日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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社保差し押さえ 最多 保険料軽減・猶予を 参院財金委で小池書記局長

2024年03月14日

赤旗2024年3月14日付

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(写真)質問する小池晃書記局長=12日、参院財金委

 日本共産党の小池晃書記局長は12日の参院財政金融委員会で、中小企業や中堅企業が社会保険料を払いきれずに倒産する“社保倒産”が各地で起きているとして、「社会保険料の負担軽減、納付猶予で企業の存続を図るべきだ」と求めました。

 

 小池氏は2月に岩手県内で2番目の事業規模のタクシー会社が社会保険料滞納による差し押さえで倒産し、従業員85人全員が解雇されたと指摘。厚生労働省の巽(たつみ)慎一年金管理審議官は、昨年12月時点で2023年度の差し押さえ事業者は3万4000件にのぼると答えました。

 

 小池氏は「差し押さえ件数は過去最多だ」と指摘。中小企業はコロナや物価高、インボイス(適格請求書)などの新たな負担で苦境に追い込まれており、「差し押さえありきではなく、実情をつかみ、丁寧に対応すべきだ」と主張しました。

 

 事業の継続を困難にするおそれがある場合の社会保険料の猶予期間は「最長で4年」と答えた巽氏に、小池氏は「現場はそうなっていない」と指摘。「一括返済できなければ、クレジットカード会社から支払われる売掛金を差し押さえる」などの厳しい取り立て実態を告発し、「社会保険料の取り立てにより中小企業を廃業に追い込むことはあってはならない」と迫りました。

 

