日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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税関職員増員を要求 小池書記局長 「規制緩和」本末転倒 参院財金委

2024年04月16日

赤旗オンライン2024年3月29日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=29日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は29日の参院財政金融委員会で、関税定率法改定案について、限られた税関職員でやりくりするため、「特例輸入者」に対して緩和措置をはかるなど本末転倒であり、抜本的な増員こそ解決策だと迫りました。

 

 同法は、税関が認定する「特例輸入者」に、関税や消費税の納税前に貨物を引き取ることができるなどの特例措置を設け、認定要件として「貨物のセキュリティ管理と法令遵守(じゅんしゅ)の体制が整備された事業者」などを挙げています。今回の改定ではさらに、関税納期限を延長する際、実質無担保とする緩和措置が盛り込まれました。

 

 小池氏は、ダイハツ工業など不正行為があった事業者もいまだに認定を受けており、法令順守の基準と運用に疑問があると指摘。江島一彦関税局長は、一定の要件を満たせば取り消せると述べるにとどまりました。

 

 小池氏は、税関の三つの使命のうちの「円滑化」を進めるあまり「関所」と「徴税」がおろそかになってはならず、税関機能強化のため抜本的に増員すべきだと要求。鈴木俊一財務相は、増加する業務に対応するため、必要な人員体制を図ることは重要であり今後も体制整備を図ると述べました。

