日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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NISA リスクを抑えた運用を 参院委で小池氏 利用者の不安広がる

2025年04月16日

赤旗2025年4月12日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=10日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は10日の参院財政金融委員会で、「トランプ関税」によってNISA(ニーサ=少額投資非課税制度)利用者の不安が広がっていると指摘し、リスクを抑えた運用の検討を求めました。

 

 小池氏は、トランプ関税の発表翌日に開かれた金融庁の「NISAに関する有識者会議」は、トランプ関税の影響を議論していないと批判。金融庁の資料によると、NISAの口座数の伸びは20代が最も大きく、年収500万円未満が7割を占め、若い世代が相場下落に不安を抱いています。

 

 小池氏は、日本がNISA導入のモデルとしたイギリスのISA(アイサ)には3種類あり、投資が中心ではないと指摘。金融庁の伊藤豊監督局長は、3種の割合は預金型が65%、投資型が19%、併用型が16%だと説明しました。

 

 小池氏は「併用型を含めればISAの8割は預金だ」と強調。にもかかわらず日本の金融機関は英国民の4割が投資していると誤解を招きかねない説明をしていると批判しました。伊藤局長は、小池氏の以前からの指摘を当該機関に伝え、自主的な修正がなされたと述べました。

 

 小池氏は「日本もリスク運用ばかりでなく、NISAに預金を加えたり、預金利子への非課税制度を復活させたりするなど対応が必要だ」と主張。加藤勝信財務相は「貯蓄から投資への流れを進めることが重要」だとして拒みました。

 

