赤旗2024年1月22日付
日本共産党の小池晃書記局長は21日のNHK「日曜討論」で、能登半島地震の被災者支援、自民党による裏金疑惑を受けての政治資金問題、物価高騰への対応など経済政策について、各党の幹部と議論しました。
被災地寄り添い
小池氏は、能登半島地震から3週間がたつなか、約1万4000人が「いまだに寒さと不安のなか、厳しい避難生活を強いられている」と強調。断水でトイレが使用できず深刻な状況や高齢化率が高い地域で感染症が広がっている現状を指摘しつつ、災害関連死の防止と、ジェンダーの視点を含めた避難所の抜本的改善を訴えました。
また小池氏は、震災により、3万棟を超える家屋に被害が出ているとし、最優先に安心して住める住宅の確保、道路復旧をと訴え、中・長期の課題として地場産業の復興、生活と生業(なりわい)の再建を「被災地に寄り添った形で、政治が最後まで責任を果たすべきだ」と主張しました。その上で、大阪・関西万博の中止、深刻なトラブルが起こった志賀原発、柏崎刈羽原発の即時廃炉を主張しました。
裏金真相解明を
小池氏は、「しんぶん赤旗」日曜版のスクープが発端となり、自民党の組織的な裏金疑惑が明るみに出たと指摘。政治資金規正法の趣旨は、政治資金の出入りを国民の不断の監視と批判の下に置くことだと述べ、一連の疑惑は「単なるミスではなく、法と議会制民主主義を踏みにじるものだ」と強調しました。
さらに小池氏は、「3人の国会議員と会計責任者が起訴されたのは重大だが、政治家が知らなかったというのはあり得ない。これで幕引きにするわけにはいかない」と述べ、派閥の解散を目くらましに、岸田文雄首相が真相解明に乗り出さないことを批判しました。同時に、小池氏は、「国会で証人喚問を含めて、徹底的に明らかにすべきだ」と主張しました。
小池氏が賄賂性のある企業・団体献金の全面禁止が最も重要だと訴えた一方、自民党の茂木敏充幹事長は、「企業・団体も社会を構成する一員。個人と同様に憲法で保障されている政治活動の自由が認められている」とあくまでも全面禁止に否定的な態度を崩しませんでした。
公明党の石井啓一幹事長は「企業・団体献金そのものというよりも、裏金化したことが問題だ」と問題について論点をそらしました。
小池氏は茂木氏の強弁に対し、「企業にも政治活動の自由はある。しかし、企業が政治に1票を投じる権利はない。力を持っている企業が献金し、政治がゆがめられれば、国民の参政権が侵害されることになる」と反論。「企業・団体献金を禁止する」と言って政党助成金を導入しながら、政党・政党支部への企業・団体献金、政治資金パーティーという「二つの大穴」を開けたとして、「裏金化した原資は企業・団体が購入したパーティー券収入だ。企業・団体献金も、企業・団体によるパーティー券購入も禁止して、完全に穴を防ぐことが必要だ」と力説しました。
立憲民主党の岡田克也幹事長は、裏金疑惑の中心にいる安倍派幹部や二階派幹部について「少なくともしっかりと説明責任を果たす、そのことは大前提」だと述べました。
最賃一律1500円に
今後の経済見通しについて、茂木氏が消費者物価の上昇よりも所得の増加率が上回るとしつつ、「名目GDP(国内総生産)も今年は600兆円を超えると見られている。日米の金利差も若干だが縮まる傾向にある。経済は好転する」と述べました。このことに対し、小池氏は、「あまりに楽観的だ。昨年は中小企業の倒産がバブル崩壊後で最も多くなり、城南信用金庫などの調査で、35%の中小企業が『賃上げできない』と答えている。一部の大企業だけ見ていても、景気の実態はわからない」と述べ、「今までの政策からの抜本的な転換が必要だ」として、中小企業支援を強化して全国一律最賃1500円への引き上げ、国の責任で介護や保育などケア労働者の賃金引き上げ、非正規ワーカーへの格差・差別の一掃、消費税5%への減税、インボイス(適格請求書)制度の廃止、物価にあわせた年金引き上げ、学費半額など教育費の負担軽減を訴えました。