日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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大軍拡で暮らしも財政も破綻 高額療養費「立ち止まれ」 介護報酬「元に戻せ」 参院予算委 小池書記局長が追及

2025年03月07日

赤旗2025年3月7日付

 参院に移った2025年度予算案の審議は6日、日本共産党の小池晃書記局長が予算委員会で質問に立ちました。社会保障関係費、文教費、中小企業対策費など、暮らしの予算はどれも物価上昇に実質マイナスである一方、軍事費は過去最大の8・7兆円で、前年度比9・5%も増えたと強調。国民総生産(GDP)3%以上の軍事費引き上げを求める米国に対し、きっぱり拒否しない石破政権では「国民の暮らしや平和を守れない」と批判しました。(詳報)

 


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(写真)パネルを示し、質問する小池晃書記局長=6日、参院予算委

 小池氏は、軍事費が「安保3文書」以降の3年で3・3兆円も増え、1・6倍となっており、1931年の満州事変勃発前後の3年で1・4倍となったペースを上回り、「戦時下に匹敵するような膨張だ」と指摘。4日に米国のコルビー次期国防次官候補がGDP比で3%以上に引き上げるべきだと主張したことに対して、「GDP600兆円の3%なら18兆円になる。暮らしも財政も破綻する。はっきり拒否すべきだ」と追及しました。

 

 石破首相は「陸海空、何が必要なのかを精緻に積み上げた結果として定まる」と3%への引き上げを否定しませんでした。

 

 一方、暮らしの問題で小池氏は、昨年4月に訪問介護の基本報酬が引き下げられて以来、訪問介護事業所の倒産が相次ぎ、訪問介護の空白自治体が急増し107にのぼっている実態を「しんぶん赤旗」のスクープを示して告発。福岡資麿厚生労働相は「訪問介護は(地元自治体の事業所がなくても)大半で近隣市町村の事業所によるサービスを利用している」などと開き直りました。

 

 小池氏は「隣の町に行けばいいというのはひどい話だ」と批判。「介護報酬引き下げは50億円。法律事項でもない。首相の決断でできる」と指摘し、訪問介護の基本報酬を元に戻すよう求めました。石破首相は「元に戻すことは考えていない」と拒否しました。

 

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 小池氏は、全国がん患者団体連合会や東京都医師会が凍結を求めている「高額療養費制度」の8月からの負担上限額の引き上げは「100億円ちょっとで立ち止まれる」と強調。5日の質疑で佐藤正久氏(自民)が「文化庁の予算が少ない。イージスシステム搭載艦の4分の1だ」などと指摘していたことを紹介し、「F35は1機200億円だ。大変な方程式はいらない。予算のやりくりで十分に可能だ」「立ち止まるなら今すぐだ」と白紙撤回を迫りました。石破首相は「(がん患者らの)懸念が杞憂(きゆう)に終わるように適切に判断する」と述べるにとどまりました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 岩手県大船渡市の山林火災、鎮火、鎮圧に本当に全力で当たっていただいています。しかし、三・一一で津波被害に加えての火災で、被災者の皆さんの打撃は深刻であります。政府挙げて大規模な被災者支援に取り組むということを強く求めたいと、これ要望しておきたいと思います。
 それから、今、舟山議員がありました空襲の問題。私も空襲議連の一員です。まさに超党派で、法案もうほとんどできている、そこまで来ているわけです。戦後八十年です。決断のときだと思います。是非、これは前に進めていただきたい。私からも総理の決断求めたいと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) もう一度法案をよく読ませていただきます。
 それからもう一つは、空襲というのは大変な被害でございました。では、艦砲射撃はどうなんだというお話、議論のための議論をするつもりはございませんが、室蘭、釜石、日立、浜松、そういうような地域は艦砲射撃による大きな被災を受けておるわけ、被災に遭っておるわけでございます。そうしますと、不公平というものがないかということも考えてまいらなければなりません。
 よく法案を私個人として拝読をいたしまして、与党の皆様方の御議論を賜りたいと思っております。
○小池晃君 今の問題などを含めてよく議論しましょうよ、これ。空襲議連の集会、最初座っていたの誰だ。平沢勝栄さん、河村たかしさん、で、私小池晃、三人並んだんですよ。めったにないですよ、こんなことは。本当に超党派で今これ進めようとしていますから、是非これ前に進めてほしい。
 衆議院の参考人聴取で、安倍派会計責任者の松本淳一郎さん、裏金作りの再開について、幹部会合で意見の対立はなかった、四人の幹部全員が還流に賛同していたかの問いに、私の認識はそうだと答えました。ところが、下村博文さんは、還付なしの前提で議論したが結論は出なかった、西村康稔さんは、松本氏の認識とは全く異なる、世耕弘成さんは、会合で還付が決まった認識はない。
 これね、安倍派幹部の認識と松本氏の発言には矛盾があると思いますが、総理、いかがですか。矛盾があるという認識か。
○内閣総理大臣(石破茂君) 小池委員が御紹介いただきましたこれらの発言、それは、それぞれの方が自らの記憶、認識に基づいて行っておられる、そういうようなものだと承知をいたしております。
 事実関係を確定し得る客観的な材料はこれまでのところ、客観的なでございますよ、材料はこれまでのところ得られておりません。したがいまして、これ食い違いはございますが、私どもとして、臆測で、じゃ、どういう事実関係に基づいてこういうことになったんだということを申し上げることはできないということでございます。
 我が党といたしましてできる限りの調査そして処分既に行ったところでございまして、これに加えまして、政倫審、参考人聴取の取組が行われてまいりました。今後、国会において事実確認のための更なる取組が行われると、そのような場合には、引き続き、国会の御判断を尊重して全面的な協力をしてまいりたいと考えております。
○小池晃君 どういう経緯で違法行為が再開されたかどうかというの、これ核心的な問題です。で、食い違いがあると今認められました。ならば、安倍派幹部の証人喚問必要じゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは国会の御判断でございまして、国会で御判断がなされましたときに、我が党としてそれに誠実、真摯に対応すべきと考えております。
○小池晃君 総理も食い違いを認めました。
 委員長、下村博文、西村康稔、世耕弘成、塩谷立、以上四氏の証人喚問を求めます。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。
○小池晃君 参議院議員の改選の年にはパーティー券代金が全額還流されています。松本さんは、私が清和会に来たときからそういうやり方だったとおっしゃっています。なぜ改選の年だけ全額還付か、一体何に使ったのか。