 小池氏は、金融庁は「投資は余裕資金で行う」と教育しているが、若い世代の投資資金は「余裕資金」ではなく「生活資金」だと指摘。英国の方法に学ぶべきだと強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 IDA法案については、世界の貧困対策などに一定の役割を果たしていますので、賛成をいたします。
 そこで、トランプ大統領が一方的な関税措置を突然九十日延期すると。まあそうはいっても、これは上乗せ分だけの話でもありますし、ところが、先ほど大臣は前向きに捉えているとおっしゃったんですね。そもそも、猫の目のようにころころ変わるこういうやり方、これをよしとしていいのか。やっぱりアメリカの評価はこれ地に落ちると思いますよ、こういうことをやっていればね。
 多くの国が米国経済とのデカップリングということも進めていくかもしれない。一方において、中国には一二五%の関税だ。これで米中貿易戦争がエスカレートしていけば、これ米中共にこれは景気悪化ということになり、それはひいては日本、世界経済にも重大な影響出てくると思うんです。
 国連のグテーレス事務総長は、貿易戦争に勝者はいない、誰かが敗者になる可能性があるというふうにおっしゃって、そのとおりだと思うんですね。特に発展途上国への影響というのを懸念されています。先ほど大臣はこれ、この懸念、関税の動き懸念するとおっしゃったけど、それでいいのかと。やっぱり東アジアを始めとする世界各国と結束をして、こういう貿易協定も踏みにじるような不当なトランプ関税撤回を求めるということをやってこそ、日本経済、世界経済も、そして暮らしも守れるんじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) これまでの対応はこの委員会でも申し上げてきたところでもありますけれども、我が国としては様々なレベルで我が国の懸念は説明をし措置の見直しを申し入れてきたところでありますし、今回の米国政府、あっ、ごめんなさい、申し入れてきたところであります。
 その上で各国と、要するにアメリカ以外とについても、先ほど申し上げた、例えば今月末にございますけれども、G20の場等々を通じて各国とよく連携を図っていく、そして日本の立場として自由で開かれた多国間の貿易体制、こういったものをしっかり進めるといった国際的協調、この流れをしっかり堅持していく、これは非常に大事だというふうに考えておりますし、同時に、アメリカに対しては、先ほど申し上げた、まずは日本に対する措置、これを外すという、日本を措置の対象としない、これについて強く求めていきたいというふうに考えています。
○小池晃君 もう日本は世界最大の対米投資国だから何とか見逃してくれと、日本だけを外してくれというような態度じゃなくて、やっぱり世界中と結束して、これ撤回せよということをやっぱり堂々と言っていくということが私は日本政府には求められていると重ねて申し上げたいと思います。
 それから、株価の変動で心配の声が上がっているNISAの問題を今日ちょっと取り上げたいんですが、これ私たち、一昨年の新NISA法はこれは庶民の資金をリスクにさらすということで反対しましたけど、四月の三日にNISAに関する有識者会議やられています。これ、トランプ関税の発表の翌日です。当然、その影響について議論されたんでしょうか。
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、NISAに関する有識者会議、これは四月の三日、行われております。その三日の日に第一回の開催をいたしております。
 この第一回の会合では、昨年一年間のNISAのデータを使いましてNISAの効果検証をするという回でございまして、その効果として、幅広い層に利用されているか、安定的な資産形成を促しているかといった点について御議論をお願いしているという回でございます。したがいまして、金融庁の事務方よりこれに関するデータや分析を報告いたしました。したがいまして、この回については、事務方からの報告にはいわゆるトランプ関税の影響は含まれておりません。
○小池晃君 世界中がトランプ関税で声上げているときに、やっぱりこれでいいのかと私は思いますよ。やっぱり、これをどう見るかという議論を提起するというのは当然、有識者会議というんだったら、じゃ、何のための有識者会議かということになるんじゃないか。
 今日お配りしました有識者会議の資料を見ますと、やっぱりこれ、口座数の伸びは二十代以下が一番多いんだということが一枚目にあります(資料①)。若い人たちが非常に使っているわけですね。それから、二枚目を見ますと、年収五百万円未満が七割、三百万円未満が約四割占めているということなんですね(資料②)。
 七日の政府・与党連絡会議では、若い世代が新NISAに投資をして資産価値が下落していることに大変不安を抱いていると、不安を払拭するような大胆な経済対策が必要だという声も上がったというふうに。
 私は、一番人気があるのはeMAXIS Slimオール・カントリー、オルカンというのが一番人気あるようですが、これ昨年末から二割ぐらい下落しているという話もあるわけですね。若い世代にこういう不安が広がっていることに、大臣、どう対処されますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今日は少し株式市場、違う動きを示しているようでありますが、かなり不安定な動きを示しているということは御指摘のとおりでありますし、そうした動きを見て懸念や不安を持っておられる方がいるというのも認識をしているところではございます。
 こうした中で、個人投資家の方々においては、安定的な資産形成に向けて長期、積立、分散投資の重要性を考慮して投資判断を行っていただくことが重要と考えており、こうした観点から、金融庁としては、J―FLEC、日本金融経済教育推進機構とも連携して、長期、積立、分散投資の重要性の周知を行うとともに、金融機関に対しては、顧客本位の適切な対応、特にNISAの利用者については、販売後のフォローアップなど丁寧に行う、また様々な相談に丁寧に対応することを求めてきたところでありますし、今後ともそうした対応を求めていくこととしております。
 なお、証券会社に確認したところ、現時点では、相場下落に関する個人投資家からの苦情が急激に増えているという状況ではないとの報告も受けているところではあります。
○小池晃君 そもそも私、NISA、モデルはイギリスなわけですよね、イギリスのISA。ISAというのは、インディビジュアル・セービングス・アカウント、個人貯蓄口座。イギリスのISAというのは、投資型もありますが、預金型、これ預金との併用の併用型もある。それぞれISAの利用者数とその全体に占める割合、お示しください。
○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。
