赤旗2023年5月5日付
討論のまとめをおこないます。
今日の討論は、志位委員長のあいさつで述べられた常幹声明の「二つの肝」――“今回の選挙結果を「日本共産党の封じ込めをはかる大逆流との生きた攻防のプロセス」のなかでとらえる”“選挙戦から引き出すべき「最大の教訓」が「党の自力の問題」にある”――これがしっかりとすわる議論になったと思います。
「今後の前進・躍進に向けた足掛かり」を全党の確信に
常幹声明が、今回の選挙結果について、昨年の参議院選挙の比例得票率との比較をふまえて、「今後の前進・躍進にむけた足掛かりとなる」としたことを、全党の確信にしていくことがきわめて重要です。
もちろん、国政の比例代表選挙と地方選挙では、その性格や選挙の構図に違いがあることは事実です。同時に、今回の地方選挙において日本共産党公認候補が得た得票は、今後の奮闘いかんでは次の総選挙での比例票につなげうるものであることも間違いのないことです。自動的に総選挙につながるものではありませんが、奮闘いかんではつなげうる流れを作り出してきたのです。そういう意味で、常幹声明が「今後の前進・躍進にむけた足掛かり」と述べたということを正確につかんでいただきたいと思います。
報告でも強調したように、「直近の全国選挙である22年の参院選比例票から、どこまで押し返したかは、激しい党派間闘争を評価する際の重要なモノサシとなる」ものです。「二重の大逆流」のなかで、客観的に、どこまで押し返してきたのかを、参院比例の得票率との比較で評価することは、マスメディアが、共産党は今度の選挙で「一路後退」というような報道をしているだけに、いっそう重要になっています。
実は、2019年の統一地方選挙についての常幹声明でも、「希望の党」の大逆流で大きく後退を余儀なくされた2017年総選挙の比例得票率と比較して得票率を伸ばしたことを指摘し、「今後の前進・躍進にむけた足がかりを築くもの」だと評価しました。そして、その年の参院比例代表選で、実際に17年総選挙の440万票(得票率7・9%)から448万票(8・95%)へと押し返すことができました。まさに19年統一地方選挙の結果は、党派間闘争のなかで全党の奮闘で押し返したものであり、それが直後の国政選挙での結果につながったのです。いま、解散・総選挙ぶくみの緊迫した局面に入りつつあることを考えても、今回の選挙結果についての見方を全党の共通認識にしておくことがとても大事です。
加えて、なぜそれが実現できたのか。足掛かりをつくる力になったのは、わが党の論戦です。住民の暮らしをよくする党地方議員団の値打ち・役割を正面から語ったことはもちろんですが、とりわけ岸田政権の大軍拡に反対し、平和の対案を掲げた論戦を、地方選挙でも正面から訴えてたたかいました。これが大逆流を押し返す大きな役割を果たしたことは間違いありません。また、一大反共キャンペーンのなかで、党の綱領と規約、日本共産党がどんな党かを語りぬいたことも大きな役割を果たしました。これらの問題での学習に思い切って取り組むことも重ねて強調しておきたいと思います。
自力の問題でも足掛かりを築いている
もう一つの「肝」――最大の教訓としての党の自力の問題については、二つの面があると思います。
一つは、こもごも語られたように、自力が本当に足りない。「このままでは次の選挙をたたかえない」「何とかしなければならない」という思いが語られました。
同時に、この選挙にむけて自力をつけることに成功し、新しい党員をむかえ、その人たちが大きな力を発揮して勝利につながった経験も豊かに語られました。
大阪・吹田市の取り組みはまさにその典型だと思いますが、長野県の原村で党員・日刊紙・日曜版で前回時を回復して得票も率も県内で一番のばした経験、あるいは、川崎市多摩区で、候補者の地域の五つの支部がすべて新しい党員を迎えてたたかった経験も、討論で語られました。まだ始まったばかりですが、自力をつけるという点でも今後に生きる足掛かりを私たちは築いてきたと言えると思います。
「真ん中世代」が選挙で大きな役割を発揮し、その後入党した経験も語られました。青年・学生が選挙で新鮮な力を発揮したり、選挙の中においても新歓運動を握って離さず取り組んだことによって、画期的な民青の前進をかちとっていることも語られました。
自力の問題を克服するという面でも、今後の前進に向けた足掛かりをつかむような取り組みが、全党の奮闘によって各地で生まれている。そこに光をあて、確信にし、発展させるという見地も大切だと思います。
「手紙」と「返事」の取り組み、「折り入って作戦」の可能性を生かして党をつくろう
今後の取り組みとして、あらためて二つの点を強調したいと思います。
一つは、「手紙」と「返事」の取り組みの重要性です。7中総の「手紙」では、なぜいま「130%の党」をつくらなければいけないか、詳しく述べています。第一は、いまわが党が直面している政治任務を実現するには、「130%の党」をつくることがどうしても必要だということ。第二は、より長期の視野に立って党の綱領路線を実現するためには、いま「130%の党」と、若い世代、真ん中世代での「党勢倍加」をやり抜き、党勢を後退から前進へと転換させることがどうしても必要だということ。第三に、党の現状は、いま抜本的な前進に転じなければ未来がなくなる危機に直面しているとともに、前進に転じる大きな可能性も存在しているということ。可能性に確信をもって「130%の党」への前進で危機を打開しようということです。「手紙」では、やり抜く可能性が大いにあるということも強調しています。そして、この取り組みは、私たち中央委員会としての反省を込めて提起したものだということも述べています。
これらの「手紙」の中心的な内容は、統一地方選までのものでなく、党大会までの1年間のたたかいの指針となるものであり、統一地方選の経験を踏まえていっそうその切実さ、重要性、生命力が実感される内容となっています。
この「手紙」をいま一度、支部で、党機関で、議論していただいて、「手紙」と「返事」の取り組みを再起動させて、すべての支部、党員が「130%の党」をつくる取り組みに踏み出すことをあらためて呼びかけます。
もう一点は、「折り入って作戦」の問題です。討論を通じて、「折り入って作戦」が本当に大きな可能性をひらいたということが語られました。それは全党の確信になりつつあると思います。42万7千人という大きな鉱脈がどこにでもある。そういう状況をつくり出したのは、この間の「折り入って作戦」の全党の奮闘のたまものです。ここに確信をもって、「折り入って」で協力を約束してくれたすべての方々に、入党の働きかけをしていこうではありませんか。これを、急いでやる、もれなくやることが、今後のたたかいの可能性を大きく切りひらいていく決定的な取り組みになるのではないでしょうか。
党機関の長の不屈性・先進性を発揮しよう
今日の会議は、全体として、たたかう方向性も、そして確信も培われる議論になりました。
志位委員長が最初のあいさつで述べましたが、こういう時こそ党機関の長の姿勢が問われています。悔しい後退をした党組織では、党内に落胆の気持ちもある。全国的な後退も悔しい結果です。そういう時だけに、今日は都道府県委員長が「不屈性」「先進性」を発揮して頑張るんだという討論にもなりました。ぜひ総力をあげて、統一地方選挙の悔しさは、党勢拡大の前進と、来たるべき解散・総選挙での勝利で決着をつけようではありませんか。
連休はしっかり休んでいただいて、連休後からただちに立ち上がって全力をあげることを呼びかけて、討論のまとめとします。