赤旗2024年8月24日付
日銀の追加利上げに伴う株式市場や円相場の乱高下を受け、衆院財務金融委員会、参院財政金融委員会の閉会中審査が23日に開かれました。日本共産党の小池晃書記局長と田村貴昭衆院議員が質問に立ち、日銀の責任を問うとともに、アベノミクスの失政を認めて異常な金融政策からの脱却を図るべきだと迫りました。植田和男日銀総裁が出席しました。
異常な金融政策 脱却を
小池氏 利上げへの手だて必要
小池氏は「アベノミクスの異次元の金融緩和を進めてきた最大の責任は政府にある」「異常な金融政策からの脱却は当然であり、その際には反省と『利上げ』への手だてが必要だ」と強調しました。
小池氏は、自民党幹部や政府中枢から「日銀は金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」(茂木敏充幹事長)、「日銀が(物価高に)責任を負わないなんてやばい」(新原浩朗内閣審議官)などの発言が出ていると指摘。「日銀だけに円安や輸入物価高騰の責任を負わせるのか」と追及しました。
鈴木俊一財務相は「日銀に全ての責任があるとは思っていない」と述べました。
小池氏は、異常円安で国民の実質賃金を低下させ、輸入物価高騰で中小企業の経営を苦しめるなど「異次元の金融緩和の罪はあまりに重い」と指摘。日銀による大量の国債購入は、やがて日銀の経営を毀損(きそん)して通貨の安定を危うくすることになりかねないと述べ「これまでの金融政策の誤りを認めるべきではないか」と迫りました。
鈴木財務相は「アベノミクスの光の部分、影の部分があると思うが、日本経済の成長に役割を果たした」と強弁。小池氏は「誤りを認めることが議論の出発点だ。それ抜きにまともな対策は出てこない」と主張しました。
小池氏は、岸田文雄首相が6月21日の記者会見で、低所得者世帯への給付金や中小企業への価格転嫁対策など物価高に対応する二段構えの支援を行うと述べているとして「その対象や規模は」とただしました。
内閣府の広瀬健司審議官は「秋に策定を目指す経済対策で具体的な対策が必要か検討する」というだけ。小池氏は「何も決まっていないということだ。こんな無責任なやり方でいいのか」と批判しました。
小池氏は、金利引き上げでさらに廃業が増えることも懸念されるとして「適正な価格転嫁の本格的な対策が必要だ。中小企業の資金繰りへの援助、利上げへの手当てをし、異常な金融政策からの脱却をめざすと明確に打ち出すべきだ」と求めました。
超円安 日銀に責任
日米金利差拡大巡り田村貴昭氏
田村氏は、2022年から超円安が起こった要因について「日米の金融政策の違いにより金利差が拡大した結果、円キャリートレードが活発に行われ、ドル高円安が進んだ。日銀に相当程度の責任がある」と指摘。植田総裁は「わが国と米国の金融政策の方向性の違いに基づく内外金利差が為替市場に影響を与えた面はある」と認めました。
植田総裁は利上げの理由の一つに「賃上げの中小企業への波及が確認できたこと」をあげています。田村氏は、植田総裁が「(賃上げに)ついてこれない企業の労働者たちが、より生産性が高い他の企業にうまく移れるようなさまざまな仕組みや努力が続いていくかどうか」をモニタリングするとの発言に触れ、「賃上げできない中小零細企業は倒産・廃業して市場から撤退する方が日本経済にとってはいいということか」と批判。「競争原理だけでみるのではなく、地域社会にとって必要な中小零細企業が経営継続できるようにすべきだ」と主張しました。