日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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政治ゆがめる企業・団体献金全面禁止こそ 暮らしと平和守りぬく 小池書記局長が代表質問 参院本会議

2024年12月20日

赤旗2024年12月5日付け

 日本共産党の小池晃書記局長は4日、参院本会議で代表質問を行い、総選挙による衆院での少数転落後も裏金事件、経済政策に無反省な自民党政治にかわる新しい政治への展望を、対案をもって示しました。社会保障拡充、沖縄の辺野古新基地阻止、原発ゼロ、ジェンダー平等実現など国民の願いに応え「暮らしと平和を守りぬく」と決意を表明しました。(関連記事質問全文


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(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長、その奥は石破茂首相=4日、参院本会議

 小池氏は、石破茂首相が「個人献金も企業・団体献金も違いはない」と、企業・団体献金の禁止に背を向けているのに対し、「参政権を持たない企業が、多額の資金で政策をゆがめるのは、国民の参政権の侵害」だと糾弾。全面禁止を求めました。

 さらに「アベノミクス」が日本経済にもたらした深刻な三つのゆがみを追及しました。

 第一に、物価高騰で国民の実質所得を低下させ、原材料費高騰で中小・下請け企業の倒産を急増させた異常円安を生んだ「異次元の金融緩和」の誤りを認めよと迫りました。

 第二に、膨張するだけで経済に還流していない大企業の内部留保を中小・下請け企業支援に還元し、社会保険料の負担軽減など直接支援に踏み切って賃上げを実現することなどを求めました。

 第三に、大企業・富裕層優遇税制全体のゆがみをただし、課税最低限以下の低所得者からも容赦なく取り立てる消費税の減税とインボイス制度撤廃など「生計費非課税」「応能負担」の原則に立った税制の抜本的改革を要求しました。

 石破首相は、中小企業の社会保険料負担への助成は「慎重な検討が必要」と後ろ向きの姿勢を示すなど国の責任による中小企業支援・賃上げの具体策を何一つ示せませんでした。

 小池氏は、社会保障について二つの緊急課題を突き付けました。

 2日に強行された従来の健康保険証の新規発行停止をめぐり、石破首相が総裁選前の9月に「納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然だ」と述べたことを指摘。「保険証廃止に納得していない人は『いっぱい』いる。首相の言明通り、従来の保険証も併用できるようにすべき」だと迫りました。

 財務省の生活保護基準の引き下げ要求は、「血も涙もない」と批判。賃金と可処分所得の引き上げが大きな政治課題となっているのに「保護基準引き下げなど言語道断」だとして抜本的引き上げを求めました。

