赤旗2023年8月5日付
日本共産党の小池晃書記局長は4日、国会内で記者会見し、来年秋に健康保険証を廃止しマイナンバーカードと一体化させる政府方針を変えず、資格確認書の有効期間の上限を「最長5年」にする岸田内閣の対応について、「マイナンバーカードの暴走が破綻し、迷走が始まった」と厳しく批判しました。
小池氏は、どの世論調査でも7割を超える国民が健康保険証廃止の「延期・撤回」を望んでいると指摘し、「それにもかかわらず既定路線にしがみつき廃止を強行する。岸田文雄首相に『聞く力』はないということが明瞭になった」と批判しました。
岸田首相は来年秋以降、マイナ保険証を持たない人に発行する「資格確認書」について、被保険者から申請がなくても職権による「プッシュ型」で発行するとしています。小池氏は、岸田首相が、これまで「1年」としてきた資格確認書の有効期間を「最長5年」にするなど軌道修正したことについて、「そんな弥縫(びほう)策を重ねるぐらいなら、これまで通り保険証を存続すればいい」と指摘。1年が5年になっても健保組合などに無駄な業務負担を押し付けることに変わりはないとして、「首相は『国民の不安を払拭』するというが、不安を払拭する唯一の方法は保険証の存続だ。それが簡素で確実な解決方法だ」と強調しました。
さらに、マイナ保険証をめぐって、医療現場で引き続きトラブルが続出していることについて、大阪府保険医協会が発表したアンケート調査では、資格確認に関するトラブルが「あった」と回答した医療機関が68・9%に上り、内容も「資格が無効」で「負担割合の齟齬(そご)」「限度額認定の誤り」など保健情報の根幹にかかわるものだと指摘。福岡市医師会の調査でも83%の医療機関が「不具合があった」と回答しているとして、「今のマイナ保険証も、このまま運用を続ければ被害が出続ける。運用を停止すべきだ」と強調しました。
小池氏は「そもそもなぜここまで保険証廃止にしがみつくのか」と指摘。先の国会で自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党が問題を指摘されながらも保険証廃止法案を強行したとして、「廃止の延期・撤回には法改正が必要だ。責任追及を恐れているのではないか」と批判しました。
また、経団連がマイナンバーカードの一体化と保険証廃止を求めてきたとして、「国民の暮らしよりも、政党のメンツと党利党略、財界の要求を優先したと言われても仕方がない」と批判。「改めて、来年秋の保険証廃止方針を撤回し、国民と医療現場の声に従って健康保険証を存続させるべきだ」と述べました。