日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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閉会中審査 アベノミクスの失政追及

2024年08月29日

赤旗2024年8月24日付

 日銀の追加利上げに伴う株式市場や円相場の乱高下を受け、衆院財務金融委員会、参院財政金融委員会の閉会中審査が23日に開かれました。日本共産党の小池晃書記局長と田村貴昭衆院議員が質問に立ち、日銀の責任を問うとともに、アベノミクスの失政を認めて異常な金融政策からの脱却を図るべきだと迫りました。植田和男日銀総裁が出席しました。

 

異常な金融政策 脱却を

 

小池氏 利上げへの手だて必要

 

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(写真)質問する小池晃書記局長=23日、参院財金委

 小池氏は「アベノミクスの異次元の金融緩和を進めてきた最大の責任は政府にある」「異常な金融政策からの脱却は当然であり、その際には反省と『利上げ』への手だてが必要だ」と強調しました。

 

 小池氏は、自民党幹部や政府中枢から「日銀は金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」(茂木敏充幹事長)、「日銀が(物価高に)責任を負わないなんてやばい」(新原浩朗内閣審議官)などの発言が出ていると指摘。「日銀だけに円安や輸入物価高騰の責任を負わせるのか」と追及しました。

 

 鈴木俊一財務相は「日銀に全ての責任があるとは思っていない」と述べました。

 

 小池氏は、異常円安で国民の実質賃金を低下させ、輸入物価高騰で中小企業の経営を苦しめるなど「異次元の金融緩和の罪はあまりに重い」と指摘。日銀による大量の国債購入は、やがて日銀の経営を毀損(きそん)して通貨の安定を危うくすることになりかねないと述べ「これまでの金融政策の誤りを認めるべきではないか」と迫りました。

 

 鈴木財務相は「アベノミクスの光の部分、影の部分があると思うが、日本経済の成長に役割を果たした」と強弁。小池氏は「誤りを認めることが議論の出発点だ。それ抜きにまともな対策は出てこない」と主張しました。

 

 小池氏は、岸田文雄首相が6月21日の記者会見で、低所得者世帯への給付金や中小企業への価格転嫁対策など物価高に対応する二段構えの支援を行うと述べているとして「その対象や規模は」とただしました。

 

 内閣府の広瀬健司審議官は「秋に策定を目指す経済対策で具体的な対策が必要か検討する」というだけ。小池氏は「何も決まっていないということだ。こんな無責任なやり方でいいのか」と批判しました。

 

 小池氏は、金利引き上げでさらに廃業が増えることも懸念されるとして「適正な価格転嫁の本格的な対策が必要だ。中小企業の資金繰りへの援助、利上げへの手当てをし、異常な金融政策からの脱却をめざすと明確に打ち出すべきだ」と求めました。

 

超円安 日銀に責任

 

日米金利差拡大巡り田村貴昭氏

 

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(写真)質問する田村貴昭議員=23日、衆院財金委

 田村氏は、2022年から超円安が起こった要因について「日米の金融政策の違いにより金利差が拡大した結果、円キャリートレードが活発に行われ、ドル高円安が進んだ。日銀に相当程度の責任がある」と指摘。植田総裁は「わが国と米国の金融政策の方向性の違いに基づく内外金利差が為替市場に影響を与えた面はある」と認めました。

 