 石破首相は、生活保護基準について「社会経済情勢等の動向を踏まえ必要な対応を行えるよう関係省庁で結論を得る」と答えました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 会派を代表して、石破総理に質問します。
 能登半島地震からもうすぐ一年、地震と九月の豪雨という二重災害によって、被災者は物理的にも精神的にも大きなダメージを受けています。しかも、災害関連死は、地震などによる直接死を上回る二百四十七人に上ります。
 こうした痛ましい事態に至った原因を、政府はどう捉えていますか。災害関連死を防ぐためには何が必要ですか。
 災害公営住宅の建設、医療・介護基盤の再建、農地の復旧など、住まいとなりわいの再建が急務です。能登で生きていく希望が持てるように、国の支援を抜本的に強めるべきです。お答えください。
 総選挙で与党を過半数割れに追い込んだのは、裏金問題への国民の怒りでした。
 総理は、派閥ぐるみの裏金作りを組織的な犯罪行為だと認識していますか。なぜ、裏金問題で非公認とした候補者が代表を務める党支部に公認候補者と同額の二千万円もの政党交付金を支給したのですか。非公認としながら多額の資金を配るなど、国民を欺く行為ではありませんか。
 いつ誰が裏金作りを始めたのか、一体何に使ったのか、全容解明が必要です。
 具体的にお聞きします。
 この間の裁判で有罪が確定した安倍派の会計責任者は、パーティー収入の還流は幹部の協議で再開を決めたと証言しています。しかし、西村康稔議員、世耕弘成議員らは、協議に参加しながら真相を明らかにしていません。偽証罪が問われる証人喚問が必要です。自民党総裁として党に指示すべきです。明確にお答えください。
 参議院政治倫理審査会に二十七人の自民党議員が今になって出席を希望しているようです。しかし、政倫審は駆け込み寺ではありません。真相が明らかにされる場にしなければなりません。総理は自民党総裁として、政倫審に出席しようとする議員に対して、知っている事実を包み隠さず語ること、審査は全面公開とすることを強く求めるべきではありませんか。
 総理は、個人献金も企業・団体献金も違いはないと企業・団体献金禁止に背を向けています。しかし、企業には個人とは比べ物にならない資金力があります。国民が自分の支持する政党に寄附をするのは政治に参加する当然の権利ですが、参政権を持たない企業が多額の資金で政策をゆがめるのは国民の参政権を侵害するものであります。総理はそれでも、個人も企業・団体献金も違いはないと言うのですか。
 そもそも今回の裏金問題に至るまで、数多くの金権腐敗の原因となったのは企業・団体献金です。この根を絶たずに、再発防止と信頼回復ができると総理はお考えなのでしょうか。お答えください。
 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、党員、国民からの個人献金や事業収入で党を運営してきました。主権者国民一人一人に依拠することこそ国民主権の政治のあるべき方向だと強く申し上げておきます。
 アベノミクスは日本経済に深刻なゆがみをもたらしました。
 第一に、異次元の金融緩和による異常円安は、輸出大企業に過去最高の利益をもたらす一方、物価高騰を招いて国民の実質所得を低下させ、原材料費の値上げで中小下請企業の倒産を急増させました。多額の国債買入れが続けられてきた結果、日銀の国債保有額は発行残高の半分を占めるに至り、日銀の財務を不健全にするとともに、国の借金を野方図に膨らませました。
 総理、異次元の金融緩和の誤りを認めるべきではありませんか。家計や中小企業への影響に十分配慮しつつ、金融を正常化するためにも、暮らしを支える経済政策に転換すべきであります。
 第二に、実質賃金の低下が続く一方で、内部留保が積み上がり、経済に還流していません。自社株買いも膨らんでいます。大企業の内部留保を賃上げや下請企業支援に還元させる施策が必要ではありませんか。
 競争力の弱い中小企業が賃上げに踏み出すためには、とりわけ労務費の価格転嫁とともに、直接支援が不可欠です。徳島県では、知事が主導して、国の目安を大きく上回る最低賃金の引上げとともに、中小・小規模事業者を対象に一時金を支給する直接支援を始めました。国としても、社会保険料負担の軽減などの直接支援に踏み切るべきではありませんか。
 総理は、雇用の正規化を進めると述べました。そこで、お聞きします。
 地方自治体では、会計年度任用職員など非正規職員が七十万人を超えています。専門性、継続性が求められ、住民生活に寄り添う大切な仕事でありながら、低賃金と年度末での雇い止めなど不安定な働き方を強いられていることを放置できません。
 雇い止めを禁止し、正規職員への転換を促進するなど、会計年度任用職員制度を抜本的に見直すべきではありませんか。
 医療、介護は政治の責任で賃上げができるし、切実に求められています。ところが、先週、日本医労連は、医療・介護職場での年末一時金について、昨年よりも平均で約十万円の減少という深刻な実態を告発しました。介護でも、関係九団体の調査では、平均の賃上げ率は二・五%と、全体の春闘相場より低くなっています。訪問介護は、国の報酬引下げによって事業所の倒産、撤退が相次ぐ事態となっています。
