日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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納税者権利憲章制定を 強引な税務調査 実態示す 参院財金委で小池氏が追及

2023年04月03日

赤旗2023年3月31日付

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(写真)質問する小池晃議員=30日、参院財金委

 日本共産党の小池晃議員は30日の参院財政金融委員会で、納税者の都合を無視した強引な税務調査が行われている実態を示し、「納税者権利憲章」の制定を求めました。

 

 任意の税務調査について国税庁の星屋和彦次長は「納税者の理解と協力を得て実施」し、調査の事前通知は「開始日前までに相当の時間的余裕をおいて行う」「納税者の都合を一切考慮せず、国税当局が(調査日を)決定する運用は行っていない」と述べました。

 

 小池氏は、その方針に反した実例を紹介しました。北海道のペットブリーダーは、外出中に税務署から対応を求めるメールがしつこく届き、都合がつく日時を伝えたにもかかわらず娘が留守番中の自宅を職員が何度も訪問。「娘に話を聞かせてもらう」と迫られたため警察に通報しました。また、仙台市の自動車整備業者のもとには事前通知なしに職員が訪問して10時間も調査。得意先の客6人ほどが訪れたものの対応できず、営業が妨害されました。

 

 小池氏は職員に「納税者の権利を守らせることが必要だ」と指摘。納税者権利憲章は国際的なミニマムスタンダード(最低水準)だとして、主要7カ国(G7)首脳会議の議長国として日本も制定するよう求めました。

 

 鈴木俊一財務相は「(憲章などを)制定するかどうかよりも納税者の利益の保護や利便性の向上に向けた措置」が重要などと答弁。小池氏は、実態の改善には根拠法令が必要だと重ねて求めました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 関税定率法の改正については、これは必要な措置だと思いますので賛成します。
 前回の質疑で、納税者権利憲章、必要ではないかということを議論をしたんですが、与党の方から立法事実がないというような話が、今日いませんけど、あったりとかですね、それから大臣は、納税者の視点に立った利益の保護や利便性の向上に向けた措置を手当てしていくことが重要というふうに答弁されたわけです。そこで、納税者の権利が守られているのかということについて今日はちょっと議論をさせていただきたい。
 まず、国税庁にお聞きしますが、大口、悪質な脱税を摘発する調査とは違う任意の税務調査というのは犯罪捜査のためと解してはならないというふうにされています。調査というのは、あくまでも納税者の理解と協力を得て行うということが基本でしょうか。

 

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 税務調査のための権限でございます質問検査権につきましては、国税通則法第七十四条の八におきまして、犯罪捜査のために認められたものと解してはならないことが規定されております。強制捜査として行うものではない一般の税務調査につきましては、調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等を定めた事務運営指針においても明らかとしているとおり、納税者の理解と協力を得て実施しているものでございます。

 

○小池晃君 事前通知ですが、これは納税者に十一項目の通知することが税務署員には義務付けられております。事務運営指針では、事前通知の時期も、調査開始日前までに、前までに相当の時間的余裕を置いて通知するというふうにしております。
 この調査日時というのは、どのような手続で決められるんでしょうか。

 

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 国税通則法では、納税者に対して質問検査等を行う実地の調査を行う場合には、原則として、調査対象税目や期間、実地調査、実地の調査を開始する日時、場所等をあらかじめ通知することとしておりまして、その実施時期につきましては、事務運営指針におきまして、原則として調査開始日前までに相当の時間的余裕を置いて行うこととしております。
 また、事前通知項目の一つであります質問検査等を行う実地の調査を開始する日時につきましても、事務運営指針において、事前通知に先立って納税者等の都合を聴取し、必要に応じて日程を調整した上で決定することとしております。

 

○小池晃君 これは、もちろん仕事や出張などで都合が悪いときというのは変更ができるんじゃないかと思います。有無を言わせずに日時を設定するということは、これはあってはならないことだと思いますが、いかがですか。

 

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。
 法律の規定上、事前通知を行った後、納税者等から合理的な理由を付して調査開始日時等の変更の求めがあった場合には、協議するよう努めることとされております。したがいまして、例えば納税者等の業務上やむを得ない事情がある場合など、納税者等からの求めに合理的な理由がある場合には、協議を行いまして、調査の適正かつ円滑な実施に支障を及ぼさない限りにおいて、調査開始日時等の変更の適否を適切に判断することとしております。
 このように、調査を実施する日時につきましては、納税者等の都合を一切考慮せず国税当局が決定するといった運用は行っていないということでございます。

 

