日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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インボイス実態調査早く 参院財金委 小池氏「財務省の責任で」

2025年03月17日

赤旗2025年3月17日付

 日本共産党の小池晃書記局長は13日の参院財政金融委員会で、消費税のインボイス制度実施から1年以上たち、インボイス発行事業者になったことで重い消費税に苦しむ小規模事業者やフリーランスの実態を把握する全国調査を財務省の責任で行うよう求めました。

 

 小池氏は「中小企業庁の『2024年度インボイス制度導入に係る取引実態調査』が昨年12月に中止されたのはなぜか」と質問。中小企業庁の山本和徳事業環境部長は、調査開始後、誰でも何度でも回答できる設計になっていたため受け付けを停止したと答弁。「双方でアンケート設計の十分な確認が不足していた」と述べました。

 

 同調査の実施は、一般競争入札で「(株)エーフォース」が落札したもの。小池氏は「エーフォースが作成したグーグルの回答フォームは、IDやパスワードもない。大変ずさんだ」と指摘。不備の発覚で契約解除されたエーフォースは、元中小企業庁長官の息子が経営する企業で、「そもそも公正な入札が行われたか疑念も生まれている。財務省はどう考えるか」とただしました。

 

 加藤勝信財務相は「どういう不備があったか把握していない。中小企業庁が責任をもって対応するもの」だと答弁。小池氏は「まるで人ごとのようだ。インボイスは財務省が始めた責任がある」と強調し、「財務省の責任で実態調査を行うべきだ」と重ねて要求しました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 昨年十二月に経団連から注目すべき提案がありました。フューチャーデザイン二〇四〇という政策提言なんですが、富裕層への課税強化を打ち出したわけです。
 お配りしている資料の一枚目がその経団連の提言からの抜粋なんですけど、これ見ると、我が国の所得格差を示すジニ係数が、ドイツ、フランス、カナダはもちろんなんですが、韓国やイタリアよりも高い。それから、右のグラフでいいますと、可処分所得の上位一〇%、下位一〇%の比率が、これ米国に次いで二番目なんですね。
 大臣、我が国が国際的に見ても格差の大きな国になってきているということはお認めになりますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 格差の問題がこれいろんな形で指摘されているということ、特にここに来て格差の拡大ということも指摘されていること、このことは認識をしておりますが、他方で、こういった国際比較をするときに、今委員この経団連の資料をお示しになられました。ただ、他方、他の統計で、あるいは他の学術研究所のデータではイタリアや韓国よりも日本のジニ係数が低く推移しているというものを示すものもございますし、また、このOECDの調査では現物給付が考慮をされていないということもございますので、そういったことを踏まえると、幅を持って見ていくことは必要だと思っています。
 また、日本のジニ係数については、高齢化の影響により再分配前の所得格差が中長期的に拡大する傾向にある、これは右側でお示ししているのもその一つなんだろうと思いますが、他方で、税制や社会保障による再分配後の所得格差は再分配前のものと比較して大きく抑制されておりますし、最近、国内の資料を見ますと、一定の水準でこの……(発言する者あり)いや、その水準は推移しているものと認識をしております。
○小池晃君 これ経団連の資料ですからね。私、国会議員になって経団連の資料使うの初めてですよ。経団連がこういう指摘しているんですからね、やっぱり素直に認めたらどうですか。やっぱり全体として、それは厳密に言えばいろんな問題はあると思いますけど、全体としてはやっぱり日本の格差拡大してきていると、国際的に見てもね、これは間違いない。
 そして、今再分配という話がありました。税が格差を解消しているのか、拡大しているのかです。
