赤旗2024年4月25日付
「トカゲの尻尾を切って、自らの延命をはかろうとしているだけだ」―。日本共産党の小池晃書記局長は24日の参院予算委員会で、自民党の裏金事件の説明責任を果たさず、政治的責任も取ろうとしない岸田文雄首相を厳しく批判。さらに、自民党が企業・団体献金の禁止など肝心の問題に全く切り込もうとしないとして「ひとかけらの反省もない。そもそも真相解明に背を向けていて、まともな改革案を出せるわけがない」と訴えました。
森氏と口裏合わせか
首相「控える」小池「結論ありき」
自民党安倍派(清和会)が裏金づくりを始めた時のキーパーソンとされている派閥会長だった森喜朗元首相。しかし、岸田文雄首相は森氏に電話をして聞き取った内容は何も明らかにしていません。
小池氏は、元清和会の参院議員だった山本一太群馬県知事も「(裏金づくりは)間違いなく森派が始まってからだと思う。会長の了解なくできるわけない」と述べていることを挙げ、次のようにただしました。
小池 森氏への電話は何分ぐらいだったのか。何を聞いたのか。
首相 聞き取りの実効性を高めるため、内容を明らかにしないことを前提とし、長さ、内容など具体的なやりとりを推測させるような答えは控える。
小池 電話の長さも言えない、同席者もいない。記録もない。これではそもそも電話をしたかもわからないではないか。
小池氏は、首相は聞き取りの内容を明らかにできないと繰り返しながら、「森氏は関与していない」ということだけは明言するとして「結論ありきの口裏合わせではないか」と厳しく指摘しました。
小池 森氏とのやりとりを明らかにしない限り、国民の疑問は解決しない。
首相 国民の最大の関心である長きにわたる不記載に森氏が関わったかどうかについて、私自身の責任で関わった事実は確認されていない。
「森氏は関わっていないと確認した」と繰り返すだけの岸田首相に小池氏は、「結論だけ言って、中身を一切言わないのは説明になっていない。これでは国民は誰も納得しない」と厳しく批判しました。
自身の疑惑隠し延命
首相「信頼回復…」小池「処分を」
「事務ミス」勝手な説明
自民党の裏金事件で、政治責任が問われる岸田首相自身は処分されていません。小池氏は「総理は自民党の最高責任者である総裁だ。自民党の主要派閥ぐるみの裏金づくりに特別の責任がある」とただしました。
岸田首相が2012年以来会長を務めてきた岸田派でも、元会計責任者が政治資金規正法違反で略式起訴されています。小池氏は、立件された不記載額3095万円について、岸田首相が「事務的ミスの積み重ね」と説明しているが、「事務的ミスの積み重ねで3000万円はあり得ない」「本当に自分勝手な言い訳だ」と批判しました。
小池氏は、岸田首相が「検察の捜査で刑事責任を認められなかった場合でも、政治責任を明らかにするために処分を行った」と述べているとして、次のようにただしました。
小池 自身に処分が必要ないということは、総理には政治責任がないということか。
首相 外部の関係者も含めた党紀委員会等を通じて判断した。そうであっても、総裁としての責任は免れないので、政治の信頼回復に努めなければならない。
小池 普通は最高責任者がまず処分を受けるもの。総理はトカゲの尻尾を切って、自らの延命を図ろうとしているだけだ。
パー券疑惑無責任答弁
さらに、岸田首相は、自身の政治資金パーティーをめぐる疑惑についても何一つ説明していません。小池氏は「調べれば報告できることが、いまだに明らかになっていない」と追及しました。
20年に開催された岸田派の政治資金パーティー「宏池会と語る会」を巡っては、パーティー収入が訂正された一方、購入者数が変わっておらず、齟齬(そご)が生じています。岸田首相は1月29日の衆院予算委員会で、「人数については精査を続けている」と答えていました。
小池 (指摘から)2カ月以上たったが、訂正したのか
。
首相 20年の数字なので、資料等の確認に時間がかかっており、精査を続けている。
小池 結局、真相解明をする気がないということだ。虚偽記載を放置していることになる。違法状態を放置していいのか。
首相 確認した段階で訂正を行う。
さらに昨年12月に開催予定だった自身の政治資金パーティー「第45回岸田文雄と国政を語る会」の中止を巡っても、岸田首相は売上枚数や総額を整理・集計中としていました。
小池 これも(指摘から)1カ月以上たった。中止になったパーティー券代金は返金したのか。
首相 販売枚数は約1600枚、総額は約3200万円。希望に沿って返金を始めている。
小池 (政治資金収支報告書への)訂正の届け出が出ていないようだが。
首相 報告は来年になる。
小池氏は「説明責任は果たされておらず、ましてや政治責任は全く果たされていないのが現状だ」と指摘。岸田首相の無責任さを強調しました。
献金見返り巨額減税
小池「トヨタに血税還流 1400倍」
表に出せぬ政策活動か
小池氏は、自民党がまとめた政治資金規正法改正案は、企業・団体献金の禁止もなければ、政策活動費の見直しもなく、「ひとかけらの反省もない代物だ」と批判。「読売」の最新の世論調査で、裏金問題の実態把握や真相解明が「必要だと思う」は78%に上るとして、「徹底的な真相解明が必要だ。真相解明に背を向けていて、まともな改革案を出せるわけがない」と厳しく批判しました。
小池氏は、政党から政治家個人に交付され、領収書なしで“使い放題”となっている「政策活動費」の問題を追及。自民党の二階俊博元幹事長は、幹事長時代の5年間に約47億7000万円が支払われたとされています。
小池 「政策活動」と言いながら、表に出せないようなやましい政治活動をやっているのではないか。自民党以外は見直しを言っている。
首相 使途を明らかにすることは慎重でなければならない。議論を避けるものではない。
小池 議論すると言いながら、肝心の使途を明らかにすることは拒否する。全く後ろ向きだ。国民から見れば“つかみ金”だ。政策活動費はやめるべきだ。
「研究開発」1社で1割
さらに小池氏は、減税の恩恵を受ける業界団体が自民党に巨額献金をし、その見返りとして自民党が大企業減税を繰り返し、いかに税制をゆがめてきたのかを追及しました。
2022年度の法人税減税は約2兆3000億円で、最大のものが「研究開発減税」(総額7636億円)。資本金100億円超の企業が65%を占め、文字通りの大企業減税です。
小池 研究開発減税の22年度分の減税額トップの企業は約802億円にのぼる。1社で減税額の1割以上を占める企業はトヨタ自動車以外にあり得ない。ばく大な減税をしながら企業名すら明かさずに、こんなやり方を続けていいのか。
首相 公益性上の必要性があるかどうかを見極める必要がある。
個別企業名を答えない岸田首相に対して小池氏は、自民党へのトヨタの献金額は6億1520万円(13~22年)に上り、同時期のトヨタの研究開発減税総額は8700億円だと指摘。「研究開発減税は企業献金の見返りだったのではないか。1400倍超以上のキックバック(還付)だ」「献金は自民党の懐に入るが、減税は国民の血税から出ている。きわめて悪質だ」と批判し、企業・団体献金の全面禁止を求めました。