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小池 晃

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訪問診療 制限の恐れ 要介護度などで線引き 小池氏告発 参院厚労委

2014年03月13日

「赤旗」3月14日付け
 
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(写真)質問する小池
晃議員=13日、参院厚労委

診療報酬の見直しで、在宅の訪問診療を受けられる患者が要介護度4以上や認知症の高齢者に限定されかねないことが13日までに分かりました。日本共産党の小池晃議員が同日の参院厚生労働委員会で明らかにしました。

田村憲久厚労相は答弁で否定せず、小池氏は「介護保険でも要介護度の低い人を排除する。医療保険の訪問診療でも要介護度を基準に切り捨てていく。こんなことをすれば生きていけなくなる」と批判しました。

厚労省は訪問診療を行う要件として患者らの同意書を求めています。厚労省の検討資料では「要介護度4以上または認知症を除く」と明記されています。

小池氏は「それ(要介護度4以上など)以外の高齢者に対する訪問診療は制限され、審査の対象になりかねない。これでは訪問診療は成り立たなくなる」と指摘しました。

また、高齢者施設などへの訪問診療の診療報酬が大幅に減らされようとしていることについて、東京保険医協会のアンケートには怒りの声が広がっていると紹介。「在宅医療に取り組む医師が施設への訪問診療を続けられなくなる」と主張しました。

田村厚労相は実施後の見直しについて「そのような状況が生じれば中医協(中央社会保険医療協議会)にはかる」と答弁しました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
質疑順序変更に配慮いただいたことを感謝申し上げます。
十一日に閣議決定された労働者派遣法案は、派遣労働は臨時的、一時的という大原則を覆すもので、今日は内容についての議論は入りませんが、閣議決定に至った過程について絞って議論したいと思います。
ILOの諸条約では、フィラデルフィア宣言を始めとして数多くの分野で労使参加という原則にしております。日本は、ILO条約第八十八号条約を批准をしているわけです。
まず確認ですが、公労使三者構成の原則は何のためのものか、御説明ください。端的にお願いします。

○政府参考人(岡崎淳一君) 労働関係の制度につきましては、働く現場の実態を知っている労使の方々の意見を聞きながら議論を進めていく、これが必要だと、こういうことで三者原則があるというふうに理解しております。

○小池晃君 ところが、今回の派遣法の議論の仕方を見ますと、産業競争力会議や規制改革会議で先行した議論が行われて、閣議決定で既成事実化していくと、こうした議論の進め方については、労働側から三者構成主義に反するという指摘が再三行われているわけであります。
八月の部会で労働側は、雇用労働問題はILOで定める三者構成の労政審で扱うべきだ、労働代表が入らない場で決めた規制改革実施計画を閣議決定するなと発言をしております。九月にも、施行もされていない申込みみなしを廃止も含めて議論すると規制改革会議で議論していると、行政府の在り方として問題だというふうに指摘をしている。ところが、十月も十一月も会議では規制改革会議の意見が報告されて資料配付がされているわけですね。
大臣、派遣法をめぐる今回のこの議論の過程というのは、私は、公労使三者構成で合意形成するという点で労働側が指摘するような問題があったと思うんですが、大臣は問題があったと思われませんか。

○国務大臣(田村憲久君) 規制改革会議を含めいろんな場でいろんな議論がなされておるのは承知をいたしております。
その上で、今般、労働者派遣法の改正に向かっては、労働政策審議会の中の部会において御議論をいただいて、そこは三者構成でございますので、その中での御議論において今回の法案提出をさせていただいたわけでございますので、いろんな御議論はいろいろなところでやられておられると思いますけれども、政策としてそれを決定をするに当たっては三者構成の下で議論をいただいたということであります。

○小池晃君 いや、大体そういうレール引いちゃってから部会でやりましたって、こういうやり方で労働側、私納得できないと思いますよ。
しかも、オブザーバー参加ということをやったわけですね。労政審の職業安定部会労働条件分科会で、過去にオブザーバー参加した例、紹介してください。