 植田総裁は利上げの理由の一つに「賃上げの中小企業への波及が確認できたこと」をあげています。田村氏は、植田総裁が「(賃上げに)ついてこれない企業の労働者たちが、より生産性が高い他の企業にうまく移れるようなさまざまな仕組みや努力が続いていくかどうか」をモニタリングするとの発言に触れ、「賃上げできない中小零細企業は倒産・廃業して市場から撤退する方が日本経済にとってはいいということか」と批判。「競争原理だけでみるのではなく、地域社会にとって必要な中小零細企業が経営継続できるようにすべきだ」と主張しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日銀の七月の政策決定会合に先立って、自民党の幹部などから様々な発言があったんですね。茂木幹事長は、日銀は段階的な利上げの検討を含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要があるとか、それから、河野デジタル担当大臣はアメリカのメディアのインタビューで、日銀は政策金利を上げる必要がある、円は安過ぎる、価値を戻す必要があると。
 個別の発言に対してコメントを総裁には求めませんが、やっぱりアベノミクスの第一の矢が異次元緩和だといって進めてきた最大の責任は、私は政府にあると思うんですね。その責任を反省するどころか一方的に日銀だけに押し付けるということは、これ余りに身勝手ではないかと思うんですね。
 総裁、これ率直に、まあ率直になかなか言いにくいかもしれませんが、率直にちょっと御感想を。
○参考人(植田和男君) 私から政府や与党要人の御発言について具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。
 そういういろんな発言があったということは認識してもちろんおりましたが、当然、今回の政策変更は、経済・物価情勢を私どもが丁寧に点検した上で、物価安定目標の持続的、安定的な実現ということに必要な金融緩和度合いの調整を行うという判断をしたということでございます。
○小池晃君 私、アベノミクス、異次元、異常な金融政策ですね、ここから脱却するのは当然だと思うんですが、その際には、やはりこうしたことを進めたことについての反省が必要だし、やはり政府として手じまいに責任を持つということが必要だと思うんですね。
 ところが、例えば岸田政権で新しい資本主義実現本部仕切っている新原浩朗内閣審議官、こんなこと言っています。今の円相場が理論値よりずっと安くなっているのは金融緩和の副作用だ、日銀が物価高に責任を負わないなんてやばい、中央銀行としてそれはないでしょうと。私、これ、それはないでしょうってこっちのせりふだと。政府が責任持たないことこそやばいですよ。
 大臣ね、これ私は、日銀だけに円安やあるいは輸入物価高騰の責任を負わせていいとは思わないんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融政策そのものは日銀の独立性ということが大切なことであると、それは与党の方が政府という立場でなくて自由に発言されるということはあり得ると思いますが、政府の、特に私の立場ではそこの基本はしっかりと踏まえなければいけないと、そういうふうに常々思っております。
 その上で、やはり、別にそれだから全て日銀が決めたことでしょうと、日銀が全ての責任があるとは毛頭思っていないわけでありまして、そこには日頃の意思疎通もありますし、情報共有もあります。そういう意味では、いろいろな金融政策から派生する出来事について、政府は全て日銀に独立性はあるとはいえ責任を押し付けるという、そういうことは避けなければいけないと、そう思います。
○小池晃君 まあしかし、政府のかなり中枢部分からこういう声が出ていると報道されている。
 私は、異次元緩和による異常円安で本当に国民の実質所得低下させた、輸入物価高騰の影響で中小企業も塗炭の苦しみを味わった、しかも、財政でいえば、多額の国債の買入れで日銀の国債保有額、発行残高半分を占めると。市場による金利の決定ゆがめていますよね。国の財政規模、損なっています。国の借金を野方図に膨らませると。で、やがては日銀の経営を、先ほどからも指摘あるけれども毀損する危険があると。異次元緩和の罪は余りに重いと思いますよ。
 大臣、やっぱりこういう異常な金融政策ではなく、雇用の七割占めている、日本経済の屋台骨を支えている中小企業を支援して、賃上げによる本格的な経済政策をしっかり取っておれば、金融頼みではない政策を取っておればここまで経済が疲弊することはなかったのではないかと思うんですよ。財政を危機にさらすこともなかったんじゃないかと。私は、政府としてこれまでの金融政策の誤りを率直に認めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) アベノミクスに対するいろいろなその光の部分、影の部分がそれぞれあるんだと思いますけれども、大胆な金融緩和を含むアベノミクス、これはデフレでない状況をつくるなど日本経済の成長に役割を果たしたと、そういうふうに認識しております。
 その上で、中小企業を支援し、賃上げによる経済活性化策を行うべきだとの御指摘でありますが、第二次安倍内閣以降のアベノミクスにおきましても、中小企業の賃上げ環境を整えるための取引価格の適正化、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力の強化、最低賃金の引上げなどに取り組んでまいりましたし、岸田政権におきましても、賃上げを最重要課題として賃上げ促進税制の活用促進、価格転嫁対策、中小企業への省力化投資支援などを進めてきたところであります。そして今、三十三年ぶりの賃上げ率の実現など新たな動きが出ていて、デフレ脱却のチャンスであると、こういうふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、この中小企業を支援するということは、やはり雇用者の、労働者の七割を占める中小企業でありますので、重要な観点としてこれからも取り組んでいかなければいけないと認識しています。
○小池晃君 それは大事なの、それは大事なことだと思うんですよ。ただ、要するに、この間、第一の矢だと言ってきたことがやっぱり間違っていたんじゃないかということは率直に私、認めるべきだと思うんですね。そこを認めることがこの議論の出発点になる、それ抜きにはまともな対策は出てこないと。
