「企業価値担保」を創設する事業性融資促進法案が6日の参院財政金融委員会で、自民、公明などの賛成多数で可決しました。日本共産党、立憲民主党などは反対しました。
企業価値担保は、企業が生み出す価値全体を担保とするもの。金融機関に対し、経営者保証等によらず、事業性と将来性に基づく融資(事業性融資)を進め、融資先への「伴走支援」を促します。
日本共産党の小池晃書記局長は質疑で、企業価値担保による貸し手となることで、金融機関の優位性はいっそう強まり、「事業の将来性を厳しく評価し、廃業やリストラを促すことも可能だ」と指摘。企業の自主的な取り組みを支援する事業性融資が、理想通りにいかないリスクについて、金融庁の認識をただしました。
金融庁の井藤英樹企画市場局長は「金融庁の監督指針で、伴走支援において金融機関は顧客企業の自助努力を最大限支援する旨明記されており、経営への過剰な介入は想定されていない」と答弁しました。
小池氏は、事業性融資と廃業の促進が一体となって議論された金融庁設置の「金融仲介の改善に向けた検討会議」では「地域金融機関の役割は…強い産業を伸ばし、競争力に劣る企業は転廃業を進めること」などの意見が出ているとして、事業再生での早期の企業価値担保の実行が、廃業や企業の合併・買収(M&A)を促進するとの懸念を表明しました。