、48年間の累計は8兆7000億円あまりになっています。

 

 さらに、米国防総省が2004年に公表した報告書で米軍駐留経費に対する国別の負担割合は日本が74・5%である一方、ドイツは32・6%、韓国は40%、イタリアは41%であり、日本の負担額は44億1100万ドルで米国の全同盟国の合計の52%を占めています。

 

 小池氏は、「これ以上の負担増は断じてあってはならない。むしろ削減を求めるべきだ」と求めました。

 

 石破首相が著書で「思いやり予算」について、「日本の負担率は突出」「なんでこんなに払わなければいけないのか」などと述べていたことを示し「今こそ、この議論をトランプ氏に突きつけるべきだ」「日米同盟と言われたら思考停止に陥るような日米関係を見直すときだ。トランプ政権に従えば日本は滅ぶ」と厳しく指摘しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 トランプ関税は、日米貿易協定、WTO条約、アメリカ自身が結んだ国際ルールに違反をするものであると、相互関税の名に値しない一方的なものだというふうに言わざるを得ません。各国の経済主権を侵害する暴挙であって、世界中から怒りの声が上がっています。
 総理は先ほどから、日本は最優先だと、世界のモデルになるというふうにおっしゃっているんですが、やっぱりここで不当な要求を受け入れてしまったらば、ほかの国々への影響も計り知れないと思います。大事なことは、東アジアを始めとする世界各国と結束をして、いわゆる不当なトランプ関税の撤回を求めていく、このことこそ経済と暮らしを守る道だと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 不当なという言い方をなさいましたが、そういうふうに評価をされるものに対して我が国はそれに応じることはございません。当然のことでございます。
○小池晃君 撤回ということはなかなか言葉が出てこないわけですね。不当なものはこれ当然撤回しなきゃいけないということだと思いますよ。
 農業に対する更なる市場開放も私は許されないと思いますが、問題にしたいのは安全保障の問題です。
 トランプ米大統領は日本の負担が足りないというふうに言っています。しかしこれは、不当な関税の上に更に不当を重ねる、もうこれはとんでもない発言だと私は思うんですね。アメリカは、日米安保条約の下で戦後七十年以上、日本に巨大な米軍基地を押し付けてまいりました。その結果、日本は世界で最大の米軍基地国家になっている。沖縄では、県民の民意も地方自治も踏みにじって、辺野古の新基地建設、これが強行されています。首都圏にも米空軍横田基地、陸軍のキャンプ座間、そして海軍は厚木の飛行場と横須賀に司令部と基地を置き、そして横浜ノースドック、さらには東京のど真ん中、港区に在日米軍の統合軍司令部を設置しようとしている。首都に外国軍の軍事基地が置かれている、それも条約で義務付けられている、こんな国が独立国と言えるのだろうかという事態だと思います。
 これだけの負担を押し付けながら、これでもまだ日本の負担が足りないなどという不当な要求ですよ。これは私、主権国家として断固としてはねのけるべきだと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 日米安全保障条約は、別に押し付けられたものでも何でもございません。日本国として選択をし、国会において批准を受けたものでございます。それは、日本国としてそれに対して責任を負わねばならないということであって、一方的にアメリカから押し付けられたものでも何でもない。我が国として、どういうようなこの議論を更に行うかということでございます。
 ただ、憲法上の制約もございまして、日米安全保障体制は非対称的な双務性というものを持っております。この非対称的なという部分がどれだけ解消できるかということはこれから先も努力をしていかねばならないものであって、それはもう独立主権国家として私は当然やっていかねばならないことだと思っております。そこにおいて日本がどれだけの努力をするか、今までも随分してまいりました。
 日本の防衛をどうするかは日本国が決めることで、ほかの国からとやかく言われる筋合いのものではございませんが、安全保障に関する費用も増やしてまいりました。あるいは、米軍の駐留に対する負担というものも行ってまいりました。これから先やっていかねばならないことは、憲法の範囲内において日本がどこまでできるかということを更に国内で議論し、責任を果たしていくということだと考えております。
