2015年4月23日
参議院厚生労働委員会
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
法案に入る前に聞きたいことがあります。
労働者派遣法が改正されずに平成二十七年十月一日を迎えた場合の問題、いわゆる十・一問題という文書があります。大臣、これは厚労省が作ったものでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 厚労省が作ったものでございます。
○小池晃君 これ、重大だと思うんですね。
この文書には、違法派遣があった場合のみなし雇用規定が十月に施行される前に法律を変えようという意図がもうあからさまに書かれています。
経済界等の懸念ということがまず冒頭にあって、現行のまま労働契約申込みみなし制度が施行されることを避けたいという懸念に応えるという形で、例えば十月一日に施行されなければ訴訟が乱発するおそれがあるとか、派遣事業者に大打撃になるなどと書かれているんですね、これ。違法派遣どうなくすかという話、全く出てきませんよ、この文書の中に。
違法をなくすために法律を変えようというのでは、これは労働行政が違法派遣の合法化に手を貸しているということになるじゃないですか。これ、派遣業界の支援団体じゃないですか。大臣、こんなことが許されるんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、これは事務方が作ったものでございまして、作成当時は私は承知をしておりませんでしたけれども、これはもう衆議院の方では委員会などでも配られておりましたものでございます。
仕組みが分からない方がおられるかも分かりませんけれども、この十月一日に、この労働者派遣法については、期間制限違反を含む一定の違反派遣を受け入れた派遣先について、派遣で働く方に直接雇用の契約を申し込んだものとみなす、いわゆる労働契約申込みみなし制度の施行が予定をされているわけでございまして、一方で、現行の期間制限につきましては、いわゆる専門二十六業務に該当するか否かが分かりにくく、派遣先が意図せずに違法派遣を受け入れてみなし制度が適用されてしまうリスクを回避するために、派遣先が派遣で働く方の受入れを十月一日より前に停止をし、派遣で働く方の雇い止めが生じる可能性があると考えているところでございまして、専門二十六業務に該当するかどうかによって派遣期間の取扱いが大きく変わる期間制限については、これは民主党政権下の平成二十四年の改正法案の成立時に与野党間で共有をされておりまして、自公民の三党から分かりやすい制度となるよう検討すべしという旨の附帯決議がなされておるところでございまして、今回の改正法案は、この附帯決議を踏まえて、雇用の現場の混乱を避けるために、全ての業務についてより分かりやすい期間制限を課すものであって、法違反を合法化するというような御指摘は当たらないものだと考えているところでございます。
○小池晃君 いや、この文書の中には、違法派遣どうなくすのか、労働行政の役割って全く書かれていないんですよ。こうなってしまうから法律をそれまでに変えるというだけのことしか書いていない。
しかも、これ、私はもらっていませんよ。一部の議員にしか配られていないと聞いていますけど、与党にしか配らなかったということなんですか、これは。
○国務大臣(塩崎恭久君) このペーパーは、事務方から聞いている限りでは、法案の施行日のいわゆる補足資料として作成をしたものであって、施行日の詳細な説明が必要となった際に必要に応じて使用してきているものだというふうに聞いております。
○小池晃君 必要に応じてといったって、私たち、これ全くもらっていませんよ。何度も説明求めて、レクも何度もやっていますけど、与党にしか配っていないんでしょう。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、説明に回ったときに必要に応じて、問いかけなどの必要に応じて使用してきたものだというふうに私は聞いているわけでございます。
○小池晃君 これはおかしいですね、やっぱり。
事務方に聞いたら、問題意識を持った議員には説明のときに出したと。問題意識持っていますよ、私だって。でも、一切そういう説明受けてないわけですよ。だから、そういう点でいえば、こういうやり方して派遣法議論してくださいといったって、議論のもう前提が崩れますよ、これは。こんな法案はもう議論できません。
こんなやり方許されないと私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、施行日の説明をする際の補足説明資料として使っているわけで、実際、維新の党の方から配付資料として出てきているということは、多分、事務方が説明をしたときに、必要に応じて御説明に使わせてもらったということなんだろうと思うんで、特に与党にしか配らぬとかなんとかいうことではないんではないかと私は思います。
