日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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裏金 安倍派幹部そろって喚問を 森元首相も調査対象 小池氏追及 岸田首相認める 参院予算委

2024年03月18日

赤旗2024年3月16日付

 「真実を明らかにする責任は自民党総裁である総理にある」―。日本共産党の小池晃書記局長は15日の参院予算委員会で、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の真相解明を進める姿勢を全く示さない岸田文雄首相を厳しく批判し、清和政策研究会(安倍派)幹部の証人喚問を求めました。岸田首相は森喜朗元首相が調査の対象に入ると認めました。(論戦ハイライト)

 


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(写真)質問する小池晃書記局長=15日、参院予算委

 安倍派は、参院選の年に改選議員にパーティー券の販売ノルマを設けず集めた収入を全額キックバック(還流)し、裏金が選挙買収などに使われた疑惑があります。小池氏は、岸田首相が5日の参院予算委で日本共産党の田村智子委員長の追及に対し、「党としても実態把握に向けてさらなる取り組みを進めていきたい」と答弁していると指摘。「あれから10日がたった。何をしたのか」とただしました。

 

 岸田首相は「来週は衆議院の政倫審の弁明も予定される」と答弁。小池氏は「政倫審は別問題だ。党として調査をやると言ったのにやってない。国会での答弁は口から出まかせか」と批判しました。

 

 裏金づくりが始まった経緯の鍵を握るのは森元首相(清和会元会長)です。小池氏は、岸田首相が自民党の聞き取り調査(2月15日)で森氏の関与を指摘する証言がないことを理由に森氏への聞き取りを拒んでいると指摘。「一方で、総理は聞き取り調査だけでは万全ではないと言っている。ならば総理が自民党総裁として、森氏に国会への出席を促すべきではないか」と迫りました。

 

 岸田首相は「関係者のさらなる聴取を行うか判断する」と答弁。小池氏に「関係者の中に森氏も含まれるか」と迫られ、「森元総理も入る」と明言しました。

 

 小池氏は、世論調査では自民党派閥幹部が「説明責任を果たしていない」との回答が9割に上っていると指摘。「説明責任は果たされていないということだな」と迫ると、岸田首相は「おっしゃる通りだ」と認めました。

 

