日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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優遇税制見直しこそ 小池氏、呼び込み型減税批判 参院財金委

2024年05月17日

赤旗2024年5月16日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=14日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は14日の参院財政金融委員会で、海外の金融系企業呼び込みのための法人税減税の動きについて、政府をただしました。

 

 岸田政権は「資産運用立国実現プラン」で、海外金融業者の参入の規制緩和と減税を進める「資産運用特区制度」を打ち出しました。これに東京都、大阪府・市、福岡県・市、北海道・札幌市が応募し、2月にプランを政府に提出しています。

 

 小池氏は4都市のプランで、東京都は外資系企業への法人税減税を国に求め、大阪府・市が金融系外国企業に法人住民税等の減税を実施するなどの動きがあると紹介。政府も「資産所得倍増プラン」で、税率16・5%のシンガポールなどと比べて法人税負担が重いのは問題だとして、「国際金融ハブ」に向けた税制を見直すとしているが、「特区推進のため、さらなる法人税減税を考えているのか」とただしました。鈴木俊一金融担当相は「税制を含めた取り組みで、金融機関・人材がわが国に集まることは重要」としつつ「資産運用特区のための減税は考えていない」と答えました。

 

 小池氏は2021年に企業誘致のための減税競争を防止する国際合意がなされ、イギリスは法人税を19%から25%に引き上げ、高額所得の外国人を誘致するための優遇税制を見直し、社会保険料引き下げの財源としたことを示し、「世界の流れは呼び込み型の減税競争ではなく、格差是正のための優遇税制の見直しだ」と強調しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本法案は、資産運用業者の新規参入を進める規制緩和を行うものでありまして、岸田政権の資産所得倍増プラン、資産運用立国実現プランに沿ったものだと思います。
 この資産運用立国実現プランで打ち出された資産運用特区、東京、大阪、福岡、札幌、四都市が手を挙げて、二月に相次いで提案文書が出されています。各都市のプラン見ますと、海外金融業者などの呼び込みが重視されて、税制の優遇を国に求めているんですね。また、独自に減税や補助金を実施した、あるいは実施を検討していると。例えば、東京都は外資系企業への法人税減税を求めておりますし、大阪市では昨年十一月から、市内に初進出した金融系外国企業を対象に、法人府民税、市民税か、法人事業税の減税を始めています。
 政府も、資産所得倍増プランでは、海外の高度金融人材、金融事業者から見て日本進出の障害とみなされている課題を始め、国際金融ハブに向けた税制上の諸課題を把握し、必要な見直しを行うとしています。しかし、香港の法人税は一七%、シンガポールは一六・五%なんですね。大臣も二月の日経新聞で、税制もパッケージの中で考えていく、国税だけでなく地方税でもできる、地域の特性を生かす観点で税財政面で支援することもあり得ると述べておられます。
 この金融資産運用特区のために更なる法人税の減税ということを考えておられるのかどうか、お聞きします。
○国務大臣(鈴木俊一君) 貯蓄から投資への流れを加速をして成長と分配の好循環の実現を目指していくためには、税制をも含めた様々な取組を通じまして、世界の優れた金融機関や人材が我が国に集まってより良い金融サービスが提供される環境を整備していくこと、これは重要なことであると考えております。
 現在検討を進めております金融・資産運用特区では、こうした考え方を背景にいたしまして、意欲ある自治体と協働して、英語対応が可能な行政サービスの拡大、スタートアップやGXなどの投資対象となる成長分野の支援など、対象地域におけますビジネス生活環境等の更なる改善充実に向けて規制改革や運用面での取組を進めていくこととしております。
 こうした中で、地域における主体的な取組として税財政面の支援についても検討されていると承知をしておりますが、御指摘のように、金融・資産運用特区のために国税における法人税を引き下げることについては検討しているわけではありません。
