日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

検索

国会ハイライト

国会質問・速記録・質問

医療・介護賃上げ迫る 小池氏 社会保障抑制中止を 参院財金委

2025年04月10日

赤旗2025年4月9日付

写真

(写真)質問する小池晃書記局長=8日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は8日の参院財政金融委員会で、2024年の診療報酬改定以後、病院など医療機関の経営状況が急速に悪化しているとし、社会保障費「自然増」抑制路線を中止し、医療・介護従事者の抜本的賃上げに取り組むよう政府に迫りました。

 

 今年の春闘で医療、介護、福祉労働者の賃上げが昨年より低水準になっていると懸念を示した小池氏は、その背景として「昨年の診療報酬改定以後の病院をはじめとする医療機関の経営状況の急速な悪化だ」と指摘。日本病院会など6団体の緊急調査でも報酬改定以後に赤字病院が増えており、「非常に深刻な状況だ」として緊急調査を要求しました。厚生労働省の吉田真次政務官は、昨年の補正予算で緊急的な支援を行ったと述べるにとどめました。

 

 小池氏は「それで足りないから大変なのだ」と強調。財務省がこれまで社会保障関係費を「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」との「目安」を示してきたとし、「物価が上がっているのに収入が抑えられているから、病院経営が危機にひんしている」と指摘し、目安の廃止を迫りました。加藤勝信財務相は「経済物価動向などへの配慮を含め適切な対応を図ってきた」と強弁しました。

 

