日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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日本の農業滅ぼす道 参院財金委 小池氏、財政審建議批判

2024年12月23日

赤旗2024年12月20日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=19日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は19日の参院財政金融委員会で、財務相の諮問機関である財政制度等審議会がまとめた2025年度予算への建議について、「日本の農業を滅ぼす道だ」と批判しました。

 

 小池氏は、日本の飼料穀物自給率は13%だと指摘。「食料自給率の回復には飼料自給率を上げることが決定打だ」と強調しました。一方で、財政審建議では根拠を示さず「飼料米は自給率の観点からも非効率」だとして飼料米に対する水田活用交付金の助成廃止を要求していることにふれ、小池氏は「飼料米は自給率向上だけでなく水田を保持していく役割があり、公共性もある。助成の廃止は言語道断だ」と批判しました。

 

 小池氏が、米国や欧州連合(EU)は農業予算を数倍に増やす中、日本は全く逆行してきたと指摘し、「建議通りに『農業予算は削減すべきだ』という立場なのか」とただしたのに対し、加藤勝信財務相は「さまざまな立場の意見をふまえ実現する」と答弁。小池氏は、財政審の委員の大半が財界・大企業の代表だと批判し、農業関係者らの声をきくべきだと迫りました。

 

 さらに、小池氏は、農業予算を目の敵にするのは「軍事費を5年間で43兆円確保するためだ。こういうことでは未来はない」と述べました。

 

