日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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この国の民主主義、立憲主義を取り戻す 小池書記局長の代表質問

2023年01月31日

赤旗2023年1月28日付

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(写真)代表質問を行う小池晃書記局長=27日、参院本会議

 日本共産党の小池晃書記局長は27日、参院本会議で代表質問を行いました。岸田文雄首相が暮らしも平和も憲法も踏みにじる大暴走を始めていることを厳しく批判。解決策を示すとともに、広範な市民と力を合わせて打開していく決意を表明しました。

 

敵基地攻撃・大軍拡

南西諸島基地強化で再び戦場に

東アジアの平和枠組みこそ

 

 小池氏は、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有を宣言した昨年末の「安保3文書」にふれ、「歴代政府が『建前』としてきた『専守防衛』を投げ捨てるものだ」と批判。さらに、3文書は日本が攻撃を受けていない場合でも「存立危機事態」として、集団的自衛権を行使し、同能力を使用できるとしているとし、「日本が攻撃されていないのに、米国とともに他国領土にミサイルを撃ち込むことがどうして『反撃』能力なのか」と厳しく指摘しました。首相は、「専守防衛の考え方を変更するものではない」と、理由も示さず強弁しました。

 

 また小池氏は、11日の日米2プラス2では自衛隊の統合司令部の設置と日米の司令部機能のさらなる一体化も確認しているとし、自衛隊が米軍指揮下で米軍の相手国に先制攻撃をする危険を指摘。「報復攻撃で日本は焼け野原になってしまう」と警告しました。

 

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 首相が進めると述べた「南西地域の防衛体制の抜本強化」について小池氏は、沖縄県への長射程ミサイル配備や宮古、石垣、与那国島でのミサイル基地建設強行に加え、米海兵隊の改編計画などを指摘。「これらはまさに沖縄が再び戦場になることを想定した、日米一体の戦争態勢づくりではないか」と追及しました。首相は「沖縄に米軍が駐留することは日米同盟の抑止力を構成する重要な要素だ」と述べ、県民の不安に背を向けました。

 

 また、小池氏が熊本市内の中心部にある健軍駐屯地などの司令部の「地下化」が来年度予算に盛り込まれていることを指摘。「攻撃対象になることを想定しているのか」とただしたのに対して、首相は「自衛隊施設の抗たん性(攻撃に耐え、機能を維持する能力)の向上といった取り組みは重要だ」と答弁。攻撃を受けることを前提としていることを認めました。

 

 さらに小池氏は、5年間で43兆円もの大軍拡を行えば軍事費が文教予算の2倍以上になると指摘し、「これが『平和国家』と言えるか」と批判。東南アジア諸国連合(ASEAN)が東アジア規模の友好協力条約締結を提唱しているとし、「東アジアのすべてを包み込む平和の枠組みづくりに力を尽くすべきだ」と訴えました。

 

賃上げ・1億円の壁

実質賃金8カ月連続のマイナス

所得配分ただす責任果たせ

 

グラフ

 小池氏は、実質賃金が8カ月連続マイナスだと指摘し、大企業の内部留保への時限的課税で賃上げを促進する日本共産党の提案を実現するよう求めました。

 

 小池氏は、首相が内部留保への課税は「二重課税」だとして拒否し続けていることを厳しく批判。財務省は国会で「二重課税の定義はない。関係する経済団体からの指摘だ」と答弁していることを示し、「『二重課税』などという言い訳は金輪際やめるべきだ」と迫りました。首相は「二重課税との指摘もある」として従来の答弁を繰り返しました。

 

 小池氏は、そもそも所得再分配の主体は民間企業ではなく政府であり、税制と社会保障制度による所得配分のゆがみをただすのが政府の責任だと強調しました。

 

 2023年度の公的年金は実質0・6%の目減りで、そのうち0・3%は過去2年間の「削り残し」分です。小池氏は「物価高騰のただなかに、積み残しを含めた削減率を機械的に適用すれば、年金不信はさらに高まり、持続不可能な制度になってしまう」と強調し、物価上昇を超えた年金引き上げを求めました。首相は「持続可能な仕組みを維持する」として年金引き上げに背を向けました。