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○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本法案の暫定税率の延長などは必要な措置だと思います。ただ、気になるのがAEO制度の規制緩和です。
 これ、セキュリティー管理と法令遵守の体制が整備されていると税関が認定した事業者には税関手続を簡素化するというものですが、今回はこの手続を更に緩和すると。これで関所としての役割が果たせるんだろうかという問題意識を持っております。
   〔委員長退席、理事山田太郎君着席〕
 そこで、財務省にお聞きしますが、特例輸入者、いわゆるAEO輸入者の承認要件は何でしょうか。
○政府参考人(江島一彦君) お答え申し上げます。
 AEO事業者である特例輸入者は、貨物のセキュリティー管理と法令遵守の体制が整備された事業者である必要がありますことから、まず、過去の一定期間において関税法等の規定に違反して処分を受けていないこと、また、特例申告貨物の輸入に関する業務を適正かつ確実に遂行することができること、さらに、税関手続を適正に履行するための法令遵守規則を定めていること等が承認の要件とされています。
○小池晃君 実態はどうかなんですが、財務省は輸入事後調査の状況というのを報告しておりますが、これまでAEO事業者の中で申告漏れの輸入者の数、そして納付不足による追徴税額、どれだけあるんでしょうか。そして、これまでに認定を取り消されたAEO事業者の数は一体どれだけでしょうか。
○政府参考人(江島一彦君) お答え申し上げます。
 輸入事後調査につきましては、必要に応じてAEO事業者に対する調査も実施しておりますが、その申告漏れの輸入者数等について公にすることは、事後調査の実施規模や調査割合の把握につながり、今後の調査に支障が生じることから、回答を差し控えさせていただきたいと存じます。
 また、AEO事業者の取消し実績につきましては、平成十八年に制度が導入されて以降、三者となっております。
○小池晃君 事後調査は行っている、で、チェックしているというんですけど、今の答弁にあるように、その内容については公表できないということなんですね。これ、ブラックボックスではないかと言わざるを得ないんですね。そして、これまでAEO認定取消しは三件にすぎないというのが今の答弁なんですね。
 これ、二〇〇九年の当委員会で大門実紀史議員が法令遵守の問題について質問いたしました。それに対して財務省は、関税法以外の法令についても違反がないか見ていると御答弁されているんです。
 ところが、財務省公表しているAEO輸入者、これ百三者今あるようですが、この中には、例えばダイハツ工業、日野自動車、豊田自動織機、日産自動車など、自動車関連だけでも、不正行為、法令違反などがあった企業がいまだにこれ取り消されずに並んでいるんですね。
 関税法以外の法令についても見ていると言いながら、法令違反が明るみになっている企業がAEOの認定を受け続けている、これ一体どうしてでしょうか。
○政府参考人(江島一彦君) お答え申し上げます。
 個別事案についてお答えを申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、AEO事業者の承認、認定に際しては、過去の一定期間において関税法等の規定に違反して処分を受けていないことが要件となっております。
   〔理事山田太郎君退席、委員長着席〕
 関税法以外の法令違反について、特例輸入者を例に具体例、具体的に申し上げますと、法令の規定に違反して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から二年を経過していない者であるとき、また、その業務について、今申し上げた者に該当する者を役員とする法人であるとき又はその者を代理人、使用人その他の従業者として使用する者であるとき等については承認をしないことができるとされておりまして、特例輸入者が今申し上げた条件に該当することに至ったときはこれを取り消すことができるとされております。
 いずれにいたしましても、AEO事業者が取消しの要件に該当した場合には適切に対応してまいります。
○小池晃君 今のような要件の基準、そして運用、これ、法令遵守と言うけれども、これ大変疑問を感じるわけであります。
 今回のAEO手続の簡素化については、これ業界団体からの要望でもあったと聞いております。公益財団法人日本関税協会、これまで三回要望書を提出してきているんですね。これ、いろんな中身が入っています。しかし、いろいろと、これはどうかなと思うものも多数あるんですが、要望書の内容は全て受け入れる、そういうことではないと思うんですが、確認です。
○政府参考人(江島一彦君) お答え申し上げます。
 税関には、安全、安心な社会の実現、適正かつ公平な関税等の賦課徴収、貿易円滑化の推進の三つの使命がございまして、関税に関する各種制度の改正に際しましてもこれらの使命は当然堅持されるべきものと考えております。
 御指摘のあった日本関税協会からいただいたAEOに係る要望につきましても、税関の今申し上げた使命を堅持することを前提に、その内容を十分に検討した上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○小池晃君 例えば令和五年の要望書なんか見ると、AEO事業者の輸出リスト及び輸入リストの廃止とか、あるいはそのAEO事業者に対する審査、検査のファストレーンの設置等々、こういうものをやってしまって、やっぱり関所としての役割を大幅に後退させることになるんではないかというふうに思うんですね。こういうその業界団体の要求を全て受け入れるというようなことはやっぱりあってはならないということは強調しておきたいと思います。
 それから、現場の声いろいろ聞きました。その中で、AEO輸入者は、これは、二〇一七年から貨物を置いてある税関官署以外で輸入申告ができるようになったんですね。その結果、書類を見ておかしいなと思ってもその場で現物は見れないということで、画像で確認するしかない、手間が掛かるし、検査の質も落ちるんではないかと、そういう声も聞いております。
 これ、ちょっと問題ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(江島一彦君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございました二〇一七年十月に施行した申告官署の自由化の下では、輸入申告の審査を行う官署と貨物の検査を行う官署が異なる場合がございます。そうした場合におきましても、輸入申告の適正な審査、検査を行うため、システムにより審査担当職員と検査担当職員との間で申告状況の把握及び検査の具体的な指示事項の確認、調整が円滑に図れるように対応しております。さらに、御指摘にございましたような現物の確認という点について申し上げますと、遠隔に配置された職員同士が同じ映像を見ながらリアルタイムで情報共有を行うことを可能とするスマートグラス等の活用も進めております。
 いずれにいたしましても、輸出入申告の適正な審査、検査を確保しつつ円滑な物流に支障を来すことがないよう、引き続き適切に対処してまいります。
○小池晃君 今のような問題が起こっているからこそ、やっぱり増員というのはこれどうしても必要になっているんではないかなというふうに思うんですね。
 今日、資料お配りをしておりますが、税関の業務量はこれ拡大の一途なわけであります。輸入申告件数はこれ六倍に急激に増加をしているわけですね。ところが、定員はほぼ横ばいであります。これでは関所としての役割十分に果たせないんではないかと思うんですね。
 大臣に最後お伺いしますが、やはりこれは本当に我が国守る大事な税関です。省を挙げてやはり定員増を図るべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 近年、越境電子商品取引の拡大に伴いまして輸入許可件数が増加するなど、税関職員の負担が増加をしているところでございます。こうした職員の負担を軽減しつつ増加する業務に適切に対応するためには、御指摘のとおり更なる人員確保など必要な体制整備を図ることが重要と考えます。
 職員の定員につきましては、平成二十六年度以降毎年増員を確保するとともに、令和六年度予算におきましても八十人の定員増を計上するなど、体制整備に取り組んでいるところであります。加えまして、事業者から事前に入手した情報を活用した検査対象貨物の絞り込み、エックス線検査装置等の取締り検査機器の有効活用、AI等の先端技術の活用や税関業務のDXの推進など、職員の皆さんの負担軽減、それから税関業務の一層の高度化、効率化にも取り組んでいるところであります。
 今後とも、税関業務の見直し、効率化等を最大限進めるとともに、必要な体制整備、その中には増員ということも含まれると考えますが、こうしたものに努めてまいりたいと思います。
○小池晃君 増員は待ったなしだと思いますし、来年度は八十人ということで、まあこれも増員は増員ですが、やっぱりこれではとても追い付かないというのが現場の状況ではないかなというふうに思います。
 AEO制度の緩和で税関の三つの使命、これ円滑化と関所と徴税というふうに聞いておりますが、円滑化を進める余りに、関所、そして徴税ということがおろそかになってはいけないと思います。
 今回のような規制緩和、小手先の対策、こういうことで人手不足による問題解消する、しようとするんではなくて、やはり定員合理化計画やめて抜本的な増員を図るということで税関の機能を更に強化していく必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

(反対討論)

○小池晃君 関税定率法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案には、AEO事業、輸入者が関税納期限を延長する際、担保の提出を必要としないとする関税法の改定が盛り込まれています。
 現行のAEO事業者認定については、セキュリティー管理と法令遵守の体制が整備されていることという基準が不十分であり、これまで法令違反があったにもかかわらず不問とされている認定事業者も存在するなど、認定後のチェックにも疑義があります。我が党は制度導入当初からその点を指摘してきましたが、残念ながら是正されておりません。現在でも、AEO輸入者は、本来貨物取引と同時に行わなければならない輸入申告、すなわち納税を無担保で後回しにできるなど十分優遇を受けており、これ以上の優遇は必要ないと思います。
 各種暫定税率や沖縄の特定免税店制度の延長など賛成できるものもありますが、以上の理由で法案全体には賛成しかねます。
 税関の人員不足を制度の緩和によって補うのは本末転倒であり、抜本的な増員こそ関所としての税関の役割を果たす道であるということを強調して、討論といたします。

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