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。よろしくお願いします。
 財政審の十一月の建議についてお聞きをしたいんですが、診療所の偏在対策として、診療所過剰地域の診療報酬、一点単価十円を引き下げて、不足地域にシフトさせようということが提案されているんですね。これ、ずっと財政審はこれ言っているんですけど。
 厚労省、政務官、今日来ていただきました。診療報酬というのは、全国一律の公定価格だからこそ、どこに暮らしていても同一の自己負担で診療が受けられる、これ国民皆保険制度の大原則だと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(吉田真次君) 今、小池委員から御指摘ありました。我が国においては、国民皆保険の下、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な医療を受けられる、こういうことを基本的な理念としているところでありまして、診療報酬については全国一律の点数設定としているところでもあります。
 また、財政審で示された地域別の診療報酬につきましては、医療費適正化の観点からは法律に位置付けられた仕組みがあるものの、医師偏在対策のために活用するということは想定をしていないということに加えて、そもそも、診療を受ける地域によって患者の自己負担に差異が生じるということにつきましては、患者の理解を得られるかどうかといった課題もあるものと認識をしております。
 今後とも、国民皆保険を堅持をして、国民の安全、安心な暮らしを保障していくことは当然のことでありまして、同時に、医師偏在対策のために診療報酬上での対応としてどのような対応が考えられるかということについて、引き続きよく検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
○小池晃君 医師の偏在対策というか、医師数そのものが私はもっと増やすべきだとは思っていますが、そのこと自体必要ですけど、やはり、診療報酬でディスインセンティブというのは、これは間違っていると思いますよ。
 それからもう一点、二次医療圏ごとに医師偏在指標を設定するというんですが、これ、同一の二次医療圏でも、これは医師の配置というのはかなり差があるわけですね、充足状況。
 この点でも、こういうやり方は合理性ないと思いますが、いかがですか。
○大臣政務官(吉田真次君) 医師偏在対策において活用している医師偏在指標、これにつきましては、都道府県において、地域ごとの医療ニーズや人口構成、医師の性年齢構成等を踏まえて、基本的には二次医療圏を単位として設定をしているところでありますが、二次医療圏よりも小さい単位で医師偏在が生じている場合には、これは必要に応じて医師少数スポットを設定をし、地域の実情に応じた取組を進めているところであります。
 一方、地域別診療報酬につきましては、財政審において地域の具体的な設定方法は示されていないものと認識をしておりますが、この設定方法にかかわらず、地域別診療報酬は、これは先ほどお話をしたとおりでありますが、そもそも、地域ごとに患者の自己負担に差異が生じることについて理解が得られるかといった課題があると認識をしております。
 なお、厚生労働省としては、医師偏在の更なる是正、これを図っていくために、経済的インセンティブ、あるいは地域の医療機関の支え合いの仕組み等を組み合わせた総合的な対策を検討しておりまして、引き続き、年末までの対策のパッケージの策定に向けて、関係者の皆様の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思っております。
 また、医師偏在対策のために診療報酬上での対応としてどのような対応が考えられるかということについては、先ほど御答弁を申し上げたとおり、引き続きよく検討してまいりたいと思います。
○小池晃君 診療報酬で考えないでいいですからね。
 これ、診療科別の医師偏在指標の設定まで言っているんですけど、これは、ただ産婦人科とかだったら標榜科目と患者というのは大体一致していますけど、例えば整形外科のドクターが高血圧の患者さんを診ているとか、皮膚科の人が糖尿病診ているとか、もういろいろなわけで、これ、私、実態に全く合わないと思うんですよ。
 で、財務大臣、これ財政審がこういうことを言っているわけですが、厚労大臣も務めておられたわけです。私、そもそも医師の分布の偏りというのは、これ医師の責任なんでしょうかと。これはやっぱり、地域経済、あるいは地域の公共交通、農業の問題、もういろんな問題がある中でやっぱりこういう事態が起こっているわけで、それをそのままにしておいて医師だけをこれ調整する、これは考え方としていかがなものかというふうに思うんですね。
 はっきり言って、これ愚策中の愚策だと思いますよ、地域別診療報酬。これ、はっきりこんなことはやらないと、財政審こう言っているけど、私はそういうふうには思わないとはっきり言ってください。
○国務大臣(加藤勝信君) 御指摘の地域別診療報酬、財政審では、医師の偏在是正策を実効的なものにするためにどうするべきか、そういった意味で、規制的手法や経済的インセンティブなど、様々な手法を組み合わせた対応が必要である、こういう考え方の中で示された一つの案だというふうに承知をしております。
 人口構造が今大きく変わってきている中で、必要なサービスがどこにいても適正に受けられる、また効率的な医療提供体制の構築、これは重要だと考えておりますので、様々な対策を総合的に講じ、真に実効性のある対策をしていかなきゃならない。
 委員御指摘のように、確かに過疎化が進むとかそういったことは別にそこにおられる医師の責任ではなくて、むしろそういう中で頑張っていただいているわけでありますから、そうした対策は、もちろん当然、今回も地域創生、あるいは地域活性化、これでしっかり進めていく。しかし、中において、やっぱりそうした偏在があり、またそういうところで頑張って活躍していただいている方もいらっしゃるわけでありますから、やっぱり医療の面においても偏在の是正化策、これをしっかりと進めていくことは、地域の方々にとって必要な医療が提供されるという意味において大事だというふうに思います。
