日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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BM 保険金不正請求 「兼業認めない制度に」 小池議員迫る

2023年11月17日

赤旗2023年11月17日付

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(写真)質問する小池晃議員=16日、参院財金委

 中古車販売大手ビッグモーター(東京都)による保険金不正請求問題について、日本共産党の小池晃議員は16日、参院財政金融委員会で質問し、再発防止のため「自動車販売の大手チェーンには保険代理店の兼業を認めない。そういう制度改正が必要だ」と迫りました。

 

 鈴木俊一金融担当相は14日、関東財務局が30日をもってビッグモーターの損害保険代理店契約の登録を取り消す方針を固めたことを公表。同社の意見陳述を経て、行政手続きに入るといいます。

 

 鈴木氏の経過説明を受けて小池氏は「当然の措置だ」としつつ、今回の不正には「保険金請求を行う自動車販売・修理業者が保険会社に多大な利益を与える保険代理店を兼ねる。これでは保険会社は厳しい査定ができない」という構造的な問題があると指摘。「自動車修理の紹介と引き換えに収入を得る。まさに癒着の構造が明らかになった以上、兼業を認めない制度改正をすべきだ」と主張しました。

 

 鈴木氏は、ビッグモーターと損害保険会社に対し「構造的な問題がなかったかどうか、深みのある実態調査を進め、兼業が不正の温床と認められた場合は制度、監督のあり方を含めて検討をしなければならない」と答弁しました。

 

