○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
本法案には、一九六一年の国民皆保険制度以来の大改革が含まれておりますので、大臣にまず基本的な認識を伺いたいと思います。
国民健康保険制度になぜ国庫負担が導入されているのか。これ、一九三八年の戦前の国保法の第一条では相扶共済の精神と書いてあるんですね。
それが、一九五八年の全面改正で社会保障及び国民保健の向上に寄与するとされているわけです。
つまり、この制度というのは、単なる相互扶助ではなくて社会保障であり、そのために国が財政責任を果たすという趣旨だと私考えるんですが、大臣の基本的な認識はどうでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 国民健康保険は、他の医療保険制度に加入しない方を受け入れておりまして、国民皆保険を支える基盤として重要な役割を果たしているわけでございます。
こうした国民健康保険の役割を踏まえ、国保の安定的な運営に関して、市町村の責任のみに委ねるということではなくて、国としての責務を果たすため、一定の国庫負担を制度化をしているわけでございます。
また、国保は年齢構成が高いと先ほど来何度かお話をしましたが、ことなどによって、医療費水準が高く、また低所得者が多く加入をするなど様々な構造的な問題を抱えていることから、こうした課題に対応し財政支援等を講じるとともに、その拡充等を図ってきているところでございます。
○小池晃君 今国保をめぐっては、負担能力をはるかに超える保険料の問題が指摘をされております。滞納が三百六十万世帯、保険証を取り上げられた世帯が百四十万世帯という実態があるわけです。
どれだけの保険料負担になっているか主要都市で調べてみると、所得二百五十万円、自営業、四人家族、四十代の夫婦、子供二人、これで札幌市では四十七万四千三百円、東京都足立区では四十二万六千円、新潟市では四十五万二百円、大阪市は四十七万四千三百円、福岡市では四十九万四千七百円。
例えば、大阪市で同様の世帯の生活保護基準は三百三十一万円です。だから、生活保護基準をはるかに下回るような、四人家族で所得二百五十万という世帯が、これは七割、五割、二割の法定減額の対象にもなれずに、年間四十万から五十万の負担が求められるというのが今の実態なんですよ。
大臣、今の国保料水準は高過ぎるという認識はございますか。今の滞納の高止まり、あるいは保険証の取上げ、差押え、この根源にはやっぱり保険料が高過ぎるという問題があるのではないか。
改革というのであれば、これを抜本的に引き下げるという改革が私は必要だと思います。今の高過ぎるという認識をお伺いしたい。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、国民健康保険には低所得者の方々が多く加入をしているなど構造的な問題があるわけでありまして、そういったことから相対的に保険料水準が高くなっており、これまでも低所得者の保険料軽減措置等を講じてまいったわけでございます。
今回の改革においても、毎年約三千四百億円の追加的な財政支援を行うということで、国保の財政基盤の強化を図るとともに、保険料の伸びの抑制などの負担軽減につなげて保険料を納めやすい環境を整えてまいりたいと、このように考えております。
○小池晃君 果たして今回の三千四百億円でそういう解決になるのかということを今日は議論したいんですよ。
続けて実態をお聞きしたいんですが、生活保護基準をぎりぎり上回っている低所得世帯が、国保料を払うことによって生活保護基準以下に落ち込むという実態があります。
我が党の高知市議団が市議会での質問に対して、高知市の当局が示した数字ですけれども、夫が三十歳、給与収入二百万、妻が二十八歳、給与収入六十万、子供が十歳、この三人家族で、収入認定額は二百五万二千七百二十円、国保料は二割減額で二十一万二千六百九十円。これ、国保料を差し引かれると百八十四万三十円になる。この家族が生活保護を受けた場合の保護費は百九十九万百九十円です。
厚労省、介護保険には、保険料を賦課されて生活保護基準以下になった場合は保険料を免除するという境界層措置というのがございます。国保には何でそういう仕組みがないんでしょうか。国保にも、やはり介護保険と同様に境界層措置を設けるべきではないでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 国保におきましては、介護保険は先生御指摘のように境界層措置ということで、保険料を払ってしまうと生活保護の水準に該当してしまうということがあるんですが、医療保険制度の方ではそうした措置はこれまで設けていないところでございます。