○小池晃君 私もそのことは否定しないんですよ。しかし、その経済的なディスインセンティブを与えて行動変容をというのは、これははっきり言って兵糧攻めですよ。
 こういう形じゃなくて、やっぱりその不足地域で頑張る医師を応援すると、インセンティブを付けるという方向でこれは対応していくべきもので、診療報酬を下げるなどというやり方はこれはやるべきではないということを申し上げたい。
 それから、農業ですが、これ、財政審建議は、国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入し、ほかの課題に財政余力を振り向けるという視点も重要だと。
 農水省、副大臣来ていただきました。輸入可能なものは輸入するって言っていたらね、どんどん自給率下がっちゃうわけですよね。あくまで国内生産を増大させるというのが基本だと思いますが、いかがですか。
○副大臣(笹川博義君) 世界の食をめぐる現況は大変不安定で厳しいものがあるというふうに思っております。
 我が国の農地を最大限活用し、同時にまた、国内の農業生産の増大を図っていくことは極めて重要であると、改正基本法においても国内の農業生産の増大を基本としております。
 農業を所管とする省庁としては、将来にわたり食料安全保障を確立していくために、人、農地、技術を最大限活用する生産基盤の更なる強化を図っていくことが必要だというふうに考えております。
○小池晃君 飼料穀物自給率、日本は一三%で、食料自給率四〇、三八%の三分の一にすぎない。これ、飼料自給率の低さが食料自給率の低さにつながっている。私たち、これ五〇%台、食料自給率回復して六〇%目指そうと言っていますけど、それやるためにはやっぱり飼料自給率を引き上げるのが決定打だと思うんです。
 ところが、財政審建議は、何の根拠も示さずに、飼料米は自給率の観点から非効率だと、こう言って、飼料米に対する水田活用交付金助成廃止を要求しています。この提案を是認されるんですか、農水省として。
○副大臣(笹川博義君) 今、委員からの飼料についての御指摘はごもっともだというふうに思います。
 我が国の食料安全保障強化のために、輸入依存度の高い麦、大豆それから飼料作物の生産拡大などを図っていくことが食料自給率の向上につながるというふうに思っております。
 同時にまた、飼料用米につきましては、今、多収品種による取組を進めておりますので、こうした現場の取組に支障が生じないように対応していく、その必要があるというふうに思います。
○小池晃君 私は、飼料米というのは、自給率向上だけではなくて稲作農家にとっても畜産農家にとってもこれ重要だし、水田を保持していくという役割もあるわけで、公共性もあるわけですね。この助成を廃止するという、もう本当にこれは言語道断だと思います。
 財政審の建議は、農業予算の増額は農業の振興につながらないと。農水省も、農業予算というのは高水準で推移しているので農業の振興にはつながらないという御見解でしょうか。
○副大臣(笹川博義君) 農林水産省としましては、必要な農業予算を確保し、時々の農林水産行政の課題に対応していかなければなりませんので、その必要な予算を措置してきた、そしてまた、今後ともその予算の確保に努めていく、そして実効性を持って施策を展開していく、このことが大事だというふうに思います。
○小池晃君 あのね、アメリカもEUも農業予算はどんどん増やしているんですよ。やはり直接支払、価格交渉、これやって農業を守っているんですね。
 財務大臣、まさか、この財政審の建議どおりに農業予算の増額意味がない、削減するんだと、こういう建議の立場そのまま採用すべきではないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 財政審の建議においては、農業を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、農業を自立した産業へと構造転換していく必要があること、こうした構造転換により合理的な国民負担の下で持続可能な食料安全保障を実現していくこと、農業経営の効率化を進め足腰の強い水田農業への転換を進めていくことといった基本的な考えに基づいて様々な御提案をいただいたものと承知をしております。
 財審の建議については、我々として受け止めた上で、農林水産省や様々な立場の方々の御意見を踏まえ、将来にわたって持続可能な農業、そして国民の皆さんに対して食料の安定供給を持続的な形で実現をしていく、これが重要だと考えており、引き続き令和七年度予算編成の中でしっかり議論していきたいと思っています。
○小池晃君 そんな財政審が言っているようなやり方でいったら持続可能な農業になりませんって。本当、農業を本当滅ぼす道ですよ、これは。やっぱりこういうものは重く受け止めるなんて言っちゃ、こんなものはもう軽くはねのけるというぐらいのことを言ってもらわないと駄目だと思いますよ。
 様々な意見をと言うけど、今日お配りしていますが、財政審の財政制度分科会の委員の名簿、もちろんこれは人格識見優れた人たちだろうと思います。思いますが、思いますが、私は一応そう言っておきますが、でもね、農業や社会保障の関係者ってほとんどいないわけですよ。様々な意見だったら、そういう人を入れてちゃんと議論すべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 財政制度審議会の財政制度分科会の委員の任命に当たっては、各分野の政策、制度について幅広い知見と経験をお持ちの方を任命をしておりまして、経済界や企業関係者のみならず、学識経験者、言論界、労働組合など、多様なバックグラウンドを有する方々が委員を務めていただいているところでございます。