 総理は衆議院で、適法に使われていたことを説明する責任が私どもにある、きちんと公開されねばならないと述べました。ならば、この問題を明らかにしないまま今年夏の参議院選挙の公認はあり得ないと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 公認をいたしますからには、自由民主党として、これが、来る参議院選挙でございますが、参議院議員にふさわしいということを判断をして有権者の皆様方にお願いをするものでございます。
 その際にいろんな要素を考慮をいたしてまいりますが、先ほど、全額キックバックされておった、これは違法な選挙運動に使われておったのではないかという御指摘もいただいておるところでございますけれども、これは、還付金等が使用された場合の主な使途は会合費、研修会、人件費、交通費、書籍代、そのように聞いておるところでございます。
 不記載につきましては、検察より厳正な捜査が行われました。取り上げるべきものは立件をされたというふうに承知をいたしておるところでございます。
○小池晃君 選挙の一か月前に選挙区内の自民党県議に三十万円ずつ配ったと報道されている議員もいるんですよ。今言われたような使い方とは違いますよね。こういったことをそのままにして公認していいんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) そのような事実が確定しておるかどうか、承知をいたしておりません。
 私どもとして、報道で知る限りのことでございまして、確認できておらないことについて軽々に言及は控えたいと思っております。
○小池晃君 これね、公認したらやっぱり自民党の責任問われますよ。
 総理は衆議院で、安倍派の裏金作りが二十年以上前から行われていたこともうかがわれると述べました。二十年以上前ということは、森喜朗さんが派閥幹部、派閥会長だったときです。
 やっぱり森氏にも説明を求める必要あると思いませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 清和政策研究会におきまして還付金等の運用やこれを収支報告書に記載しない取扱いが始まった経緯につきましては、自由民主党といたしましても、外部の弁護士を交え、関係者への聞き取り調査を行うなど事実解明の、事実関係の解明に努めてまいりました。それにもかかわりませず、具体的にいつどのようにしてこれが始まったのかということについては判然といたしておりません。
 御指摘の森元総理大臣につきましては、私の前任であります岸田前総理が、御本人に対して電話をされました上で、森元総理御自身の具体的な関与は確認できないと、そのように説明をされておられますし、森元総理御本人も取材に対しまして、いつ誰が始めたのかは分からないと、このような旨説明をしておられるところでございます。
 事実関係を確定し得る客観的な材料は得られていないというふうに承知をいたしておりますので、私として現時点でこれ以上申し上げることはできません。
○小池晃君 いや、三月三日の衆議院の予算委員会で総理は、二十年以上前から行われていたということもうかがわれるということが判明していますと言っているんですよ。だったら、森さんのときじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) そのようなことについて、多くの方々のというべきか、疑念が払拭されたとは思っておりません。
 今後、国会においていろんな御判断がなされるということだと思っておりまして、我が党としてそれに協力すべきは当然のことだと思っております。
○小池晃君 総理が疑念を払拭していないとおっしゃいました。
 委員長、森喜朗さんの証人喚問を求めます。
○委員長(鶴保庸介君) 理事会にて協議をいたします。
○小池晃君 自民党の森山幹事長は疑問の解明につながったと言っていますが、これ幕引きできませんよ、これ。これ徹底的な真相解明、そしてパーティー券も含めて企業・団体献金の全面禁止ということが必要だと、これが唯一の解決策だということを申し上げます。
 所得税法の自公、維新の修正による減税額、大半が二万円です。(資料提示)昨年の定額減税の半分程度ですね。政府や与党は財源がないと言いますが、根本的な税のゆがみに切り込んでいないからですよ。
 財務省に聞きますが、法人税改革の成果と課題、今年の、今年度の与党税調はどう言っていますか。(資料)
○政府参考人(青木孝徳君) お答え申し上げます。
 経済界には、法人税改革の趣旨を踏まえ、国内投資の拡大や賃上げを求めてきたが、企業部門では、収益が拡大したにもかかわらず、現預金などが積み上がり続けた、法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ず、法人税の在り方を転換していかなければならない、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくとの記載がなされております。
○小池晃君 総理、今聞かれたと思いますが、法人税改革は賃上げにも設備投資にもつながらずに内部留保を積み上げただけだと。毎年なんです、これ、今年だけじゃないんです。毎年そう指摘している。
 にもかかわらず、私たちの推計では、法人税率の引下げや、あるいは租税特別措置、大企業優遇税制によって、二〇二三年度、推計で二兆円、減税効果増えています。これ、総理、大義なきばらまきではありませんか。法人税率の引上げ、大企業優遇税制の見直しが必要だと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 結果として内部留保が積み上がったと。私どもとしては、効果として、それが給与の増でありますとか投資の増でありますとか、そしてまた、下請という言い方をあえて使うとすれば、そういう方々に対する支払が増えるとか、そういうことを期待をしておったところでございます。
 意に反してと言うべきでしょうか、そういうことにならなかったという事実は事実として認めていかなければならないと思っております。それが、御指摘のように、いやいやと、それはもう単なる大企業優遇ではないかと、そのような御批判を受けることがないように、私どもとしては更に努めてまいりたいと思っております。
○小池晃君 いや、だから、どうやるんですか、それを。
 具体的に聞きますよ。研究開発減税。もちろん研究開発大切です。しかし、研究費を増額しなくても、維持しただけでも、また減らしても減税されるという仕組みなんですね、これ。かつては増やさなければ減税されなかった。しかし、これ、経団連から要求もあって変えられたんですよ。
 財務大臣、二三年度の、二〇二三年度の研究開発減税の総額、そのうち資本金一億円を超える企業の減税額、幾らで何%か、お答えください。
○国務大臣(加藤勝信君) 二〇二三年度、令和五年度の研究開発税制における適用額の総額は約九千四百七十九億円、また資本金一億円超の企業の適用額及び全体に占める割合は、約八千六百七十二億円及び約九一・五%となっています。