 二枚目見ていただきますと、これは国会図書館に調べていただいてグラフにしたものなんですが、これは三つあるんですけど、真ん中が税による所得再分配効果なんですね。日本は、税によるジニ係数の改善率はG7で最も低い。これはやっぱり所得税の累進構造を弱めて、消費税を一〇%に増税してきた、これはやっぱり税による、私、税のこと聞いていますから、あれこれ言わないで税について。税による所得再分配効果は弱まってきているということは事実だと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 税によるということであります。消費税のことをおっしゃっているんだと思いますが、(発言する者あり)じゃ、税全体について申し上げさせていただきますと、所得税については、近年、再分配機能の回復を図る観点から、例えば最高税率の引上げ、極めて高い所得について最低限の負担を求める措置の導入などを行っております。また、消費税は、確かに逆進性があることは御指摘のとおりでありますが、緩和を図るために食料品に軽減税率を適用している。また、消費税財源が充当されている社会保障給付費には再分配効果があるわけであります。
 ただ、いずれにしても、この図の中で指摘しておかなきゃいけないのは、いわゆる消費税の影響については考慮されていないという記述がなされている点は留意をする必要があると思います。
○小池晃君 税の問題を私聞いているんですから、再分配、社会保障の問題は、それは後の話。
 これはどう考えたって、やっぱり日本の税が、まあ逆進性を認められましたけれども、やっぱりこの間進めてきたのは、税における逆進性が推進されてきて、累進構造壊れてきたということはこれ間違いない事実だと思うんですね。
 それから、税と社会保障を併せると改善していると言うけど、これは、これもね、これはOECDの平均よりは上なんですけど、G7の平均よりは下回っているし、新自由主義の最先頭を行っているアメリカ、イギリスより上回っているということは、これ決して自慢できる話じゃないというふうに私思うんですね。
 大臣は経団連の資料をなかなか認めようとしないんですが、経団連は経済的格差が広がっているという事実認識に基づいて富裕層への課税強化を提言したんですね。これ、消費増税への理解を得るために富裕層に課税するというところは、これは合意できないんですけど、でも、富裕層に対する増税ということを経団連が言っているということは、これは重要だと私は思うんですよ。
 我が党も、富裕層への資産課税として富裕税というのを提案しています。我が党の提案は、富裕層の純資産五億円を超える部分に〇・五から三%程度の累進課税をすると。課税対象資産の算定には、自宅用、事業用の資産は除外するという提案をしているんですね。
 日本の政府税調のメンバーも、かつて富裕税の導入を提案したことがあります。世界でも、スペイン、フランス、スイス、ノルウェーなどが採用しているんですね。
 私、これ、今後の方向性として、やっぱり富裕層への資産課税ということについて、大臣、これ検討すべきじゃありませんか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほど申し上げたのは、経団連の指標、ごめんなさい、資料についても、必ずしも、幅を持って見る必要があるということを申し上げたのであって、私ども、格差の是正に向けた取組の重要性、それを否定するものでは全くございません。その上で、税制、社会保障制度の双方を通じて適切な再分配がなされるよう取り組むことで、格差の拡大、あるいは固定化、これを回避していくことは必要だと思っております。
 その上で、富裕税のお話がございました。どういう中身なのかというのは御説明がないので何とも申し上げられませんが、(発言する者あり)いやいや、具体的なやり方です。資産の把握の問題に加えて、資産の評価の問題など、富裕税を導入した諸外国でも多くの問題点が指摘をされているというのは御承知のとおりだと思います。
 古い話になりますけれども、日本でも昭和二十五年に導入をされた経緯がありますけれども、財産の評価や把握等の執行面における困難が大きく、徴税コストの高い税とならざるを得ないなど問題が生じたことから、三年で廃止をされたところであります。
 税制の再分配機能の強化を図る観点から、平成二十五年度税制改正では、所得税や相続税の最高税率の引上げなどの見直し、また、一億円の壁への対応については、極めて高い水準の所得を対象として追加的に負担を求める措置を導入するなど累次の改正も行ってきているところでありますので、引き続き、経済社会の情勢変化などを踏まえつつ、再分配機能をどの程度発揮させるべきかという観点も含めて、今後の税制の在り方については検討する必要はあると考えています。
○小池晃君 予算委員会でやったじゃないですか。一億円の壁と言いながら、三十億しかやっていないじゃないかと。三十億、二百人しかいないと。一億円だと二万八千人だと。何でこの腰の引けた対応なんだということを言ったじゃないですか。全然駄目ですよ。
 やっぱり、こういう格差の拡大に対して税制で是正するという本気の取組が私は必要だと思う。そのことを強く求めたいと思います。