 小池氏は「真相の全面解明がされなければ、再発防止の対策も立てられない。徹底解明のための国会の役割を果たし、企業・団体献金の全面禁止を求める」と訴えました。

速記録を読む

委員長(櫻井充君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 総理、昨日の政倫審、世耕さん出てこられましたけれども、何を聞かれても、知らない、知らない、相談も受けていない、そういうこと言い続けたわけですね。自民党の政倫審筆頭理事は、筆頭幹事か、残念ながら疑惑は深まった。参議院の自民党国対委員長、疑惑の解明には至らなかった。世耕氏の後で発言をされた自民党の西田昌司議員すら、全く納得できないと。
 総理、国民納得できると思いますか、疑惑はますます深まったんじゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨日の政倫審ですが、我が党所属三名の国会議員が出席し、弁明を行いました、説明を行いました。いずれにせよ、この説明責任について、これで十分だ、打ち止めだというものはありません。この政倫審の説明のみで説明が全て尽くされるというものではないと考えています。
 引き続き、あらゆる場を通じて、自らの置かれた状況をよく省みて説明を尽くすことが重要であると考えておりますし、私としても、こうした関係者の説明を受け、政治責任の判断、再発防止の確実な実施、こうしたものを進めていかなければならないと考えています。
○小池晃君 いや、十分でないどころか、もう疑惑が深まるようなやり取りですよ。
 具体的に聞きます。
 二〇二二年四月の安倍派の幹部会合で、安倍元首相がキックバックやめるように指示出していた。しかし、安倍さんが亡くなって僅か一か月後の八月にまた会合が開かれた。この会合、世耕さんは、安倍元首相がキックバックをやめようと言ったものをなぜ復活させたのか、誰がこんなことを決めたのか、私が知りたい。知りたいのはこっちですよ。西田議員すら、そのとき知らなくても調べて報告することが当然の義務だ。そのとおりだと私は思って聞きました。
 キックバック復活が議論された安倍派の幹部会合に出席していたのは、ほかの三人。塩谷立さんは、キックバックの継続はしようがないという話合いがされたと述べた。下村博文氏は、合法的な形にする案があったと言った。西村康稔氏は、結論は出なかったと言う。言うことが全然違うんですよ、みんな。
 こうなったら、真相を明らかにするためには、やることはただ一つだと思う。これ、一人ずつやっていたら、らち明きません。四人そろって、うそをつけば偽証罪に問われる証人喚問で、世耕氏含めて四人そろって出席をさせて、誰が復活の提案をしたのか、どういう議論して、どういう結論に至ったのか、これ問いただすしかないじゃないですか。これをやっぱりやるべきです。
 あのね、総理、国会が決めることというんじゃ駄目ですよ。それは、最終的にはそうかもしれない。それで逃げちゃ駄目だと思う。自民党が最終的には賛成しなければ実現できないんだ。だから、総理が、これ以外に方法ありますか、この問題で真相を解明する方法が。あるんだったら言ってくださいよ。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) お尋ねの会合めぐりまして、この西村議員、塩谷議員、世耕議員、それぞれ説明を行ったと承知していますが、下村議員についても衆議院での政治倫理審査会の開催に向けた手続進められています。
 まず、このお尋ねの会合について、世耕議員が昨日、自ら、検察の捜査で詳しく聴取された、こういったことも明らかにしており、検察も、清和研の収支報告書の不記載について派閥の幹部の関与は証拠上認められなかった、これを発表しています。
 こうしたことを、こうした取組を踏まえて、引き続きこの説明責任を果たしていくことは重要であると思います。そして、国会においてどう対応されるか、これはまさに、委員おっしゃったように、最終的に国会で判断されるものであると認識をしております。
○小池晃君 私の言ったことに一切答えていないですよ。
 一人ずつやったららち明かないというのが昨日の政倫審でもはっきりしたじゃないですか。そして、政倫審ではやっぱり駄目なんですよ。きちんと、偽証罪に問われる証人喚問をする、四人そろって。そこで聞くのが一番いいじゃないですか。何でそれやらないんです。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政倫審の手続はまだ衆議院で続いていますが、政倫審のこの弁明を、のみをもって説明責任が尽くされたということは申し上げておりません。引き続きまして説明努力は続けられなければならない、このように申し上げています。
 そして、具体的にどうするか、これは国会で御判断されるものであると認識をいたします。
○小池晃君 逃げちゃいけないですよ。
 こういうやり方以上にもうクリアに解明する方法ないと私思いますよ。政倫審で下村さん出てくる、いいですよ、やったらいい。それやったら、次やりましょうよ、じゃ。それで解明できないと思います、多分。だったら、次やりましょう、これ、参議院の予算委員会で。