 日銀にお聞きしたいんですが、今後、中小企業などの貸出金利にどのような影響出てくるかなんですが、これ、例えば、マイナス金利解除を決めた後の東京商工リサーチのアンケートで、この一年間で既に借入金利が上昇している、一七・七%の企業がそう回答しています。メインバンクから引上げをはっきり伝えられた、若しくは可能性を示唆された、三〇・八%に及ぶんですね。
 ですから、私は、更にやっぱり金利を引き上げるということになると、より一層中小企業への影響が出てくると思うんですが、その点どう見ていらっしゃいますか。
○参考人(植田和男君) 委員おっしゃいますように、政策金利引き上げていきますと、市場金利あるいは短期プライムレートを通じまして、中小企業を含めました企業向けの短期の貸出金利、あるいは、家計向けでありますと変動型の住宅金利、ローン、住宅ローンの金利に影響するということはございます。ただ、他方で、預金金利の利回りも上昇しますので、そちらは企業や家計にとってプラスに作用するというふうに考えられます。
 金融政策の影響を評価する際には、金利収支の変化を介した影響だけでなく、また、それに加えまして、企業収益や賃金に緩和的な金融環境がどういう影響を及ぼしているかという点も併せて見る必要があると思います。
 全体として見ますと、現在、七月に政策金利を引き上げた後も、繰り返し申し上げてきましたが、実質金利は大幅なマイナスが続いていて、緩和的な金融環境が維持されていると思います。この点は、中小企業を含めて経済活動をサポートしていくというふうに考えております。
 もちろん、これまで、そして場合によっては今後、金利環境が変化していくことが中小企業を含めた企業あるいは家計の行動にどういう影響を及ぼしていくかということについては丁寧に点検してまいりたいと思っております。
○小池晃君 今後もやっぱりそういったことを見越した対策が私は必要だと思うんですね。
 その点で政府は一体何をやっているのかということで、資料配りましたけど、六月二十一日に岸田首相、記者会見やって、秋以降の対策として、年金世帯、低所得世帯に対する給付金、価格転嫁を進められない中小企業に対する支援のための重点支援地方交付金の拡充等々を打ち出しています。
 内閣府にお聞きしますが、これ、その後、具体化どうなっているんでしょう。対象とかあるいは規模とか、簡単に御説明ください。
○政府参考人(廣瀬健司君) お答えいたします。
 政府はこれまで、物価高の影響が特に大きい低所得世帯への給付や、地方公共団体における地域の実情に応じたきめ細やかな対策の支援など、累次にわたる物価対策を講じてまいりました。
 加えて、地方経済や低所得世帯に即効性の高いエネルギー補助として、燃料油激変緩和措置の年内継続や、酷暑乗り切り緊急支援としての電気・ガス代の補助を決定、実施しております。
 あわせて、今年の春季労使交渉で実現した力強い賃上げの動きを……(発言する者あり)あっ、分かりました。様々な取組を進めているところであります。
 その上で、秋に策定することを目指す経済対策で具体的にどういった対策が必要かについては、経済・物価動向をしっかり見極めた上で、関係省庁とも連携して検討してまいりたいと思っております。
○小池晃君 要するに、第二段は何も決まっていないということですか。
○政府参考人(廣瀬健司君) 秋に策定することを目指す経済対策で具体的にどういった対策が必要かについては、今後、経済・物価動向等をしっかり見極めた上で、関係省庁と連携して検討してまいりたいと思っています。
○小池晃君 あのね、制度設計も何もないまま、岸田首相は記者会見でぶち上げたんでしょう。それで辞めちゃうわけじゃないですか。これ、結局何にもないということになりますよ、このままだとね。こういう無責任なやり方でいいのか。
 政府は、六月七日に、コロナ禍で行ったゼロゼロ融資などの資金繰り支援についてコロナ前の水準に戻すと、経営改善、再生支援に重点を置いた資金繰り支援にすると。要するに、コロナのときみたいに全ての企業を支援するんじゃなくて、廃業への支援も視野に入れると。
 実際、今、倒産増えているわけですよ。もちろん、売上げ伸ばしている企業もありますよ。でも、やはり、非常に業績悪化している企業も出てきている。今後は金利引上げをトリガーにした廃業が増えることも懸念されると思うんですね。
 東京商工リサーチの直近の報告書は、大企業は賃上げを継続したけれども、中小企業は重い人件費負担から賃上げ疲れがうかがえると言っています。私は、中小企業の生産性の向上も大事だと思うけれども、やっぱり適正な価格転嫁の本格的な対策、必要だと思いますよ。そういうこと、手を打つべきだ。
 私、最後、政府に、やっぱり中小企業の資金繰りへの援助、利上げへの手だて、これやって、異常な金融政策からの脱却を目指すということをしっかり明確に、具体的に打ち出すべきではないか。少なくとも、既に借入れがある業者については低利の借換えプラス追加資金の調達をしやすくする、さらに政策金融公庫や信用保証付融資の金利や保証料、思い切った引下げ、そういったことで政府のやっぱり具体的な支援をすべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融庁それから関係省庁の連名によりまして、民間金融機関につきましては、信用保証制度を用いたコロナ融資の借換え等による資金繰り支援、それから日本政策金融公庫等と連携した協調融資商品の組成拡大などを要請をいたしております。また、日本政策金融公庫等につきましては、円安等に伴う資材費等の価格高騰等の経済環境を踏まえたセーフティーネット貸付け等の活用促進などを要請しております。
 金融庁としては、関係省庁と連携しつつ、官民金融機関がこうした要請を踏まえて事業者支援に適切に取り組んでいるか、しっかりと確認してまいります。
○小池晃君 今の言われた対策だけでは不十分だから私は申し上げたので、やっぱりこれからの金融正常化ということに伴う政府としての責任をきちんと果たすということを強く求めたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

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