 消費税にインボイス導入されて、実施されて一年以上がたちます。今、確定申告真っ最中。これまで免税事業者だった方がインボイス発行事業者になったことで、昨年は三か月分で二万九千円、今年はその四倍の十二万六千円、消費税を納めなければならなくなったという声もあります。
 財務省として、インボイスで苦しんでいる小規模事業者、フリーランスの実情、これ把握する全国調査やっていますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 令和五年十月のインボイス制度導入を機に消費税の課税事業者になった方は、令和六年度確定申告で初めて通年分の取引を申告することとなることが多く、昨年に比べて納税額が増える場合が多いと見込めることから、そうした方に対するダイレクトメール等の発送等、国税当局により対応させていただいております。
 その上で、インボイス制度の運用状況に関しては、インボイス導入に伴う事務負担の状況をソフトウェアベンダーが調査した結果などを分析をしているほか、各省庁において各業界が実務上抱えている課題の把握に努めてきたところであります。さらに、依頼に応じて可能な範囲で各種団体との意見交換に主税局の職員も出席をし、直接関係者のお考えも伺っているところであります。インボイス制度への対応を各業界の取引慣行などを踏まえて行えることを踏まえますと、各省庁を通じた実態把握が効果的であると考えております。
 財務省としても、各種団体との意見交換の場などを活用した実態把握を継続しつつ、引き続き、把握した課題に対してはきめ細かく丁寧な対応を行っていきたいと考えております。
○小池晃君 各省庁というので、ちょっと聞きます、中小企業庁。
 二〇二四年度、インボイス制度導入に係る取引実態調査、これ、昨年十二月初旬に調査中止になっているんですが、ホームページでは現在アンケートの回答受付を停止していますとなっています。何でこうなっているんですか。
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
 中小企業庁が実施したインボイス制度導入に係る取引実態等調査、今御指摘の調査でございますが、インボイス制度の導入を契機とした取引関係の変化等に関する実態把握を目的に、免税事業者として可能性がある事業者五万社に対しアンケート調査を行ったものでございます。
 この調査でございますが、開始後、アンケートフォームに誰でも何度でも回答できる設計となっている旨の御指摘がありまして、令和六年十一月二十九日に回答の受付を停止しているところでございます。
○小池晃君 そういうことなんですね。これ、私の事務所にフリーランスの方から連絡があって、これ、ホームページ見たら誰でも回答できるようになっているよと。だから、中小企業庁に私の事務所からそうなっているぞと指摘をしたんですよ。そうしたらば中止になったと。
 これ、実態調査やり直すんですか。
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
 今回の調査、不備があったことを踏まえまして、正確な実態把握を行う必要があると認識しております。今後、改めて入札により事業者を選定し、調査をやり直すことといたしております。
○小池晃君 これ、一般競争入札で、エーフォース、株式会社エーフォースというところが千百万円で落札したんですね。で、こういう事態になっている。
 これ誰でも入力できましたから、これ、誰かが大量に組織して入力して変な結果が出ていたら、これ大変なことになっていたと思うんですね。こういう指摘が私の事務所に来て、中小企業庁に言わなかったら、今も続いていた可能性があるんですよ。何のための実態調査かと。
 これ、グーグルの回答フォームで、ID、パスワード、セキュリティーチェックないんですね。これ、エーフォースが仕様を提案したときに中小企業庁はチェックしなかったんでしょうか。
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
 委託先事業者からの提案におきましては、信頼性の高いアンケートシステムの活用やセキュリティー対策の実施に関する提案をうたっておりまして、中小企業庁としてもこの旨は確認をしておりましたけれども、実際に事業を進めていく中で、双方の間でアンケート設計に関する共通認識や十分な確認が遺憾ながら不足していたものと認識してございます。
○小池晃君 大変ずさんだというふうに思うんです。
 この中企庁が契約解除したエーフォース、株式会社エーフォースは、元中企庁長官の福水健文さんの御子息が経営する私企業だと。父親の健文さんは同社の顧問を務めているということも明らかになっています。