 委員長、四人並んでいただいて、それで問いただすのが、一番これが分かりやすいやり方だと思いますよ。是非やっていただきたい。
○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○小池晃君 火の玉だと言ってね、聞いてあきれますよ。やるべきことを全然やっていないじゃないですか。
 それから、世耕さんは、参議院選挙の年は改選期の議員にはノルマがないというルール、つまり全額キックバックされる、はあったと、いつからあったのかも誰が決めたのかも分からない、私には何の相談もなく勝手に決まったとおっしゃった。ところが、選挙のために使うことはあり得ないと、ここだけは断言したんですよ。しかし、政治活動であれば、何で六年に一度だけやるんですか。政治活動だったら、ずっとやるべき話じゃないですか。選挙のために使ったと言われても仕方がない。
 総理は、三月五日の当委員会で、我が党の田村智子委員長の質問に対して、委員がお尋ねのように、参議院選挙の年における還付金についてより詳細な事実関係の把握を求める声があることは承知している。聞き取り調査によってのみ責任が、説明責任が尽くされているとは申していない。党としても実態把握に向けて更なる取組を進めていきたい。
 あれから十日、何やったんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、来週は衆議院の政倫審の弁明も予定されています。そうした経緯もしっかり踏まえながら、党として、更なる関係者の聴取についても、何ができるか判断してまいりたいということを申し上げております。
○小池晃君 何もやっていないということじゃないですか。何もやっていないんですよ、やると言っておいて。やっていないじゃないですか。来週の政倫審は別問題でしょう。党としての調査をやると、あなたおっしゃったのにやっていないんだ。結局、国会での答弁は、あなたの答弁は口から出任せだということになりますよ、これじゃ。
 昨日の政倫審では、世耕さんも西田さんも橋本さんも、一体いつから誰が裏金作りを始めたのか全く知らないと繰り返しました。でも、自然現象じゃないんですよ。誰かが始めたことは間違いないわけですよ。始まったのは、塩谷さんが、一九九七年から二〇〇〇年ではないかと。そのときの安倍派会長は森さんですよ。しかし、世耕さんは森さんに聞いていない。
 あのね、総理、安倍派の幹部には真相を明らかにする気は更々ないんですよ。総理は、聞き取り調査で森元首相の関与を指摘する証言がないから森氏に聞くことは行っていないと言った。でもね、一方で、聞き取り調査は万全でないって言っているわけじゃないですか。だったらば、森さんに聞くべきですよ。これだけ疑惑が出ている。昨日の自民党の政治刷新本部でも、森氏の時代どうだったのかちゃんと聞くべきだという声が上がったと聞いていますよ。
 総理が自民党総裁として森元首相に問いただして、国会へ出席してくださいと促すべきではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 来週の政倫審の弁明も踏まえた上で、党として関係者の更なる聴取を行うか、これを判断してまいります。
○小池晃君 その関係者には森元首相は含まれるわけですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 関係者、どの関係者にどういった形で聴取するか、それを判断いたします。
○小池晃君 森さんが焦点になっているんですよ。森元首相も含まれると明言していただきたい。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 関係者、森元総理を始め関係者はおられますが、その関係者の中で、どなたにこの実態を解明するために聴取するか、どういった形で聴取するか、こういったことを判断いたします。
○委員長(櫻井充君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(櫻井充君) 速記を起こしてください。
 改めて、岸田内閣総理大臣。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 関係者の中に森元総理も入ると認識をしています。その上で対応を判断いたします。
○小池晃君 結局一番大事なところは曖昧にしているんですよ。
 世論調査では、説明責任を安倍派と二階派の幹部は果たしていないというのが九割以上ですよ。そして、総理は、説明責任を尽くしたかどうか、これは最終的には広く国民の皆さんがどう考えるかだと答弁されていますよ。
 要するに、説明責任は果たされていないということですね。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるとおりです。だから、先ほど申し上げました、政倫審のみをもって尽くされたとは申しておりませんと先ほど答弁をいたしました。
○小池晃君 説明責任果たされていないとはっきり認めたわけですよ。
 もう、これはこのまんま曖昧にして進むわけにはいきませんよ。証人喚問は絶対必要だと。