○政府参考人(岡崎淳一君) 需給部会でよろしゅうございますか。
需給部会につきましては、平成十四年当時、平成十五年の労働者派遣法改正の審議の際にもそれぞれ労働側、使用者側、一名ずつのオブザーバーに参加していただいております。

○小池晃君 オブザーバー参加認めたのは過去一回だけで、異例のことなわけです。しかも、派遣業界の代表を入れたわけです、今回ね。そして、その会議ではそのオブザーバーが労働側の主張への反論の先頭に立って何度も何度も発言をしている。報告書の中にも、直接の利害関係を有する派遣元事業主が非常に多くの発言を行うなどバランスに懸念があったと、そう記載されているわけですね。
衆議院では、大臣が政治連盟新労働研究会から五十万円の寄附とパーティー券十四万円、計六十四万円の政治献金を受け取っていることが指摘をされております。
その政治連盟新労働研究会の母体である日本生産技能労務協会が昨年七月に要望書を大臣に提出した、今日お配りをしている資料の一ページから四ページ目です。その中に直ちに実現していただきたい事項というのがあって、需給調整部会に派遣元事業主の代表を参加させることとあって、それが直ちに実現をして、八月三十日からオブザーバー参加しているわけですよ。
大臣、事実経過はこのとおりで間違いないですね。

○国務大臣(田村憲久君) まず、事実経過としては、大臣になってからはいただいておりません。
そのようなお金はいただいていないということでございます。それだけであります。

○小池晃君 それ以外の事実経過を。

○国務大臣(田村憲久君) いろんな方々が要望には来られております。労働組合の方々も来られれば、いろんな団体の方々も来られるわけでありまして、事立ててこの団体だけの要望を聞いているわけではありません。

○小池晃君 ところが、この要望書の二ページ目の一番下から三ページにかけて、例えば一番、登録型派遣及び製造業派遣を禁止したり、規制強化しないこと。二、特定労働者派遣事業については、一般労働者派遣事業と同じ規制を行うこと。三、派遣可能期間の制限については、業務ごとの制限でなく、個々の派遣労働者ごとの就労期間の制限とすること。ただし、派遣元において無期雇用の労働者については、就労期間の制限を設けないようにすることと書かれている。
厚労省に聞きますけれども、今私が紹介をした項目はほとんどそのまま今回の法律に入っていますよね。

○政府参考人(岡崎淳一君) 先生御指摘の項目はそうでありますが、それ以外の項目につきまして、意見書どおりにはなっていない部分も多々あるというふうに理解しております。

○小池晃君 一〇〇%同じだったら大変なことなんですよ。根幹部分ほとんど入っているわけですよ、これが。
私、三者構成主義の原則に反して労働者代表が入らない規制改革会議でどんどん方針決めて、閣議決定して、それが資料として配付される中で部会の議論が行われ、そして部会の座長は派遣労働自由化を求める業界の主張に沿った有識者報告を取りまとめた、座長がその張本人ですよ。そして、派遣業界代表を異例のオブザーバーとして参加をさせて、そしてそのオブザーバーが繰り返し繰り返し労働側に反論する。結果として、業界団体の中心的要求丸ごと盛り込まれた法案が出てきた。
大臣、この経過を見れば、これは利害関係者による利益誘導だと言われても仕方がないんじゃないですか。労働側がこぞってこれ怒っているのは当然だと思いませんか。

○国務大臣(田村憲久君) この労働者派遣法の問題は長い経緯がございます。以前の改正のときからの経緯がある。このときに、自民党、公明党、それからみんなの党、それぞれの主張というのがあったわけであります。
でありますから、その経緯の流れの中において、政権交代も行われた中においていろんな動きがあるというのは確かであろうと思いますが、その団体から要望をいただいて、それを私が即座に実現したようなことはあり得ないわけでありまして、そこは、今局長からも話がありましたが、いろんな要望があって、かなえられていない要望もあります。それは、それに沿った要望もあります。でありますから、そこは労働政策審議会需給調整部会の中において御議論をいただいて、いろんな御議論があった中で最終的に決定をされたということでございますので、決して、委員が何らかのストーリーを作られようとしておるのかも分かりませんが、そのような事実はございません。