 鈴木俊一財務相は「あまりにも取り立てが厳しすぎて破綻に追い込むのはいかがなものか」と答弁。巽氏は「昨年10月初め、納付計画が不履行の場合、計画見直しの協議などを年金事務所に周知した」「納付猶予の緩和制度を適用するなど指導する」と答えました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今、多くの中小・中堅企業の間で、厚生年金保険料などの社会保険料が払えない社保倒産という言葉ささやかれていると。先ほど、若松議員からも指摘がありました。大臣、この社保倒産という言葉、聞いたことはございますでしょうか。そして、どういう状況というふうに認識されていますか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 最近、時々新聞の見出し等にあることは拝見をして、認識をしております。
 こうした社保倒産ということについて申し上げますと、東京商工リサーチの調査結果によりますと、令和五年の倒産件数は、八千六百九十件、前年から増加をし、コロナ禍前と同程度の水準になっております。そのうち、社会保険料を含む税金滞納関連倒産数は、件数は五十五件となっていると承知をしております。
 数字の上のみならず、その背景ということもしっかりと認識をしなければいけないと思います。
○小池晃君 非常に深刻な事態が進行していると思うんですね。
 今年二月一日、大臣の地元岩手県内で二番目の規模を誇っていた盛岡の岩手中央タクシー、破産しました。従業員の八十五人、全員解雇なんですが、報道によると、これ長らく経営不振の状態にあったんですけれども、コロナ禍で利用者数が減った、厳しい状況になった、その結果として、社会保険料を滞納していたところ、年金事務所によってタクシーの一部を差し押さえられ、そして、事業を継続する見通しが立たなくなって破産に至ったということなんですね。こういう事態が各地で起こっております。
 厚生労働省に聞きますが、今年度の社会保険料滞納による差押えの件数、何件でしょうか。急増している原因も含めて、お願いします。
○政府参考人(巽慎一君) お答えいたします。
 令和五年度の十二月時点での差押事業者数につきましては、約三・四万事業所でございます。また、要因につきましては、令和二年から三年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして差押えを一部停止しており、その間対応する予定だった事案も含めるため、令和五年度の差押件数は令和二年、三年より増加し、新型コロナウイルス感染流行前の同程度の水準となっております。
○小池晃君 三万四千というのは、十二月の段階でいうとこれもう過去最高になることは間違いないわけですね。
 コロナの下で必死に頑張ってきたわけです。今度は物価高騰に苦しんでいる。そこにゼロゼロ融資の本格返済、インボイスによる負担、苦境に追い込まれているわけですね。こういう状況で社会保険料の支払滞っているんですから、厚労省ね、まず、差押えではなく丁寧に対応すると、実情をつかんで対応するということが必要ではありませんか。
○政府参考人(巽慎一君) お答えいたします。
 保険料の納付が困難となった場合につきましては、日本年金機構におきまして各年金事務所に対して、直ちに財産の差押えを行うのではなく、まずは事業主に電話や文書で連絡を取り、事業所の経営状況あるいは将来の見通しなどを丁寧に伺いながら、猶予のある、猶予による分割納付の仕組みを活用するなど、事業所の状況に応じて丁寧に対応を行うよう指導しているところでございます。
 個々の事業所の状況を丁寧にお聞きしながら適切に対応するよう、日本年金機構に対しても指導してまいりたいと思っております。
○小池晃君 丁寧に丁寧にとおっしゃるし、先ほど厚生労働副大臣も丁寧に対応しているとおっしゃったし、でも、若松議員も指摘したように、現場の実態違うんですよ。例えば、一年以内で完納せよとかですね、それから三か月しか認めないと、社会保険事務所のその事務所の内規があるんだと言ってみたりですね、あるいは一括納付を迫る、もう無理な納付誓約をさせて、一度でも納付できないと直ちに差押えといった話が本当に山ほどあるんですね。
 これ、確認的に聞きたいんですが、国税庁、事業の継続を困難にするおそれがある場合に認められる猶予期間、最長で何年でしょうか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 滞納者が国税を一時納付することなどによりまして事業の継続を困難にするおそれがある場合の猶予制度といたしましては、滞納者の申請による換価の猶予と税務署長が職権で行う換価の猶予がありまして、猶予期間はそれぞれ原則として最長一年間とされております。ただし、やむを得ない理由があると認められる場合には、猶予期間をそれぞれ最長二年間まで延長することができるとされております。
 したがいまして、一般論といたしまして、こうした措置が全て適用された場合には最長で四年間猶予することが認められることとなるということでございます。
○小池晃君 これは社会保険料についても同様ということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(巽慎一君) 厚生年金保険料の徴収につきましては、厚生年金保険法第八十九条によりまして、国税徴収の例によることとされていることから、換価の猶予の取扱いについても国税庁と同様であるということでございます。
○小池晃君 ところが、現場ではそういう対応になっていないということが、やはりいろんな、若松議員のところにも寄せられているとお話ありました。私のところにもいっぱい来ているわけですよ。