 大体ね、総理は今まで一体何やったのか。説明責任果たしていただきたいと言うだけじゃないですか。派閥幹部にも問いたださない、森元首相にも問いたださない。政倫審には自ら名のり出たけれども、しゃべったことは報告書なぞっただけじゃないですか。
 やっぱりね、真相解明のために私はこういうことやりましたということないでしょう。結局、人ごとだったということになると思います。
 あのね、真相の全面解明できなければ、再発防止の対策も立てられません。真相解明はできていないというふうに認めたわけですから、このままで対策も立てられないと私思います。
 真相の徹底解明のための国会の役割を果たすべきだ、そして企業・団体献金、全面禁止を求めます。
 証人喚問、先ほどの四名に加えて、安倍派幹部の萩生田光一さん、高木毅さん、森喜朗さん、証人喚問を求めます。御検討ください。
○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○小池晃君 介護保険の問題について聞きます。
 本日、介護保険の三年に一度の報酬改定が告示されて、訪問介護の基本報酬が引き下げられました。
 先月、NPO法人ウィメンズアクションネットワークの上野千鶴子理事長は、唖然、茫然とした、倒産件数も多く求人倍率も下がらない訪問介護事業者をこれ以上追い詰める改定はあり得ないと批判した。そのとおりだと思います。
 総理は、医療や介護、福祉などの分野の賃上げは喫緊の重要な課題と述べられましたけれども、基本報酬の引下げはそれに反するものではありませんか。総理、お答えください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 介護分野における賃上げ、これは重要な課題であり、岸田政権は公定価格の見直しを掲げ、これまでも累次の処遇改善、講じています。
 今般のこの介護報酬改定では、政府経済見通しで令和六年度の全産業平均の一人当たりの雇用者報酬の伸びが二・五%と物価上昇率と同水準と見込まれている中、こうした見込みと整合的にベースアップを求めているところです。
 その中で、訪問介護については、基本報酬は引き下げているものの、処遇改善の加算措置、これは他の介護サービスに比べて高い加算率、これ設定しています。さらに、中山間地域での継続的にサービスを提供している事業者への加算、あるいは認知症に関連する加算、これは充実させています。介護、訪問介護は、改定全体としてプラスに改定したところであると認識をしております。
 そして、この処遇改善加算を現場で最大限活用いただけるよう、取得促進を図っております。こうした方針は、政府の方針と一致しているものと考えています。
○小池晃君 加算を増やしたというのは、それはいいと思いますよ。いいと思いますけど、何で基本報酬下げるんですかという話ですよ。加算した分は賃金に回っていくということになったら、結局やっぱり事業所の収入は大変な打撃を受けることにこれなるんですよ。(資料提示)資料①
 見てください。訪問介護事業所の収支比率を見ますと、これは三六・七%が収支差率〇%未満、つまり赤字です。これ、三年間、四割が赤字続いているんですね。これ、しんぶん赤旗の取材で明らかになりました。
 確かに、収益率高い事業者もあるんです。サービス付き高齢者住宅など、移動時間を掛けずに回っているようなところは、これは利益率高い。しかし、地域の家を一軒一軒回っていくような中小の事業所は、収入も足りない、人手も足りない、赤字で苦しんでいますと。厚労省のこの結果は、そういう実態を私はリアルに示しているというふうに思うんですね。
 大臣、武見大臣。大臣は、日本医師会も、訪問介護は在宅医療を支えていると、基本報酬引下げには懸念を示しているということを御存じだと思います。
 今でも、赤字の介護事業所が基本報酬の引下げで地域から消えてしまったらもう在宅生活の維持は困難になってしまうんではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(武見敬三君) 地域包括ケアという中で実際にそうしたその在宅の介護というものの重要性というものは、今回の基本料を引き下げたとしても全くその方針は変わりがありません。
 その最大の理由は、しっかりとそうした、特に小規模事業者で赤字のところを対象として、こうした加算措置を幾重にも組み交わせて、しかも手続を極めて簡素化させて対応できるようにしてあるところがあるということで、特にそうしたところの賃金の引上げの財源も確保できるようにしてあるわけであります。その点は十分御理解ください。
○小池晃君 とおっしゃるんだが、加算を積み上げると大幅にプラスになるところがあると、今までになく付けたとおっしゃるんですけど、これ、全国訪問介護事業所三万四千七百七十二ありますが、いずれも今加算を取得していないところというのは三千百五十一、一割もないんですよ。逆に言うと、やっぱり大幅に加算が増えるところというのは本当に少ないわけですね。これが実態です。しかも、今加算取っていない事業所、これ、今もできるだけ多く加算を取得してもらいたいとおっしゃいましたが、取得率どれだけ引き上げるか、目標ありますか。
○国務大臣(武見敬三君) 明白な目標の設定というものはありません。