○小池晃君 維新の川田議員は見たことないとおっしゃっていますよ。だから、結局与党にしか配っていないじゃないですか。こういうやり方じゃ駄目だと。やっぱり、こんなやり方で議論進めることできませんから、もう派遣法は改めて撤回するしかないということを申し上げておきたいと思います。
ちょっといつまでもこれやるわけにいかないんで、法案。
中小企業退職金共済制度の問題ですが、中小企業のための国の退職金制度で、これは外部の制度で使用者が退職金規定を設けている場合は、これも賃金になるわけですね。法案では、これは大臣が勤労者退職金共済機構の資産運用委員会を選任すると。同機構の資産運用は、五兆円規模と大きいわけです。機構には、退職金を目減りさせることなく確実に保障することが求められますが、お配りしている資料にあるように、今度の改定によって資産運用委員会が強化されるというんですけど、この資産運用委員会というのは、資産運用の方針を決めるとともに運用状況の監視を行うと。
運用方針を決める委員会が、その方針に基づく運用状況を監視すると。一つの委員会で運用と監視、両方できるんですか。公正な運営ができるんでしょうか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 今回の資産運用委員会につきましては、むしろ、その方針とそれがうまくいっているかどうか、一体として専門的立場からしっかりと見ていただく、それに伴って機構がしっかりやっていくと、こういう考え方でございますので、相反するものを一緒というよりは、専門性があるものを一緒にやるという考え方に立っているということでございます。
○小池晃君 いや、だって、方針を決めることと監視することは相反するでしょう。それを一つの委員会でやったら、これはもうお手盛りということになるんじゃないかと。甚だ疑問です、この仕組み。
それから、今回の改正によってリスク管理体制強化するというわけですが、それを機に預託金運用は一体どこに向かうのか。先ほどからも議論ありますが、これGPIFのように株式運用比率を高めようとしているんじゃないだろうかという疑問を持つわけです。
労働者の賃金である退職金に大きな損失出すことなど決して許されないと思います。そうした懸念に厚労省はどうお答えになりますか。
○政府参考人(岡崎淳一君) 先ほど長沢先生にもお答えいたしましたけれども、中小企業退職金共済制度、予定利回り、今は一%ということで運用しております。そういう前提の下で現下の状況を考えますと、基本ポートフォリオを直ちに変えるというようなことを考えているということではございません。
○小池晃君 大臣に聞きます。
今回の法整備における運用委員会に対するチェック機能、これ極めて不十分ではないだろうかと。
先ほども議論ありましたけれども、納付する事業主あるいは受給する労働者の代表が、委員会の人選あるいは運用に対して異議を申し立てるような仕組みが私は必要だったんではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今般の改正で資産運用委員会を設置するということにしておるわけでございますけれども、これは勤労者退職金共済機構からの独立性の高い第三者である金融経済等の専門家が、その専門知識に基づいての議論や監視を行うということによって資産運用におけるリスク管理体制を強化しようということで、その目的のためにつくるものでございます。
この資産運用委員会の運営を含めて、勤労者退職金共済機構の資産運用については、中小企業退職金共済制度の制度の趣旨に基づいて掛金を拠出している事業主や退職金を受給する労働者といった制度利用者のために安全かつ効率的に行う必要があるということから、今後とも機構に対して適切に資産運用を行うように求めてまいりたいというふうに考えております。
○小池晃君 先ほどからそうおっしゃるんだけれども、これ結局、勤退共の運用とか委員の人選について異議申立てをできるような仕組みもないわけですよね。金融経済の専門家という話はあったけれども、労働者代表、使用者代表が意見を反映させる保証はないわけです。
中小企業の退職金は大企業に比べても低水準で、絶対目減りすることなく確実に保障することが必要なわけで、やはりきちっと労使が監視できる仕組みをつくることが私は前提として必要だというふうに思いますし、株式運用に拡大するようなことはあってはならないということを重ねて強調したいというふうに思うんです。
