赤旗2024年1月11日付
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府は10日、軟弱地盤が広がる大浦湾側の地盤改良工事に着手しました。午後0時15分ごろ、沖合に停泊する石材を満載した台船から2台のパワーショベルが石材投入を開始。同日の作業は約3時間続きました。(関連記事)
昨年12月28日、国が同工事のための設計変更を、県の権限を奪う「代執行」の強行で「承認」したのに伴うもので、新基地建設反対の民意や地方自治を踏みにじる暴挙です。玉城デニー県知事は判決を不服として同27日に最高裁に上告しています。
今回始まったのは護岸を建設するためのケーソン(大型のコンクリート製の箱)などを置く海上ヤードの建設工事。パワーショベルが投入する石材を台船からすくい上げるたびに粉じんが舞い上がっていました。
大浦湾は多様な生態系が存在する世界でも有数の貴重な海です。海上で監視行動を行っていた「ヘリ基地反対協議会」の海上行動チームメンバーの女性(64)は「生態系を破壊している。本当にひどい自然破壊行為だ」と憤りました。
林芳正官房長官は10日の記者会見で、工期は9年3カ月とした上で、「本日の工事着手がこの起点にあたる」と説明。しかし、最深90メートルにおよぶ軟弱地盤改良は難工事であり、実際はさらに長期にわたることは確実です。
「ヘリ基地反対協議会」共同代表の東恩納琢磨さんは完成の見通しも立たないままの着工強行は「むちゃくちゃだ。費用も国の言う9300億円では済まない。県民は納得していない。これからも座り込みを続ける」と力を込めました。
ただちに中止せよ
小池書記局長 抗議のコメント
日本共産党の小池晃書記局長は10日、大浦湾の埋め立て工事強行に強く抗議する次のコメントを発表しました。
辺野古新基地建設をめぐり、政府は10日、軟弱地盤が広がる大浦湾の埋め立て関連工事に着手した。
政府は昨年末、軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更申請に関し、国が県の承認権限を取り上げる代執行にふみきった。地方自治法に基づく代執行は初めてのことである。民主主義と地方自治をふみにじる国の強権発動に全国で反対と疑問の声が上がっている。
しかも、2013年の埋め立て承認の際に付された留意事項に基づき、工事の実施設計について県との事前協議が義務付けられているにもかかわらず、それさえ無視して着工したものであり、到底許されるものではない。
政府は工事をただちに中止し、県との話し合いに応じ、普天間基地の無条件撤去にふみきるべきである。