○小池晃君 減税額の九割以上が大企業なんです。この二三年度研究開発減税額トップの企業の減税額、それと全体に占める割合を言ってください。
○国務大臣(加藤勝信君) 二〇二三年度の研究開発税制における適用額一位の企業の適用額及び全体に占める割合は、約八百二十八億円及び約八・七%であります。
○小池晃君 トヨタ自動車ですよね。
○委員長(鶴保庸介君) 質問ですか。
○小池晃君 財務大臣。トヨタ自動車ですよねと。
○国務大臣(加藤勝信君) それぞれの個別の名前については、従前から申し上げておりますように、こうしたことを申し上げると、それぞれの当該企業におけるこうした研究開発等の状況が外に漏れていく、漏れるというか、分かってしまうということで、これまでもこうした、数字は申し上げておりますけれども、企業名は申し上げないという対応をさせていただいております。
○小池晃君 研究開発費は発表されていますよ。別に外に出しちゃいけない数字じゃないですよ。一社で減税額の一割近くを占めるような企業は日本にはトヨタ自動車しかないです。これを、企業名発表しないということ自体が本当に私はひどいと思いますよ。
 二〇二三年六月の政府税調、我が国の税制の現状と課題では、租税特別措置の問題点についてどう指摘をしていますか。
○政府参考人(青木孝徳君) お答えします。
 政府税制調査会より令和五年六月に取りまとめられたわが国税制の現状と課題におきまして、「企業の一つの目的が利益の最大化にあるとすれば、政策税制がなかったとしても利益をもたらす経済活動は自ずと行われるはずであり、そういったものを政策税制の対象とすることは、費用対効果の観点からは正当化されません。」との記載がなされております。
○小池晃君 私、そのとおりだと思うんですね。
 もちろん、トヨタのような大企業にとっても研究開発は大事ですよ。しかし、三十兆円を超える内部留保があるわけですよ。そういう企業にわざわざ減税するのかと。
 総理、やはり多額の内部留保を抱えるような大企業に研究開発減税というのはこれ見直した方がいいんじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先ほど財務大臣からお答えをいたしましたように、それが明らかになることによって一体どのような研究開発が行われているのということになるということのおそれが払拭できないということでございますが、今主税局長が答弁を申し上げましたような、そういう議論というものもあることは私どもとしてよく承知をしておかねばならないと思っております。
 簡素、公平、中立という概念に、この簡素というところからすればこれは一体何なのよということ、あるいは公平ということからすれば何なのよというような御指摘があることは私としてよく認識をしておきたいと思います。
○小池晃君 簡素もあれだけど、不公平ですよ。大義がないですよ、この減税には。必要ないですよ。これだけ巨額の内部留保があって、もうそんな研究開発で減税する必要性、私感じない。いやいや、感じない。だって、効果ないって言っているじゃないですか。効果ないって税調が言っているじゃないですか。
 もう一つ、所得税の問題やります。
 富裕層優遇です。中でも、金融所得に対する税率低い、いわゆる一億円の壁。所得一億円超えると所得税の負担率が下がると。
 財務大臣、こういう壁こそ取り払うべきだったと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、その前の研究開発税制については……(発言する者あり)いや、ここはしっかり読んでいただきたいんですが、企業の一つの目的が利益の最大限にあるとすれば、なかったとしても利益をもたらす経済活動はおのずと。したがって、意味ある研究開発、やっぱり国としてこれを進めてもらわなきゃいけない、こういったものはしっかり応援していく必要があるということだというふうに思っております。
 その上で、一億円を超える人数……。失礼。
○委員長(鶴保庸介君) 一旦退席してください。声掛けるので。
 もう一回質問お願いします。
○小池晃君 一億円の壁をなぜ取り払わなかったのかと。
○国務大臣(加藤勝信君) 失礼いたしました。
 政府としても税負担の公平性を確保することは重要であると考えておりまして、いわゆる一億円の壁と言われる問題については、令和五年度税制改正において、金融所得を含め極めて高い水準の所得を対象として令和七年分所得から追加的に負担を求める措置を導入し、一定の対応を図ってきたところであります。
○小池晃君 極めて高いということで、三十億円でしょう。三十億円。所得三十億円超える人って何人ですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 申告税額がある方を対象にした国税庁の標本調査によれば、令和五年分において合計所得金額が二十億円超を超える方が、いや、ちょっと待ってください、二十億円超を超える方は三百九十人、五百億円超は百七人と推計されております。
 合計所得金額三十億円を超える方の数字については正確なデータはありませんけれども、今申し上げた数字の中間ということになれば、おおむね二百から三百程度ではないかと考えられます。
○小池晃君 二百人ぐらいなんですね。
 じゃ、一方で所得一億円を超える人は何人ですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、先ほど申し上げた申告納税額がある方を対象にした国税の調査によれば、令和五年分において合計所得金額が一億円超の方は約二万八千四百人と推計されております。
○小池晃君 二万八千人のうち二百人ですよ。見直したと言うけど。
 総理は、九月のテレビ番組で、金融所得課税の強化を実行したいと言われたんです。何で実行しなかったんですか。一億円の壁取り払わなきゃいけないでしょう。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、今申し上げた措置……(発言する者あり)いやいや、今の措置をしっかり見極めて、これ七年分からでありますからね、これをしっかり見極めていく必要があると思っております。
 また一方で、金融所得課税の検討に当たっては、税負担の公平性のほか、貯蓄から投資への流れを引き続き推進し、一般の投資家が投資しやすい環境を損なわないようにするということも重要でありますので、これらを総合的に考えていく必要があるというふうに考えております。
○小池晃君 あのね、いつもそう言うんだけど、アメリカの税率はうんと高いんですよ。で、投資活発じゃないですか。何でこれが投資を妨げることになるんですか。
 総理、これ見直しましょうよ。(発言する者あり)
○内閣総理大臣(石破茂君) 何かおっしゃいましたか。
 貯蓄から投資へと、こういう流れを確実なものにしたいと思っております。昨年私がそういう発言をしたのはまごうことなき事実でございます。そうしますと、さてさて世論の論調はどうなったかというと、やはりあいつは貯蓄から投資への流れに逆行するやつであるというような話になりました。