 全世代型社会保障だといって社会保障の予算を抑制してきたことが、賃上げに逆行する事態を生み、人手不足に拍車を掛け、介護崩壊が進んでいます。
 総理、この深刻な実態をどう捉えますか。訪問介護の基本報酬を元に戻すことを始め、国の責任で医療・介護労働者の賃上げを緊急に促進すべきではありませんか。
 第三に、大企業や富裕層を優遇してきた税制全体のゆがみを正すことです。
 この二十九年間、所得税の課税最低限が据え置かれた一方で、消費税は三回も引き上げられました。生計費非課税というならば、課税最低限以下の低所得者からも容赦なく取り立てる消費税の減税とインボイスの撤廃が必要ではありませんか。
 所得税、住民税の最高税率も法人税率も連続して引き下げられてきました。さらに、研究開発減税や連結納税制度などの大企業優遇税制も拡大の一途をたどりました。政府税制調査会は、法人税率が連続して引き下げられたにもかかわらず、国内の設備投資や賃金は増えていないと指摘しています。結局、内部留保としてため込まれただけではありませんか。
 国民の前に立ち塞がる壁は百三万だけではありません。富裕層を優遇してきた一億円の壁を始め、税制全体のゆがみを正すために、生計費非課税、応能負担の原則に立った税制の抜本的な改革が必要ではありませんか。以上、答弁を求めます。
 社会保障制度に関わって、二つの緊急課題について聞きます。
 健康保険証の新規発行が一昨日停止しました。しかし、マイナ保険証の利用はいまだ一五%にとどまり、医療機関でのトラブルも止まりません。
 総理は、九月に、期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然だと語っていましたが、保険証の廃止に納得していない人はいっぱいおられます。中医協の小塩隆士会長も、新しい制度に移って何か混乱が起こり、メリットを受けられない人たちがいれば、直ちに制度を改めることも必要だと述べました。
 総理の以前の言明どおり、従来の保険証も併用できるようにすべきです。現行の保険証が使用できるうちに制度を見直すべきではありませんか。答弁を求めます。
 いま一つは生活保護の問題です。
 物価高騰は低所得世帯や生活保護世帯に深刻な打撃を与えているのに、財務省は生活保護基準の引下げを要求しています。経済や生活の実態を無視した、血も涙もないものではありませんか。
 そもそも賃上げと可処分所得の引上げが政治の大きな課題となっているとき、なぜ生活保護世帯の手取り収入を削減するのですか。保護基準の引下げなど言語道断であり、抜本的な引上げこそ必要ではありませんか。お答えください。
 総理は、総裁選で、原発をゼロに近づける努力を最大限していくと述べたにもかかわらず、最大限の利活用、手のひらを返しました。原発依存度の低減という方針を完全に投げ捨てるつもりですか。
 気候危機の進行は人類の生存さえ脅かしています。ところが、日本はG7で唯一石炭火力の撤退期限を示していません。パリ協定に基づく二〇三五年の温室効果ガス削減についても、政府の一三年度比で六〇%削減するという案は全く不十分です。英国は九〇年比で八一%削減という高い目標を設定し、宣言し、九月には全ての石炭火力発電所が停止いたしました。日本も石炭火力から早急に脱却し、温室効果ガスを三五年までに一三年度比で七五から八〇%削減する目標を掲げるべきではありませんか。答弁を求めます。
 十月には東京高裁が、同性同士の結婚を認めないことは差別的であり憲法に違反すると断じました。昨年三月の札幌高裁に続いて二度目の高裁での違憲判決です。
 性的指向は、本人の意思で選択、変更できるものではありません。性的指向が同性だからと、パートナーと家族になれず、相続権や配偶者控除なども認められない、そういう例も後を絶ちません。コロナ禍の病院で家族と認められず、愛する人の最期にさえ立ち会えなかった同性パートナーもいます。こんな不合理とこんな悲しみが同性カップルに重くのしかかっているのは、個人の尊厳、婚姻の自由の侵害であり、法の下の平等に反するのではありませんか。
 日本共産党は、選択的夫婦別姓の実現や同性婚の法制化を始め、日本社会をジェンダー平等につくり変えようとしている全ての人々と力を合わせる決意を表明するものであります。
 総理は二〇一三年十一月、自民党幹事長として、沖縄県選出の党国会議員五人を党本部に呼び付け、辺野古容認へと屈服させました。記者会見を行う総理の脇でうなだれる五人の姿に、平成の琉球処分だと県民は怒りの声を上げました。
 先日、総理は、当時を振り返って、十分に沖縄の皆様の理解を得て決めたかというと必ずしもそうではなかった、わびました。ところが、所信表明演説では辺野古新基地建設を推進する考えを重ねて示しました。総理のあのおわびは言葉だけだったのでしょうか。
 辺野古の新基地建設計画は、政治的にも技術的にも完全に破綻しています。政府は、代執行後の今年一月を起点に十二年で新基地は完成するとしていますが、水深が浅く地盤改良が必要ない辺野古の側でも当初の計画の十倍の期間を要しています。超軟弱地盤により難工事が予想される大浦湾側で計画どおりに進む保証が一体どこにあるのですか。辺野古への固執が普天間基地を固定化させているのではありませんか。お答えください。