具体的には、国保が一番問題になるわけでございますけれども、国保におきましては応益保険料を軽減する仕組みを設けているのと、それからもう一つは、自治体の判断で収入の減少などの特別の理由がある方に対する保険料を申請により減免することを可能とする仕組みにより、保険料負担に配慮をしているところでございます。
この保険料の減免でございますけれども、各市町村が実情に応じて実施をしているという性格のものでございますので、国として一律に基準を定めているわけではございませんけれども、生活保護は受けていないけれども生活保護基準に該当する世帯に対する保険料の減免を行っている市町村が、平成二十六年四月の現在で六百八十五市町村あるというふうに把握をしているところでございます。
○小池晃君 いや、私の質問は国の責任を聞いているんですよ。介護保険制度にはあるのに何で国保にはないんですかと聞いているんですよ。
これは、かつて高齢者からの介護保険料の天引きが問題になって裁判がありまして、大阪高裁の判決では、介護保険の場合は、賦課によって生活保護基準以下に陥る世帯をつくらないように境界層措置が設計されているから生存権の侵害には当たらないという判決なんですね。ということでは、逆に言えば、この判決に照らせば、国保は生存権侵害に当たるということになるじゃないですか。
これ、見直すべきですよ、こういったことは。
介護でやっているのに何で国保でできないのか、もう一回明確に答えてほしい。これ、見直すべきです。どうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 医療保険制度の趣旨といたしまして、生活保護制度の趣旨といたしましても、他の施策、医療保険を活用して生活保護にならないのであれば、それはならないように施策を推進をしていくというのが基本的な考え方であろうと思います。
この境界層措置するかどうかにつきましては、大臣ともよく御相談をしながら検討させていただきたいと思います。
○小池晃君 今の考え方でいったら、医療保険だってやっぱりそれはやるべきでしょう。
大臣、どうですか。これはやっぱり考えるべきだと私は思いますよ。どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 介護保険はまだ導入されて間もないわけでありますが、こういう制度があるということで、医療に比べれば短いわけですね、歴史が。それで、それぞれそういう歴史を持っておりますので、今先生の御指摘の点については、引き続きこれは検討していくということだろうと思います。
○小池晃君 介護保険から何年たったと思っているんですか。もう二〇〇〇年から十年以上たっているわけですよ。見直すべきですよ、やっぱりこれは。いいものはちゃんと入れたらいいじゃないですか。介護でやっているんだから医療でやる、何の矛盾もないでしょう。もっと前向きに答えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、自治体も負担を一部するわけでございますので、自治体とも相談をしてまいりたいというふうに思います。
○小池晃君 こういうのはちゃんとやるべきなんです、直ちに。是非検討して、すぐにこれ解決してほしいと私思う。これ、裁判になったら負けますよ、介護保険ではそういう判決なんだから。大臣、これはちゃんとやるべきだと思います。
結局、国保は国保料を取られることで保護基準以下に陥る世帯が生み出され、しかも、その世帯が滞納したら制裁を科すと、こういう仕組みになっているわけですから、まさに生存権を脅かすというそういう実態になっているということをきちっと認識すべきだと私は思います。
それからもう一つ、国保の保険料の矛盾で私指摘したいのは、子供の問題なんですよ。政府、厚労省は今回の三千四百億円の一部で子供の被保険者が多い自治体を支援するというんですけれども、じゃ、そのお金を使って例えば、唐澤さん、その財源で子供の均等割を半額にするとか、あるいは子供の均等割はもう免除するということはできるんでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 私どもは、先生御指摘の子供の均等割をどうしていくかということについては、今回の改革の中でも、地方自治体とも随分御議論をさせていただきました、少子高齢化というのがありますので。ただ、現時点では、直接子供さんの例えば均等割を大幅に減免してしまうというところまで御意見がまとまっていないというのが実情でございます。