○小池晃君 今の総理の御発言は、憲法の範囲内であれば更に日本の負担を増やすということもやるんだと。これだけ負担をしているのに、更に負担を、負担が足りないと言っているわけですよ、アメリカは。これは余りにも不当じゃないですかと申し上げているんですよ。どうですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは日本国として、合衆国が駐留しておりますほかの国よりも非常に多くの負担をしておるということは事実でございます。
 一方において、トランプ大統領が言っているように、アメリカは日本を守るが日本は全くアメリカを守らないということは、それは事実認識においてそごがあるのではないかと考えております。
 各党によっていろんな見解おありかと思いますが、平和安全法制等々において、合衆国を日本が守るということ、それは、あくまで日本においてという国連憲章に定められた集団的自衛権の解釈の範囲内でやっておることでございますが、日本としてできることも増やしてまいりました。ですから、唯々諾々と言われるとおり負担を増やすというようなつもりはございません。
 日本として、ここ数年、本当に物すごく努力をしてやってきたということは、きちんと認識をしてもらうというのは、国家として当然の主張だと思っております。
○小池晃君 安保法制で集団的自衛権を今までの自民党の憲法解釈も覆してやったことは、これはアメリカに唯々諾々と言われてやってきたことじゃないですか。そういうことを続けておきながら、更に負担が足りないと。トランプ大統領、こう言っていますよ。我々は数千億ドルを支払って日本を守るが、彼らは何も支払わない。これ、全くもってふざけた発言だと私は思いますよ。
 そもそも日米地位協定二十四条は、米軍の維持経費は、日本国に負担を掛けないで合衆国が負担すると書いてあるわけですよ。日本側に払う義務は一切ないのに、思いやりだなどといって払い続けているわけですよね。
 これ、出していただきたいんですけど、(資料提示)七八年に始まった際は日本人基地従業員の福利費などごく一部だったわけです。それが、今では基地施設整備費、日本人基地従業員の給与や手当、基地で使用する光熱水料、訓練移転費、訓練資機材調達費まで拡大され、だから、七八年には六十二億円だった思いやり予算は、今年度は二千二百七十四億円ですよ。四十八年間の合計は八兆七千億円余りに上るわけです。
 パネルに出したのは、これは、日本の思いやり予算がいかに気前のいいものになっているか。これは米国防総省の資料をそのまま持ってきました(資料)。同盟国の貢献度、これ二〇〇四年版を最後に更新されていないんですが、米軍駐留経費全体に対する日本の負担割合、七四・五%だとしています。ドイツは三二・六%、韓国は四〇%、イタリアは四一%です。しかも、額が飛び抜けているんですね。日本の負担額、これは四十四億一千百万ドルと、アメリカの同盟国全ての合計の五二%を占めるわけですね。さらに、二〇一七年に防衛省が発表した数字では、これは日本側の負担割合はさらに八六・四%となっています。
 日本の負担は思いやり予算だけではありません。在日米軍関係経費にはほかにも、米軍再編経費、SACO経費、いわゆる沖縄に関する日米特別行動委員会の経費、自治体への基地交付金もあります。こうした経費の総額は、昨年度、八千六百一億円に上ると。四年連続で過去最大を更新しています。
 トランプ大統領は、第一次政権のときも日本に法外な要求をしておりました。大統領補佐官を務めたボルトン氏の回顧録によれば、二〇一九年七月に来日した際、当時の谷内正太郎国家安全保障局長に対して、トランプ大統領が年間約八十億ドルを要求しているというふうに伝えた。これは当時の駐留経費の四・三倍です。新しい駐米大使、グラスさんという方がなるようですが、三月の議会公聴会でこの思いやり予算について、支援の増加について日本と話し合う必要があると、こう述べていますね。今後、軍事費のGDP三%要求とともにこの問題が焦点になってくると、アメリカ側はそれを迫ってくると。特別協定の見直し、これから、今年で、これから切れてきますから、これ、早速これが議題になってくると思うんですね。
 総理、米軍駐留経費、これ以上の負担増の要求を受け入れることなど断じてあってはならないと私は思いますよ。むしろこれは削減を求めるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 防衛大臣も答弁、あるいはどこかの記者会見で述べておったかと思いますが、この関税の交渉と安全保障の問題をリンクさせて考えるべきだと私は思っておりません。関税の交渉は関税の交渉です。安全保障の議論は安全保障の議論であって、それは分けて議論していかないと事の本質がおかしくなるんだろうなというふうに思っております。