 日本に配備された米軍のオスプレイは、既に三機が墜落し、民間空港への緊急着陸も日常茶飯事です。昨年十一月の屋久島沖への墜落も、根本的な事故原因が特定できないまま政府は飛行を容認しました。
 陸上自衛隊のオスプレイも与那国島で、エンジンの出力を上げるスイッチを押し忘れて地面と接触する事故を起こしました。ところが、ボーイング社や米海兵隊はこのスイッチの使用を推奨しないとのことです。スイッチを押しても押さなくても事故を起こす、まさに欠陥機と言うほかないではありませんか。
 オスプレイを全面撤去し、辺野古新基地建設を中止、撤回すべきではありませんか。国際法に違反をして、県民の土地を奪って構築した普天間基地は、直ちに無条件で撤去すべきです。総理の明確な答弁を求めます。
 沖縄を始め、全国各地での基地の強化や長射程ミサイル配備などのための五年間で四十三兆円もの大軍拡は、アジアに新たな緊張をもたらし、国民の暮らしも財政も押し潰します。大軍拡も、そのための軍拡増税も撤回すべきではありませんか。
 日米同盟絶対、アメリカ言いなりの政治を根本から転換し、ASEANと力を合わせて米中を含む全ての関係諸国を包摂し、憲法九条を生かした平和の枠組みを発展させることに力を尽くすべきであります。
 以上、答弁を求めます。
 一九四二年二月三日に山口県宇部市の旧長生炭鉱で起きた水没事故では、百八十三名が犠牲となりました。そのうち百三十六名が朝鮮半島から強制動員された人々でした。
 二〇〇四年の日韓首脳会談では、戦時中の民間徴用者の遺骨返還について、当時の小泉純一郎首相は、何ができるか真剣に検討すると答えています。しかし、これまで政府は、長生炭鉱の遺骨の埋没位置は不明のため、発掘は困難だと答弁してきました。
 しかし、市民団体が募金を集め、炭鉱の入口を掘り出し、十月にはダイバーが坑道内の潜水調査を行い、遺骨は収集できると手応えを語っています。国として発掘調査を始めるべきであります。八十二年もの間冷たい海底に眠る御遺骨を、可能な限り速やかに御遺族の元にお届けし、尊厳の回復を図るべきであります。真摯な答弁を求めます。
 最後に、パレスチナのガザの問題を取り上げます。
 パレスチナのガザでの即時停戦は待ったなしです。ハマスによるイスラエルへの襲撃は許されませんが、イスラエルによるガザでのジェノサイドは全く正当化できません。
 国際刑事裁判所、ICCは、イスラエルのネタニヤフ首相に対し、戦争犯罪、人道への罪の容疑で逮捕状を出しました。日本は国際刑事裁判所に加盟をしています。所長は日本人です。日本も逮捕義務を果たすと宣言すべきではありませんか。
 九月の国連総会決議は、各国に対し、市民や企業、団体に、イスラエルの無法を支援させない措置、武器や関連機器の提供、移転の禁止などを求めました。
 日本はこの決議に賛成しています。賛成したのですから、決議が求める措置を具体化すべきであります。防衛省は、イスラエル製ドローンの導入検討を中止すべきではありませんか。イスラエルに軍事支援を続ける米国に対し、ジェノサイドへの加担をやめるよう迫るべきではありませんか。
 以上、答弁を求めます。
 日本共産党は暮らしと平和を守り抜く、その決意をここで強く表明して、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 小池晃議員の御質問にお答え申し上げます。
 災害関連死に関する受け止め、防止策についてでございます。
 まずは、震災でお亡くなりになられた方々に心よりその御霊の安らかならんことをお祈り申し上げます。
 熊本地震での関連死を上回り、改めてその被害の甚大さを痛感をいたしております。元旦の発災以来、能登のことを忘れたことは一度もございません。
 大規模災害では高齢者や基礎疾患を抱えられる方々が震災による避難環境やストレスなどにより亡くなられるケースが多いことから、今回も、発災直後より医師や保健師等による避難者支援、安全で快適な場所への大規模な二次避難などにより、災害関連死の防止に力を注いでまいりました。
 災害のフェーズは変わっていきますが、自治体等と連携をし、仮設住宅での入居者の見守り、健康観察、デイサービスを提供するサポート拠点の整備などにより、災害関連死を防止していかなければならないと考えております。
 能登地域への国の支援強化についてお尋ねがありました。
 これまで合計七千百五十億円の予備費での対応に続き、今回の経済対策において、状況に応じて切れ目のない対応を迅速に行うため、例えば、災害公営住宅の整備への支援拡充、農地の復旧や、宅地、農地等にまたがって堆積した土砂、瓦れきの一括撤去、豪雨の被災者にも地震と同等のなりわい再建支援など、被災者ニーズが高い二千六百八十四億円の施策をきめ細やかに講じることといたしております。
 活気ある能登を取り戻すため、引き続き、被災自治体のお声も伺いながら、復旧と創造的復興に向けた取組を講じてまいります。