ただ、先生が御指摘のように、私どもは、今回の三十年度以降の本格的な国民健康保険の都道府県が参加をした制度の下では、子供さんの多い自治体に対する財政支援の拡充ということを実施をしていただきたいと考えているところでございます。それをどういうふうに使うかということは、制度として子供さんの均等割検討するところまでまいりませんけれども、保険料の軽減や伸びの抑制など、幅広い意味で負担軽減に生かしていただきたいと考えております。
○小池晃君 ごまかしていたけど、これ、できないわけでしょう。だって、法定されているわけだから。応能割と応益割の負担割合、法定されているから変えられないんでしょう。どうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 負担自体は法定をされておりますので、それは法律の改正が必要になると考えております。
○小池晃君 大臣、応益割、特に均等割が子供の数が増えていくほど増えていくという、これは私、問題だと思いますよ。例えば、東京二十三区の国保料でいうと、子供が一人だと均等割は四万三千二百円、二人だと八万六千四百円、三人になると十二万九千六百円、子供が増えるほど保険料上がっていくわけですよ。
これ、子育てに対する逆行じゃないですか。人頭税ですよ、これ。これ、制度の見直し必要じゃないですか。大臣、この点でも検討を求めます。
いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来お話が出ているように、子供がいる世帯も、基本的にはその世帯の所得等のほかに子供を含めた被保険者数に応じて一定の負担をいただくことに今なっているわけでありまして、それで、所得の低い世帯については子供も含む被保険者数に応じて保険料を軽減する措置を設けているということで、平成二十六年度にはこの軽減措置の対象を拡大したわけですね。
また、今回の改革において、子供の多い自治体に着目した先ほどの話の財政支援の拡充はこれはこれでやるわけでありますし、その中で何ができるかという話を今先生おっしゃっていたと思いますが、実際の保険料の伸びの抑制などが図れるものと考えますけど、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入については地方からの提案が行われておりまして、この二月に地方三団体と私も議論の場を持ちました。
厚生労働省との間での合意の中で、これ、議論の取りまとめということになっておりますが、こうした提案についても、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響などを考慮しながら、引き続き検討しようということになっているところでございまして、国保は、先生も冒頭おっしゃったように、言ってみれば日本の皆保険制度の一番根っこの部分でありますので、今申し上げたように、この問題も含めて幾つか課題は残っておりますので、検討してまいりたいというふうに思います。
○小池晃君 検討、検討、検討、検討って、さっきからもう検討ばっかりなんですよ。大改革と言うんだったら、こういう現場で本当に問題になっていることに答えを出すと、私、むちゃなことを言っているつもりないですよ、これは。
それで、子供の数、低所得だから軽減すると言うけど、所得と関係ないじゃないですか、子育て支援は。やっぱり本当にこれは逆行だと私思うし、きちっとこういったことに手だてを打つのが私は改革だということを重ねて申し上げたいと思います。
実際、三千四百億円入れて、これで保険料はどうなるのかということをお聞きしたいんですけど、少なくない市町村が今回既に千七百億円投入されています。これを、一般会計繰入れの縮小を今後の備えに充てて保険料の引下げを見送っております。先ほど冒頭に紹介した札幌市、新潟市、大阪市は国保料据置きになっていますし、東京二十三区は値上げということになっている。一旦国費を投入しても、それを機に一般会計繰入れを解消する、そうなれば国保料の引下げにはならないわけですね。