○小池晃君 ないんですよ。決まっているのは、基本報酬を下げるということだけなんですね。
 それから、先ほど総理は、全体では在宅、訪問介護プラスになるとおっしゃったけど、じゃ、トータルでどれだけプラスになるか、聞いても答えませんよ、厚労省は。訪問介護でどれだけトータルプラスになるか、答えないんですよ。これが実態だ。だから、みんな怒っているわけです。
 上野千鶴子さんや樋口恵子さんが主宰する高齢社会をよくする女性の会、これ撤回を求める緊急声明出しました。ケア社会をつくる会世話人の小島美里さんは、今回の報酬切下げを在宅介護の終わりの始まりだと言っています。認知症の人と家族の会の鎌田松代代表理事も、まさかの引下げ提案は驚くばかりだと。介護報酬が発表されてからこれだけ批判の声が上がるというのは前代未聞だと私は思います。今までこんなことなかったですよ。
 この引下げを中止するには莫大な財源が必要なんだろうか。そんなことありません。訪問介護の総報酬は年間約一兆円です。国庫負担四分の一です。二%引き下げるとすると、これ財政効果五十億円です。一兆円に対して五十億円です。一万円に対して五十円です。僅かなやりくりで撤回できるんですよ、大臣。これ、今日、大臣、告示出しました。武見大臣の名前で告示が出ています。これ、補正予算組むまでもありませんよ。大臣が政治決断をして告示を見直せば、僅か五十億円でこの引下げは止められる。
 これ、やっぱり決断すべきじゃないですか、これだけ声が上がっているんだから。在宅介護の火を消しちゃいけないでしょう。ホームヘルパーの仕事と雇用を守らなきゃいけないでしょう。是非決断していただきたい。
○国務大臣(武見敬三君) 私たち、在宅介護の重要性というのは、もう引き続ききちんと維持して確認していることはもう明白であります。したがって、その火を消すつもりなんかは毛頭ございません。
 その上で、その在宅介護に関わるその加算という措置については、実にきめ細かく今回つくって、そしてその報酬については加算措置が結果としては着実に組み立てられるようになっているんです。したがって、今は九・一%かもしれませんけれども、確実にこうした新たに加算措置をとる施設が小規模でも増えてくることは明白であって、また、それを我々はしっかりとやることによって、小規模事業者、特に中間山地域でもしっかりとそうしたサービスが提供できるようにするという基本方針は全く変わりがありません。
○小池晃君 明白である、全く、やるって言ったけど、数字示せないじゃないですか、どれだけ増やせるのかって。ないんですよ。
 だから、加算措置とることをけしからぬと言っていませんよ。それはいいんですよ。何で基本報酬下げるんですかと。やめればいいじゃないですか。これをやめて、撤回して、そして加算を付ける。わざわざ何で基本報酬を下げるんですかと言っているんですよ。あのね、五十億円ですよ。その支出を減らす。そのためにこれだけ反対の声が上がっているんですから、私は政治的に決断すべきだと。
 それから、これですね、五十億円減らすというようなことを、かつての自民党、公明党はそうじゃなかったと思うんですよ。これ見てください。
 これ、二〇一〇年参議院選挙の自民党選挙公約、持続可能な介護保険制度を堅持するため、公費負担の増加を図り、高齢化の進展により増大が想定される介護保険料の上昇を抑制しますと言っています。二〇一四年に、当時、田村厚生労働大臣に私、質問しました。田村さんは、公費六〇%、そのうち一〇%増加分は国費で出すという案も実はあったとおっしゃっている。
 それから、公明党の新・介護公明ビジョン、これ二〇一〇年の参議院公約にも引き継がれましたが、介護施設の大幅な拡充や在宅介護の充実、介護職員の大幅給与アップ等につながる介護報酬の引上げは必要ですが、介護保険料の上昇を抑制するため、公費負担割合を現行の五割から当面六割に引き上げ、二〇二五年には介護保険の三分の二を公費負担で賄うことを提案します、こういうことを言っていたんです。
 総理ね、私は、介護職員の賃上げ、待遇改善が喫緊の課題だというのであれば、総理、今こそかつての公約を実現するときではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) かつての自民党の公約、政策について御指摘でありますが、持続可能な介護保険制度を堅持する観点から、当時、自民党として介護保険における公費負担の引上げ、これに言及したものであると承知しています。
 その後、二〇一二年の三党合意にのっとって、社会保障制度の持続可能性の確保と財政健全化を同時に達成する観点から、社会保障と税の一体改革の着実な実施、これを図ったところであります。
 税と社会保障の一体改革において、介護分野においては、消費税財源を用いた介護職員の処遇改善や低所得者に対する保険料軽減の強化、これを実施いたしました。結果として、この保険料、公費、それぞれ五割で負担するこの現状の制度、これを維持することになったと認識をしております。
○小池晃君 いや、だから、その三党合意って、別にこれ、三党合意で何か良くなりましたか、介護の問題で。財政構造は変わっていないじゃないですか。このとき提案されたのは、五割の公費負担を六割にしようということを言われたんですよ。それ、今もおっしゃったように、なっていないじゃないですか。私、これやらないと、介護保険制度もたないと思いますよ。