 社会保障関係では、労働経済学や社会保障論の専門家や、厚生労働省の社会保障審議会の委員を務めておられる方も入っていただいております。
 また、農林水産関係でも、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会の委員を務めておられる方にも入っていただいているところであります。
 また、必要に応じて各分野の有識者からもヒアリングをさせていただいているというふうに承知をしています。
○小池晃君 この建議をまとめるに当たって、農水省は意見聞かれていないと言っていましたよ。だから、やっぱりそういうやり方じゃ駄目だということを私言いたいと思います。
 やっぱり、ここはちょっと自民党とは意見が違うと思いますが、何でこんなふうに農業予算を目の敵にするかといったら、やっぱり防衛省、軍事費を五年間で四十三兆円、それを確保するということでしょう。こういうことには未来はないということは言っておきたいと思います。
 それから、残る時間ですが、六月に私この委員会で取り上げた確定申告書などの控えに判こを押す収受印の問題、これやはりその補助金の申請とか融資の審査でも必要なものが判こが押されなくなるということでいろんな問題が起こっているわけですよ。
 国税庁は、六月には、これは丁寧に説明して理解していただいていると言うけど、東京税理士会を始め、懸念の声、反対の声が上がっているわけですね。
 確認ですが、収受印が廃止されて納税者が不利益を被る、そんなことはあってはならないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小宮敦史君) お答え申し上げます。
 御指摘の収受日付印ですが、これは申告書等を収受したことを示すものにすぎないわけですけれども、それでも一部の金融機関等が融資の関係でその申告書等の控えを求めておられるので御懸念があるというふうに承知をしております。
 そのため、今回見直しを行うに当たっては、関係の行政機関、金融機関等に対しても丁寧に説明を行い、申告書等の控えを求めないように繰り返し、かつ重層的に要請をしております。直近では、十一月末にも改めてそういった取組を徹底していただくように周知を行ったところでございます。
 様々な方法で申告書の提出時の確認は可能でございますけれども、加えて令和七年一月以降は提出日等を付記したリーフレットを納税者の方に交付をすることによりまして、そういった方法も整備をさせていただくということでございます。
 さらに、いずれにいたしましても、収受日付印の押捺の見直しに当たりましては、納税者の利便性に配慮いたしまして、引き続き丁寧な対応を行ってまいりたいと考えております。
○小池晃君 だからね、リーフレット配るんだったら判こ押せばいいじゃないかという話なんですよ。リーフレットに日付印を押すんでしょう。じゃ、何で判こを押さないのか。
 大臣は衆議院で、正本を誤って返すなどの不適切事案の防止のためという、不適切事案の防止は当たり前なんですよ、これはやらなきゃいけないんです。でも、判こを押しているから不適切かどうか分かるという、そういう問題あるわけですよ。この間いろんな問題起こっているのは、収受印が押してあるから実際はちゃんと納税していた証明になっているということがあるわけですよね。
 それで、国税庁は不適切事案の数も把握していないと私に言っていますよ。だったら、一旦これは止めて、そして調査をすると。収受印の廃止でどのような影響できるのか調査すると、それやるべきじゃないですか。
 これ、もうちょっと時間ないんで大臣に聞きますが、やっぱり大臣これ見切り発車すべきじゃないですよ。聞いたらば、これ、十四省庁のうち、これやろうとしているのは国税庁だけなんですよ、実際に。この行政文書への収受日付印の取扱い、これを今回やめると。デジタル化を政府全体で進めているのに、何で国税庁だけやめるんですか。これやっぱり見直して、続けるという決断をすべきだと思いますが、いかがですか、大臣。もう時間ないから、大臣、お願いします。
○国務大臣(加藤勝信君) 今るる対応等については次長からの方が説明をさせていただいたというふうに思っております。
 背景には、税務行政のデジタル化、これをしっかり進めていくことによって適切な納税等をしっかりやっていくという、また、それぞれ皆さんの利便性も向上していきたいと考えているところでございます。
 今時点で、今委員からも幾つかお話がございましたが、いろんな事情がある、いろんな課題があること、これについては引き続きしっかりと説明をし、また、対応させていただきたいというふうに思っております。
 それから、衆議院で私が説明したのは、まさにそういう作業をすることによって間違って違う書類を返してしまうとか、そういったトラブルが起きているということを申し上げたところであります。
○小池晃君 いや、判こを押したから間違ったものを渡してしまうって、私、理解不能なんですけど。
 大体、正本を渡しちゃうなんて、そんなめったにあることじゃないですよ。そういう、何か、多分、国税庁の方からそういうことがあるんですと言われたんだと思いますけど、そういうことを理由に、これ、やっぱり今一番便利だと言われているんです、写しにちゃんと判こを押してあると。私は、一年間頑張って税金納めていただきましたと、ありがとうございますと言って判こを押してお返しすると、これがやっぱり税務署としてやるべきことじゃないですかと。その判こを押してある書類を基に、融資の手続とかいろんなその手続に使えるわけだから、何でそれをやめてしまうんですかということなんですよ。是非これは継続をしていただきたいと。
 ちょっと何度聞いても同じ答えになるようですので、もうこれ以上聞きませんが、もうちょっと、とにかく、これはもう一月でやめると、一月からやめるというんじゃなくて、続けていただくということを強く求めて、質問を終わります。

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