 そうすると、貯蓄から投資へという流れをとにかく逆行させてはならぬということと、やはり資産が多くお持ちの方々、所得が高い方々に適切な税負担をお願いするということ、この両立を図っていかねばならないと思っております。そして、それによって株価というものが動くということも避けていかなければなりません。全体に与える影響というものをよく判断をしながら、多くの方々の納得を得られる税制というものを目指してまいりたいと思っております。
○小池晃君 あのね、投資家全体の負担を増やせなんて言っていないんです。所得一億円を超える人の、そこを見直すべきだと言っているんですよ、税率を引き上げるべきだと言っているんです。いかがですか。それぐらいやりましょうよ。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御指摘は承りました。
 これをどうするかというのは先ほど来申し上げておることですが、貯蓄から投資へという流れにさおを差さないということ、そしてそれによって投資家の意欲を裂かないということ、そして多くの国民の皆様方の御理解が得られるということ、そういうものを充足すべく、政府として考えてまいります。
○小池晃君 ちょっと流れにさお差すという言葉の使い方間違っていると思いますけど。
 でも、やっぱりこういうことに対する不信感があるんですよ。富裕層が優遇されている、大企業が優遇されている、その一方で、消費税は重い、インボイスが大変だ。だから、この不公平に対して今本当に怒りがマグマのようにたまっているわけですよ。そういう認識はありますか。
 この不公平な税制に切り込めば、私は消費税の減税の道だって開けると思いますよ。課税最低限だってしっかり引き上げることできると思いますよ。何でそれやらないのか。
 総理はかつて格差拡大の中で消費税もタブー視しないと、そういう議論は必要だとおっしゃったんですよ。法人税や所得税、在り方全体を見直す中でしっかりと財源を作ってやっぱり消費税の減税に、実現をしていくと、それをタブー視しないでやっていくということが必要じゃないですか、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) このことと消費税の議論は別だと私は思っております。これを一体で議論をしてはいかぬのであって、全体としてということで、だから消費税を廃止とか、だから消費税を引き下げるとか、そういうような議論には論理的につながるものだと私は思っておりません。
○小池晃君 論理的につながりますよ。だって、消費税を増やし、所得税を減税してきた、このことによって税の累進構造が壊れたということは認められたじゃないですか。田村智子委員長の質問に対して、累進構造がなくなってきているという事実はあるということを認めたんですよ。
 だったらば、全体、トータルで税の在り方を見直すという議論をやろうじゃないかと。そうすれば、もっともっと国民のそれこそ手取りを増やすということができるんじゃないかと言っているんですよ。そういう検討が必要じゃないかと。税制全体をしっかり見直していくと、公平、中立、簡素という、そういう観点でやっていくという議論しようじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) もちろん、国会の場でございますから、いろんな議論はさせていただきます。日本共産党がそういう御主張であるということは、私も何十年も聞いてまいっておりますので、もうよく頭には入っておるところでございます。
 消費税の議論しますときに、これが給付という形で低所得の方々に厚く給付をされておるということ、そしてまた、それが一方において、失礼、一方においてではなくて、直接税と比べて安定的な財源であると、この二点から消費税の効用というものは考えていく必要があると考えております。
○小池晃君 あのね、安定的な財源というのはひどい話だと思うんですよ。どんなに景気が悪くても、どんなに国民の暮らしが大変でも、安定的な税収が確保できるから消費税がいいんだと。これ、要するに取り立てるということですよ、幾ら国民が大変でも。暮らしをしっかり支えて、家計を温めて、それで税金をいただくというのが政府の仕事じゃないですか。
 それから、その給付に回すからいいんだとおっしゃるけれども、貧しい人から税金取って貧しい人に回すのは、再分配でも何でもないんですよ、これは。自己責任ですよ。お金をたくさん持っている方からいただいて、あるいはもうかっている大企業からいただいて、しっかり庶民に回すというのが再分配なんですよ。全く考え方間違っている。
 軍事費の問題を聞きます。
 防衛関係費、急増しています。来年度は過去最大の八兆七千億円。安保三文書以降の三年間で、三・三兆円増えて一・六倍になります。総理、このペースというのは、第二次安倍政権十年間の十六倍なんですよ。それから、もう一つ言うと、一九三一年の満州事変勃発前後の三年間は一・四倍です。それを上回るんですね。もう戦時下というか、非常にああいう事態の下で、匹敵するような膨張なんですね。
 こういう拡大をこれからもずっと続けていくんですか。こんなことを続けていっていいんですか、総理。
○国務大臣(中谷元君) 現在、我が国をめぐる周辺の状況は非常に複雑になってきておりまして、二〇二七年までに、防衛力整備計画を作りまして、整備すべき事項を積み上げていました。その結果、四十三兆円程度の範囲で各年度の予算編成を行ってまいります。
 二〇二七年度以降は、引き続き防衛力の抜本強化に取り組んでまいりますけれども、現時点ではその規模については決まっておりませんけれども、そのときの状況を見まして、こういった実施するべき事項を積み上げていくことになろうかと思います。
○小池晃君 驚くべき発言です。これからもやりますというふうに言っているんですよ。
 それで、実際、今年の予算どうなっているかというと、こうですよ。社会保障関係費、文教費、中小企業対策費、暮らしの予算はどれも物価上昇率に行っていないんです。実質マイナスです。食料安定供給費は、先ほども議論あった米の安定価格対策求められているのに、実額でもマイナスだと。その中で防衛関係費だけが九・五%も増えているわけです。
 そして、総理、四日には米国のコルビー次期国防次官候補が、少なくともGDP比で三%以上に引き上げるべきだと主張しました。今朝の報道では、先月の日米首脳会談で既に米側から要求されていたということが、時事が報道しています。
 総理は、アメリカに言われてやるわけではない、積み上げの結果で決まるんだとおっしゃいましたが、三%になることは否定していませんよね。GDP六百兆の三%は十八兆円ですよ。もう暮らしも財政も破綻することになる。
 私、こんなことはできませんとはっきり拒否すべきだと思いますが、米国に対して、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 首脳会談の内容についてこの場でお話をすることはいたしません。
 そして、防衛費というものを決めるのは、ほかの国に言われて決めるようなことはいたしません。それは日本国で決めるものでございます。
 そして、それは、最初にパーセンテージありきだとか金額ありきだとか、そういうものではございません。それは、陸海空、何が必要なのかということを精緻に精緻に積み上げた結果として防衛費というのは定まるものでございまして、最初に金額ありきなぞという粗雑な議論は今までもいたしていないと承知をいたしております。
