赤旗2024年5月19日付
日本共産党の小池晃書記局長は16日、BSフジ「プライムニュース」で、憲法審査会での改憲議論や、自民党の裏金問題に端を発した政治資金規正法改定をめぐって各党議員と議論しました。
自民党の中谷元・元防衛相が「(改憲案の)条文化の機は熟した」と主張したのに対し、小池氏は、改憲議論を「急ぐ必要はない」が65%(共同通信)、憲法を変える機運は「高まっていない」が70%(「朝日」)という世論調査を示し、「国会が先導し、国民の合意もないのに進めるのは全く間違っている」と批判。中谷氏が「緊急事態」を口実とした改憲を主張し、大規模災害や感染症拡大などで選挙ができなくなる事態に衆院議員の任期延長を可能にする改憲案に言及したのに対して、「参議院の緊急集会や繰り延べ投票など、現行憲法で十分対応できる」と反論しました。
小池氏は、「憲法に国家緊急権がないのは、『非常』という道を残せば国民の権利を制限する口実を政府に与えてしまうという憲法制定時の議論があるからだ」と指摘。1941年に衆院議員の任期が延長され、日本がアジア・太平洋戦争を始めた歴史の反省もあると強調し、「自民党の緊急事態条項案は、国会の権限を全て行政権に委ねる非常に危険な中身だ」と批判しました。
また、憲法前文の「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」するとの文言を挙げ、「裏金によって当選した可能性のある自民党議員が、改憲議論をする資格があるのか。選挙運動に使っていない保証はあるのか」と指摘。中谷氏はまともに反論できませんでした。
9条生かした外交努力こそ
自民、維新が9条への自衛隊明記を主張したのに対し、小池氏は「自衛隊を憲法に書き込めば、安保法制で集団的自衛権の行使を認め、長射程ミサイルまで持とうとしている中で、憲法の歯止めがきかない『戦争できる国』になってしまう」「海外でアメリカと肩を並べ、無制限の武力行使ができるようになる」と反論。東南アジア諸国連合(ASEAN)の取り組みを紹介し、「東南アジアにある平和の枠組みを生かし、北東アジアにも広げていく。憲法9条を生かした徹底的な外交努力こそ必要だ」と主張しました。
立憲民主党の階猛衆院議員は「9条を変える必要はない。自衛隊が大きくなりすぎたら、日本は非常に危険だ」と懸念を示しました。
企業・団体献金全面禁止を訴え
政治資金規正法改定をめぐり、小池氏は、「自民党案は、政党と政党支部に対する献金、政治資金パーティー券の購入という“大穴”をふさごうとせず、企業・団体献金禁止はひとかけらもない。パーティー券の公開基準を引き下げるだけで、『政策活動費』も非公開のままだ。これではなんの解決にもならない」と批判しました。
中谷氏は、「政治活動にはどうしてもお金がいる。パーティーのように寄付をもらうことを引き続きやらなきゃいけない」と開き直りました。
小池氏は「全く反省していない。“抜け穴”をつくって、企業献金を引き続きもらうということだ」と批判。営利を目的とする企業や業界団体が政党、政治家に献金するのは「見返り」を求めるためで「本質的に賄賂だ」として、企業・団体による政治献金、パーティー券購入の全面禁止を訴えました。