 小池氏は、全就業者の8人に1人に当たる医療福祉関係の就業者の賃金が上がらなければ、日本の経済も良くならないと主張。「社会保障の『自然増』抑制路線を中止し、処遇改善、待遇改善の手だてを取るべきだ」と指摘し、診療報酬の引き上げとともに、患者、利用者の負担につながらないよう公費を投入すべきだと主張すると、自民党席からも「その通りだ」と声が上がりました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 トランプ関税は、もう根拠もめちゃくちゃだし、一方的なこういう関税というのは本当に断じて許されない。
 昨日の決算委員会で、我が党の山下芳生委員が撤回を求めたところ、石破首相は撤回を求めるというふうに答弁されたんですが、昨夜の日米の電話会談では強い懸念を表明するということだそうで、本当にちょっとこんな腰の引けた対応でいいのかというふうに思うわけであります。
 それで、やっぱり先が見えないということで、先ほども議論ありましたけれども、大変不安広がっております。やはり、コロナのゼロゼロ融資、これもう過剰債務になって、この返済も大変な状況があります。やはり迅速、柔軟な条件変更など、金融庁には万全の対応をしていただきたいと、これは要望として申し上げておきたいと思います。
 それから、一方的な関税に対して、非関税障壁を問題にトランプ大統領しているわけですが、第一次政権のときには共済、これは金融庁監督下の保険会社と平等な競争条件の確立というふうなことを言っていたわけですが、金融庁にお聞きしますが、今回そのような要望来ているのか、USTRの最近の報告書などでも指摘されているのか、お答えください。
○政府参考人(油布志行君) お答え申し上げます。
 第二次トランプ政権の発足以降、現在までのところ、金融庁に対しまして、特に保険や共済に関する具体的な要望が寄せられているということは認識してございません。
 委員御指摘のUSTRが本年三月に公表いたしました外国貿易障壁報告書二〇二五におきましては、昨年以前の近年のものと同様の表現ぶりではございますけれども、共済に対する金融庁の監督権限に制約があることを懸念する等の表現がございます。
○小池晃君 大臣ね、自主的な共済制度というのは暮らしや営業を守る本当に大事な制度だと思うんですね。やっぱり不当な干渉は許されないと思うんで、政府として、金融庁としても毅然と対応すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 共済制度は組合員間の相互補助の考え方を基礎としているところでありまして、そうした各共済の特徴を踏まえた規制の枠組みについて監督が行われることが適切と考えております。
 本年のトランプ政権の発足以来、今申し上げたように、金融庁に対して具体的な要望がありませんが、こうした要望が寄せられた場合には、共済制度を所管する各行政庁と連携しながら、こうした共済制度に関する考え方について丁寧に説明をし、理解を求めていく必要があると考えております。
○小池晃君 もう断固たる姿勢で臨むべきだと重ねて申し上げます。
 それから、医療の問題をちょっと取り上げたいんですが、今年、春闘ですね、医療・介護・福祉労働者の賃上げが極めて低い水準になっております。
 医療団体、医療労働者、介護労働者などの日本医労連のまとめた第一次回答状況、ベースアップの平均は二千一円で、昨年より千五百十円低くなっている。定昇、手当も含めた全体平均額五千百七十八円、昨年の最終実績より三千百五十一円低いんですね。このままでは他産業との格差がますます広がってしまいかねない。その背景にあるのが、昨年の診療報酬改定以降の病院を始めとする医療機関の経営状況の悪化です。
 厚生労働省にお聞きしますが、日本病院会など六団体が緊急調査(資料①)をやった結果、昨年以降、医業利益、経常利益共に赤字の病院どれだけ増えたのか、あるいはその原因はどのようになっているか、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(森真弘君) 御指摘の六病院団体の緊急調査についてでございますが、令和六年六月から十一月までの状況について、対令和五年度同時期で、医業利益が赤字の病院割合は六四・八%から六九%、経常利益が赤字の病院の割合は五〇・八%から六一・二%に変化していることが示されているというふうに承知しております。
○小池晃君 非常に深刻な状況だと思うんですね。やっぱりその原因については、やはりいろんな経費、例えば光熱費あるいは、委託が今病院というのが増えていますから、その委託費などは大幅に上がっているわけですよ。そういう中でやっぱり利益が本当に減っている赤字病院が増加しているという実態があるわけであります。非常に深刻だと思います。
 私ね、厚生労働省としても緊急調査をやるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○大臣政務官(吉田真次君) お答えを申し上げます。
 今ほど政府参考人が申し上げたとおりでありますけれども、医療機関の状況、経営状況というのは非常に厳しいというところはあるというふうに認識はしております。