○小池晃君 あのね、向こうは金額で言ってきているんですよ。向こうが金額で言ってきているときにそのことを何にも言わなかったら、認めちゃうことになりますよ、拒否しなければ。そんなことでいいのか。
 私は、こんなことでは国民の暮らし守ることはできないと、平和も守れないということを申し上げておきたいというふうに思います。
 そして、来年度防衛省予算のうち建設国債の発行対象、幾らで、一体何に充てるんでしょうか。
○副大臣(横山信一君) 令和七年度予算の防衛関係費において、建設公債発行対象経費は七千百四十八億円であり、内訳として、防衛本省や自衛隊の各駐屯地等における施設整備に係る経費四千百九十六億円と、護衛艦や潜水艦を含む艦船の建造に係る経費二千九百五十一億円となります。
○小池晃君 一九六五年、戦後初めて国債を発行した際に、当時の福田赳夫大蔵大臣は、公債を軍事目的に活用することは絶対にいたしませんと述べていた。
 総理も、この昨年出された「自民党 失敗の本質」という本の中で述べておられるんです。倍増する防衛費を国債で賄っていくようなことになると、もはや歯止めが利かなくなりませんかと。歯止め利かなくなるんじゃないですか。
○国務大臣(中谷元君) 現状を申し上げますと、南西海域を中心に非常に我が国の安全保障に非常に大変な状況が起こっておりまして、国家安全保障戦略会議が開かれて防衛省と海上保安庁との連携が位置付けられた中で、海上保安庁の施設整備、船舶、空港、港湾等の公共インフラが建設公債の発行対象であるということを踏まえまして、安全保障に係る経費全体で総合的な考え方を取る観点から整理したものでございます。
○小池晃君 総理は、「保守政治家」という本の中で何と言っているか。国民に対してまともな説明もないまま、冷静さを欠いた言説で危機感ばかりをあおり、予算規模だけが膨らんでいくといった状況を許してしまえば、それは民主主義国家の政府として不誠実と言われる。
 本当いいことばっかり言っているんですよ、本では。私、たくさん読みました、今回。いいことばっかり言っているんですよ。でも、実際やっていることは全然違うんですよ。どうなんですか。国債に頼ったら、歯止め利かなくなると思いませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 私、今でも国債に頼って防衛費を捻出することには反対でございます。
 そこにおいては、なるべく頼らないで捻出をするということを考えていきたいと思っております。それはもう国債、別に防衛費に限りませんが、それがやがては財政規律というものを失わしめることになると、そしてまた機動的な財政の出動ということも不可能にすると。過去の轍を踏んではならないというのは、午前中、猪瀬議員、猪瀬委員の御質問にお答えしたとおりでございます。
○小池晃君 なるべく頼らないと言いながら増やしているじゃないですか。矛盾しているじゃないですか。これでは暮らしも平和も守れないということを言っておきたいと思います。
 一方で、暮らし、どうなっているか。訪問介護の基本報酬引き下げられて、介護事業者の倒産、過去最高になっています。
 厚労省の資料を基にしんぶん赤旗が調査しました。しんぶん赤旗は裏金のスクープだけじゃありません、こういう調査もやっています。訪問介護事業所ゼロの自治体、百七町村。そこで暮らす高齢者は十四万人以上。事業所が残り一つしかない自治体、二百七十二。鳥取県も八つあります。
 総理、こういう事態を放置しておいてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(福岡資麿君) 訪問介護が大変厳しい状況にあるということは認識してございます。
 そして、地域における訪問介護の提供状況については、厚生労働省のオープンデータによりますと、訪問介護事業所のない自治体は全国に約百町村程度存在いたしますが、訪問介護は広域利用のサービスでございまして、大半で近隣市町村の事業所等によるサービスを御利用いただいていると承知しています。
 また、個々の訪問事業所の運営状況は、事業者の休廃止は対前年度比でおおむね一割弱の増加となっている一方で、新規開業であったり再開も同程度ございまして、事業所の総数としてはやや増加している状況にございます。
 また、廃止の主たる要因は人員の不足となってございまして、人材確保に大きな課題を抱えているものと認識をしております。
 こうした実態を踏まえまして、先般の補正予算等を活用し、地域の特性等を踏まえたきめ細かい対策を講じているところでございます。
 訪問介護の運営が安定的に行われることは非常に重要であると考えておりまして、サービス提供であったり、運営状況等について丁寧に把握してまいりたいと考えています。
○小池晃君 事業所がゼロでも隣の町に行きゃいいというのはひどい話だと思いますよ。それじゃ生きていけないんですよ。そして、増えたと言うけど、都市部ですよ、中心は。やっぱり地方は減っているんですよ。
 総理、これちょっと見ていただきたいんですけど、流れね、報酬引下げ後に急増しているんですよ、四月に。
 私、ちょうど一年前のこの委員会でこの問題をやったんです。今でも事業所は四割が赤字だと、もし基本報酬を、訪問介護の基本報酬下げたら、これはもう地域から事業所消えてしまいますよというふうに私質問したんです。そうしたら、当時、武見大臣、加算措置があるので、小規模事業者、特に中山間地域でもしっかりとサービスが提供できるようになると、すると言ったんですよ。しかし、私が言ったとおりになったじゃないですか。
 あのね、これ五十億円なんです、総理。法律事項でもないんです。総理の決断でできるんです。やっぱり介護の現場で働いている人を励ますために、これは元に戻すという政治決断しましょうよ。いかがですか。
○国務大臣(福岡資麿君) また総理、後から答えられると思います。
 厚生労働省としては、処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化を行うとともに、先般の補正予算を通じ更なる賃上げに向けた支援を行うほか、経験年数が短いヘルパーへの同行支援の強化であったり、ヘルパーの常勤化への支援、重点支援地方交付金による燃料代等の支援など、地域の特性や事業者規模に応じたきめ細かい対策に取り組んでいるところです。
 御指摘ありましたように、訪問介護事業者の経営状況、これ地域によってとか、また事業規模とかによってかなり違う部分がございます。ですから、この報酬改定のベースとなるその経営実調というその平均値で見ても、なかなかそれが、その実態が把握できないんじゃないかという御指摘もありますから、しっかりそういったその地域の実態にあって、この経営状況がどうかということを調査してまいりたいと考えています。
○内閣総理大臣(石破茂君) 先般、介護報酬の改定を行いましたが、訪問介護の収支差率はほかのサービスに比べては良好でございました。そうしますと、そういうことを踏まえまして基本報酬を見直したのでございますが、介護職員の処遇改善に充てる加算措置はほかのサービスに比べて高い率といたしております。
