赤旗2023年9月12日付
日本共産党の小池晃書記局長は11日、国会内で記者会見し、東京電力福島第1原発の汚染水(アルプス処理水)の海洋放出について「『汚染水』との言葉を使うのをやめるべきではないか」と問われ、「『汚染水』という言葉を使ってはいけないかのような議論にはくみしない。言い方を変えても、海洋放出の問題は解決しない」と述べました。
小池氏は「溶け落ちたデブリに接した水なので、トリチウムだけでなく、セシウム、ヨウ素、ストロンチウムなどの放射性物質が含まれており、通常運転の原発で出てくるいわゆるトリチウム水ではない。たとえ、アルプス処理によって現時点では排出基準は下回ったとしても、そのようなものを海洋放出したのは世界で初めてのことだ。だから私たちは、汚染水(アルプス処理水)と呼んでいる」と述べました。
また、岸田文雄首相がこの間の一連の外交で国際社会の理解が広まったとの認識を示したことについても問われ、「最大の問題は、一番の当事者である福島をはじめとする漁業関係者の理解が得られていないことだ。それをわきに置いて、国際会議で米国など一部の国から支持がえられたから、『理解が広がった』というのは、『関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない』と約束したことをごまかすことになる」と指摘しました。
また、小池氏は、モルタル固化、大型タンク保管、地下水の流入をストップするための広域の遮水壁の設置など専門家からも具体的な対案が示されてきたにもかかわらず、国際原子力機関(IAEA)の報告書も海洋放出以外の選択肢との比較はしていないと指摘。「日本政府も、国際社会に対して、いろいろな選択肢があったことを含めて、きちんとした説明をしていない。そういったことが説明されれば、また違った声が国際的にも起こってくる可能性がある」と述べました。