 一方において、アメリカの大統領が、少なくとも発言を聞く限りにおいて、アメリカは日本を守るのに日本はアメリカを守っていないじゃないかということについては、それは事実と異なるということでございますし、それは日本にアメリカの車は全く走っていないじゃないかとやや似たようなところがございます。
 私どもとして、きちんとした事実を認識をしてもらうということは国家として果たすべき当然のことでございまして、そういうような立場で私どもこれから交渉に臨んでまいろうと考えております。
○小池晃君 いや、別問題だ別問題だと言っても、向こうは同じトラックで言ってきているんですよ。同じ要求の中で言ってきているんですよ。しかも、別の問題だと言ってごまかしてはいけない。別の問題であったとしても、法外な要求などは、これは断じて受け入れるべきじゃないじゃないですか。
 これ以上の在日米軍の駐留経費の増加など絶対受け入れちゃいけない。むしろ逆に、削減を求めるべきだという私の質問に答えてください。
○内閣総理大臣(石破茂君) 私どもとして、これは別の問題だというふうに考えております。そういう方針で交渉に臨んでまいります。
 そしてまた、私どもとして、ホスト・ネーション・サポートについて、それはもう、これは例えば夏場に物すごい勢いでエアコン、冷房を掛けるとか、それはどう考えてもホスト・ネーション・サポートの趣旨と違うだろうということについては是正も求めてまいりましたし、その実現も行われてきたところでございます。
 私どもは、日本国の国民の税金をいかに使うことが最も日本国の平和と安全と独立に寄与するかということについて常にアメリカと真剣な議論を行ってまいりましたし、これからもその方針に変わりはございません。
○小池晃君 夏場のエアコンの問題だけじゃないんですよ、この莫大な費用負担。
 この問題で総理自身は、二〇〇六年の著書「軍事を知らずして平和を語るな」、この中でこのように言っています。思いやり予算はもっと減らす余地があると思うんです、大体、アメリカが国外に駐留させている米軍の駐留経費を見てみると、日本の負担率は突出していて、同盟国全体の五〇%以上を占めているのですよ、金額にすると四十四億一千百三十四万ドルです、国民一人当たりにしても結構な負担です、何でこんなに払わなければいけないのか。
 私が言ったことと同じことを総理は当時言ったんですよ。だったら、今こそこの議論をトランプ大統領にぶつけるべきじゃありませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) お読みいただき、ありがとうございます。
 それは、何党であろうと、どの党の御主張であろうと、正しいことは正しいということをきちんと認識する謙虚さは常に持っていたいと思っております。
 これは、数字の比較というものは、委員が先ほどおっしゃいましたように、最新のものがございません。ございませんが、それは向こうにしてみれば、ホスト・ネーション・サポートはもっと持ってくれた方がいいねと思うのはこれは当然のことでございます。
 しかしながら、我々として、それが本当に払うべきものだというふうに評価をされないものはそれは払うことができない。それは国民の税金をどうやって使うかという立場において当然のことでありますが、一方において、我が国が日本の独立と平和並びに地域の平和と安定にいかなる責任を果たすかということもきちんと示していかなければなりません。
 ホスト・ネーション・サポートの適正化ということと同時に、我が国が更にできることがあるか、そこはアメリカが言うバンデンバーグ決議というものをよく認識しながら我々は対応していかねばならないと考えております。
○小池晃君 総理はいつもそうやって話をずらしていく。ずらしていますよ。明らかに総理が言っていること、かつてと違うじゃないですか。
 私、最後に、総理に自身の言葉を贈りたいと思います。石破茂「私はこう考える」という本にこう書いてある。自分が正しいと思うことを自由に述べられなければ政治家になった意味がない。本当、この言葉を私は示したいと思います。
 日米地位協定の下で、米軍犯罪、米軍の事故、事件、もう後を絶ちません。PFASなどの環境汚染も野放しになっています。さらに、米国の言うがままに安保法制、安保三文書を作り、集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力の保有まで踏み切った。私は、こういうアメリカ従属の、日米同盟と言われたらば思考停止に陥るような、こういうやっぱり今の日米関係を根本から見直すときが来たと、特にこのトランプ政権に対して、言っていることに付き従うようなことをやっていったら日本は滅びてしまうということを強く申し上げて、質問を終わります。

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