 職員の処遇改善が図られるようにしたのでありまして、報酬改定を元に戻すということは考えておりませんが、訪問介護事業者の皆様方の経営状況は、今大臣がお答え申し上げましたように、事業者規模等、あるいは地域の特性に応じて様々でございますので、事業者への周知に取り組みますとともに、運営状況について引き続き把握に努めてまいりたいと思っております。
 つまり、その職員の方々の処遇の改善がきちんと図られないと意味はございませんので、それが本当にそのような活用がなされておるかということは、厚生労働省におきまして詳細精緻に把握をいたさせます。
○小池晃君 なされていないからこういう事態になっているんじゃないですか。そこを正面から指摘されていたんだから、こうなりますよと。そのとおりになっているんですから、中山間地域、どんどんどんどん事業所消えているんですから。鳥取だってもう八か所、一つしかないんですよ、八市町村。
 それともう一つ、高額療養費です、昨日から議論になっている。全国がん患者団体連合会轟浩美さん、切実な実態を語られました。昨日、東京都医師会も凍結求める緊急声明出しました。これも百億ちょっとで止められるんです。
 昨日、自民党の佐藤正久さんがなかなか鋭い質問しているんですよ。文化庁の予算は少ない、防衛省予算の不用額と同じだ、イージスシステム搭載艦の四分の一だと。私、感心しましたよ。こういう角度でいえば、ちなみにF35は一機二百億です。一機二百億でしょう。もう大変な方程式なんか要らないんですよ。予算のやりくりで十分に可能なんですよ。
 総理は、今朝、今日午前中、実施した上で、今年の負担増を実施した上で立ち止まると言ったけど、立ち止まるのは今じゃないですか。立ち止まってください。
○国務大臣(福岡資麿君) 午前中総理も答弁されましたとおり、高額療養費については、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びておりまして、この制度の持続可能性の維持と現役世代を中心とした保険料負担抑制の観点から、先送りすることなく見直しをする必要があると考えています。
 前回見直し後の物価や賃金の上昇に対応した令和七年度の定率改定については予定どおり実施させていただきたいという一方で、国会の審議を踏まえまして、令和八年度以降に実施する所得区分の細分化につきましては一旦立ち止まり、患者団体さん等の御意見を十分に承った上で、本年秋までに増大する高額療養費を能力に応じてどのように分かち合うかという観点から改めて方針を検討し、決定することとさせていただいています。これは患者の方々と被保険者の方々の双方の御意見を真摯に検討したものでございます。
 被保険者の方々の御理解をいただきつつ、我が国が世界に誇る大切な高額療養費制度を次の世代にも持続可能なものになるように、今回の見直しの趣旨や内容について丁寧に説明をしてまいりたいと考えています。
○小池晃君 全がん連の理事は、今年の負担増を止めてくれと言っているんですよ。今言ったけど、立ち止まるのは今ですよ。負担増やってから立ち止まるんじゃ、順番違うんですよ。
 百億ちょっとですよ。それで苦しんでいる人がいる。しかも、物価が上がっているからって、ひどいじゃないですか。だって、物価が上がって苦しんでいるのは、一番苦しんでいるのは病気で苦しんでいる人ですよ。物価が上がっているから負担を増やしましょうって、ひどい話だと私は思う。
 あのね、百億で止められる、そのくらいのことが何でできないんですか。あの昨日の訴えを聞いたでしょう、総理は。あの訴えに応えるべきじゃないですか、いかがですか。総理の政治家としてのその思いはどうなのか。そんなメモ読まないでいいから、答えてくださいよ。
○内閣総理大臣(石破茂君) いや、たった百億という言い方は、私は余り正しくないと思いますね。
 ですから、物価上昇分あるいは賃金の上昇分、これをきちんと見させていただく。そのほかの部分は患者の皆様方の御意見を十二分に承りながら、あわせて、これが持続可能であるかどうかは保険者の方々の意見もきちんと聞いていかなければなりません。この両方お聞きした上で適切に判断をするということでございますし、昨日の参考人としてお呼びになった方々の御意見も承りました。そういう御懸念が杞憂に終わるように、私どもとして適切に判断をいたしてまいります。
 お金がないので治療を諦めざるを得ないとか、そういうことがあっていいとは全く思っておりません。そういう御懸念が現実のものとならないように、これは責任を持たせていただきます。
○小池晃君 そういう懸念があるということが昨日語られたんですよ。だから、止めようと言っているんですよ。そのくらいのこともできないんですか。
 私は、これは本当に止めるべきだと思いますよ。白紙撤回を私たちはするべきだと思う。まず止めて、で、どうあるべきかを議論しようじゃないですか。子ども・子育ての支援金の給付金にどうせ回るんだから、保険料にはこれ響かないんですよ。ということも含めてしっかり議論する、そのために今年の実施を止めてみんなで議論すると、それが必要だということを重ねて言います。
 賃上げ問題。総理は、二〇二〇年代に最低賃金を全国平均千五百円にと。我々は速やかに千五百円にして更に増やすべきだと思いますが、今年、引上げ五十一円ですから、これでは二〇二九年に千五百円になりません。どうするんですか、具体策は。
○国務大臣(武藤容治君) 中小企業のこの最賃問題なんですけれども、私どもは、やっぱり中小企業の持続的かつ構造的な賃上げには生産性の向上を伴うことが必要であって、慎重に、御党からもいろいろ御提案を今までにいただいていますけど、これは見極めなきゃいけないと思っています。
 二〇二〇年代に最低賃金を全国平均千五百円、これは高い相当大きな目標だと思っています。中小企業のまずは稼ぐ力を向上させて、賃上げ原資を確保することが本質的なアプローチだというふうに考えておるところであります。
 引き続き、生産性向上、価格転嫁の促進といった施策の強化に取り組んでいきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(鶴保庸介君) 小池晃君、質問してください。
○小池晃君 総理が言ったことなんだから、総理答えてください。
○内閣総理大臣(石破茂君) ただいま経産大臣がお答えしたとおりでございます。
○小池晃君 あのね、生産性向上、大事ですよ。価格転嫁、大事ですよ。これ、本質的だというのはそうですよ。でもね、これ、はっきり言ってあさっての話じゃないですか。今目の前にお金がないんですよ、中小企業は。大変な状況なわけですよ。売上げはコロナの前に回復していない。物価高もあって利益が出ない。過剰債務がのしかかって資金調達もできない。苦しんでいるわけですよ。だから、例えば最低賃金引上げに今熱心にやっている徳島県あるいは岩手県、中小企業に対する直接支援、踏み切っているんですよ。
 やっぱりこれやるべきじゃないか。国としても、やっぱり雇用を支えて頑張っている中小企業を直接支援するということをやるべきだ。いかがですか。
○委員長(鶴保庸介君) 赤澤亮正国務大臣が答えます。
○国務大臣(赤澤亮正君) 一応、同級生なので許してやってください。