 その上で、政府としましては、令和六年度の診療報酬改定で一定の措置を講じた上で、昨年の補正予算において物価高騰への対応や経営状況の急変に対する緊急的な支援パッケージとして約一千三百億の措置を盛り込んだところでありますし、加えまして、令和七年度の予算では、医療機関の入院時の食費基準の引上げ等を行うこととしているところであります。
 緊急調査を行うべきというお尋ねでございますけれども、まずはこうした措置を着実に現場へ行き届かせることが重要というふうに認識をしておりまして、今後これから、支援策の効果、あるいは物価等の動向、経営状況など、足下の情勢変化もしっかりと把握をした上で適切に対応してまいりたいと思っております。
○小池晃君 それで足りないから大変なんですよ。三月の予算委員会で古川さんも、全然足りていないって言っているじゃないですか。やっぱりそういう実態はちゃんと、私はこの日本病院会の調査が極めて明確に把握していると思いますが、やっぱりこれを基にやっぱりきちんと考える必要がある。
 それで、私は財務省に聞きたいんですが、財務大臣、財務省、これまで社会保障関係費を高齢化の伸びの範囲内に抑制するという目安を示してきているわけです。物価も賃金もこれだけ上がっているわけですから、やっぱりこれは、こういう目安でやっていたら、これはもう経営は危機に瀕してしまうのは当然だと。やっぱり日本病院会の結果なんか、まさにそれを示していると思うんですね。
 やっぱり今の経済情勢の下で、高齢化の伸びの範囲内に社会保障関係費を抑えるというこの目安を私は見直し、廃止をすべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 何か違う委員会に行ったような気がしないでもありませんけれども。昔、委員おりましたけれども。
 まず、その前に、診療報酬においては、令和六年度、令和七年度においてそれぞれそのベースアップ分、二・五と確か二だったと思いますが、それを組み込んだと。それを踏襲して令和七年度の予算も編成されているものと承知をしております。
 その上で、社会保障関係費については、二〇一六年度以降、その実質的な伸びをいわゆる自然増の水準から高齢化による増に抑えるとの方針を定め、毎年度の予算編成において制度改革、効率化等に取り組んできたところであります。
 その上で、骨太方針二〇二四においては、かんかんがくがくいろんな議論がございました上で、二〇二五年度から二〇二七年度までの三年間についてこれまでの歳出改革努力を継続する、その具体的な内容においては、日本経済が新たなステージに入りつつある中で、経済・物価動向等に配慮しながら各年度の予算編成過程において検討するとされているところでありますし、これを踏まえて、令和七年度予算においても、経済・物価動向等への配慮を含め適切な対応が図られているところと、適切な対応を図ってきたところであります。
○小池晃君 今言われたことは、資料の二枚目、配付資料の二枚目(資料②)にあるものなんですけれどもね。
 で、お聞きしますが、財務省にお聞きしますが、今年度の社会保障関係費における経済・物価動向への配慮とされた項目と金額をお答えください(資料③)。
○政府参考人(吉野維一郎君) お答え申し上げます。
 令和七年度の社会保障関係費の予算編成に当たっての経済・物価動向等への配慮といたしましては、概算要求基準後に判明いたしました制度に関連する上振れ分として、年金制度相当額として二千二百億円程度、人事院勧告に伴う保育給付増の相当額として三百億円程度をいわゆる自然増に加えた上で、骨太方針に沿ってこれまでの歳出改革努力を継続いたしまして制度改革、効率化などを行ったところであります。
 なお、今回の対応につきましては、概算要求基準後に判明しました制度に関連する上振れとしてこれまでも反映してきたものですが、年末に公表する年金スライド相当分を反映するとともに、令和六年八月に公表された人事院勧告に伴う保育給付増の相当分につきましても、人事院勧告が従来と比べて高い伸びとなる中でも、政策的な予算を確保する観点から、いわゆる自然増に含めることにより適切に配慮することとしたものです。
 こうした対応を行った上で社会保障関係費全体のめり張りを付けましたことで、薬価改定での最低薬価の引上げや、医療機関の入院時の食費基準の引上げや、生活保護基準の引上げなど物価高に関連する施策の実現が可能になったと考えております。
○小池晃君 それが極めて不十分だということを指摘しているわけだし、私、それ、ごまかしあると思いますよ。年金スライド分が配慮だと言うけれども、じゃ、二枚目の資料にあるように、年金スライド分というのは今までは高齢化による増加分とされてきたんですよ。はっきり言って、この高齢化、この経済・物価動向の対応ということでいうと、その人事院勧告で保育士さんの給与が上がった分の三百億円、その部分は確かにこれ予算編成時というか、新たに増加した分だと思いますよ。ただ、この年金スライド分まで含めて配慮であるというのは、これはミスリードじゃないですか。