○小池晃君 これはストーリーじゃなくて、誰だってこういう経過を見たらおかしいと思いますよ、これ。これって、今までのやり方から見てやっぱり異常なやり方だと私は思う。
しかも、このオブザーバーの一人が青木秀登さんという人ですが、この方はランスタッド株式会社の執行役員です。これは、以前はアイラインという名前の企業でした。キヤノン宇都宮工場の派遣切りで、キヤノンと共に違法な偽装請負をしていたと裁判で訴えられた業務請負会社の取締役だった人物ですよ。
アイラインというのは、これは労働組合の団交に応じないとか、安全協力費だという名目でピンはねするとか、その額は年間八千万円という。労働者から支払を求められた経緯もあるわけです。
キヤノンはこれ、和解に応じました。当時の請負労働者を直接雇用として、偽装請負について遺憾の意を表明した。
私、こういう企業の役員を議論に参加させたということ、大臣、これでも適切だと言うんですか。

○国務大臣(田村憲久君) いろんな観点からオブザーバーで入っていただいていると思います。これは労使共に同数、オブザーバー入っていただいて、確かに使用者側のオブザーバーの発言が当初多かったということで、これは座長からも、部会長からもそういう御指摘をいただいて、その後は減っていっておるわけでございますので、公正に部会長の下で、従った議論の中において、あくまでもオブザーバーですから参考意見、議決には参加をいたしていないわけでありまして、最終的にこのような結論をいただいたということでございます。

○小池晃君 もう内容入る前で、入口だけでこれだけ問題がある法案なんてそうめったにあるものじゃないですよ。これ、私は、もう審議なんか入ったら大変なことになるということを予告をさせていただきたいと思いますし、連合のホームページには生涯派遣、正社員ゼロ社会につながるという指摘もある。もう全労連も連合もこぞって反対している。日弁連の会長も会長声明で反対している。これは法案の撤回を求めておきたいというふうに思います。内容の審議はまた改めてさせていただきたい。
診療報酬ですが、在宅医療の診療報酬について今日は取り上げたいんですが、今回、同一建物の居住者への訪問診療を行った場合に算定する在宅患者訪問診療料は半分に、それから在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料にも同一建物の点数が新設をされて、今の点数の四分の一に抑えられています。
在宅医療の現場からはこんな声が上がっています。東京保険医協会からのアンケートからですが、小規模グループホームを診ている、一人一人を細かく丁寧に診察しているつもりだ、悪徳業者と同様な報酬扱いを受け心外に思う。別の方ですが、施設も、在宅より重症な患者の多い立派な在宅医療であり、同一建物複数人、同一日診療であっても個々の症例は在宅単独と同じかそれ以上に医療と介護の手間が掛かる、在宅医療の推進と逆行するような四分の一評価という激変の改定は即刻中止をしていただきたいという声です。私、当然だと思う、この声は。
大臣、今回の診療報酬改定というのは、在宅復帰率などの、入院患者を在宅、外来に移行する、そういう中身がいろんなパターンで盛り込まれているような報酬ですよ。そういうことをやりながら、一方で在宅医療に対しては大幅な点数削減が行われようとしている。これ、怒りが広がるのは当然だと思いませんか。
この報酬改定によって、真面目に在宅医療に取り組むような医師が施設への訪問診療から撤退するような事態が広がっていいんですか。

○国務大臣(田村憲久君) これは国会でも問題になったことがあったわけでありますが、同一施設の中において訪問診療を同時にかなりの人数行うということで、そこに紹介ビジネスまで生じて、そういうものに対して何らかの歯止めを掛けなければならないというような御指摘、これはマスコミ報道、朝日新聞中心にもあったわけでございます。
そういう流れの中において、中医協の中でいろいろと御議論をいただきました。その中において、やはりそのようなおそれのあるものに対して今般診療報酬改定を見直すということでございます。
一方で、これは訪問診療でございますので、定期的に、計画的に一月のうちに何回か健康のチェックをしていただくというようなものであって、何か急変した場合には往診という制度があって、そこは加算が付いて対応するわけでございまして、それはこの訪問診療にカウントされませんので、そのような意味からいたしますと、そこはちゃんと何かあったときは担保ができる制度にはなっておるわけでありますが、いずれにいたしましても、関係する医療機関のお話もお聞かせをいただきながら、今般、中医協の御議論の中でこのような御決定をいただいたということでございます。