 石破政権では、賃上げコストが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを定着させていくことを目指しております。御案内のとおり、三十三年ぶりの高水準の賃上げとなった昨年の勢いで大幅な賃上げを促すとともに、最低賃金着実に引き上げ、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標でありますが、たゆまぬ努力を続けることにより、賃金は据置きで動かないという縮み志向、いわゆるデフレマインドを過去のものにしたいと思っています。
 昨年十一月二十六日、政労使の意見交換において、総理から、私を中心に関係閣僚と協力して、適切な価格転嫁の推進や生産性向上に向けて、省力化、デジタル化投資の促進、人材、経営基盤を強化する事業承継、MアンドAの後押し策、下請法の改正などについて更に具体化するとともに、最低賃金を引き上げていくための対応策を五月までに取りまとめるように御指示をいただいております。
 なお、御指摘の賃金の直接補填については、先ほど経産大臣が申し上げたとおりです。企業の生産性や稼ぐ力を向上させない限り企業収益の拡大にはつながらず、長期的な賃上げや事業の継続には結び付かないことにも留意が必要であるというふうに考えております。
○小池晃君 余りね、高校の同級生だから余り言いたくないけど、ちょっとそんな答弁は中身ないよ、はっきり言って。やっぱり、いや、生産性向上大事なんだって。それは、今後永続的に賃上げするのは必要なんですよ。そこを後押しする、最初にそういったことが必要なんじゃないかと私言っているんです。
 厚生労働省に聞きますが、具体的な施策として聞きたいんですが、最低賃金全国平均千五十五円を千五百円に引き上げた場合、年間労働時間千八百時間として、社会保険料、労働保険料など従業員一人当たりの事業主負担、年間幾ら増えますか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 最低賃金を引き上げました場合に、労働者一人当たりの社会保険料、労働保険料等に関する事業主負担の増加額については、労働者の最低賃金引上げ前の賃金額や労働時間等によって異なってまいりますが、仮に労働者の引上げ前の賃金を現行の最低賃金額の全国加重平均である時給一千五十五円といたしまして、労働時間年千八百時間、協会けんぽに加入し、一般の事業に属する事業主といった想定をいたしまして機械的な計算をすると、社会保険料、労働保険料等に関する事業主負担は労働者一人当たり年約十三万三千八百円程度の増加となるところでございます。
○小池晃君 これ、賃上げの大きな障害になると思うんです。与党税調も、中小企業の六割は赤字だから、税制措置ではインセンティブ効かないと認めているんです。
 社会保険料の事業主負担軽減、これ赤字法人にも恩恵があります。中小企業団体、求めています。賃上げ対策として最も効果的だと思うんですが、総理、いかがですか。総理、総理、答えてください。
○国務大臣(福岡資麿君) 社会保険料の事業主負担の軽減につきましては、社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者の方々を支えるための事業主の責任でございまして、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ事業主の方々の利益にも資するものであることから、慎重な検討が必要だと考えています。
○小池晃君 別に穴を空けてくれと言っているんじゃないんです。その分は補填するということ言っているわけですよ、国が国費で。あれこれ理由付けて駄目出しばっかりしているんですけど、じゃ、いい方法あるんですか。賃上げ税制十年やって、効果出てないじゃないですか。ほかに方法があるんだったら言ってほしい。
 それから、財源。私たちは提案しています。安倍政権以来、二百兆円以上増えた大企業の内部留保に毎年二%、五年間課税をする、時限的にやる。で、生まれる十兆円の財源、これで中小企業の賃上げ支援する。課税に当たっては、これ、賃上げと設備投資分を控除して、大企業の賃上げも促すと。
 安倍政権以来、経団連に何度お願いしても、内部留保、賃上げに回っていないんですから、だったらこれしかないじゃないですか。ほかに方法あるんだったら、言ってください、総理、総理、総理。
○国務大臣(赤澤亮正君) 同級生のよしみでちょっとお許しいただきたいと思いますが。
 これについては先ほどからいろんな御議論があって、問題意識をもう本当に強く持っておられることは理解をいたします。
 我々も今までやってきた法人税の下で賃上げとか設備投資期待したところですが、確かに党の税調においても、期待したほど伸びておらず、内部留保や外国への投資が多かったということあります。そういうことも含めてですね、で、賃上げ税制、先ほど効果ないとおっしゃったけど、我々は一定の効果があったものと理解をしていまして、(発言する者あり)はい。その上で、今後とも党においても税の議論いたしますし、私の下で五月までに、最低賃金、掲げた目標のとおり上げていく、そういう対策をまとめろと言われておりますので、総合的な検討を続けてまいりたいというふうに思っております。
○小池晃君 効果がないとは言っていない。十分な効果出てないでしょうと言っているんです。
 でね、内部留保どう使われているか。その一つが自社株買いってやつですよ。自分の会社の株買って株価をつり上げる。これ、かつて日本で禁止されていたわけです。しかし、小泉・竹中改革で解禁された。
 持ち株会社を除く自社株買い上位十社の取得額、約四兆円です。これ、賃金総額の二倍が回っているんですね。労働者が頑張って得た利益が賃上げに回らない、設備投資に回らない、下請単価にも回らない。株主のためばかりに回る。
 アメリカやフランスは自社株買いに対する課税を始めます。日本でも規制必要じゃないですか。総理、これこのままでいいんでしょうか。総理の問題意識を。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、自社株買い含めて企業がその稼いだ利益、これをどう活用するか、これは企業自身の経営判断に属することだと認識をしております。
 自社株買いを抑止する新たな画一的な規制を設けることは、各企業が個々の事業を考慮して利益を柔軟に分配する余地を狭めるということにもなるため慎重な検討が必要と考えておりますが、他方で、委員御指摘のように、企業が持続的な成長の実現に向けて、その利益を株主への分配だけでなく、人材への投資あるいは新事業、研究開発への投資、こういったものに活用していくことは大変重要だと考えております。
 金融庁としては、上場企業に対し経営資源の配分も含めた経営方針の開示の充実を促すことなどにより、企業に持続的な成長に向けた取組を引き続き促していく観点から、いわゆるコーポレートガバナンス改革、これをしっかりと進めていきたいと考えています。
○小池晃君 総理ね、やっぱり企業の利益が内部留保や役員報酬や自社株買い、株主還元、こういう構造をやっぱり正す必要あると思いませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 自社株買いというのは、それは株主の利益をどう考えるか、あるいは株主総会の意向をどのように判断するかという問題を含んでいると承知をいたしております。