○小池晃君 これ、世界の流れがどうかって見ると、法人税については二〇二一年に最低税率導入の国際的な合意なされて、これはもう企業誘致の減税競争をやめようということですね。それから、東京都がモデルとしているロンドン・シティーのあるイギリスは、英国は、昨年から法人税を一九%から二五%に引き上げて、さらに今年三月には高額所得の外国人誘致のための優遇税制見直して社会保障制度のための財源にすると。日本では、菅政権の下で、二〇二一年の税制改正でファンドマネジャーへの所得税の減税ということが行われましたが、アメリカのバイデン政権は逆にファンドマネジャーへの税制優遇の見直しを提案しているわけです。
 大臣、法人税の減税、このためにって考えていないとおっしゃいましたけど、私は、呼び込み型の減税競争ではなくて格差を是正するための税の優遇見直そうというのが世界の流れだと思いますし、やっぱりそれに逆行するようなことは絶対やるべきでないというふうに思いますが、世界の流れ、どういうふうに見ておられるか、お答えください。
○国務大臣(鈴木俊一君) 世界の流れを見てみますと、小池先生の問題意識であります格差の是正という観点についてから申し上げますと、例えば、世界の法人税の引下げ競争に歯止めを掛けるため、グローバルミニマム課税についての取組が進められているほか、御指摘もございましたが、イギリスなどでは、新たな財源を確保するため、大企業に対する税率の引上げなどを通じ、法人税の課税強化を行っている事例もあると承知をいたしております。
 一方で、法人税は立地競争力や国際競争力に影響を与え得るものでありますので、これらを踏まえた検討も不可欠であると考えておりまして、例えばアメリカでは一昨年に成立したインフレ抑制法等において電気自動車等の生産投資に係る優遇措置が創設されておりまして、必ずしも世界全体で税の優遇措置を見直す動きにはなっていないものと考えております。
 政府といたしましては、こうした諸外国の動向、これも踏まえまして、財源の確保、これはもとより格差の是正や競争力の強化といった政策目的をバランスよく追求をしなければいけないと考えておりまして、そうした観点から必要な改正を行っていくことが重要であると考えております。
○小池晃君 ちょっと今のお話聞くと、どっちの方向を向いているのかよく分かんないですよ。
 やっぱりそういうアメリカのようないろいろな動きあるとしても、やっぱり世界的には格差を是正するということが必要だし、政府だってやっぱり財源確保は必要だということじゃないですか。やっぱり格差是正ということはこの間も言われてきたじゃないですか。新しい資本主義だというようなことでやるわけでしょう。
 やっぱり私はそういう世界の流れに沿った税制の改革ということが必要だと思いますが、大きな方向性としてはそういう考え方ということを共有できるんではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 様々な観点から考えなければいけないということで、先ほどの答弁におきましては、一つとして財源の確保、これも重要であります。それから、御指摘の格差の是正、それから競争力の強化、こういった三つの点を申し述べたわけでありますが、こうしたことをそれぞれバランスよく追求をして必要な改正を行っていく、それが基本的な姿勢であると考えております。
○小池晃君 これまでのやり方はバランス悪かったと私は思います。やっぱり、そういう意味では、格差の是正ということをきちんと据えた税制の改革が必要だと。やっぱり、その海外業者呼び込みの減税ではなくて、安心して投資できる環境整備で、そのためには投機的取引への規制強化、それから個人投資家の保護が急務だというふうに思うんですね。
 しかし、本法案で、例えば、非上場有価証券未公開株の仲介サービスをする第一種金融商品取引業者の登録要件緩和すると。これやっぱり、個人投資家のリスクを高める懸念があると思います。
 お配りしている資料で、非上場有価証券の仲介業者の登録要件緩和とありまして、その注意書きに、注二として、換金ニーズに応えるため、一般投資家も売却は可能というふうに書かれているんですね。新たに導入される第一種金商業者は、非上場有価証券を買い付けたい一般投資家への仲介サービスは禁止されていますが、売り付けたい投資家への仲介サービスは認められているということになると思います。
 金融庁にお聞きしますが、この場合、売り付けたい一般の個人投資家、つまり非上場有価証券を保有している一般の個人投資家というのは、どのような投資家でしょうか。
○政府参考人(井藤英樹君) お答え申し上げます。