 これ、昨日も申し上げたことでございますが、阪神・淡路大震災のときに、後藤田正晴先生が、災害を防ぐことはできないと、しかし、その後に起こることは全て人災なのであるという言葉、私は常に胸に刻んでおります。そのことを忘れずに、今後とも政府として取り組んでまいる所存でございます。
 自民党の旧派閥の政治資金収支報告書の不記載の問題に関する認識及び自民党の支部政党交付金についてでございます。
 政治資金が政治資金規正法にのっとって取り扱われるべきことは当然であります。不記載については、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたところでございます。二度と今回のような事態を繰り返さぬよう、政治と金の問題には厳しい姿勢で臨んでまいります。
 自民党の支部政党交付金の取扱いにつきましては、政党の内部運営に関わることであり、政府としてお答えをすることは差し控えますが、その上であえて申し上げますれば、お尋ねの支部政党交付金は、党の政策を国民の皆様方に御理解いただくための広報活動など、党勢拡大のために使用してもらうべく、政党支部に対して党として支給をしたものでございます。
 非公認の候補者となる見通しの方が支部長を務めております政党支部に対しましては、支給通知書に党勢拡大のための活動費であることを明記いたしており、これが非公認候補者の選挙運動に使われることはございません。また、選挙区支部自体が存在しない場合には、当然、支部政党交付金は支給をいたしておりません。このため、国民を欺く行為という御指摘は全く当たりません。
 証人喚問及び参議院の政治倫理審査会についてお尋ねを頂戴をいたしました。
 証人喚問につきましては、国会において御議論、御判断をいただくべきものでございます。また、政治倫理審査会の開催方法につきましても、政治倫理審査会規程にのっとり、審査の申出をされた議員などの意向を尊重しつつ決定されるものと、このように承知をいたしておりますが、どのような方法であったといたしましても、各委員からの御質問に対し、丁寧に説明を尽くしていただくことを期待をいたしております。
 企業・団体献金についてでございます。
 このことにつきましても昨日お答えをいたしまして、繰り返しになりまして恐縮でございますが、御容赦ください。
 昭和四十五年六月二十四日の最高裁判決は、その判決理由において、企業・団体献金と自然人である国民の参政権との関係につきまして、憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは所論のとおりだが、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。憲法第三章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の、内の国と書きますが、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。会社による政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないなどと述べております。
 他方で、企業・団体献金を含む政治資金について高い透明性を確保することは、政治資金規正法の目的及び基本理念に照らしても極めて重要であります。
 同法第一条、第二条がそれを定めておるのでございまして、政治資金規正法第一条は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の公開などを行うと規定いたしております。
 また、同法第二条は、企業・団体献金を含む政治資金を民主主義の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であるとした上で、その収支の状況に関する判断は国民に委ね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにしなければならないとしております。
 これが政治資金規正法の第一条、第二条に明記をされておる条文でございます。
 政治資金に関するルールの在り方につきましては、既に政治改革に関する各党協議会において御議論をいただいており、政府としてお答えをすることは差し控えますが、あえて申し上げれば、我が党といたしましては、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築に取り組む方針でございます。これにより、企業・団体献金を含む政治資金の透明性は飛躍的に高まり、国民の皆様方の御判断に資するとともに、政党などによる政治活動の公明と公正の確保、ひいては政治の信頼の回復にもつながるものと考えております。
 異次元の金融緩和についてでございます。
 大胆な金融緩和を含むアベノミクスは、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大し、企業収益の増加傾向にもつながりました。
 他方、一人当たり平均の実質賃金が伸び悩むとともに、個人消費も力強さを欠いていたと、このように認識をいたしておるところでございます。