 内部留保がどんどん増えるということ、私は決していいことだと思っておりません。ただし、韓国のように、では、内部留保に直接課税をするということになりますと何が起こるかといえば、また配当が増えるというようなことも起こるわけでございまして、単純に内部留保に課税をするというやり方が正しいと私自身は思っておりません。
 どのようにして労働分配率を上げ、企業の収益というものが労働者に回り、そしてまた設備投資に回り、下請により多くのお金をお支払いするという形に、うまい形でお金が流れていくということについてはこれからも必要な工夫をいたしてまいりたいと思っております。
○小池晃君 韓国の課税はフローに掛けていますから、私たちはストックに掛けると言っていますから、同じことは起こりません。
 最後ですね、二〇二〇年十月一日、当時の菅首相が学術会議会員候補六名の任命を拒否した。これは、学術会議の推薦に基づいて任命するという学術会議法に違反します。学問の自由を脅かす暴挙です。これ、六名を任命しない理由の説明、速やかな任命を学術会議は繰り返し求めています。
 総理、任命拒否の理由を明らかにすべきではありませんか。総理、総理、これは総理でしょう。
○国務大臣(林芳正君) 二〇二〇年の日本学術会議の会員任命につきましてですが、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行ったものでございまして、一連の手続は終了したものと、そういうふうに承知をしております。
○小池晃君 内閣府学術会議事務局長、来ておられると思うんですが、学術会議が会員候補を推薦したのは二〇二〇年の八月なんですけど、六月に何があったのか、法律家が行った情報公開を求める訴訟の準備書面で国がこう述べています。任命者側から日本学術会議事務局に、令和二年改選に向けた会員候補者の推薦に係る事項として伝達された内容を記録したものと。この記録、私、見ましたけれども、六月十二日って書いてあるんですね。で、六名の名前は読み取れるものになっています。
 学術会議に聞きますが、学術会議に対しては六月の時点で六名を外すという働きかけがあったんでしょうか。
○政府参考人(相川哲也君) お答えいたします。
 現在、日本学術会議事務局で保存しております文書に、六月十二日の日付が付され、これまで情報公開に係る審査請求等の過程におきまして、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る意思決定過程において、任命権者から日本学術会議事務局に、令和二年任命に向けた会員候補者の推薦に係る事項として伝達された内容を記録したものである旨を説明しております文書が存在いたします。
 お尋ねですが、人事に関することでもあり、他に記録もございませんので、お答えはいたしかねるところです。
○小池晃君 これは、文書はあったということは認めているわけですよ。働きかけがあったとすれば、これ、選考手続への事前の政治介入です。
 これまでの政府答弁では、菅首相に、九月二十二日又は二十三日、当時の杉田和博官房副長官から六名を外す相談があって、その内容を了承したと。で、杉田副長官が百五名の名簿から外すべき者として六名を選別した。だとすれば、その選別の根拠は何か明らかにする必要があるんです。
 杉田氏の参考人招致を求めます。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻理事会にて協議をしたいと思います。
○小池晃君 総理は、菅首相が任命拒否した際に、具体的理由を説明すべきだと繰り返し述べられていました。
 去年八月に発刊された「保守政治家」ではこう言っています。従来の内閣が推薦候補者全員をそのまま任命するとしてきたのであれば、なぜそれが変わったのかについては政府側が十分な説明を尽くす必要がある。どういう手続が踏まれたのかも明確にしておいた方がいい。
 自らの発言に責任を持つのであれば、任命拒否の理由を明らかにすべきです。
○委員長(鶴保庸介君) 総理に質問ですか、これは。一言、御質問ですか。(発言する者あり)
○内閣総理大臣(石破茂君) 二〇二〇年の日本学術会議の会員任命につきましては、学術会議法に沿いまして、任命権者は総理大臣でございますので、当時の任命権者が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行っており、もう既に一連の手続は終了したというふうに承知をいたしておるところでございます。
○小池晃君 答えていない。
 任命拒否の理由を明らかにすべきだと総理は言ってきた、その発言との関係はどうなんですかと言っているんです。
○内閣総理大臣(石破茂君) 総合的、俯瞰的な活動を確保する観点からの判断というふうに聞いております。
○小池晃君 どういう手続が踏まれたのか明確にした方がいいと言ったんですよ。明確にすべきじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは法にのっとって適切に行われたものと承知をいたしております。
○小池晃君 当時はそう言っていなかったじゃないですかと私は言っているんです。
○内閣総理大臣(石破茂君) 当時の総理大臣が法にのっとって適切に判断したということでございます。
○小池晃君 それを批判してきたのが石破茂さんじゃないですか。
○委員長(鶴保庸介君) 今のは質問じゃありませんよ、小池さん。ですから、質問してください。質問してください。
○小池晃君 そう言っていたでしょう、当時は。それとの関係で自分の発言と矛盾があるんじゃないですかと言っているんです。
○内閣総理大臣(石破茂君) 当時そのような判断がなされたということでございます。現在どのようにするかというのはまた別の問題でございます。
○小池晃君 当時は石破さんはどういう判断をしていたんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 当時、総理大臣ではございません。
○小池晃君 政治家としてどうだったんですかと聞いているんですよ。
○内閣総理大臣(石破茂君) それは、判断する立場におる者でなければ申し上げることはできません。
○小池晃君 もう無責任だと思いますよ。ラジオ番組なんかで何度も言っていたんですよ、当時。本にまで書いているんです、今年八月の。
 学術会議は日本学術会議法にのっとって会員を選考したのに、拒否した。責任重大です。ところが、政府は学術会議の在り方に問題をすり替えて、学術会議の独立性を損ない、政府の……(発言する者あり)まとめます。政府の意向に沿う組織に変質される法人化法案、明日にも国会に提出しようとしています。これには学術会議の光石衛会長も、これは懸念を払拭するものとはなっていないと表明しています。
 任命拒否の撤回もせずに、学術会議も合意できないような法案の国会提出は許されない。明日の閣議決定はやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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