赤旗2024年12月11日付
自民党政治に代わる新しい政治を模索、探求する「新しい政治プロセス」の中で、臨時国会での論戦が始まりました。自公過半数割れの厳しい審判を受けて、各党の真価が問われています。国民の切実な要求を実現する立場で、日本政治の二つのゆがみ―財界・大企業中心、異常な対米従属の政治に切り込む日本共産党の論戦が光っています。
日米同盟
大軍拡・新基地中止を 核禁条約参加を迫る
「日米同盟という4文字で思考停止となる政治でよいのか」―。田村智子委員長は3日の衆院本会議でこうただしました。
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、田村氏は「沖縄に象徴される強権政治にノーの審判を突きつけたのが総選挙の結果だ」と指摘。県民が繰り返し示してきた新基地建設反対の民意にこたえ、新基地建設中止、米軍普天間基地(同県宜野湾市)の無条件撤去を要求しました。
小池晃書記局長は4日の参院本会議で、水深が浅く地盤改良が必要ない辺野古側でも当初計画の10倍の期間を要しており、大浦湾側で超軟弱地盤の改良工事が難工事となる新基地建設は政治的にも技術的にも破綻していると批判。「辺野古への固執が普天間基地を固定化させている」と告発しました。
辺野古新基地建設について取り上げたのは共産党だけで、れいわ新選組は沖縄に関する質問に時間をさきましたが、辺野古には一言も触れませんでした。
核兵器禁止条約については、田村氏が参加の決断を迫りました。立民や公明などが締約国会議へのオブザーバー参加を求めるだけで条約参加に踏み込まないなか、共産党だけが「核抑止力」論の危険性に切り込みました。
田村氏は「核抑止とは、いざとなれば核の使用の恐怖を相手に与えるものだ。まして米国は核先制使用まで掲げている」と指摘。「核兵器の非人道性を世界に知らせる」と言いながら、米国の核抑止強化を主張する石破首相を「矛盾ではないか」と追及しました。
大軍拡をやめるよう要求したのも共産党だけでした。維新は前原誠司共同代表が「アメリカと手を携え、防衛力、抑止力を増強していく意思を明確に示すべき」(3日、衆院本会議)だと述べ、4日の参院本会議で浅田均議員が、ロシアや北朝鮮の脅威をあおり、5年で43兆円の大軍拡計画からさらに上積みするよう求めました。
気候危機
石炭火力から脱却し 削減目標75~80%に
人類の生存を脅かす気候危機を取り上げたのも日本共産党だけでした。
小池晃書記局長は4日の参院本会議で、日本は主要7カ国(G7)で唯一、石炭火力の撤退期限を示していないと指摘。英国は1990年比で温室効果ガスの81%削減という目標を宣言し、9月にはすべての石炭火力発電所が停止したことをあげ、日本も石炭火力から早急に脱却し、温室効果ガスを35年までに13年度比で75~80%削減する目標を掲げるよう求めました。
政治とカネ
経団連が「政策評価」 企業利益 自民に還流
政治改革の核心である企業・団体献金の禁止に、立憲民主党や日本維新の会など各党が切り込むようになったのは新しい局面です。同時に、企業献金で政治がゆがめられた実態を示し、財界の利益最優先の政治を追及したのは共産党だけでした。
田村智子委員長は5日の衆院予算委員会で「企業献金の下で何が起きているか」の具体例として、日本経団連が毎年、「主要政党の政策評価」と称して、自民党の政策について、実績、課題を一覧にして会員企業に寄付(献金)を呼び掛けていると告発しました。
田村氏は「政策評価」が2014年に、「実績」に「法人実効税率を20%まで下げることを目指すことを決定」したことをあげ、「課題」に「法人実効税率の引き下げの確実な実現」をあげていたと指摘。さらに、「実績」に「消費税を8%に引き上げ」をあげ、「課題」に「消費税率10%への確実な引き上げ」をあげていたと指摘しました。
19年には「実績」に「消費税率10%に引き上げ」たこと、「課題」に「企業の国際競争力の強化に資する連結納税制度の見直し」というさらなる大企業向けの減税の要求をあげていたと指摘。「第2次安倍政権はそのとおりに進んだ。まさに経団連の決めたとおりの政治を、国民の反対を押し切って進めた」と批判しました。
石破首相は具体的な反論はできずに「企業によって政治が常に左右されているとは認識していない」と開き直るだけでした。
山添拓政策委員長は6日の参院予算委員会で「軍拡や原発やマイナ事業や不要不急の大型開発や、どれだけ不安や懸念の声があっても突き進む背景には、否定しがたいカネの結びつきがある」と指摘し、自民党と財界のカネによる癒着を批判しました。
山添氏の追及に、石破首相は国内総生産(GDP)2%を超える大軍拡推進を否定せず、中谷元・防衛相は「もがみ」型護衛艦のオーストラリア向け輸出推進について「わが国の安全保障に極めて高い意義がある」などと答弁しました。
これに対し、山添氏は「最大1兆円の案件。もうかるのは誰か」として「『もがみ』型(の受注は)三菱重工だ」と指摘。「三菱重工は(大軍拡で)上半期の純利益も前年比17%増えて、同時に、自民党には年間2300万円も献金している」と指摘。「大もうけが巨額の献金として自民党に還流している」と批判しました。
田村氏も5日の質問で、22年に全ての政党本部、支部、政治資金団体等が受け取った企業・団体献金の総額83億7600万円のうち79億8900万円、全体の95・4%が自民党への献金だと指摘し、「企業・団体献金にどっぷりと漬かっているのは自民党だけ」と厳しく批判。山添氏も「企業・団体献金は、自民党の問題だ」と指摘しました。
経済とくらし
もうけが内部留保に 消費税減税を緊急に
石破茂首相は所信表明演説(11月29日)で日本経済の現状について「(株主への)配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできた」ことを認めましたが、その責任を認めず、打開の方向も示せませんでした。
これに対し、自民党政権の経済失政のおおもとにあるゆがみをただす方向を示し、根本的転換を迫ったのは日本共産党だけでした。
一つは大企業のもうけが配当や役員報酬、巨額の内部留保にまわっているゆがみです。田村氏は3日の衆院代表質問で、大企業がため込んだ内部留保のうちアベノミクス以降の積み増し分に時限的に課税し、これを財源として中小企業の賃上げの直接支援を行うこと、大企業が賃上げのために内部留保を活用する分は控除する提案を行いました。石破首相は「慎重な検討が必要」と否定。賃上げについては「(企業に)協力を要請し」と企業頼みの姿勢で具体策は示せませんでした。
税財政のゆがみについて田村氏は、日本の税制の根本的なゆがみを、生計費非課税と応能負担の二つの原則から指摘。消費税は「食事の回数を減らすような生活であっても容赦なく課税する生計費への課税だ」と批判し、緊急の消費税減税を求めました。
さらに、中小企業よりも軽い大企業の税負担割合、所得1億円を超えると負担率が低下する証券優遇税制などの見直しを応能負担の原則から求めました。石破首相は消費税減税を「適当ではない」と拒否するだけで具体策を示せませんでした。
アベノミクスの「異次元の金融緩和」については、小池晃書記局長が4日の参院代表質問で、金融緩和による異常円安によって「輸出企業の過去最高益をもたらす一方、物価高騰を招いて国民の実質賃金を低下させ、原材料費の値上げで中小企業の倒産を急増させた」と厳しく批判しました。
石破首相は、アベノミクスは「デフレでない状況」をつくったと無反省で、経済論で破綻している姿を示しました。