○小池晃君 そんなこと分かった上で質問しているんですよ。往診の場合は除外すると、当然じゃないですか。
その定期的な訪問診療がこれでできなくなるという声が上がっていることをどう考えているのかと聞いているんですよ。

○国務大臣(田村憲久君) 一つの施設に日にちを替えて訪問診療をやっていただいたりでありますとか、それから三人でチームを組んでやっていただく、こういう場合に関しては点数下げないというような運用でのいろんな配慮はさせていただいております。
いずれにいたしましても、一定程度、それは時間を掛けてと言われますが、正直、訪問診療というものは余り時間を掛けて丁寧にやっていただくというよりかは、定期的にしっかりと診断をしていただくということでございますので、普通の診療よりも時間を特別掛けていただくというような話ではないんであろうというふうに思います。もちろん、そこには丁寧さがなければならないわけでありますが。
その上において、一か所に集まったところでいろいろと複数人診ていただくということになれば、それはある程度時間的に、いろんなところを回っていただいて訪問診療をしていただくよりかは効率的に回っていただくことはできるのではないかというような判断の下での中医協での御決定であったのではないかというふうに推察をいたしております。

○小池晃君 だからといって、四分の一にするという話にならないでしょう。それはおかしいですよ、やっぱりこれは。
今日資料で配っているけれども、中医協で出ているのを見ると、私はおかしいと思うんです。これ資料の五ページに載せましたけれども、ペナルティーだと、悪質な紹介ビジネスに、といいながら、ペナルティー掛ける相手が間違っているじゃないですか。ここを見ると、保険医療機関側には診療報酬でペナルティー掛けながら、施設側やあるいは仲介料をもらっている仲介者には何のペナルティーも掛けられない、違法とは言えないなんて言っているわけですよ。これはおかしいでしょう。
私、これは当面は現行点数で算定できるようにして、それで、私は、この仲介者に対する手だてをやっぱりこれは政府部内でちゃんと検討して、そういう手だてを取るということをやるべきだと。
それをやらずして現場で医療活動をやっているところにまずペナルティーって、しかも四分の一と、こんなやり方おかしいと思いませんか。
私は、直ちにやっぱりこれは対応するのであれば、こちらの仲介者の問題あるいは施設側の問題について必要な手だてを取るということをやるべきだと、点数の算定は従来どおりで当面やってほしい。以上、どうですか。

○国務大臣(田村憲久君) 中医協でそれぞれ代表者の方々がお入りになられてお決めになられたことでございますので、その意思は尊重をさせていただきたいというふうに思います。
その上で、実態として、施設がどうであるとか医療機関がどうであるとかではなくて、患者の方々は医療を受ける権利があるわけであります。
それが受けられないということであるならば、例えば個別に地域、地区の医師会の方々と相談して、そういう方々にそういうところに対して行っていただく等々の我々も努力はいたします。しかし一方で、それでもという話であれば、途中で改定をしたことはないことはございませんので、そういうような状況がもし生じれば、そのときには中医協にお諮りをするということはあろうと思いますが、今般は中医協の御決定でございますので、私としてはその意思を尊重をさせていただきたいというふうに思います。