 これは国税庁に聞きますが、国税庁基本通達四十七の十七、差し押さえる財産について留意すべき事項として、第三者の権利を害することが少ない財産である、あるいは滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障が少ない財産であるということが挙げられていますが、この通達に基づいて執行されていると、執行されるべきということでよろしいですか。
○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、国税徴収法基本通達第四十七条関係十七におきまして、差押え財産の選択に当たりましては、第三者の権利を害することが少ない財産であること、滞納者の生活の維持又は事業の継続に与える支障が少ない財産であることなどに十分留意して行うこととされております。
○小池晃君 しかし、現場では、この内容、通達の内容が無視されているんじゃないか。先ほどタクシー会社、盛岡のタクシー会社などもタクシーの車両を差し押さえられているわけですね。売掛金が差し押さえられる、そんなことももういろんなところで出ているわけですよ。
 大臣に私、お聞きしたいんですが、実は二〇〇九年六月の財政金融委員会で当時与謝野馨財務大臣が我が党の大門実紀史議員に対して、これは税の問題ではあるんですが、こういうふうに答弁しています。税を払ってくださる方を破綻まで追い込んで税を取ろうということは妥当性を欠くと思っていると。私もそのとおりだと思うんですが、財務大臣、今もこの立場に変わりはございませんか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 国税の滞納整理につきましては、国税当局において、法令に基づいて滞納者の事業や財産の状況など個々の事情を十分に把握した上で、法令の要件に該当する場合には納税の猶予などの緩和制度を適用するなど、その実情に即しつつ、適切に処理する、処理するよう努めていると承知をしております。
 そして、御指摘のございました与謝野財務大臣が発言をした二〇〇九年当時からこうした基本的な取扱いは何ら変わりがありません。
○小池晃君 やっぱり、税とか社会保険料を取り立てることによって破産してしまうというようなことはやっぱりあってはならないというふうに私は思うんですが、いかがですか。率直な大臣の政治家としての思いを。
○国務大臣(鈴木俊一君) 一つは、やはり公平性ということもあるんだと思います。
 納税というのは一つの義務であるわけでありますし、社会的サービスを支えるこの財源でございますので、納税というのはしっかりやっていただくということを前提にしながらも、与謝野大臣の発言にもございましたが、余りにも取立てが厳し過ぎて破綻に追い込むというようなことはいかがなものかと、そう思います。
○小池晃君 私も、もう当然そうだと思うんですね。
 しかし、社会保険の取立てにおいては、一括返済できなければクレジットカード会社から支払える売掛金を差し押さえるというようなことがこれ横行しています。
 私、厚労省として日本年金機構や年金事務所にきちんと指導すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(巽慎一君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、直ちに、保険料の納付が困難になった場合に、日本年金機構におきましては、直ちに財産の差押えを行うんじゃなくて、事業所の経営状況等を踏まえながら、猶予による分割納付の仕組みを活用するということで対応を行っているということでございます。また、財産の差押えをするに当たりましても、事業の継続に影響の少ない財産を優先して対象とするということになっております。
 加えまして、昨年十月を始め、各年金事務所に対しましても、猶予を適用している事業所ごとに猶予期間を再点検すると、あるいは納付協議に応じないような誠意ある対応がなされない場合でも、猶予を取り消し、財産の差押えを行うことになりますけれども、そのような場合でも法令上の根拠を示し丁寧に対応するということで、年金事務所に対して周知しているところでございます。
○小池晃君 当事者の多くは社会保険料の支払否定しているわけじゃないんですよ。やっぱり経営は維持していくと、維持しながら納付できる額で払っていきたいと。納付の意思を示して、無理のない分割納付を求める要請書なり請願書なりを出している。ところが、差し押さえられている。これはもう私、明らかに国税徴収法の規定や趣旨に反すると思うんですね。
 こういう事態が起こっているというのは、私が言っているだけじゃなくて公明党の方も言っているわけですから、これは、やっぱりこういう事態が起こっているんですよ。ちゃんと守っている、守っていると言うけど、守られていないんですよ。そういう実態があるんですよ、間違いなく。だから、やはりこれはきちんと正すべきだということを強く申し上げたいと思います。
 納税緩和措置以外にも、分割納付というのをこれ柔軟に認めるべきだと思いますが、いかがですか。先ほども答弁ありましたが。
○政府参考人(巽慎一君) 日本年金機構におきましては、昨年十月を始め、納付計画が不履行な場合は猶予期間内での計画見直しを協議するということ、それと、毎月の納付額が均等でない変動型の納付計画を承認することが可能であるということを年金事務所に対して周知したところでございます。
