日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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給与明細不記載 罰則なし 定額減税で小池氏に答弁 参院財金委

2024年06月03日

赤旗2024年5月30日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=28日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は28日の参院財政金融委員会で、所得税・住民税の定額減税の問題点について質問しました。

 

 政府は物価高の影響を受ける国民への支援策として1人4万円の定額減税を6月から実施します。小池氏は、政府が従業員などの減税額を給与明細に記載するよう求めたことで、企業の事務負担が急増していると指摘。記載しないと罰則があるかとの問いに星屋和彦国税庁次長は罰則はないと答弁しました。

 

 今回の定額減税は、中小業者の配偶者など白色、青色申告の事業専従者の一部を対象外としています。小池氏は、中小業者は経理担当を置く余裕もなく、実務を事業者の妻などが担っている場合が多いと指摘し、定額減税の対象外の事業専従者には給付金で対応するよう求めました。

 

 内閣官房の坂本基事業企画室次長は「給付金で対応できるよう来年に向けて準備を進める」と答弁。給付金額は定額減税と同額の「1人当たり4万円と考えている」と答えました。

 

 小池氏が、自民党の木原誠二幹事長代理はテレビ番組で物価の状況によっては来年度も定額減税を継続すると発言しているとただすと、鈴木俊一財務相は「定額減税を複数年度にわたって実施することは考えていない」と答弁。小池氏は「自民党幹部が減税前からうまくいかないと言っているようなものだ。消費税減税がはるかに景気対策に効果的だと提案してもまったく耳を貸さない。国民の暮らしを考えた提案ではなく、選挙目当てのパフォーマンスだ」と厳しく批判しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 ちょっと質問の順番変えて定額減税のことから入りたいと思うんですが、六月一日から実施ということで、この定額減税実施するに当たって、従業員などの減税額を給与明細に記載するように求めた。これ、悲鳴が上がっています、事務やコストの負担が増えると。減税条件も極めて複雑で、企業によっては一連の対応で五十時間事務負担が増えるという試算もあるわけですね。
 国税庁、聞きますが、年末調整の給与支払明細書にまとめて減税額分を記載しようとしていた、そういう企業にとっては給与計算のソフトウエアの改修なども迫られて費用も大変掛かると思うんですが、こうしたものは全て事業主の責任でやらねばならないということなんでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 来月から開始されます定額減税におきましては、三月末に公布された財務省令におきまして、給与を支払う際に交付する給与明細に減税額を記載することとされているところでございます。毎年の税制改正につきましては、源泉徴収義務者を含めた納税者の皆様に御対応いただいておりまして、今回の定額減税の実施に当たりましても御対応をお願いすることとされているものと承知をしております。
 他方で、源泉徴収義務者の事務負担の軽減を図る観点から、国税当局におきましては、例えば、年初より税務関連のソフトウエア開発会社に対しまして周知や質疑対応等を丁寧に行い、給与明細への表記を含めたシステム改修を円滑に行えるよう努めてきたところでございます。
 いずれにいたしましても、給与明細への減税額明記につきましては、これまで丁寧な周知、広報に努めてきたところでございまして、源泉徴収義務者の皆様に適切に御対応いただけるよう、引き続き丁寧な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○小池晃君 しかし、負担にはなってしまうわけですね。
 ちょっとお聞きしますが、一つ飛ばして、給与明細に定額減税額を記載しなかった場合には、これ罰則はあるんでしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 お尋ねの罰則の適用につきましては、個別具体的な判断になるものと考えてございますが、例えば、六月の給与明細書の交付時には対応が間に合わず定額減税額の記載がなされなかったような場合につきましては、基本的に罰則が適用されることはないと考えてございます。
 いずれにいたしましても、各事業者に御対応いただけるよう、引き続き丁寧に周知、広報等を行ってまいりたいと考えてございます。
○小池晃君 基本的には罰則はないというふうに理解をいたしました。
 それから、今回の定額減税ですが、中小業者の配偶者など白色申告の事業専従者、青色申告の事業専従者、一部対象外となっています。しかし、やはり中小零細、小規模の事業者というのは経理担当の方を置く余裕もなくて、事業者の家族、配偶者などが担っていることが多いわけです。