やっぱり、三千四百億円の国費投入しても、子供に対して、あるいは生活保護世帯ぎりぎり、こういったところに対する手だてをつくらなければ、私は矛盾がますます拡大するばかりだというふうに思うんです。しかも、今後、高齢化、医療技術の進歩などで医療給付費は増大する。
資料一枚目にお示ししておりますが、厚労省は今後の推計しておりますが、国保の医療給付費と一人当たり保険料について、二〇一二年と二〇二五年でそれぞれ幾らになると推計されていますか、お答えください。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、平成二十四年三月に推計をいたしました社会保障に係る費用の将来推計の改定についてという改革シナリオの数字でございますが、市町村国保の医療費、二〇一二年度で十一兆六千億円、それから二〇二五年で十四・七兆円というふうに推計をしているところでございます。
保険料につきましては、これは二〇一二年の賃金ベースということでございますが、価格ということでございますが、二〇一二年で九万一千円、二〇二五年で十一万二千円と推計しているところでございます。
○小池晃君 今回の国費投入で現行の一般会計繰入れ分補填しても、このままでは将来保険料の値上げはもう必ず迫られてくるという実態があるわけですね。
大臣、先ほど、相対的にとおっしゃいながら、高いことは認めました。しかも、今まで私指摘したように、生活保護基準以下あるいは基準ぎりぎりの世帯、あるいはお子さんの多い世帯などの負担が本当に重い。こうした事態をやっぱり抜本的に解決するためには、定率国庫負担の引上げが避けて通れない。これやっぱり決断すべきだというふうに考えるんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 国民健康保険というのは、高齢の加入者が多いことはもう先ほど来申し上げているとおり、そしてまた所得水準が低いという、言ってみれば保険集団として大変厳しい財政状況にあるわけですね。そういうことから、保険給付費に対する五割の公費負担を行うとともに、低所得者が多い自治体への財政支援を行うなど、これまでもいろいろな財政支援をやってきたわけでございます。
今回の改革では、先ほど申し上げたように、一人当たり大体一万円、合計で三千四百億円の毎年の追加的な財政支援を行うということなど、財政基盤を大幅に強化をすることになっていることは申し上げたとおりであって、その際、単に定率の国庫負担を増額するのではなくて、医療費適正化に取り組む自治体や低所得者の多い自治体などに対して、地域の実情を踏まえて効果的、効率的な財政支援を行うということで、これによって国民皆保険を支える国保の安定化を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 いや、単に定率負担を引き上げるだけって、引き上げた上で重点化しているんだったらこんなこと言いませんよ。引き上げていないじゃないですか、定率負担は。
定率負担の問題で、もうこれを言うと二言目には保険給付費の五〇%をやっていますと言うんだけど、これは一九八〇年代の前半までは総医療費の四五%ですから、給付費の約六〇%、国庫負担だったわけですよ。それを一九八四年の国保法改定で給付費の五割に引き下げて、その後いろんな状況の中でそれを元に戻そうとしなかったから、今こういう事態になってきているわけですよ。ずっと五割じゃないんですよ、かつては六割だったんです、給付費に対して。
実態はそれでどうなっているかというと、二枚目の資料を見ていただきたいんですが、加入者一人当たりの保険料負担率を比較をすると、市町村国保は九・九%に対して、協会けんぽは七・六%です。それから、組合健保は、一人当たりの平均所得が国保の二倍以上なのに五・三%と、保険料負担率は約半分になっているわけですね。
しかも、先ほど議論ありましたけど、三枚目に示したように、国保の加入者というのはかつては自営業、農業だったのが、だんだん被用者の比率が増えてきていて、非正規雇用労働者です、多くは。被用者保険化しつつあるわけですよ。
今回の改革に当たって、全国知事会からは、高過ぎる国保料をせめて協会けんぽ並みにということで、それに相当する一兆円の財政投入をという、そういう要望を出されました。大臣、この保険料の負担率の格差を見れば、常日頃から大臣は負担の公平、負担の公平、負担の公平と言うじゃないですか。これ、公平じゃないでしょう、どう考えたって、協会けんぽに比べて。組合健保に比べても。やっぱり、せめて協会けんぽ並みの負担にというのは、私はこれは余りにも当然だと思います。