 岸田内閣が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させ、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現してまいりたいと、かように考えております。
 物価上昇を上回る賃金上昇の実現のためには、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げ、人への投資、設備投資などに効果的に活用することは重要でございます。
 政府といたしましては、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
 先般の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となりました今年の勢いで、来年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請し、また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示いたしたところでございます。
 加えて、中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけますよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、生産性向上のための省力化・デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化、成長のための支援も充実してまいります。
 中小企業に対して社会保険料の事業主負担を助成すべきとの御提案につきましては、社会保険料が医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための事業主の責任であり、働く人の健康保持や労働生産性の増進を通じ事業主の利益にも資するものであることから、慎重な検討が必要であると考えております。
 会計年度任用職員制度についてでございます。
 様々な行政需要が発生し、個々人の働き方も多様化する中、常勤職員に加え、非常勤の会計年度任用職員も地方行政の重要な担い手となっております。
 このため、昨年五月には、政府から自治体に対し、会計年度任用職員についても常勤職員に準じた給与改定を行うよう促すとともに、今年度からは、地方自治法の改正により会計年度任用職員にも勤勉手当を支給できるようにするなど、処遇の改善に取り組んできたところでございます。
 引き続き、各自治体の実態や御要望を把握し、会計年度任用職員を含む自治体職員にその持てる力を発揮していただける環境、制度の整備に取り組んでまいる所存でございます。
 訪問介護と医療・介護労働者の賃上げについてお尋ねをいただきました。
 訪問介護につきましては、今年度の介護報酬改定で、基本報酬は見直しつつ、介護職員の処遇改善に充てる加算措置はほかの介護サービスと比べて高い加算率とし、職員の処遇改善が図られるようにしたものでございます。
 介護報酬制度の影響につきましては、引き続き丁寧な把握に努めてまいります。
 その上で、訪問介護につきましては、人材確保に特に課題があるものと認識をいたしております。今後の経済対策において、ヘルパーの同行支援を強化するなど、地域の特性や事業者規模などに応じたきめ細かい対策を講ずることといたしており、こうした対策も併せて活用いたしてまいります。
 訪問介護を含め医療・介護職員の人手不足は喫緊の課題であると認識をいたしております。例えば、介護職員の方々の賃金は、全産業平均とは差があるものの、累次の処遇改善の措置により月額四・五万円程度改善をいたしております。
 その上で、今年度の報酬改定による対応に加え、今般の経済対策を通じて、賃上げで先行する他産業と人材の引き合いとなっております医療・介護分野での更なる賃上げを進めてまいります。
 今後の税制の在り方についてでございますが、中長期的視点に立ち持続可能な経済財政運営を行う観点から、経済社会の構造変化を踏まえて、応能負担を通じた再分配機能の向上や、格差の固定化防止を図りつつ、あるべき税制の具体化に向け、累次の見直しを進めてきております。
 法人税につきましては、大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で、賃金や投資が伸び悩んだ結果、内部留保は増加しているものと認識をいたしております。賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくために何が効果的なのかという観点を踏まえまして議論される必要があるものと考えております。
 所得税につきましては、令和五年度税制改正において、金融所得を含め、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を導入しており、一定の対応をいたしております。
