赤旗2023年8月10日付
金融庁は新NISA(少額投資非課税制度)の来年からの施行に向け、回転売買に対する規制を強化します。回転売買は、金融業者が顧客からの手数料収入を目当てに、株や投資信託の短期売買の繰り返しを勧める行為です。
資産所得倍増を掲げる岸田政権は先の通常国会で、NISAを抜本的に拡充し、投資枠の上限額を大幅に引き上げました。株や投資信託の年間投資枠360万円まで配当や売却益を非課税としました。現行制度(120万円)の3倍です。また「投資枠の再利用が可能」となる制度も新たに導入。現行では購入した株や投資信託を売却すると、投資枠を失いますが、新制度では次の年に復活します。一人当たり総額1800万円までの投資枠がありますが、再利用制度を使えば、毎年360万円、30年使えば1億円を超える売買が可能となり、その利益は非課税にできます。
金融庁は今回、この投資枠再利用制度について、業者が回転売買に悪用することを防ぐため、監督指針を見直して年内に公表するとしています。
日本共産党の小池晃書記局長(参院議員)は3月の財政金融委員会で、投資枠再利用制度の導入が、「長期投資というNISAの趣旨に反する」と指摘し、短期売買に悪用される危険性を指摘していました。
小池議員の話 回転売買は問題だが、短期売買を誘発する再利用制度自体が問題。富裕層向けに一人当たりの投資枠を大幅に引き上げた仕組みとともに、撤回すべきです。