○小池晃君 今、今までのこの国税庁の答弁と、対して実態どうなっているかということで、実態ちょっとお示ししたいんですが。
 一例目は、北海道のペットのブリーダーの女性なんですね。この方は、税務署からお話ししたいことがある、電話対応できるかというショートメールが来て、御本人は、出先にいてあした自宅に戻るのであしたの夕方連絡しますって返信したんですね。ところが、どうしても本日中に電話できないかと執拗にメールが来て、仕方なく電話をした。女性は、自分の都合のいい日時を税務署員に提示して電話を切った。ところが、翌日、また連絡が欲しいってメールが来た。それだけではなく、娘さんが留守番している自宅に何度も訪問したと。昨日も話したけど、今夜に帰る、娘が怖がるからやめてほしいというふうにメールで返したらば、話したいから電話できないかとまたメールが来た。もう克明なこのメールのやり取りがあるんですね。その後、こちらからの電話に出ていただけないようなので、これから自宅に伺い、娘さんに話を聞かせてもらいますと。こうなると新手の詐欺ではないかというふうに考えて、この方は警察に通報したそうであります。
 納税者の都合も聞かずに何度も携帯にメールする、断っても執拗に何度も何度もメールを送り続けて留守中に訪問すると。こういうことが起こっているわけですよ。
 それからもう一つは、宮城の仙台市の若林、荒浜で次男と二人で自動車整備やっている方なんですが、突然三人の税務署員が事前通知なしで来て、十時間にわたる調査。当日はお得意さん六人ぐらい来たけども、調査官がパソコンを占拠していて領収書も請求書も出せないと。大切なお客様に迷惑掛け、待たせると、営業妨害のような調査されたと聞いています。
 大臣、現場では、これは一例ではあるんですが、個別のケースについてどうこうということはお聞きしませんけれども、このように、やっぱり納税者の権利が守られていないんじゃないかという事例がたくさんあるわけです。やはり、実態をきちんと把握をして、先ほど国税庁答弁されたとおり、決められた手続を踏んで、納税者の理解と協力を得て進める、納税者の権利守らせるということが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがですか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) 税務調査につきましては、基本的に納税者の理解と協力を得て行うというのが基本であると、そう思いますし、そのことを十分認識した上で、国税庁において、職員に対して法令に定められた調査手続を遵守して実施するよう指示をしていると、そのように承知をいたしております。
 具体的には、納税者の予見可能性を高め、納税者の協力をより一層促すという観点から調査の事前通知等について手続が定められており、引き続きこうした法令上の手続に沿って税務調査が行われることが必要であると、そのように考えているところであります。

 

○小池晃君 もうそのとおりだと思うんですが、しかし、実態としては私が今紹介したようなことが起こっているわけですね。
 前回、こういう中で、やっぱり納税者の権利を守る納税者権利憲章は必要じゃないかというふうに申し上げたらば、大臣はドイツ、ベルギーにはないんだという答弁でした。
 国会図書館に問い合わせると、ドイツでは、憲法であるボン基本法の第一条で、人間の尊厳は不可侵であると、これを尊重し、かつ保護することが全ての国家権力の責務であるというふうにうたっていて、それに基づいて納税者の権利保護が租税基本法百九十三条とそれに続く条文によって規定されています。それから、税務署は納税者に対し文書で税務調査の事前通知をするということがドイツでは義務付けられています。それから、ベルギーでは租税条項に関する法律で納税者の権利が定められています。税務当局による犯罪捜査の禁止、罰則を科す際の理由の通知、定められています。
 このように、納税者の権利憲章というのは国際的なミニマムスタンダードになっていると思うんですね。各国は、納税者の権利保護を前提として、納税者へのサービスの質向上、これに積極的に取り組んでおります。こうした取組というのは、EUあるいはOECDにおける税務行政の国際化、標準化の動きにも連動して加速していると思うんですね。
 大臣、個別のケースはともかく、やはりこういう事態が日本でも起こっている中で、G7の議長国であります。やはり日本としても、納税者の権利を守るような法制、この整備が必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(鈴木俊一君) 前回の小池先生の今御質問があったことと答弁が同じになってしまうわけでございますが、政府の立場を申し上げますと、政府といたしましては、御指摘のような納税者権利憲章や納税者権利保護法制を制定するかどうかよりも、実際に納税者の視点に立った利益の保護や利便性の向上に向けた措置を手当てすることとともに、その内容をしっかりと説明していくことが重要であると、そのように考えております。
 例えば、これまでも、納税者が税の減額を求める更正の請求ができる期間を一年から五年へ延長をしたこと、更正等の処分時における理由の付記、それからスマホを含めた電子申告の推進、コンビニ納付など納付手続の拡充など、様々な措置を講じてきたところであります。
 今後とも、納税者の利益の保護や利便性の向上等の観点を踏まえ、税務行政を適正かつ円滑に運営してまいりたいと考えているところであります。

 

○小池晃君 税の減額を求める更正の請求ができる期間を一年から五年に延長したと、等々ありました。こういったことによって新たな問題が起こっているということも指摘をされておりますので。
 私は、これちょっと引き続き議論させていただきたいと思うんですけれども、今申し上げたような実態からすれば、やはりそういう法制を整備するよりも税務行政を改善することをやるんだという、そういう御趣旨だと思うんですが、まあ、よりもっておっしゃるけど、そういう法制作ること自体は否定されてないと思うんで、やっぱり今のその税務行政の納税者の権利が守られていないような実態を改善するためには、やはりきちっとした根拠の法令が必要であるというふうに思います。それが国際的には当たり前になっているということだと思いますので、改めて納税者権利憲章、制定を求めていきたいということで、質問は終わります。

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