赤旗2023年9月16日付
日本共産党の小池晃書記局長は14日、BS番組「フジ プライムニュース」に出演し、岸田政権の内閣改造人事、野党共闘、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出をめぐる議論を各党議員らと交わしました。
小池氏は、内閣改造をどのように見るか問われ、国民から批判の大きい保険証廃止を含めたマイナンバーカード問題を担当する河野太郎デジタル担当相と、反対運動が急速に高まる中で、10月から導入されるインボイス(適格請求書)制度を担当する鈴木俊一財務相の留任を挙げ、「国民の声を聞く力はない」とし、「国民の声より党内実力者の声を聞く内閣だ」と主張しました。
閣僚・自民党役員人事について小池氏は、統一協会と癒着のあった萩生田光一政調会長の続投や解散命令請求に直接かかわる盛山正仁文科相の起用、過去に「政治とカネ」の問題で元秘書2人が有罪判決を受けた小渕優子氏の選対委員長就任に言及。「世論調査では、改造を評価しないという人が43%、小渕氏の起用は不適切が59%(いずれも『共同』)。改造の『効果』は出ていないのではないか」と述べました。
小池氏は、国民民主党の矢田稚子元副代表の首相補佐官起用に関して、国民民主党はもともと自民党の補完勢力だと述べ「政権をきちんと批判し、自民党に代わる政治を実現するのが、野党の役割だ」と強調しました。
立憲民主党を含めた野党共闘について小池氏は、「立憲民主党の党首から協力・連携の意思が示されれば、困難をのりこえて、前へ進めるのではないか」と提起。「原点は立憲主義の回復だ。原発ゼロや選択的夫婦別姓の実現などでも、政策的な一致はある」と述べました。出演していた立民の大串博志選挙対策委員長は、共産党との協力について問われ、「各党としての立ち位置、持ち味は生かしていきながら、協力できるところは協力して、与党に対峙(たいじ)できる勢力をつくっていこう」とこたえました。
小池氏は、前回の総選挙では、「野党共闘の力で59の小選挙区で勝利した」と指摘。「『野党共闘は失敗した』という議論は間違っていることを、共に主張していくことが大事だ」と述べました。
汚染水(アルプス処理水)の海洋放出について小池氏は、原発事故で溶け落ちたデブリに接した水を海洋放出したことは世界でも例がないとした上で、最大の問題は「漁業者など関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとした重い約束を国と東電が破ったことだ」と強調しました。
最後に小池氏は「原発事故はとてつもない苦しみを生み出し、何十年という単位での対策が必要となる。今回の海洋放出も結局は原発の再稼働あるいは新増設の方向に政権が大きく舵(かじ)を切る中で行われた。国際社会の理解を得ようというのであれば、原発事故を起こした日本こそ原発ゼロの政治決断をすべきだ」と述べました。