○政府参考人(吉野維一郎君) お答え申し上げます。
 過去の資料にそういう記載があったという御指摘だと思いますけれども、少なくとも我々の当初からの考え方については変化をしておりませんで、先ほど申し上げたように、経済・物価動向への配慮、そして年金スライド分と人事院勧告をいわゆる自然増に加えた上で、骨太の方針に沿った改革をしてきたということでございます。
○小池晃君 ごまかしだと思います、私は。
 やっぱり年金の物価スライドは、これは令和六年以前の予算編成では高齢化による増の中に入っていたわけですよ。それを今年から急に変えたんですよ、二〇二四年からね。で、新たに動向に配慮すると言いながら、結局それを入れて何か大きく見せているけど、結局配慮した分というのは三百億円プラスにすぎないと。この程度のもので、私、物価上昇に対する配慮とはとても言えないというふうに思うんですね。
 診療報酬の仕組みについて見直せと言っても、何か厚生労働省は、まあ、財務省、横にいるから余り言えないみたいなので、私、財務大臣に聞きますけど、これやっぱり補正の措置では不十分だから、医療団体、本当に垣根を越えて、これでは駄目だという声を今上げているわけですよね。で、今や、日本の医療、福祉関係の従事者というのは九百万人近くいるわけですよ。これ結局、全就業者の八人に一人ぐらいになるわけですね。ここの賃金が上がらなければ、幾ら賃上げと言ったって日本の経済良くならないですよ。やっぱりここのところ本気で仕組み考えないと、やっぱりこれは、だから診療報酬云々と言われたら答えられないと言うかもしれないんだけど、財政の在り方の問題として、やっぱりこういう診療報酬のような公定価格というのは急激に変化する物価、賃金に対応できないわけですよ。やはり先ほど言ったように光熱費の問題とか、全く全部持ち出しになっちゃうわけですね。
 私は、こういう状況をそのまま放置していいんだろうかと。財政フレームの問題として、やっぱり賃金の上昇や物価高騰を踏まえて、目安対応というような、こういうフレームではない、他産業並みに賃上げができるような、そういう仕組みをやっぱり財務省としても考えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、先ほど厚労省からのお話がありましたように、令和六年度の補正予算も計上して、今その執行もしていただいているところであります。それから、令和七年度の報酬改定でたしかベア二・〇も入れ込んでいるところでございます。
 そういったところが、しっかりと現場現場において実現していただく。そのためにも、厚労省において取組を進めていただき、その結果もしっかりと踏まえながら、また次に向けての議論をしていくことが大変大事だというふうに思っております。
 ただ、御指摘のように、これ国会、この部分だけではなくて、公定価格によって賃金が確定しているもの、あるいは公共事業のようにその中に労務単価が入っているもの、そういったものが当然ありますので、そういったものについてはしっかり実態を見ながら、これまでも予算編成の中で議論させていただきましたし、これからもそうしたもの、状況等をしっかり踏まえて予算編成に当たっていきたいというふうに考えております。
○小池晃君 私、本当にこれ真剣に考えないと、日本の病院、次々潰れるような事態になりかねませんよ。やっぱり、こういう公定価格の下で硬直的な対応はやっぱり改めるということをやる必要があるということを申し上げたいと思います。
 やっぱり社会保障の自然増抑制という路線をこれ中止をして、処遇改善、待遇改善、そのための手だてを取るべきだと。医療関係団体がこぞって声を上げて、党派を超えて、自民党の議員なんか毎日のようにこの問題、質問しているじゃないですか、いろんな委員会で。でも、私もやっているんですから、自民党と共産党が言っているんだから、これはね、もう党派を超えた声ですよ、これ。これはやるべきですよ、やっぱり。
 大臣、政治家としてどうですか。やっぱりそういう決意で臨むべきじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) その、そうですかというところが具体的にどういうことなのかということになるんだろうと思います。当然、我が国の医療を支える病院を始め、このシステムをしっかり維持し持続可能なものにしていく、またそれを支える保険制度、ということと同時に、保険制度も待ったなしに増加をしていく、ここをどうこれから、これからもですね、これまでも努力をしてまいりましたし、引き続きそうした方向で努力をさせていただきたいというふうに思っております。
○小池晃君 大臣は厚生労働大臣もやられていて、そのときも私何度も議論させていただきましたけど、やっぱり現場の実態もよく御存じだと思うんですよ。
 やっぱり今のような仕組みは本当に見直す必要があるというふうに思います。それは、やはり報酬引き上げるとともに、患者、利用者の負担につながらないようにやっぱり公費を投入するということも含めてきちんとやっていくということを党派を超えた声として今日は申し上げました。
 終わります。

閉じる

資料

ご意見・ご要望