 内閣府にお聞きしますが、これ、政府は国民に還元するということで今回やるんですが、ならば、今回の煩雑な実務を担っている業者婦人などをもう排除せずに、これは給付金などで対応すべきではないか、定額減税とやはり同額のものを行うべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
 定額減税し切れないと見込まれる方への調整給付につきましては、来月以降、減税し切れないと見込まれるおおむねの額を給付していきますとともに、当初の見込みと異なるなど減税や給付が十分でない場合には、減税額が確定する令和七年に不足分を給付することとしてございます。
 この定額減税し切れないと見込まれる方への調整給付につきましては、御指摘の事業専従者の方を含めまして、制度上、本人としても扶養親族としても定額減税の対象とならない場合などに適切に給付金で対応することができるよう、来年に向けて準備を進めてまいりたいと考えてございます。
○小池晃君 それは基本的に定額減税と同額程度のものになるとの理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(坂本基君) 御指摘のとおり、一人当たり四万円ということで考えてございます。
○小池晃君 この問題、やっぱり根本にあるのは、やはり所得税法五十六条で家族従事者の働き分を必要経費として認めていないということがあって、それで減税という対象にならないということになっていると思うんで、やはりこれ、これまでも指摘してまいりましたが、所得税法五十六条の見直しを是非やっていただきたい。
 大臣にお聞きしますが、これまで大臣も、定額減税は一時的な措置として実施するものだと、複数年度にわたり実施することは想定していないというふうに述べておられます。しかし、日曜日のテレビ番組で、自民党の木原誠二幹事長代理は、物価の状況によっては来年度も定額減税を継続すると、そう言ったんですね。
 大臣、そのような可能性もあるということでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今般の定額減税でありますが、国、地方合計で三・三兆円、関連する給付も含めて五・五兆円という思い切った規模の支援を行うことで、単年度の消費刺激効果にとどまらず、賃金上昇と相まって所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくることにより、デフレマインドを払拭するきっかけとするために実施するものであります。
 したがいまして、定額減税を複数年度にわたって実施することは考えておりません。
○小池晃君 考えておりませんとおっしゃいますが、自民党の幹部が、実際やる前からうまくいかないんじゃないかということを言っているようなもんですよ、これ。もう一回やるかもしれないと。
 結局、やっぱり経済対策としては消費税の減税の方がはるかに効果的だと、この間、私だけじゃない、各党からそういう意見出ていたと思うんですが、それには耳を貸さないで、結局、もう実施前からうまくいかないんじゃないかというようなことを与党の幹部が口にする。どうなっているんですかと。どうなっているんですか、これ。こんなんでいいんですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 昨年末に取りまとめられました与党の税制改正大綱におきましては、今後、賃金、物価等の状況を勘案し、必要があると認めるときは、所要の家計支援の措置を検討すると記載されております。
 その解釈について、この所要の家計支援という中身の解釈でありますが、これは私としてはお答えする立場にはありませんけれども、政府としても、経済状況を踏まえつつ、今後、必要な場合には適切な家計支援を検討していくものと考えております。言わば、これは当然のことであると思っています。
○小池晃君 何かもう一回やりそうな雰囲気になってきましたね。やっぱり消費税の減税をやるべきなんですよ。だからこういう議論になるんですよね。
 結局、やっぱり所得税の減税、六月に合わせてやるというのは、これはもう日本の経済とか国民の生活考えているんじゃなくて、選挙対策だというふうにみんな見ているわけですよ。そのために大変な負担を負わせているということであって、根本的にこういうやり方は改めるべきだということを申し上げたいと思います。
 それから、この間、四月に取り上げた障害者相談支援事業の問題、これ消費税課税となって、多くの自治体、社会福祉事業所が予期せぬ負担に苦しんでいると。これ調べてみますと、二〇〇一年の消費税法の基本通達では、身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の相談支援事業は消費税非課税となっている。そのため、多くの自治体は、二〇〇六年以降の障害者相談支援事業についても、それまでと同様に非課税だと判断していたんですね。