 英国当局の公表資料によりますと、二〇二一年四月六日から二〇二二年四月五日まで、ちょっと古いんですけれども、までの期間におけるISAの各類型型の利用者数及びそれらの利用者全体に占める割合が発表されております。いわゆる投資型のみの利用者、これは四百二十三万人で、全体の一九・〇%、それから預金型のみの利用者が約一千四百四十四万人で、全体の六四・九%、預金型及び投資型両方の利用者が約三百六十万人で、全体の一六・二%であると承知しています。
○小池晃君 ですから、日本がモデルとしているISAは大半が預金での運用なんですね。併用型含めれば、八割以上が預金のために活用している。
 しかし、日本の金融機関がこういう説明しているんですが、ある地方銀行は、NISAの説明で、イギリスのISAを参考に導入された制度で、イギリスでは国民の四割が利用していると。
 これ、ISAの運用の大半が預金であるということを知らないと、イギリス国民の四割はこれは投資しているんじゃないかという誤解を招きかねないような表現で、これ金融庁には指摘をしたんですけど、どう対処されたのか。それから、ほかの金融機関でも同様の表現があるんですが、どうしますか。
○政府参考人(伊藤豊君) お答えを申し上げます。
 委員御指摘の地方銀行に対しましては、金融庁から問題意識を伝達をいたしまして、その後、同行が自主的に記載の修正を行ったものと承知をしております。また、ウェブサイト上で同様の記載をしている金融機関が存在することも確認をしておりますけれども、これらの金融機関に対しましても、誤認を招かないような記載に変更するなど、適切な措置を講じるよう求めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 こういうやっぱり誤解を広げるようなことをやっている、イギリスのISAというのは、これは投資なんだという。そうじゃないわけですね。貯蓄が中心なんですね。
 私は、ISAを見本とすると、まあNISAというのは日本ISAですから、N、ISAですから、モデルにするんだったら、イギリスのようにやっぱり少額の預金利子への非課税制度を導入すべきじゃないかと、いわゆるマル優ですね。これ、復活させるべきじゃないかと思うんですが、先日の委員会で柴理事がそのことを主張され、高齢者向けに復活するということを提案されましたけど、金利のある世界に戻りつつあるわけですよね、そういう中で、私は、前向きな検討必要だというふうに柴理事が言われたのは全く同感なんですね。
 それから、もう一つは、ちょっとこれは昨日の夜なんですけど、日経の夕刊のコラムに、フィンウェル研究所の野尻哲史さんという方が、イギリスのISAのように、新NISAの対象に預金など株式以外も加えてはどうかということを書かれています。野尻さんは、市場環境は良いときばかりではない、新NISAもリスクを抑えた運用ができる余地をもっと増やしてもよいと。私は我が意を得たりだというふうに思ってこれ読んだんですね。
 やっぱり、NISA、イギリスはやっぱり預金が中心でやっているということもあるわけですから、日本も、やっぱりリスク運用ばかりではなく、こういう預金もそのNISAに加える、あるいはその預金制度の中で利子に対する非課税制度を設けるなどの、やっぱりリスク資産ばかりでということじゃない対応をやっていく必要があるんではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) これまでも議論されてきたところではあると思いますけれども、確かにNISAは英国ISAをモデルにした非課税制度でありますけれども、ただ、英国のISAそのものは貯蓄率の向上をまさに目的としている。我が国のNISAは、広く国民に投資への関心を持ってもらい、家計の安定的な資産形成を促すことを目的としているということで、両者の目的も異なり、当然制度の対象となる金融種類も異なっているということであります。
 私どもとしては、国民の投資への関心を高め、貯蓄から投資への流れを進めることが重要と考えております。預金をNISAの対象とすることを含め、預貯金に対する非課税制度を導入するということは、そういった意味においては考えておりません。
○小池晃君 考えておりませんって、考えた方がいいと思いますよ、私。金利が本当に復活するような社会になりつつある中で、これ考えるべきです。
 それで、今、貯蓄から投資へなんだと、大体、目的が違うからっておっしゃるけど、名前まで借りているんだから、日本ISAですから、で、そう言いながら目的は違いますって、それはちょっとイギリスは怒るんじゃないですか、じゃ、名前使うなと言われますよ。
 金融経済教育の中で、こう言っているわけですよ、金融庁は。投資は生活資金とは別の余裕資金で行うというふうに言っているわけですね。これ、余裕資金ですか、三百万円とか五百万円とかね。そうじゃないですよ、若い人たちにとってみれば余裕資金じゃないんですよ。
 ならば、私は、生活のために確保された預金の利子を非課税とする、これは決して貯蓄から投資にという流れに矛盾するものではないというふうに思いますけど、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) その生活資金という言葉と余裕資金と、これ今一緒におっしゃられましたけど、そこはやっぱりずれがあるんだろうと思います。そういった意味で、生活に使う資金まで投資に回すということを期待する、今の生活に必要な資金まで投資に回すということを期待するものではない。
 また、生活資金の確保を促すために預金の利子を非課税とするという施策と私どもが進めている貯蓄から投資への施策、これはそれぞれ別々のものではないかと考えております。実際、マル優の、これは昔ありましたけれども、マル優廃止をしたときも、やはりこれだけ多額の利子が課税ベースから外れているということで、所得種類間の税負担の不公平があるとか、あるいは高額所得者ほど多くの受益を受けているとか、貯蓄奨励といった目的で一律に政策的配慮を行う必要性も薄れてきたということで、老人、母子家庭、障害者等の所得の稼得能力が減退した人々に対する利子非課税制度にこれは改組される形で、ある意味では残っているところではあります。
 その上で、今申し上げたように、更に言えば生活資金を、じゃ、どう確保するのかというのがまた委員の御指摘だろうと思いますけれども、それに当たっては、こうした施策なのか、あるいは生活資金の確保の必要性の高い人々の支援としてこうした利子の非課税という手段を用いることが妥当なのか、あるいは少額貯蓄非課税制度のように生活資金の確保の必要性の低い富裕層を含めた者が対象となり得る施策が望ましいのかといった点について慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○小池晃君 時間ですが、私はこれ検討する必要があるということ、イギリスのISAをモデルにするというんであればイギリスのやり方に学ぶということもやっぱりこれは検討するという必要があるということを重ねて申し上げたいと思います。
 終わります。

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