 大臣、不備が発覚して契約解除に追い込まれたわけです、これ。同庁OBに近しい企業が請け負っていたと。もうそもそも公正な入札が行われたんだろうかという疑念も生まれているんですね。大臣、このようなことは絶対あっちゃいけないと思いますが、どうお考えになりますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今の御指摘、中小企業庁の実施する事業ということでございまして、財務省として、どういう不備等が具体的にあったか、必ずしも詳細を把握しているわけではございません。改めて調査を実施する際にはそういった不備等が再び生じないよう、中小企業庁によって責任持って対応されるものと承知をしております。
○小池晃君 ちょっと他人事っぽい話ですよ、今のは。だって、インボイスというのは財務省が始めたんですから。これやっぱり財務省が本当は責任を持って調査しなきゃいけない問題でしょう。さっき、いろんな省庁がやっていますからいいですと言ったけど、そういう問題じゃ私ないと思うんですよ。
 財務省に聞くと、中小企業庁や公取がやっていますと。公取に聞くと、例えば、これ、実際に事業者間のものだったら公取は独禁法の関係で出ていけるけど、役所が発注した事業なんかはこれ公取の管轄外になるといって、もう全部門前払いですよ。
 やっぱり私は、このインボイスによる実態が本当に様々な問題が起こっている。実際に、これは私どもに来ている声でいうと、もう本当に取引先から課税事業者になるように圧力掛けられたとか、免税事業者のままなら報酬下げると言われたような声もいまだに来ますよ。
 私は、これは財務省が始めた、財務省、国税庁が始めたのがインボイスなんだから、これはやっぱり中小企業庁にやらせるというんじゃなくて、きちんと財務省として責任を持って実態調査をやるべきだというふうに思いますが、重ねて伺います。
○国務大臣(加藤勝信君) 政府における対応ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、インボイス制度への対応、これは各業界の取引慣行などを踏まえて行われていることを考えますと、それぞれの省庁において実態把握をしていただくことが効果的であるというふうに考えており、財務省としては、各種団体との意見交換の場なども活用した実態把握を継続しながら対応していきたい。また、もちろんそれ以外においても、先ほど申し上げたソフトウェアベンダーの調査あるいは東京商工リサーチが実施したアンケート調査、そういった様々な調査も分析をしながら実態の把握に努めているところでございます。
○小池晃君 何でほかの調査のことしか言わないんですか。これは、やっぱりこういう事態になった、中小企業庁のやった調査はこういうもうていたらくになっているわけですよ。
 私はやっぱり、それはもちろんその業界団体、様々な慣行があると、それはそのとおりだと思います。だから、そういうところときちんと、経産省なり中小企業庁なりに話聞いて、そしてその上でやっぱり財務省として責任を持ってインボイスについて、これだけいろんな声が上がっているわけですから、いろんな声が上がっているということは予算委員会でも総理もお認めになりましたからね、これ財務省としてやっぱり、国税庁として財務省として調査をすべきだというふうに思うんですけど、それを絶対やらないということなんですか。やるべきですよ。是非やっていただきたい。
○国務大臣(加藤勝信君) もちろんインボイス制度を導入したのは私どもでありますから、そこに起きたそういった問題、これに対しては一つ一つ丁寧に対応していくこと、これは当然であります。ただ、それをどう把握していくかという点においては、どういう把握の仕方が有効なのか、そういった意味においては、先ほど申し上げさせていただいたように、こういった制度への対応、やっぱり各業界ごとの取引慣行等を踏まえていろいろということでもございますから、そういった点を踏まえて、その業界に精通をしている各省庁とも連携をしながら対応していく、こういうことでこれまでもやってきたところでありますし、今後とも、そうした形で効果的な実態把握を行いながら、そして浮かび上がってきた課題に対してはきめ細かく丁寧な対応をさせていただきたいというふうに考えております。
○小池晃君 インボイス登録をしない免税事業者への減額、買いたたき、取引排除、これ行われていないか、やはり中小企業庁や公取任せにしないで、財務省として、インボイスを所管する役所として責任を持って調査をすべきだということを重ねて申し上げて、私の質問は終わります。

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