大臣、当然の要求だと思いませんか。
一兆円の国費投入ができれば何ができるかというと、被保険者一人当たりで三万円です。四人家族で十二万円、保険料の軽減ができます。現在、先ほどからも問題になっている均等割の問題ですね。これは大体、被保険者一人当たり二万円から三万円ですから、全国知事会が要求している一兆円を投入すれば、この頭割りで課される応益割を大幅に減らすあるいはなくす、そういったことだって見えてくるわけですね。
大臣、国保の構造問題を解決するには、やっぱりこうした抜本的な解決、全国知事会が要求しているような協会けんぽ並みの保険料にするために一兆円の財政投入をやっぱり決断すべきだったんじゃないですか。これ、やろうじゃないですか。
どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) その前に、先ほど国庫負担割合のところでお話がありましたけれども、今、定率国庫負担と調整交付金を合わせると五割となっていて、これを超えると果たして本当に社会保険制度としていいのかという問題があるということをさっき言わなきゃいけなかったので、それをちょっと、そういう議論があるということを付け加えておきたいと思います。
今、協会けんぽ並みというお話でありましたが、国保と協会けんぽというのは、この稼得形態とかあるいは所得捕捉の状況にやっぱりかなり違いがあるわけで、被用者保険には事業主負担もございます。国保と被用者保険の保険料負担を、単純にこれを比較するというのはなかなかこれ難しいわけであって、一方で、今回の改革では、国保が厳しい財政状況にあることに鑑みて、先ほどの三千四百億円の追加的な財政支援というものを行うことにしているわけであって、保険料の伸びの抑制などの負担軽減にこれをどうきちっとつなげていくかということが大事かというふうに当面思うわけであって、これによって皆保険制度を支える重要な基盤である国保の安定化を図らなければならないというふうに思っているところでございます。
○小池晃君 かつて定率六割負担していたって言ったじゃないですか。だから、それに戻したらどうなんですかというふうに言っているんですよ。
それが保険制度に合わないなんて言うけど、かつてそうやっていた。
しかも、じゃ、何で消費税増税したんですか。
それで一兆円入れるって、何でできないんですか。
法人税の減税、一兆六千億円減税するんでしょう。
そういったことをやめて、一兆円を投入することで応益割の問題あるいはこの低所得者の保険料の逆進性の問題解決する、それこそ改革なんじゃないですか。そういったことをやらずに、ただ都道府県化したって何の問題解決にもならないと。
しかも、この都道府県化が何をもたらしたのかということでいうと、先ほど私、答弁でちょっと気になっていることがあるんですけど、何か今度のやり方で保険料が一本化する、市町村のも一本化するかのような、将来的に、そういう答弁ありませんでしたか、ちょっと速記録精査してないんですが。あれ、違いますよね。
○大臣政務官(橋本岳君) 今、小池先生から御質問のあった点ですけれども、午前中の質疑の中で、牧山委員の質疑の中で大臣の答弁が、一本化という言葉を使った答弁ございました。これにつきましては、今回の国保改革においては、都道府県が市町村とともに国保運営を行っていくこととなったが、市町村は更なる国保の役割を都道府県に担っていただくことを期待しており、そうした見直しについても将来的な検討課題であることを申し上げたものでございまして、その保険料の話ということではないというふうに、私たちも議事録確認をしてそのように認識をして、大臣は答弁をされたと思っております。
○小池晃君 いや、私は、保険料は平準化とは聞いていたけれども、一本化とは聞いていなかったので、さっき聞いていたら一本化に聞こえまして、まあちょっと、これやってもしようがないので、議事録精査して、もう一回これはやります。
その上で、標準保険料率を参照するということで、これは平準化という方向、実態、これ、大阪府で先取り的にかなりやられているわけです。大阪府は、あるべき保険料、国保行政について府が市町村を指導すると。例えば、不適正とみなす一般会計繰入れにはマイナス十点、収納率が落ちた場合もマイナス十点、医療費抑制が進んだ場合はプラス二十点と、採点表を作って、その得点によって調整交付金に傾斜を付けるということをやっているんですね。財政共同安定化事業に市町村が負担する拠出金も、これは自治体間の不均衡をならすということで、医療費実績に重きを置いた負荷から被保険者数、所得状況に応じた負荷に変更されています。