その上で、年金の株式運用の拡大について聞きますが、安倍政権は、先ほどからも議論があるように、株式運用比率を大幅に引き上げまして、結局、二五%プラマイ九%だから最大三四%まで国内株運用を可能にしたわけであります。昨年十二月末の時点で国内株式運用一九・八%までになって二十七兆円に上っていますし、この一―三月にも大分買ったんではないかと言われていますから、更に膨らんでいるだろうと。
やっぱり、先ほどから議論があるように、国民の大切な財産である年金資金を投機にさらしていいんだろうかと。株というのは上がるときもあれば下がるときもあるわけで、これはリスクがあるわけですよ。例えば、三月十三日の衆議院の財務金融委員会で麻生財務大臣は、「株の比率が高まったらその分だけ危なくなるじゃないかというのは正しいですよ。」と。これは普通に考えたらそうなんですよ。それで、運用利回りよりも下回るリスクがあると先ほどからおっしゃるけれども、振れ幅のリスクは大きいでしょう、株の方が。そのことはお認めになりますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 麻生大臣がおっしゃったのは、今のまさに振れ幅というか標準偏差、その単年度で見た幅というのは、振れは、それは確かに株は広いというふうに一般的に言われております。
○小池晃君 いや、だから危険だと言っているわけですよ。
それで、先ほどあったように、中退共はリスク運用しないと言ったでしょう。何でですか。おかしいじゃないですか。中退共の退職金はやっぱりリスクさらしちゃいけないからと。いや、年金は株式比率引き上げる。どう説明するんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) それは、先ほど私からも申し上げましたけれども、中退共の場合の運用利回りは一・〇ということでありますが、一方で、年金は長期的に回っていくために、回っていくというのは、つまり約束どおりの年金を支払うというためには、名目賃金上昇率プラス一・七というのが必要であるということになっているわけでありますから、そこから見ても明らかに、名目賃金上昇率を大体想定していただければ分かるように、全く求められている利回りが違うわけでありまして、そしてまた経済情勢も変わっているわけですから、それに応じたポートフォリオの組み方というのをやらないと、まさに一番大事な年金を約束どおり払うということにそごを来してしまうのは最もいけないことですから、それをきっちりと守っていくためにも、分散投資を通じて、年金財政にとって必要な利回りを得ていくというために新たなポートフォリオを組んだと、こういうことだというふうに私たちは考えております。
○小池晃君 いや、だから、私が聞いているのは、だって、年金だって大切だけど中小企業の退職金だって大切なわけでしょう。中小企業の退職金は、私いろいろ説明聞いたら、リスクにやっぱりさらしちゃいけないから、だから株式運用はしませんと説明しましたよ。一%だというのと運用利回り目標というのは勝手にそちらが決めただけの話じゃないですか。どっちだって老後の生活にとって必要な年金、中小企業の退職金、やっぱり振れ幅の大きいものにさらしちゃいけないというのは同じじゃないですか。何で年金だけは株式運用を拡大するんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 株だけにリスクがあるかのようにお話をされる方が多いわけでありますけど、それは全く事実と反しておりまして、これ国債……
○小池晃君 だって、振れ幅が大きいと言ったじゃない。
○国務大臣(塩崎恭久君) 振れ幅と、リスクにはいろんなものがあります。多面的かつ長期的な観点で考える必要があるのが年金の運用でございまして、将来の年金の給付を確保するためには年金財政上必要とされる、先ほど来申し上げておりますけれども、積立額を下回るリスクをできるだけ抑制するということが大事なので、将来の、今お話を申し上げたような安定的な年金給付。それから、経済情勢がすっかり変わっているわけでありますから、前提をこのデフレ脱却後の経済、運用環境に対応し、なおかつ、今申し上げたような年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保するということを満たすために今回の変更後の基本ポートフォリオを組んでいるわけでありまして、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行、長期的な経済、運用環境の変化、こういったものに見合ってこの分散投資を進めてきたものであって、この結果、おっしゃるように単年度の収益率の振れ幅というのは大きくなったわけであります。しかし、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは今度小さくなったということでありますから、年金にとって一番大事なものについてしっかりと守りながら運用をしていくという新しい方針を組んでいるということでございますので、御理解を賜れればと思います。