 小池氏は「大事な答弁。諸外国には自動車販売店と保険代理店の兼業を認めない国もある」と、法改正を含めた対処を重ねて呼びかけました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 法案に入る前に、中古車販売大手ビッグモーターが、修理や車検の際に車体に傷を付けると、不必要な部品交換を行って保険金を不正受給していたということが明らかになりまして、おととい大臣が記者会見でビッグモーターの保険代理店登録を取り消すと表明されました。
 これまでの経過と今後の対応について簡潔に御説明ください。
○国務大臣(鈴木俊一君) ビッグモーター社につきましては、今月十日金曜日まで立入検査を実施をしてまいりました。その結果、会社法上求められる経営管理体制が構築されていない、適正な保険募集を確保するための体制整備も行われていないということが確認されたほか、今後、保険会社との代理店委託契約が全て解消となる予定でありまして、保険会社から再建に向けた支援も期待できない、そういうものと判断をいたしました。
 こうした状況に鑑みまして、金融庁として、保険業法に基づき、十一月三十日をもってビッグモーター社の損害保険代理店の登録を取り消す方針を固めたものであります。
 今後、ビッグモーター社に対しては、行政手続法に基づき、来週二十一日火曜日に意見陳述のための聴聞を行い、その結果を踏まえ、速やかに処分に向けた行政上の手続を進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 当然の措置ではないかと思うんですが、これ、構造問題があると思うんですね。やっぱり、保険金請求を行う自動車販売店あるいは修理業者がその保険会社に多大な利益を与える保険代理店を兼ねていたらば、これは保険会社は厳しく査定できないのではないかと。
 特に、今回、大手中古車販売チェーンが損害保険代理店を兼業することによって、自動車修理を紹介することと引換えに保険契約を取って収入を得ると、まさに癒着の構造というのが明らかになってきていると思います。
 私は、自動車販売あるいは修理業の、これ、もちろん利便性はありますけれども、こういう問題点が明らかになったわけですから、こういう大手チェーンにはやはり保険代理店の兼業を認めないと、そういう制度改正が必要ではないかと、検討すべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) ビジネスモデルにも関わる問題だと思います。
 金融庁といたしましては、現在、損保ジャパン、そしてSOMPOホールディングスに対しまして立入検査を実施をしております。その中で、小池先生御指摘の点も含めまして、ビッグモーター社と損害保険会社との間で不正行為の温床となるような構造的な問題がなかったかどうかといった観点からも深みのある実態調査を進めているところであります。
 その実態把握の結果、自動車関連業者が損害保険代理店を兼業することが今回問題となっている保険金不正請求事案の温床になっていると認められた場合には、制度あるいは監督の在り方を含めて、関係者とも議論をしながら、適切な検討をしていかなければならないと考えております。
○小池晃君 非常に大事な答弁をいただいたと思っております。
 これ、ディーラー、代理店については手数料ポイントなども高いポイントが付与されているということも指摘をされています。諸外国では、やはり、こういうディーラーと保険代理店の兼業は認めないという国も、まあ全体じゃないんですけど、そういう国もあるというふうにも聞いておりますので、やはり今回のような事態再発防止のために法改正も含めて対処すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 その上で、法案についてお聞きをします。
 この法案は、金融経済教育を資産所得倍増プランの一環として推進すると。これ貯蓄から投資へという政策に沿ったものであります。その前提として、日本人は預貯金ばかりしていて投資リスクを避けているという認識があるわけですね。その根拠となってきたのが資金循環統計に基づく家計の国際比較です。
 配付資料の一枚目ですが、これ、先月四日に新しい資本主義実現会議の資産運用分科会に政府が提出した資料であります。
 これを見ますと、日本とアメリカを比べると、確かに現預金が日本はアメリカの四倍以上です。一方で、株と投資信託、これ合わせたリスク資産は、アメリカは日本の三倍近くになる。で、総理はこれ繰り返しこのデータを紹介してきたんですが、しかし、このデータだけで日本の家計は預金ばかりなんだというふうに結論付けられるんだろうかと。
 といいますのは、やはり日本とアメリカの間には資産、大きな資産格差があるわけですね。日本も今格差拡大していますが、アメリカほどではありません。富裕層は一般的な家計よりもこれはリスク資産の保有割合が高いわけです。国全体の合計を比較すると、やっぱり超富裕層の多いアメリカの方がリスク資産の割合というのは当然高くなってくるんじゃないだろうか。
 ですから、大臣、やっぱり資産規模が同じレベル同士で比べるということもこれは必要なんではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) お示しいただきました資料でございますが、日米における家計の資産構成の全体像をお示しする観点から日米の家計全体の資産別保有割合を算出したものであります。家計の資産規模別に資産別保有割合を分析することでより詳細な議論が可能となると考えております。
 その一方で、日米それぞれの全世帯を所得順に五等分した所得階層別に家計が保有する株式等の割合を分析した民間団体の分析結果によりますと、日本の家計における階層別の株式などの保有割合は八%から一二%の幅であるのに対しまして、米国では一六%から四一%となっておりまして、日本の家計における株式等の保有割合は米国における所得の比較的低い階層の保有割合を下回っていることが示されております。
 金融庁といたしましては、国民の安定的な資産形成の実現に向けて、小池先生の御指摘の点も含め様々な観点から分析を行う必要があると思っておりまして、その取組を進めていくことが重要であると考えております。
○小池晃君 今何か私の次の質問に関わる答弁まで含めてされたような気がしますが、二枚目の資料は、これ私の方で日本とアメリカのデータで比較したものです。株と投資信託というリスク資産、資産階級別にどれぐらい占めているか。