その結果、大阪で何が起こっているかというと、一般会計へ繰り入れて保険料の高騰を抑えてきた自治体、医療費を低く抑えてきた自治体が国保料の引上げを余儀なくされています。高槻、摂津、吹田、交野市などが大幅な拠出超過になっている。
一方で、低所得者が多くて医療費が高い大阪市に交付金が集中をする、こういうことになっている。
自治体の担当者は、医療環境が変わっていない、市の給付金は増えていないのに保険料は上がるのは住民に説明できないという悲鳴を上げています。
しかも、平準化と言うけれども、大阪市の国保料が下がるわけでもない、周囲の国保料が上がり続けるだけという状況なんですね。結局、一般会計繰入れ、国保行政に対する都道府県の指導監督、各市町村の所得や被保険者数に応じた負担の分担、保険料平準化、これ、この法案を先取りするようなことが大阪ではやられているんですね。
局長、この法案通ると、大阪府のような事態はこれ全国で起こっていく、むしろこれはモデルみたいなものだというふうに考えているんですか。
どうなんでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) 今先生の御指摘のような、例えば、納付金の算定に関するルールあるいは交付金の交付方法というふうなところが都道府県が大きく関与をしてくるわけでございますけれども、国民健康保険について申しますと、これまでの長い間、都道府県の関与は少ないと、余り関与をしていただけないということの方が多かったわけでございますので、大阪のような関与の仕方というのはある種例外だと思いますが。
ただ、具体的に、私ども申し上げておりますように、納付金につきましては医療費の水準と所得の水準をベースにしてこれを決める。それから、交付金につきましても、どういう要素を勘案するかということについては国で基本的にガイドラインを示していきたいというふうに考えております。
もちろん、地方との協議の上でございますので、その上で、もちろん各都道府県と市町村の御協議の上でどういうふうにするかというところは現場で御判断いただく余地というのは当然残ってしまうわけですけれども、基本的な考え方は私どもも協議をした上で国のガイドラインとして示してまいりたいと考えております。
○小池晃君 これ例外だと言ったけど、大阪は、私はそうじゃないと思いますよ。やっぱりこういう事態が全国に広がっていくということになると、ますます矛盾が広がるんじゃないかと大変懸念するわけです。
今度の法案の仕組みというのは、これ医療費適正化計画を強化するということがあるわけですね。
国保運営方針を都道府県が作る、それが医療費適正化計画と整合性取れたものでなければならないというふうになっている。適正化計画による医療費抑制、地域医療構想による病床削減、国保運営方針による財政管理、全てが都道府県に行くわけですよ。国保の給付費抑制一体に推進するということになるんじゃないだろうか。
大臣は削減ありきではないというふうに繰り返すんだけれども、安倍政権全体で見ると、例えば四月十七日の経済財政諮問会議では、有識者議員が、市町村国保への交付金を最も効率的な保険者群の医療費を基準にして交付するということを主張しています。それから、四月二十八日の財政審では、財務省が都道府県の独自の診療報酬の設定、すなわち医療費削減努力の遅れた地域については診療報酬を下げるなどの措置をとるということも言っているわけですよ。
こういった全体の発言、今出されているこの法案もそうだし、医療・介護総合法もそうです。こういったもの全体として見れば、やっぱり都道府県を司令塔にして強力な給付費削減を推進する、これが今度のやり方の目的じゃないですか。(発言する者あり)そのとおりだという声が自民党からも上がっているわけで、大臣、そのとおりじゃないですか。