 自治体の方に私ども、ちょっといろいろと問い合わせてみました。あるかなり大きな政令指定都市の担当者に聞きました。二〇一三年に厚生労働省に問い合わせたら、非課税ですと説明を受けたと言うんですよ。こういう実態がある。
 厚生労働省ね、これ多くの自治体が誤認したことには、厚生労働省、責任あるんじゃないですか。その責任感じないのか、お答えください。
○政府参考人(辺見聡君) 障害者総合支援事業につきましては、市町村が実施主体として実施する事業でございまして、公的な助成や規制の必要性などの要素を総合的に勘案すると、社会福祉事業の性格に必ずしもなじまないため、社会福祉事業として位置付けられていないところでございます。
 厚生労働省といたしましては、障害者総合支援事業、障害者相談支援事業が社会福祉事業に該当しないという考え方などを含めた消費税法上の取扱いについて市町村に丁寧に説明する必要があると考えており、四月二十六日に自治体向け説明会を開催するなど、しっかりと丁寧な説明を行うべく努めているところでございます。
 引き続き、障害者相談支援事業により、障害者の方々に必要な支援が届くように取り組んでまいりたいと考えております。
○小池晃君 今頃丁寧な説明したって遅いんですよ。
 五月二十日に、政令指定都市の市長会が、障害者相談支援事業を消費税非課税とするという要望書をまとめました。この要望書ではやっぱり同じことを言っている。二〇〇一年の消費税法基本通達で非課税事業とされていたと。それ以降の経過の中で、国から、第二種社会福祉事業の対象外とする経過や理由、具体的な内容等が明確に示されないまま、この間、全国的に非課税事業として取り扱われてきたものと認識していると。事業の性質に鑑み、社会福祉事業に位置付けるとともに非課税とするべきだということを求めているんですね。
 大臣、私、これ本当にやっぱり政府の対応問われると思うんで、これも所管外だと言われるとちょっとあれなんですけど、でもやっぱり政府として、これ税の問題でもありますから、財務省、厚生労働省、地方自治体でやっぱり対応策を協議すべきじゃないですか、この間のこういう事態を見れば。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど厚生労働省の方から、障害者相談支援事業というもの、これは社会福祉事業に含まれていないという、そういう説明が経緯も含めてあったと思います。
 したがいまして、そういうことからいいますと、消費税の非課税というふうにはならないということにはなっていくわけでありますが、しかし、こうした消費税が非課税になるといったこの障害者相談支援事業についてそうした誤認がある、それを解消しなければいけないと、そういうふうに思っております。
 したがって、税務署に相談窓口を設置するほか、厚生労働省とも連携しながら、そして自治体や事業者向けに説明会を実施するなど、制度の取扱いについて丁寧に説明しているものと承知をいたしております。
 引き続き、厚生労働省等とも連携しながら、納税者の実情に寄り添った丁寧な対応、例えば、一括での納付が困難な事業者の方につきましては、個々の実情を十分把握した上で、法令上の要件を満たす場合には猶予制度による分割納付も認めるなどの対応もできるわけでありますので、丁寧な対応を行っていくことが重要であると、そういうふうに考えます。
○小池晃君 これ、指定都市の市長会からこういう要望が出るというのは余りないことだと思うんですね。税の仕組みについて説明が足りなかったと、誤認していたという。だから、私は、これは事業者の責とか、あるいはその自治体の責というんじゃなくて、国の責任大きいわけですから、今大臣言われたような柔軟なやっぱり対応をしていくべきだと、現場では。
 それから、やっぱりこれどう対応するか。これ、五月の末が消費税の納税の期限になっているわけですよ。これ、やっぱり機械的な対応をすべきではない。このことによって、社会福祉事業所、唯一のその地域における障害者の相談事業をやっているところが、もう仕事が潰れてしまうというような悲鳴も出ているわけですから、これやっぱり真剣に政府として考えて対応すると、協議をするということを是非やっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) そういう声があるということは私も承知をいたしております。
 まずは、一義的には厚生労働省で福祉事業に含まれているか含まれていないかというのが根源のところでありますので、厚生労働省で検討をすべきことであると、そういうふうに考えます。
○小池晃君 いや、まずは厚生労働省で検討すべきことであることはそうだと思いますよ。
 ただ、やっぱりこれは税の問題でもあるので、やはりきちんと政府として、自治体からこういう声も上がっているわけですから、やっぱり対応を協議するということを私はやるべきだということは重ねて申し上げておきたいというふうに思います。
 終わります。

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