 なお、所得税の課税最低限につきましては、生計費の観点とともに、公的サービスを賄うための費用を国民が広く分かち合う必要性なども踏まえて総合的に検討されてきたものと承知をいたしております。
 消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられておりますことから、政府としてその引下げを行うことは適当ではないと考えております。
 インボイス制度につきましても、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することは考えておりません。
 インボイス制度に対する御不安、御懸念を抱かれておられる方が多くいらっしゃると思います。そのような不安等に対しましては、税負担や事務負担を軽減する二割特例などを周知いたしますとともに、事業者からの御相談に引き続き丁寧に対応いたしてまいります。
 マイナ保険証は、御本人の健康医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものでございます。健康保険証の新規発行は終了いたしましたが、マイナ保険証の利用を促進しつつ、マイナ保険証が利用できない方も確実に保険診療が受けられますよう、最大一年間発行済みの保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証をお持ちでない方には、保険証が使用できなくなる前に、資格確認書を申請によらずして発行することといたしております。
 このように、これまでどおりの保険診療が受けられるようにしておりますことも丁寧に周知することといたしており、引き続き、国民の皆様方の御不安に迅速かつ丁寧に対応いたしてまいります。
 現行の生活扶助基準につきましては、令和四年の審議会での検証結果を反映することを基本としつつ、社会経済情勢などを総合的に勘案し、今年度までの臨時特例的な対応として、お一人当たり月額千円を加算するとともに、従前の額から減額しないようにいたしております。
 令和七年度以降の生活扶助基準につきましては、社会経済情勢等の動向を踏まえ、必要な対応を行えるよう、引き続き来年度予算の編成過程におきまして関係省庁において結論し、結論を得るものといたします。
 AI時代の電力需要の激増が見込まれる中、脱炭素化を進めながらエネルギー自給率を高めることが重要であります。そのため、風力、太陽光、地熱、小水力等々の省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを拡大するとともに、安全性の確保を大前提とした原子力発電を利活用することも必要であります。省エネや再エネの最大限の追求により、将来、結果として起こり得るとしても、原発のウエートをゼロに減らすこと自体が目的ではなく、使える技術は全て使い、その可能性を最大限に引き出しながら、日本経済をエネルギー制約から守り抜くという私の考えは一貫しておるものでございます。
 利用可能な脱炭素電源は適切に活用していくという考えで、次期エネルギー基本計画について国の審議会で検討いたしてまいります。
 気候変動問題は世界全体で取り組むべき喫緊の課題であり、エネルギー起源CO2の排出量で見れば、全世界の約三%を排出しております我が国は、世界全体での一・五度目標の実現に向け、これまでも着実に排出量を削減してまいりました。
 現在、次期削減目標の策定とその実現策について国の審議会で検討を深めております。脱炭素とエネルギー安定供給、経済成長の同時実現を目指すとの考えの下、世界全体での一・五度目標の実現に向け、科学的知見やこれまでの削減実績などを踏まえつつ年内に案を取りまとめ、我が国のネットゼロへの道筋をお示ししたいと考えております。実効ある地球温暖化対策のためには我が国に比べても排出量の多い国々の取組が重要であり、その取組強化に向けて対話を進めてまいります。
 石炭火力につきましては、安定供給を大前提に、できる限り発電比率を引き下げていく方針であり、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めますとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUSなどを活用し、脱炭素型の火力発電に置き換える取組を引き続き推進をいたしてまいります。
 御指摘の東京高裁及び札幌高裁の同性婚制度に対します判決は、同性婚を認めていない国の立法不作為を理由に国家賠償を求めた訴訟において、原告らの控訴を棄却したものの、その理由の中で、民法及び戸籍法の規定が憲法に違反する旨を述べたものと承知をいたしております。
 従来からの政府見解は、憲法が、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると規定しておりますことから、同性婚は憲法上想定されていないというものでございます。
 政府といたしましては、少なくとも同性婚に関する規定を設けないことが憲法に違反するものではないと考えておりますが、その上で、いずれも現段階では確定前の判決であり、また、ほかの裁判所に同種訴訟が係属しておることから、引き続き、その判断も注視してまいりたいと考えております。
