赤旗2023年9月27日付
国が2012年7月末で申請を締め切った水俣病特措法で「非該当」として救済を拒まれた近畿地方などの被害者ら128人が、国、熊本県、加害企業のチッソに損害賠償などを求めている「ノーモア・ミナマタ近畿第2次訴訟」の判決が27日、大阪地裁でありました。達野ゆき裁判長は、原告全員を水俣病と認定し、計3億5200万円(1人当たり275万円)の支払いを、国、熊本県、チッソに命じました。
判決は、特措法の対象外地域の原告、年代外の原告、特措法未申請原告の全員を水俣病と認定。不法行為から20年以上が経過すれば損害賠償請求ができなくなるという「除斥期間」の被告側の主張を退け、「除斥期間」の起算点を、共通診断書検診に基づいて水俣病と診断された時としました。
鹿児島県阿久根市出身の原告(74)は「(提訴から)9年余り、この日を指折り数えて待っていた。(全面救済への)道しるべができた」と声を震わせ弁護団、支援者らに感謝。原告らは、水俣病の情報から遮断され、症状に苦しみながら医療機関を受診しても原因不明とされ、自分が被害者であることさえ知ることができなかった苦しみを語り、命を最優先にする施策への転換を訴えました。
弁護団は声明で、原告の主張がほぼ認められた「全面勝訴」だと評価し、早期救済を訴え。徳井義幸弁護団長は「(有毒な排水規制を怠った)国も県もチッソと同罪だとした、救済問題を大きく前進させる画期的な判決だ」と話しました。
大阪のほか熊本、東京、新潟地裁で約1760人の原告がたたかう集団訴訟の、全国で最初の判決。熊本訴訟原告団団長の森正直さんも駆け付け、涙ながらに喜び、来年3月の熊本判決への決意を語りました。
原告全面勝訴 画期的判断 全ての被害者救済求める
小池書記局長が談話
日本共産党の小池晃書記局長は27日、「ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟」の大阪地裁判決について、次の談話を発表しました。
27日、大阪地裁は「ノーモア・ミナマタ第2次近畿国賠訴訟」で、「本件患者ら128人全員について、水俣病に罹患(りかん)している」とし、国・熊本県・原因企業のチッソが連帯して損害賠償を行うよう命じる原告全面勝訴の画期的判決となりました。原告団、弁護団、支援者のみなさんによる命がけのたたかいに心からの敬意を表し、ともに喜び合いたいと思います。国・県・チッソが本判決を厳粛に受け止めて、原告の早期救済に向けた対応をすることを強く求めるものです。
判決では、「水俣病被害者救済特別措置法」(「特措法」)による一時金の申請を3年以内に限定したこと、また、「特措法」が対象とした、(1)チッソ水俣工場がメチル水銀を含む排水をした水俣湾周辺に1年以上居住、(2)排水が止まった翌年の1969年11月末までの生まれなどの線引きによって、患者を切り捨ててきたことの誤りを厳しく断罪するものとなりました。
本判決は、従来の国など被告による水俣病救済策の根本的転換を迫るものであり、国が拒んできた不知火海沿岸全域の健康調査を行ってこそ、全ての被害者を救済できることを示したものと言えます。
日本共産党は、すべての被害者が救済されるまで引き続き奮闘する決意です。