○小池晃君 振れ幅が大きいというのはリスクが大きいということなんですよ。
それで、何だか本当に年金、運用成績良くなった良くなったと胸張るんだけれども、これ、二枚目の資料を見ていただきたいんですけど、これは二〇〇八年度、GPIFは国内株式で十兆四千億円損失出したわけですね。良くなった良くなったと胸を張られるけれども、結局、今の到達というのは、このグラフにあるように過去の損失分取り戻した程度じゃないですか。
ちょっと確認しますけれども、局長、GPIF発足以来の国内株式の累積運用実績、述べてください。
○政府参考人(香取照幸君) 自主運用開始、平成十三年でございます。平成十三年から平成二十五年度末……
○小池晃君 GPIF分。
○政府参考人(香取照幸君) はい。
国内株式の累積収益額は、GPIFですが、五兆八千八百四十二億円のプラスでございます。
○小池晃君 GPIF発足後と言ったじゃないですか。ちゃんと言ってください。
○政府参考人(香取照幸君) 十八年以降ですと、株式の収益額は二兆三千二百四十八億円のプラスでございます。
○小池晃君 一昨年度末でいうとマイナス一兆五千九百五十七億円です。ようやくこの間の損失を取り戻したというのが今の水準だと。
ちなみに、運用に当たって運用受託機関に払った手数料、総額幾らですか。
○政府参考人(香取照幸君) 二十五年度の数字になりますが、GPIFの資産管理機関及び運用受託機関に対する管理運用委託手数料の総額は二百五十二億九千八百四十万円でございます。これは、運用資産額に対する手数料率は〇・〇二%でございまして、これは世界最低水準でございます。
○小池晃君 年金資金の株式運用の問題、先ほどリスクのことを大臣とも議論しましたけれども、そもそもやっぱり経済から見てどうなのかと。結局やっぱりバブルをあおる禁じ手なんじゃないかと私は思います、これは。
この間、株価は日本経済の実態とはどんどん懸け離れております。GDP、二期連続マイナスですよね。働く人の給与は、実質賃金が二十二か月連続マイナスですよね。ところが、株価だけは十五年ぶりの高値になっている。マスメディアはこういうふうに報道しています。四月三日の日経、「公的資金、株買い越し最大」、十一日の朝日、「公的マネー、株高下支え」、東京新聞、年金など「「五頭のクジラ」が買い支え」。
大臣、いいか悪いかじゃないですよ、いいか悪いかじゃないですけど、今のこの株高というのは公的資金が買い支えている官製相場だという認識はお持ちですよね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 株式市場は株式市場で成り立っているのであって、このGPIF、年金積立金の管理運用というのは厚生年金保険法などに基づいて専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとしてやっているものであって、今回の基本ポートフォリオの見直しでも、それから今までずっと運用してきていることについても、株価操作を目的としているわけでもないし、また、今ある相場がGPIFで成り立っているというようなことでも、そういう断定は私はできないというふうに思います。
○小池晃君 いや、官製相場だってみんな言っていますよ。常識じゃないですか。だから、それはいいか悪いかは別ですよ。それを目的としてやったんじゃないとおっしゃるかもしれないけど、結果としてGPIFやあるいは日銀、公的な資金が入って今の株高支えている、これは現象としてそのぐらい認めてくれないと。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生、それは株式市場というのは何なのかということをよくお考えをいただいたら、そういう答えにはなかなかならないと。そういう小手先のことで決まる、単純なほど浅いのが株式市場ではないわけであって、株価というのは何なのかということも極めて本質的な問題で、これは言ってみれば企業の将来価値の現在値みたいなもので、それをどう市場が見るかということで決まることが基本だというふうに思っていますので、官製相場というようなことにはなっていないと私は思っています。
○小池晃君 これだけ巨額の公的資金を投入している当事者、責任者がそういう認識持たないでいいんですか。私は、むしろその発言は本当に危険だと思いますよ。そういうやっぱり危険なことをやっているんだという認識なしにこんなことをやっていいんですか。結局、官製相場でバブルというふうにみんな見ているわけだし、これ、もしはじけたらば、大変な被害を受けるのは国民ですよ。
