赤旗2023年9月29日付
日本共産党の小池晃書記局長・参院議員と赤嶺政賢、塩川鉄也、宮本徹、田村貴昭、本村伸子の各衆院議員、山添拓参院議員ら国会議員団は28日、沖縄県を訪れ、名護市辺野古の米軍新基地建設反対のたたかいを激励し、米軍基地周辺の人体に有害な有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)汚染など、沖縄の基地問題について調査しました。
小池氏らは新基地建設反対の座り込みが3371日を迎えた米軍キャンプ・シュワブゲート前の抗議活動に参加。小池氏は、「日本共産党をあげてこのたたかいに心から連帯する」と力を込め、赤嶺氏は、この場でのたたかいが新基地建設阻止を目指す玉城デニー県知事を「支えている」と激励しました。
小池氏は、新基地建設の埋め立て予定区域北側の大浦湾に広がる軟弱地盤改良工事のための設計変更を承認するよう迫った「勧告」をデニー知事が受け入れなかったのは、県民投票や選挙で示された民意に応えるもので「当然だ」と指摘。「政府は『法治国家』を振りかざすが、沖縄防衛局が『私人』に成りすまし国交相に審査請求するなど、法治国家にあるまじき行為を繰り返しているのは国ではないか。最高裁判決で県が追いつめられているように見えるが、卑劣な行為に及ぶまで追いつめられているのは国の方だ。追いつめているのが『オール沖縄』のたたかいだ」として、党派を超えて「ともに頑張ろう」と呼びかけました。
そして小池氏は、沖縄戦の犠牲者の遺骨が混じる沖縄本島南部の土砂を新基地建設の埋め立てに使うなど「人間の尊厳を蹂躙(じゅうりん)するものだ。断固許さない」と訴えました。
小池氏らは抗議船などに乗って海に出て、「K9護岸」から埋め立て用土砂が次々と陸上げされる様子や、工事の影響が懸念される、巨大なアオサンゴの状態などを確認しました。
案内した沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、デニー知事が設計変更を承認していないのに、国が大浦湾側の新たな護岸工事の入札公告を行い、大浦湾埋め立て用の土砂仮置きのための土砂陸上げを行っていることを告発。工事は軟弱地盤の問題などを抱えており、強行しても「頓挫することは目に見えている」と指摘しました。
沖縄PFASで聞き取り 共産党調査団
沖縄市では、米軍嘉手納基地(北谷=ちゃたん=町など1市2町)内を通って北谷浄水場の取水源の比謝(ひじゃ)川(現在は取水停止)に流入している大工廻(だくじゃく)川を視察しました。沖縄県企業局の職員は、視察した地点で昨年度、PFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)=ともにPFASの一種=の合計値が1リットル当たり512ナノグラムと国の指針値(1リットル当たり50ナノグラム)の約10倍検出されたことなどを説明しました。
職員は「県としては、原因は嘉手納基地ではないかと考えている」と述べ、繰り返し基地への立ち入り調査を求めていることなどを説明。「国は早く汚染源の調査をしてほしい」と述べ、米軍が立ち入りを認めない現状を訴えました。小池氏は「私たちも国会で取り上げ、日米両政府に求めます」と応じました。
視察の間にも嘉手納基地からは声が聞こえなくなるほどの爆音とともに米軍戦闘機がひっきりなしに離陸していきました。
米軍普天間基地を抱える宜野湾市では、PFAS汚染について独自の土壌調査などを行い、水や土壌を守るため活動している市民団体「宜野湾ちゅら水会」(ちゅら水とは「美しい水」の意味)と懇談。同会の照屋正史さんは、「汚染源は基地の中にある。しかし、米軍が認めなければ日米地位協定により立ち入れない」と述べ、同会が今年7月に行った国連での報告で、こうした問題は生活や子どもたちを脅かす「人権侵害だ」と訴えてきたと述べました。
同会の町田直美さんは、基地立ち入りなどPFAS問題解決のための活動を「国会議員の権限を十分に使って一歩でも二歩でも進めてほしい」と期待を示しました。