もう自民党も言っているんだから間違いないと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今お話があった点については、恐らく、言ってみれば総額管理みたいなことを言っているのではないかということを先生、示唆をされているのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、今回の改革は、何度も申し上げますけれども、都道府県が市町村とともにというふうに法律に書いてありますが、言わば都道府県が医療供給体制と医療保険の両面を見ながら効率的かつ質の高い医療の提供を確保するということを目指すものであって、具体的には、都道府県が策定をいたしますこの医療適正化計画において、将来のあるべき医療提供の姿である地域医療構想を踏まえた医療費の目標を定め、保険者努力支援制度の創設などによって保険者の予防と健康づくりの取組を支援するということであって、このように、医療機能の分化、連携の推進とかあるいは予防、健康づくりの推進とかを通じて医療費の伸びの適正化を図ることを目指すものであって、医療費の総額を今先生がおっしゃったような管理をしていくとか一律に抑えるとか、そういうことを導入するというような指摘は当たらないというふうに考えております。
○小池晃君 キャップ制でないというふうにおっしゃるのであれば、大臣の基本的な考え方を聞きたいんですけれども、私はそんなものを日本の医療制度に導入することは許されないと思いますが、今後の方向性として医療費の総額管理、いわゆるキャップ制、大臣は容認されるんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) それは我々としては考えていないということであります。
○小池晃君 考えていないと言うけれども、ここまで来たら次はキャップ制ですよ、もう。そういう仕組みがほとんどでき上がっているのが今度の法案ですよ。私は、これは非常に重大な中身だというふうに申し上げたいと思います。
それから、協会けんぽのことも聞きます。協会けんぽの国庫補助、一六・四%に戻されていますが、法案は一三%を本則に格上げする一方で、一六・四%を当分の間の附則扱いにする。これ、国庫補助を再び一三%に削減する布石じゃありませんか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 協会けんぽの国庫補助率につきましては、現行では本則に一六・四%から二〇%までの範囲内で政令で定める割合と規定をされています。実際には、附則において、当分の間、一三%と規定をされておりまして、平成四年度以降、この附則が実質的な効力を持ってきたということであります。
今回、約二十年間、平成四年度から二十一年度までに国庫補助率が一三%とされた経緯を踏まえて、本則においては一三%から二〇%までの範囲内と規定することとするけれども、実質的な国庫補助の効力を持つ附則規定については、当分の間、一六・四%と規定をすることで協会の国庫補助率を安定化させるものであって、現時点において一三%にすることは考えておりません。
○小池晃君 いや、一六・四%を今後やるというんだったら、一三%という附則を撤廃して、本則だけに戻せばいいだけなんですよ。何で一三%にする余地を残すんですかと私は聞いているんですね。
協会けんぽは、先ほどの資料を見ても、大変やっぱり所得少ないわけです。組合健保よりも六十万、共済組合より百万円所得少ない。協会けんぽの加入者一人当たりの年間所得は、二〇〇〇年から二〇一二年にかけて十八万円も減っています。
加入者の所得実態を考えれば、一三%に国庫負担を引き下げる、こんなことはもう選択肢とはなり得ないと私は思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、一三%にするようなことは考えておりません。
○小池晃君 考えていないんだったら何で法律に入れるんだと私は言っているんですよ。こういうものを本則にすれば、これは将来やるんだろうなと思うの当然じゃないですか。これはおかしいでしょうと言っているんです。
その上で、法案は一般保険料率の上限を引き上げるということもある。実質賃金の大幅低下で中小零細企業は本当に大変なわけです。全国健康保険協会の各支部からも、賃金低下で生活が大変だ、保険料率はせめて一〇%にと、国庫補助率は本則の上限の二〇%にこそ引き上げるべきだと、こういう声が出ていますよ。
今、政府が協会けんぽに対してやるべきことは、保険料引上げの伸び代を広げるというんじゃなくて、国庫補助を増額して負担軽減に全力を挙げること。ところが、安倍政権は、二〇一五年度予算で協会けんぽの国庫補助を四百六十億円削減し、そして今度の法案で国庫補助を一三%に引き下げることにお墨付きを与えて、高齢者医療支援金への総報酬制で更に国庫補助を浮かせる。これは、協会けんぽに対する国の責任がどんどん後退するようなことをやっているじゃないですか。これでいいんですか。