 普天間飛行場の危険性の除去についてでございます。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると、このように考えております。
 政府といたしましては、辺野古移設が普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去するための唯一の解決策であると考えております。
 普天間飛行場代替施設建設事業の地盤改良工事につきましては、沖縄防衛局において有識者の助言を得つつ検討を行った結果、十分に安定した護岸などの施工が可能であるということが確認されていると、このように承知をいたしております。
 今後とも、様々な機会を通じて地元の皆様方への丁寧な説明を行いながら、辺野古への移設工事を進めてまいります。
 我が国における米軍オスプレイの配備は、災害救援や離島防衛を含む我が国の安全保障にとって重要な意義を有し、抑止力、対処力の向上に資するものでございます。これまでもオスプレイの安全性を確認いたしており、確認してきており、米軍オスプレイの配備撤回を求める考えはありませんが、引き続き、安全確保には万全を期してまいります。
 防衛力の強化及び外交姿勢についてでございます。
 我が国は、憲法九条及び前文に示されておる平和主義の理念の下、平和国家として戦後一貫して国際社会の平和や繁栄に努めてまいりました。
 現在の厳しく複雑な国際環境におきましても、こうした姿勢を貫き、日米同盟を基軸として友好国、同志国の輪を広げますとともに、中国を含む各国との対話を重ね、地域及び国際社会の平和と安定に貢献すべく、外交努力を重ねておるところでございます。
 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、防衛力の抜本的強化は、抑止力を向上させ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させる上で不可欠でございます。我が国の独立と平和、国民の生命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の抜本的強化は着実に進めてまいります。
 なお、防衛力の抜本的強化に必要な財源確保のための税制措置につきましては、現在、まさに税制調査会等の場で議論が行われておるものと承知しており、与党における議論の途中の段階で政府として何らかの仮定を置いて答弁をすることは差し控えます。
 長生炭鉱の旧朝鮮半島出身労働者などの御遺骨の発掘調査についてでございます。
 一九四二年に長生炭鉱において発生した事故については痛ましい事故であったと認識をいたしており、犠牲になられた方々には心よりお悔やみを申し上げます。
 旧朝鮮半島出身労働者などの御遺骨に対しましては、日韓双方は、人道主義、現実主義及び未来志向の三つの原則に基づいて取り組んでいくことで合意をいたしております。
 御指摘の長生炭鉱の御遺骨は海底に水没している状態であると認識をいたしており、その御遺骨の埋没位置、深度等が明らかではないため、現時点では遺骨発掘を実施することは困難であると考えております。
 他方、国内に存在する旧朝鮮半島出身労働者などの御遺骨について、御遺族がその返還を希望するものにつきましては可能な限り御遺族に対して返還することが望ましいものと考えており、韓国政府との合意及びこれまでの協議の状況などを踏まえ、引き続き人道的観点から対応を検討いたしてまいります。
 ICCがイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状を発付した件につきまして、現時点でネタニヤフ首相の訪日は想定されておらず、仮定の質問にお答えすることは差し控えます。
 我が国としては、ICCの独立性を尊重してきており、また、本件がガザ情勢にいかなる影響を与えるかという観点も含め、引き続き関連の動向を重大な関心を持って注視をいたしてまいります。
 九月に国連総会が採択した御指摘の決議につきましては、国際司法裁判所の勧告的意見を踏まえ、パレスチナ占領地に関して講ぜられるべき措置を具体的に述べるものであり、我が国もこれに賛成票を投じました。我が国として、同決議も踏まえ、中東和平プロセスの進展に向け、関係国、国際機関とも連携しながら、引き続き全ての当事者が適切に行動することを求めてまいります。
 防衛省が導入する無人機につきましては、特定の国の装備品を予断することなく、我が国の安全保障環境を踏まえ、性能、経費等を総合的に検討し、今後、具体的な機種を決定してまいります。
 合衆国との関係につきましては、我が国として、合衆国がエジプトやカタールとともに人質解放と停戦をめぐる交渉の実現に向け尽力している中、かかる仲介努力を強く支持しております。引き続き、関係国とも密接に緊密に連携しながら、人質の解放や人道状況の改善、事態の早期鎮静化に向け、積極的に外交努力を重ねてまいります。
 以上でございます。(拍手)

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