 これ、日本は五分位、アメリカは四分位に分かれているんですが、このデータで見ると、これは日本の四分位までとアメリカの三分位までというのはリスク資産の保有割合には余り大きな違いはない。違いが出るのは富裕層が含まれてくる最後の分位で、日本の第五分位はリスク資産がこれ一七・五%、これに対してアメリカの第四分位は三八・八%ということで、アメリカは日本の二倍以上なんですね。別に、これもう議論はいたしません。指摘だけにとどめますが、私がこのお示ししたデータ見る限りでは、日米の一般的な家計同士の比較では、リスク資産の保有割合がアメリカは日本の三倍というような課題ではないかなと思います。
 大臣もそういった分析も必要であるという認識をお示しになりましたので、是非やっぱりそういったことまで踏み込んだ解明というか、きちんとした統計作りなどもやっていただきたいと。金融庁の方にお聞きすると、こういうデータはないということだったので、是非そういったデータも作っていただきたいということをこれは要望しておきたいというふうに思います。
 それから、今回の法案ですね、貯蓄から投資へという政策を金融経済教育の中に持ち込むということには私は大きな問題があるというふうに思います。公教育に投資勧誘というビジネスが持ち込まれる、そういう懸念は、消費者教育に当たってこられた有識者、弁護士などからも、投資のメリットの強調ばかりになるのではないかという指摘もございます。この点で、金融庁も金融経済教育推進機構は中立性が重要だというふうにおっしゃってきました。しかし、そうであるならば、なぜ日銀から離して金融庁の所管にしたんだろうかと。
 元々、消費者庁、文科省、そして日銀の金融広報中央委員会が中心となってやってきたわけですね。それを改組して、民間法人と言いながら、先ほども議論ありましたけど、国が半分出資する、それで金融庁が所管する。もちろん、金融庁とか金融業界が一切手を引けと言っているんじゃありません。複雑な金融商品を理解するためには、やっぱり専門家の知見は必要であります。しかし、あくまで補佐的な立場にとどまるべきではないだろうかと。
 私は、推進機構は金融庁所管とするのではなく、現行のように日銀の下に置くという体制、変更する必要はないんじゃないか、金融庁、金融業界主導ではなく消費者庁と文科省が主導する、そういう体制にすべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 現在様々な主体によって行われております金融経済教育につきましては、政府や民間の金融関係団体等によります金融経済教育に関する取組が十分に調整されず、非効率である、あるいは、実施主体が民間の金融関係団体や金融機関では受け手に敬遠をされるとの指摘がありました。このため、金融経済教育推進機構の下で、官民一体となって国全体として中立的な立場から金融経済教育を推進することが最も有効であると考えております。
 今後、機構においては、学生、社会人、高齢者等の幅広い層に対して、単に金融商品の知識を伝えるのではなくて、家計管理や生活設計のほか、消費生活の基礎や社会保障、税制度、金融トラブルに関する内容も含めて幅広い分野の金融経済教育に取り組んでいく予定であります。
 こうした取組を効果的に推進するためには、金融経済教育に関する一定の蓄積があり、これまで金融経済教育の実際の担い手でありました民間の金融関係団体や金融広報中央委員会とのネットワークを有する金融庁が引き続き中心的な役割を担いつつ、これまで同様に文部科学省、消費者庁を含む幅広い関係者とも適切に連携しながら取り組んでいくことで、バランスの取れた金融経済教育を進めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 今言われたようなことをきちんと担保する上では、運営委員会が設置されるわけですね、この運営委員会で重要事項を意思決定すると。大臣は衆議院で、機構の中立性確保のため、運営委員会の人選については金融経済等に専門的な知見を有する第三者である外部有識者を中心とすると答弁されておりますが、この外部有識者の人選というのはどうなっていくのか。これは、消費者教育の専門家、あるいはその消費者問題に取り組んできた弁護士、そういった方もやっぱり入れるべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融経済教育推進機構には、外部有識者の参画を得つつ、運営の透明性、効率性を確保することによりましてガバナンスを強化するという観点から、運営委員会を設置することとしております。
 金融経済教育は、これまで金融広報中央委員会が事務局を務め、消費者教育の専門家を含む幅広い金融経済教育の関係者で構成される金融経済教育推進会議において、身に付けるべき知識などが金融リテラシーマップとして整理されてまいりましたが、今般の法律に基づき設立されます機構では、その内容を踏まえつつ、家計管理や生活設計のほか、消費生活の基礎や社会保障、税制度、金融トラブルに関する内容も含めて広範な観点から教育活動に取り組んでいく予定であります。
 したがいまして、機構の運営委員につきましては、金融経済教育活動又は年金制度に関する豊富な知識を有していることのみならず、小池先生御指摘のとおり、消費者分野の視点から議論に参画できる方にも御就任いただくことが望ましいと考えます。
 なお、運営委員は内閣総理大臣の認可を受けて機構の理事長が任命することとなりますので、金融庁としては、こうした認可手続の中で適切に対応してまいりたいと思っております。
○小池晃君 金融広報中央委員会には現在、金融経済教育推進会議が置かれております。これ、機構が新設されるとこの推進会議はどうなるのか。今会議に参加している消費者庁、文科省、また消費者教育の関係者は引き続き参加できるんでしょうか。この点について、最後にお聞きします。
○国務大臣(鈴木俊一君) 金融経済教育、これを効率的、効果的に推進するためには、消費者教育の専門家を含む有識者や関係団体が集まり、金融経済教育の取組状況を関係者間で共有する場として金融経済教育推進会議の役割は今後とも重要でありまして、引き続き存続するものと考えております。
 その上で、今般の法案に基づきまして、金融経済教育推進機構が設立された後は、この推進会議の事務局を担ってきた金融広報中央委員会の機能は機構が承継することとなりますので、今後は機構が推進会議の事務局を担うことが想定されます。
 金融庁としても、引き続き、消費者庁や文部科学省、消費者教育の専門家なども参加する金融経済教育推進会議の場において、金融経済教育の取組状況、今後の在り方などについて議論が交わされることが望ましいと考えております。
○小池晃君 業界の利益最優先ではなく、国民の立場に立った金融経済教育の確立が必要だというふうに思いますので、引き続きそういったことを求めてまいりたいと思います。
 終わります。

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