 このような非上場有価証券取引の売手となる投資家についての御質問ですけれども、例えば、スタートアップ企業の役職員ですとか、相続によって非上場株式を取得した者などが想定されているところでございます。
○小池晃君 そういった人たちは入ってくると思いますが、それだけではなくて、一般の個人投資家が未公開株などを保有しているケースの中には、株式を発行する企業から直接購入している場合も含まれると思うんですね。本法案で未公開株を売却できる機会が拡大するわけで、そうすると、発行企業にとっても一般個人投資家への勧誘、販売はしやすくなって、投資詐欺に悪用されるリスクも高まるのではないかと思うんです。
 国民生活センターに寄せられている相談件数、未公開株に関しては減少しています。これ、二〇一一年に未公開株の投資詐欺が大問題になって、これはもう金融庁、消費者庁も含めて、関係者の努力で状況は改善してきていると思うんですね。
 しかし、お配りしている二枚目の資料で、警察庁の資料を見ますと、やはり犯罪は続いておりますし、昨年は、被害人員が一万五千人以上、被害額百七億円という、近年最大規模の詐欺事件も起きています。
 やはり深刻な被害は続いていると思うんですが、日弁連は、日本弁護士連合会は、二〇一〇年の意見書で、未公開株の被害防止のために、顧客が要請していないのに訪問や電話などで勧誘する不招請勧誘、この禁止を求めていますが、金融庁にお聞きしますが、金融商品取引法には不招請勧誘の禁止規定はありますけど、簡潔にその内容と適用の条件を説明ください。
○政府参考人(井藤英樹君) 金融商品取引法で規定いたします不招請勧誘の禁止規制は、一定の契約の締結について、勧誘の要請をしていない顧客に対しまして、訪問又は電話により契約の締結を勧誘する行為を禁止するものでございます。
 この対象範囲につきましては、業務の態様などからして適合性の原則を守ることがおよそ期待されないような場合に、レバレッジが高いことなど投資金額を上回る思い掛けない損失を被ることがないかといった商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生といった取引の実態などを総合的に勘案して政令で定めてございます。
○小池晃君 店頭外国為替証拠金取引など極めて限定的になっていると思うんですが、二〇一六年には特定商取引法改正されて、訪問販売、電話勧誘販売の中に未公開株、位置付けているわけですね。
 本法案は、全体としては未公開株について一般の個人投資家も巻き込んで流通の活性化を進めるわけですから、やっぱり被害実態からいっても、未公開株は金商法の不招請勧誘の禁止対象とすべきだったんではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 法令による不招請勧誘の禁止の対象につきましては、先ほど参考人から答弁がありましたとおり、業務の態様などからして適合性の原則を守ることがおよそ期待できないような場合を対象とすることとしており、具体的には、投資家保護の観点から、投資金額を上回る思い掛けない損失を被り得ること、必要な勧誘や利用者の被害の発生といった取引の実態、そういったものなどを総合的に勘案して定めておりますけれども、未公開株は、未公開株式はその対象としておりません。未公開株式につきましては、法令上の不招請勧誘の規制が設けられる前から、日本証券業協会の自主規制規則におきまして、原則として証券会社による投資家への投資勧誘は招請がある場合も含め禁止されているところであります。
 こうした中で、未公開株式への投資につきましては投資金額を上回る損失が生じ得るものではなく、御指摘にありましたような無登録業者による被害はあるわけでありますけれども、自主規制規則が整備されている証券会社においては大きな被害、投資被害等は把握されておりません。
 そういう中で、これを法令上の不招請勧誘規則の対象とすることは、事業者の営業の自由、これを過度に制限することにならないかなどの観点から慎重な検討が必要であると考えておりまして、現時点では、未公開株式に法令上の不招請勧誘規制を課すことは考えていないところであります。
○小池晃君 やはり、金融市場を活性化させるということ自体は、それは否定するものではありませんけれども、やっぱり投資家保護ということにしっかり軸足を置いた対応が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

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