そういう認識持って、少なくとも私は絶対こんなことやっちゃいけないと思う。
ただ、それを目的としているわけじゃないと盛んに言い訳するけど、やっぱり自分がやっていることの重大さに認識持たないと。これだけの多額のお金を使いながら、そういうことを否定するというのは、私はそれこそ浅いと思いますよ。
○国務大臣(塩崎恭久君) これはもう基本でありますけれども、これはGPIF法にも書いてあるとおり、年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意をしなければならないということが書いてあるわけですから、当然のことながらGPIFもそのことを留意をしながら日々の運用に当たっているはずでございますし、我々としても基本的なスタンスは全くそのとおりであって、絶えず民間に、今申し上げたような、与える影響には留意をしながら運用をするということはもう当然のことでありますから、そのことはよく理解をした上で運用を行っているということでございます。
○小池晃君 今のお話は、巨額の資金を入れているということはよく理解しているということですよね。だから、やっぱりそういうことをやって、結局これで自らの政権維持、アベノミクス神話の維持のために、私は、年金資金を使う、国民の財産、これを使う、そして日本経済を危険にさらすというのは本当にやってはいけないことだというふうに思います。今度の法案はリスク運用拡大を目的とした法整備ですから、この点でもこれはもう断じて容認できないというふうに思います。
ちょっと時間がなくなってきちゃったんですけど、この法案の労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所の統合の問題について聞きたいんですが。ちょっと厚労省、聞きますけど、この統合で独立行政法人としての自主性がより制約されたり、あるいは合理化の名目で職員の過密労働が深刻化したり労働条件の低下につながる、そういうことないですね。
○政府参考人(岡崎淳一君) 引き続き独立行政法人でございますので、独立行政法人として基本的に自主的に理事長の下で運営される、そういうことは変わりませんし、今回のことでいろんなコスト削減等々は図る必要はあるとは思いますが、それを労働過重という形で実現するということを意図しているということもありません。
○小池晃君 二〇一二年に全国労災病院労働組合が、労働者健康福祉機構と厚労省を不当労働行為で神奈川県の地方労働委員会に訴えました。理由は、健康福祉機構が独立行政法人における役職員の給与の見直しについてという厚生労働省の要請を理由にして、既に給与規程に定められた労災病院職員の一時金を一方的に減額して支給したというものです。これで、地労委の決定出ています。
それで、中労委でも争われて、和解になりました。
これ簡潔に、どういう結論だったか言ってください。
○政府参考人(岡崎淳一君) 神奈川地労委につきましては、法人が団体交渉について十分な交渉期限を設けるとともに、必要な説明を行うなどの誠意を持って対応しなければいけないということ、そして、その旨、不当労働行為であると認定された旨の文書を組合に手交しなければいけないと、こういう判断が出されました。その後、中労委につきましては、おっしゃるように和解でございますが、機構が解決金を支払うということで、その解決金の支払をもって申立てを取り下げると、こういう和解が成立したということでございます。
○小池晃君 厚労省の労働基準局が所管の独法である労働者健康福祉機構に一時金を引き下げるように要請をした。それで、機構は一方的に一時金の引下げを強行した。機構は、地労委で、そうしなければ機構廃止を厚労省から命じられると主張して正当性を主張した。地労委では、これ認められずに不誠実団交、組合への支配介入ということで、中労委でもこれを基に和解したんです。
大臣、厚労省、よりにもよって労働基準局所管の独法で起こった不当労働行為が労働委員会の場で断罪され、しかも機構側の主張の根拠は労働基準局発出の要請なんですよ。これ、ひどいと思いませんか。こんなことがあっていいんですか。
○委員長(丸川珠代君) 塩崎厚生労働大臣、時間でございますので簡潔にお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の事案は既に中央労働委員会において和解が成立をしておりまして、和解成立前の一方の当事者の主張もあったり、今のような御説明がございますが、これは個別のことでもございますし、また和解が成立をしておりますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。
○小池晃君 終わります。