○小池晃君 そういったことをもっともっと広く国民にも知らせると、こういったことをやっていますよということをやっぱり事業者さんにも伝えるという努力も必要じゃないですか。そういったこともやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(巽慎一君) 保険料の納付に当たりましては、当然、法律にのっとって適正に対応しなければならないということでございますけれども、一方、事業主の経営状況などの問題があるということもございますので、納付に誠意のある事業者に対しましては納付の猶予など緩和制度を適用するなどしまして、その実情に即しつつ適切な処理を努めてまいりたいと思っております。年金事務所、機構に対しても指導してまいりたいと思っています。
○小池晃君 大臣、私、この問題、非常にこれから、これ大問題だと思うんですね。この社会保険料の問題で倒産が続出するというような事態はこれ避けなければいけないのではないか。
 コロナが終わったから、コロナのとき猶予していたから今一斉に取り立てる、それでいいんだろうかと。廃業に追い込むような徴収を避けるべきだと思いますよ。真面目に事業をやっていて、経営を立て直そうと頑張っている、でも、払いたいけれども払えないという事業者なんですよ、だから、事情をよく聞くと。
 今、先ほども議論ありましたけど、財務省、金融庁としては、中小企業の事業再生のための支援を行う、金融機関に要請しているわけですよね。しかし、現場で起こっていることは、もう税金より先に社会保険料払えと言われたとか、あるいはその銀行の返済をリスケして保険料払えと言われたとか、そういう話も来ているんですよ。
 金融庁として、これは幾ら金融機関に要請をしても、年金事務所がこういうことをやってて足並みがそろわなければ、これは事業再生もままならなくなるんではないかということを大変危惧するわけです。
 本業で収益を出せる見込みがあると、金融機関の支援姿勢が明確だと、再建の条件があるときはやはり強硬手段を取らない、長期の支払を認めるということが、逆にこれは企業を存続させ、社会保険料を今後も徴収をするという上でも得策ではないかと私は思うんです。結局、企業倒産してしまえば、保険料は徴収できても本末転倒なわけで、地域経済にも広くこれ影響が及ぶことになるわけですよね。
 事業再生で情報共有すると先ほど厚生労働副大臣も答弁をされておりましたけれども、やっぱりそれだけではなくて、きちんとこの、本当の意味でやっぱり足並みをそろえるというか、これは金融再生大臣の所管から外れる部分もあるかと思いますが、やっぱり岸田政権として、やはり中小企業を応援し、税金も社会保険料も支払ってもらうという立場で、今のこの実態について、政府としてもきちんと対応していくということが私は必要ではないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 政府といたしましては、挑戦意欲のある事業者に対し、金融機関が経営改善、事業再生に重点を置いた支援を行っていくことが重要であると考えております。
 こうした支援を促すため、再生支援の総合的対策を、財務省、金融庁、経産省の連名で、八月八日公表いたしました。あっ、三月八日、三月八日に公表いたしました。
 金融庁といたしましては、今般の総合的な対策に沿って、民間金融機関に対し、事業者の収益力向上に向け、一歩先を見据えた経営改善、事業再生支援の強化を求める監督指針の改正を行うほか、小池先生御指摘の社会保険料などへの対応については、金融庁に相談窓口を設置いたしまして、公租公課の分割納付の要望を含む事業者の経営改善、事業再生に向けた資金面での悩み事をしっかりと把握するとともに、厚生労働省を含む関係省庁間の情報共有や連携を強化する枠組みとして、事業再生情報ネットワークを構築をいたしまして、それを通じ、関係省庁と情報の共有の上、連携を図って、行ってまいります。
 金融庁としては、こうした取組を通じまして、社会保険料等で悩み事を抱える事業者等についても、その実態に応じて、金融機関を含む関係者による支援の強化が進むように万全を期してまいります。
○小池晃君 そういう方向で是非、これは強力な取組を進めていただきたいと思います。
 もう質問しませんが、やはり、根底には社会保険料が高過ぎるという問題が僕はあると思うんですね。
 従業員の賃金上げれば、直ちに社会保険料の事業主負担に跳ね返っていくわけですよ。まるで賃上げへのペナルティーのようなことになっている。そしてそれが倒産の引き金まで引いているという実態があるわけですね。
 これ、今日はもう質問しません。次、また別の機会にやりたいと思うんですが、本会議で私は、やはりその賃上げ税制ではなく、社会保険料の軽減という直接支援をやるべきだということを申し上げましたけれども、大臣は、これは医療や年金の給付を保障するのは事業主の責任だということで、これは否定をされました。これ事業主の責任であることは、私、間違いないと思います。そのとおりだと思います。しかし、そのために賃上げができなくなってしまったり倒産したら元も子もないじゃないですか。
 私は、この社会保険料の問題というのは、これ中小事業者の賃上げを本気で進めるためのやっぱり施策として真剣に考えるべきだと。私たちは大企業の内部留保に時限的に課税をしてそれを充てると言っているわけですから、これはある意味では事業主の負担でやろうという話ですから。大臣の御趣旨にも反しないのではないかなと思いますので、その辺の議論はまた改めてさせていただきたいというふうに思います。
 終わります。

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