○小池晃君 医療を受けられない状態が生じてからでは遅いんです。だから、直ちに手を打つべきだというふうに申し上げている。直ちにこれは見直すべきだと。
ちょっと時間の関係で次行きますが、今回の診療報酬改定の見直しで在宅医療に関してもう一点、資料の六ページ、七ページに、これは通知ですが、出しました。これ見ますと、訪問診療実施の要件として同意書の作成を求めているんですけれども、その対象が六ページの説明会資料の方では要介護四以上又は認知症を除くとされているのに、七ページの実際に発出された通知ではそれがないわけですよ。これは一体どういうことなのか。
改定説明会資料にあるように、これは訪問診療を要介護四以上及び認知症の高齢者に限定しようという政策意図があるということじゃないですか。

○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
御指摘の点でございますけれども、中医協の議論でも、そもそも家族の御了解も得ずに例えば認知症患者さんに対して頻回の訪問診療を行ったりしたというようなケースがあったことを踏まえまして、中医協の場では、訪問診療に当たっての同意書の確認を取る、同意の確認を取るべきだと、あるいは、患者さんの状態というものの記録を残すべきだというふうな御指摘をいただいております。
この訪問診療はこれまでも仕組みがあったわけでございますけれども、そもそもが通院困難な方について行われるべきものということで、これまでも継続的な診療の必要のない方あるいは通院が容易な方に対してまでも安易に算定してはならないということは示させていただいております。

○小池晃君 聞いたことに答えてください。

○政府参考人(木倉敬之君) この三月五日の説明会でございますが、この説明会については、現段階のこういう基準でやっていただきたいという運用基準等について案をお示しして説明をしますということで、これは正式なものはまた改めて示しますということで、これは変更もあり得ますということは条件を付けて御説明をさせていただいております。
今お話しのように、七ページの方にありますような、まだ具体的な基準まで書き込んでいないもので通知を示させていただいておりますけれども、この対象の方について、通院困難な方の代表例としてはやはり要介護度が高いような方々、これは明らかに通院困難であろうと、同意を取るまでもなく、確認をするまでもなくということですが、それ以外の方であっても、要介護度が低くてもけがの状態があったり足の状態で通院できないような方について、その理由を記録を残していただければ訪問診療は適正に行われたものとみなせるということで、そういうものは今後きちんと基準を示してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○小池晃君 勝手にこんな議論が進んでいるわけですよ。おかしいと思いますよ、私。
そもそも同意書を作成すること自体が容易でないという現場の声もあるし、その同意書の要件に要介護四以上、認知症を除外するということは、結局それ以外の高齢者に対する訪問診療が制限されていく、審査の対象になっていくということになりかねない。これでは訪問診療なんて成り立たなくなりますよ。
そもそも何で介護保険なんですか。関係ないじゃないですか。介護保険の居宅療養管理指導というのはこれは要支援まで算定できるわけで、要介護度三以下は訪問診療できなくなったらこれ整合性が全くなくなりますよ。こういったことをちゃんと検討しないで、しかも中医協でもこんなことは全く議論していないのに、突然通知に盛り込んでいく。
大臣、こんなことが許されるんですか。通知に突然盛り込ませる、こんなことは私はおかしいと思う。

○国務大臣(田村憲久君) 訪問診療は誰でも受けられるわけではありませんよね。これはもう御承知のとおりだと思います。必要な方じゃないと訪問診療というものは受けられない。
これは一つの例としてこういうものを出させていただきましたが、もちろん今局長が言ったとおり、こういう状況じゃなくても医師等々の判断で、これはやはりそうじゃないと、つまり訪問診療を受けざるを得ない、そういう状況であるということであれば、それはそれで訪問診療を受けていただいていいわけでありまして、それを書き込んでいただければいいというような、そんな運用をしていきたいというふうに思っておりますが、非常に高い点数を設定をいたしております。本来訪問診療を受けなくてもいい、つまり外来に行ける方が受けていただくということになりますと、これは一方で医療費の増大を招くわけでありまして、ここは厳密にある程度運用していかなきゃならぬというふうに思っています。
今般、今お叱りをいただきました集合住宅等々においての点数の引下げに関しても、元々は我々がもう少ししっかりした形の中で訪問診療というものの点数を考えておれば、あのような紹介ビジネスみたいな、仲介ビジネスみたいなものは生まれなかったんだというふうに思います。そのような反省もありますので、本来、外来に行っていただける方に関しては外来で医療を受けていただきたいという思いの中でのいろんな現在の動きであります。