 介護保険というのは、もう本当に不幸な歴史なんですよ。できてから、できるだけ使わせないように、利用抑制するために何が必要かと、そういうことばかりやってきた。なぜそうなっているか。財政構造なんですよ。利用が拡大すると、あるいは介護労働者の報酬を上げようとすると、それが保険料に直ちに跳ね返ってしまう、そういう関係があるから、だからなかなかできない。利用をできるだけ抑制しようというようなことでやってきた、それが人手不足を呼んでいる、事業者不足を呼んでいるんですよ。
 読売新聞が二〇二〇年に調査した。主要自治体首長の九割が、介護保険制度は十年後には維持困難だと言っている。こういう構造を変えなければ、私、未来はないというふうに思うんです。是非、総理、介護給付費の一〇%というのは、これはやはり引き上げるということで、介護保険を真に持続可能な制度にしていくということをやっぱり決断するときが来ているんじゃないかと。いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 保険料、公費、それぞれ五割負担を維持する、こういった経緯については先ほど答弁したとおりであります。
 その上で、高齢化と人口減少という大きな社会変化を迎える中で、介護保険制度が全ての世代にとって安心なものとなるよう、サービスの質を確保しつつ、給付と負担のバランスを図り、制度の持続可能性を維持しながら制度を安定的に運営していく、こうした方針を維持してまいります。
○小池晃君 だから、今言ったとおりだと私は思いますよ。総理が言ったとおりだと思いますよ。そのためには、この財政構造に抜本的なやっぱり手を入れないと駄目なんじゃないですかと。持続可能な制度にするというのであれば、やはりそこにメスを入れていかなければ、今おっしゃったように、全体が本当に幸せに介護を受けられるような社会をつくるのであれば、今のまんまでは行き詰まるんですよ、これ、はっきり言って。そこを私は言っている。
 是非、この介護給付費一〇%、現在の給付費からすると一兆三千億円。五年間で四十三兆円の軍事費、これ見直せば、これはできますよ。介護報酬の引下げは撤回すべきだ。国庫負担割合の引上げを始めとする介護保険制度の抜本的な改革を求めていきたいというふうに思います。
 最後に、選択的夫婦別姓、今日も何回、何人かから取り上げられておりますが、この問題取り上げたい。
 法律で夫婦に同姓を強いているのは、世界で日本だけです。九六年に法制審が導入を答申してから二十八年です。いよいよ導入に踏み切るべきではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) その点、先ほども答弁させていただきましたが、選択的夫婦別氏制度の導入については、令和三年の世論調査等を見ても意見が分かれていると認識をしております。最高裁においても、国会で論ぜられる、判断されるべきである、こういった指摘があります。国会においての議論が重要であると認識をいたします。
○小池晃君 先ほどから、令和三年でしたっけ、内閣府の世論調査を取り上げられていますが、あの世論調査は、内閣府の男女共同参画局の反対を押し切って、それまで二択だった質問、現行制度か選択的夫婦別姓かという二択だったものをわざわざ三択にしたんですよ。その三択で入れたやつは通称使用という、これは法制審でも一度も、これは却下されたんですよ。それを入れて三択にして、数字を変えたんですよ。そういう意図的なものであるということが指摘されていることを御存じないのか。
 昨年十月に発表された法政大学、国立社会保障・人口問題研究所に所属する研究チームによる全国大規模調査、選択的夫婦別姓の賛成率、八三・九%ですよ。
 総理は、国会での議論、国会の議論と言うんだけど、国会で、だから議論しましょうと言っているんですよ。だって、法制審は法案要綱をまとめているんですから。これを提出していただいて、徹底的に各党から案を出して、いろんな考え方あると思います、確かに。時間掛かってもいいと思いますよ。で、もう法案を出して、たたき台にして、それでみんなで議論しようじゃないですか。
 総理は、決して議論を否定しているわけではないとおっしゃっているんだから、国会に提出して議論をする。いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国会で議論することは重要だ、それは当然のことであります。
 自民党としてどう対応するか、これは自民党において、今、先ほど申し上げました、国民のこの考え方、これが分かれている中にあってどうあるべきなのか議論を行ってまいります。
 その上で、国会の議論に貢献したいと思っています。
○小池晃君 あのね、分かれている、分かれていると言うけど、分かれていないんですよ。やっぱり導入の方向に世の中は大きく今変わってきているんですよ。
 五月の共同通信の世論調査でも、賛成七七%ですよ。そして、二月には、日本経団連の十倉雅和会長が、選択的夫婦別姓について、一丁目一番地としてやってほしいと言っている。そして、三月八日には、ビジネスリーダー有志の会が千人を超える日本の経営者の署名を添えて、選択的夫婦別姓の導入を申し入れた。首相補佐官出席されていました、私もいましたから。要請書を受け取っています。