私は、今の中小企業の労働者、経営の実態を考えれば、こういう路線は転換すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返し申し上げますけど、一三%ということは考えておりませんで、一六・四%ということで、この国庫補助率、二十六年度までの期限を区切って一六・四としていたわけですけど、今回は期限の定めをなくして補助率を安定化を図るということでございまして、協会けんぽの財政状況はなお厳しい状況であるけれども、リーマン・ショック直後に比べると大分改善をしてきたわけでございまして、現時点において国庫補助率を引き上げるような状況にはないのかなというふうに認識をしております。
一方で、協会けんぽの財政状況については、ここ一、二年は改善傾向にございまして、中長期的に見れば、高齢者医療への拠出金の増加等が見込まれるなど決して楽観視できるものではないわけでございまして、そういう意味で引き続き注視をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○小池晃君 何か、協会けんぽの財政が良くなったと自分たちの手柄みたいに言わないでくださいよ。これは、この準備金がなぜ増えたのかといえば、リーマン・ショックの後で本当に苦しい中で保険料率引き上げて、中小企業の従業員、経営者が負担の努力をしてきた、健康づくりもやってきた、その結果、準備金が増えたんですよ。それを理由にして国庫補助を減らす。国が中小・小規模企業の努力を召し上げるということになりますよ、これは。そういうことですよ、これ結局。こんなことが許されると思うんですか、大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) いや、何度も申し上げているように、一六・四で期限の定めをなくして補助率を安定化するというのが今回の趣旨でございます。
○小池晃君 私は、国庫補助の削減のことを言ったんです、さっき前段で聞いた。こういうことをやっていいんですかと。今度もそういう削減の仕組み、入っているわけじゃないですか。こんなことやったら、一生懸命財政良くしていこうと努力した思いを国がかっさらっていくということでしょう、これ。そういう仕組みですよ、これ、はっきり言って。そんなことが許されるのかと私は言っているんです。
大臣、さっきから言うけど、じゃ、一三%にはしないんですね、絶対。明確に答えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 申し上げたとおり、一三%にすることは考えていないということでございます。
○小池晃君 この答弁はしっかり覚えておきたいというふうに思います。
日本商工会議所、日本商工会連合会、全国中小企業団体中央会、日本労働組合総連合会、全国健康保険協会、連名の要望書で、協会けんぽの財政構造は医療費等の支出の伸び率が賃金の伸び率を上回る赤字構造となっていて、構造的な赤字は依然として解決していないと、こう言っていますよ。
結局、今度の法案は、私、いろいろと前段議論した国保の問題にしてもこの協会けんぽの問題にしても、本当にやるべき国の責任が全く果たされていないというふうに思いますよ。結局、保険者間に全部押し付けて、それで、矛盾はこのままだったら先送りですよ、全部。国保なんかはこれからもっともっと深刻な事態になりますよ。
こういったことを放置して、私は改革の名に値するようなものでは全くないというふうに思いますし、国保について言うと、逆に都道府県化によって私は非常に重大なやっぱり医療費削減の強力なシステムができ上がっていくということになっていく、これは本当に危険だと、日本の医療の将来を危うくするというふうに思います。
そういう点でいうと、今日はちょっとこの問題だけで、ちょっと用意していた負担増の問題まで行きませんでしたけれども、これはやっぱり、この法案は重大な中身含んでいるし、様々な部分もあるし、これからの審議の中で徹底的にやっぱり議論していく必要があるというふうに思いますので、委員長にもしっかり徹底審議を求めていきたいというふうに思います。
終わります。
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