○小池晃君 介護保険でも要介護度の低い人を排除する、医療保険の訪問診療でも要介護度を基準にして切り捨てていく、こんなことをやったら本当に住んでいけなくなりますよ、生きていけなくなりますよ。こういうことをもう大臣は否定しないわけで、私はこれは大問題だと、引き続きちょっとこれは取り上げたいと思います。
それから、ちょっと財務省、財務副大臣に来ていただけていますが、財政審の建議についてちょっと取り上げたい。
今回の建議では、薬価マイナス改定分の診療報酬本体部分への振替を合理性がないとかフィクションだとか言っているわけですね。こういう指摘初めてです。この振替というのは、これは一九七二年の中医協建議以来、国会の審議でも歴代の厚生大臣もこれは認める答弁をしてきています。
これはどうしてフィクションなんですか。財政審建議こそフィクションじゃないですか。

○副大臣(古川禎久君) お答え申し上げます。
議員御指摘の財政制度等審議会、平成二十六年度予算の編成等に関する建議におきまして、薬価を直近の市場実勢価格に置き換える薬価のマイナス改定は過大な予算要求の当然の時点修正であり、歳出としていまだ実現していないものの下方修正から何らかの財源が生み出されることはないこと、それから、したがって診療報酬本体の増額に流用すべきとしてこれを財源と考えることはフィクションであること、このような主張と裏腹の関係にあるネット改定率の概念はなくすべきこととの御指摘をいただいております。財務省としましても、平成二十六年度の診療報酬改定におきまして、この建議を踏まえた対応をさせていただいたところであります。
なお、御指摘のこの中医協の建議、それから旧厚生省の国会答弁とありますけれども、これはあくまでもその時点における要求省庁や諮問機関の御意見が述べられたものであるにすぎないというふうに承知いたしております。
いずれにしましても、財務省としましては、現下のこの厳しい財政事情を踏まえて、今後とも、財政審の建議等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

○小池晃君 今までこんなことを財務省だって言ってこなかったんですよ。そういう主張はしていないんですよ、振替はいかぬなんということは。
しかも、事実を見れば、九七年に消費税を増税したときに診療報酬を上げましたけれど、このときは、本来二年に一回しかない薬価基準の改定をやって、それを財源にして引き上げたんですよ。
これは財務省も認めてやったはずです。それから、小泉内閣のときの骨太の方針で二千二百億削減したときも、薬価・材料費の引下げ分九百六十億円を計上しているんですよ。これだって財務省は知っているはずですよ。もし今回、今おっしゃったように薬価の引下げは市場実勢価格を上回る過大要求の修正だというのだったら、こんな扱いはできるはずないじゃないですか。違いますか。

○副大臣(古川禎久君) 先生御指摘の中医協の建議、これ一九七二年のものですけれども、ここには、同時に、薬価調査は毎年四月を調査月として実施して薬価の適正化を図るべきとの記載もあるわけなんですよ。この薬価の実勢価格を調べるに当たってはそれぞれの時点における数字をはっきり把握してそれを正確に反映させることということと同時に、中医協の建議でもこれ書かれているわけなんです。
ですから、これは、その時点その時点において適切な……

○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

○副大臣(古川禎久君) その中医協の建議、それから、今委員が御指摘になりました厚生省の答弁、あるいは総理大臣の答弁というものはその時々の状況に応じて発言されたものでありますけれども、あくまでも委員が御指摘になられた趣旨でのものではございません。それは事実の認識にそごがあると思います。

○小池晃君 もう時間ですので質問しませんけど、そごはありません。
やっぱり、潜在技術料だということで、薬価基準の部分、引き下げた部分は技術料本体に回すということでやってきたんですよ。それをいつの間にかそんなことは言っていませんなんて、こういうことを与党だって許しちゃ駄目だし、厚生労働省はもっとこういうことにちゃんと反論しないと駄目ですよ、こんなの、許されない。
終わります。

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