 この要請書、御覧になりましたか。こうした経済界からの要求をどう受け止めているんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 要請書、手元に持ってきております。拝見いたしました。
 こうした意見もしっかり受け止めた上で、この問題をどう考えるのか、先ほど申し上げたように、この国民の考え方、これが分かれる中にあって政治としてどう責任を果たすのか、政府、自民党として、この問題について議論を今進めているところであります。
○小池晃君 分かれている、分かれていると言うけど、自民党以外はみんな賛成しているんですよ。みんな賛成しているんですよ、これ。公明党だって賛成しているんですよ。自民党の中が分かれているんでしょう。今もうはっきり認められた、今自民党の中が分かれているとおっしゃった。そうなんですよ。
 しかも、自民党の中だって、この間の総選挙の前のアンケートには、もうほとんどの人は、どちらかといえば賛成と言っています。法務大臣、今日呼んでいないけど、法務大臣もどちらかといえば賛成と言っています。総理だって、選択的夫婦別姓の導入を求める議員連盟の呼びかけ人やったじゃないですか。
 大体、日本の経団連の十倉雅和会長と日本共産党の小池晃が同じこと言っているんですよ。これ皆既日食みたいなものですよ。こんなことめったにないですよ、ねえ。もう意見がほとんど、これはもうコンセンサスができているといっても、自民党の中のごく一部の何かちょっと特殊な声を上げている人たちがいるだけで、ほとんどの人は、もうこれは世界では当たり前なんだからやろうと言っているんですよ。やりましょうよ。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来申し上げておりますように、内閣府の世論調査、意見が分かれていると認識をしておりますし、自民党の中でも今議論が続いております。
○小池晃君 あのね、あの内閣府の世論調査は、あれは違うんです、間違っている、あれはおかしな世論調査やっている。今までとは違う項目に突然したんですよ。やっぱりああいう意図的な攪乱工作みたいなことをやるべきではないと。
 大体、様々な意見があると。それは、だから自民党の中のごく一部に、一部ですよ。家族のきずなが壊れるみたいな、壊れませんよ。だって、今事実婚で別姓でやっている人だって、家族のきずなはむしろ強いですよ。大体、様々な意見があるから慎重にと言うけど、様々な意見があるから選択できるようにしようと言っているんですよ。だから、別姓にしたくないという人は、したくないんだったら同姓のままでいいんですよ。そういう人まで別姓にしろという制度じゃないんです。自分の生まれ育った氏を捨てたくないという人には別姓を選んでいいじゃないかと。だから、選択的な夫婦別姓にしようと言っているんですよ。
 何で反対するんですか。選択したいと言っている人の権利を奪う、そんな権利は国会、政治家には、私、ないと思います。選びたい人が選べずに苦しんでいるんですよ。ならば、苦しみを取り除くのが政治の責任ではありませんか。選ぶことができればとっても幸せになれる人がいっぱいいるんですよ。政治というのは、幸せになる人を一人でも多く増やすためにあるんじゃないですか。
 総理、あくまで選択なんですよ。それを選びたい人が選べばいいではないかという制度なんですよ。何をためらっているんですか。是非これを議論して、国会で法案も出していただいて、そんな、だから、もう強行しようなんて言いませんよ。じっくり議論しよう、いろんな党からいろんな考え方出してもらって、是非これやろうじゃないですか。少子化対策だというんであれば、お金が一円も掛からない。このことによって、別姓が実現したら結婚したいと言っている人いますよ、たくさん。是非やりましょう。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 自民党の中においても、この制度について推進する人間もある一方で、それに対して慎重な議論もある、これが現実であります。しかし、その背景には、国民のこうしたこの問題に対する認識もあると承知をしています。それらを踏まえて、国会でどのような議論を行うのか、これを判断してまいります。
○小池晃君 今日のやり取り通じて、意見が分かれているというのは、自民党の中で意見が分かれているんだということがはっきりしたことは非常に重要ではなかったかなというふうに思います。
 昨日は札幌高裁で、同性婚認めないのは婚姻の自由を認めた憲法に違反するという判決が出ました。ここでも立法府の責任が問われていると思います。
 多様性を認め、国際水準のジェンダー平等を認める国へ前進することを強く求めて、質問を終わります。
○委員長(櫻井充君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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