「赤旗」2015年4月15日付
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)に対して福井地裁は14日、「運転してはならない」として再稼働を差し止める仮処分決定を下しました。日本共産党の小池晃政策委員長は、「画期的な決定」だとして、再稼働の断念を求める談話を発表しました。
樋口英明裁判長は、原子力規制委員会が策定した原発の新規制基準について、「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない」「合理性を欠く」と指摘しました。関電は保全異議の申し立てや本裁判で決定を覆すことができなければ、法律上は再稼働できなくなりました。
仮処分を申し立てていたのは、県内の3人と関西圏の6人の計9人で、いずれも原発から250キロ圏内の住民。うち4人は、住民側が昨年5月の一審(福井地裁)で勝利した大飯原発3、4号機再稼働差し止め訴訟の原告でもあります。
決定では、原発の耐震設計で想定する最大の揺れである基準地震動を問題視。(1)この10年足らずの間に四つの原発で基準地震動を超えたケースが5回ある(2)過去の限られたデータから平均的な値を算出して策定している―として「実績のみならず、理論面でも信頼性を失っている」と指摘しました。
また、関電が見直すたびに基準地震動を引き上げてきたことに対しても、「根本的な耐震補強工事がなされないまま」だと批判しました。
そのうえで、新規制基準は適合すれば深刻な災害を引き起こす恐れがないと言える厳格な内容ではなく、「住民らが人格権を侵害される具体的危険性が認められる」と結論づけました。
関電は再稼働の前提となる新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しており、高浜3、4号機が「適合」したとされる審査書が決定されていました。
申し立て人の1人の松田正さん(65)=坂井市=は福島の被災者の人たちに思いを寄せ、「この決定が福島の人たちへの、せめてもの励ましになればと思う」と話しました。