 

 さらに、小池氏は物価高騰に対する首相の方針は「2次補正予算の早期執行」だけだと批判。物価高騰は政府が支援対象とする電気代、ガス代にとどまらず、広範な品目に及び、1世帯あたり14万円もの負担増です。

 

 小池氏は、世界100カ国・地域が実施した付加価値税・消費税の減税を要求。同時に、地方議会での意見書採択が389自治体に広がっているとしてインボイス(適格請求書)導入中止を求めました。

 

 小池氏は、所得が1億円を超えると所得税の負担率が逆に下がる「1億円の壁」の問題を指摘。首相が今回提案しているのは所得30億円以上の超富裕層だけ、申告納税者数は200人あまりで、税率の引き上げもわずかだとして「『30億円の壁に小さな穴を開ける』程度で不公平が是正されるのか」「住民税と合わせて20%の税率を、少なくとも高額所得者には欧米並みの30%以上を適用すべきだ」と強く求めました。

 

少子化・ジェンダー

自民党の政治が子育てを困難に

ジェンダー平等社会へ改革

 

 小池氏は、この間、園児のバス置き去りなど悲惨な事件が起きている問題を取り上げ、「安心・安全な保育体制の確保も待ったなしだ」と指摘。事件の背景には諸外国と比べて大きく立ち遅れている保育士の配置基準があるとして、その見直しを求めました。

 

 スウェーデンでは、4~5歳児18人に対し保育士3人の基準ですが、日本では30人に対し1人で、1948年の児童福祉法制定時から70年以上変わっていません。小池氏は「配置基準を見直し、処遇改善を進めるべきだ」と要求しました。

 

 首相は、配置改善は「重要な課題だ」と答弁。「さらなる配置改善についても引き続き努力していく」と述べました。

 

 また小池氏は、日本を「少子化社会」にした根源の一つにジェンダー差別があると指摘。それにもかかわらず、首相の少子化対策には「ジェンダー平等を推進するための、社会システムの改革・転換という視点が全くない」と批判しました。

 

 小池氏は、自民党が「少子化の原因は晩婚化」と女性にばかり責任を押し付け、家事や育児、介護を女性に担わせる一方で、低賃金と不安定雇用で男女の生涯賃金格差は1億円だと告発し、「こうした政治が子どもを産み育てることを困難にしてきたという認識があるか」「選択的夫婦別姓の実現や同性婚の法制化をはじめ、日本社会をジェンダー平等社会につくりかえるべきだ」と迫りました。

 

 首相は「仕事と子育ての両立の難しさも大きな課題の一つだ」とし、男女の賃金格差に関わる情報の開示、非正規労働者の待遇改善などの推進を口にしましたが、具体策はありませんでした。

 

原発・学術会議

地震と津波で原発事故起きた国

純国産の再エネ大量普及を

 

 小池氏は、自民党の麻生太郎副総裁が「原発で死亡事故はゼロだ」と発言したことについて、関西電力美浜原発での死亡事故や、東京電力福島第1原発での関連死が2000人を超えていることをあげ、「全く事実に反する」と批判。首相が原発回帰への大転換を打ち出したのは、「麻生氏のように原発事故による被害は『たいしたことがない』という認識だからではないか」とただしました。首相は「万一、事故が起こった場合の被害がたいしたことがないというのは決して考えていない」としか答えませんでした。

 

 小池氏は、首相が「日本には再エネ適地が少ない」と答弁したことをあげ、「世界有数の地震・津波国で、実際に地震・津波で世界最悪の原発事故を起こした日本ほど、原発に適さない国はない」と批判。原発再稼働と新増設方針の撤回、純国産の再エネ大量普及でエネルギー自給率の向上を図るべきだと迫りました。首相は「再エネ導入を最優先としつつ、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める」とし、あくまで原発推進の姿勢を示しました。

 

 また小池氏は、政府が昨年12月に公表した日本学術会議の「改革」方針について、学術会議が強く再考を求める声明を発表し、多くの学会から賛同する声明があがっていると指摘。「『透明性の確保』と言うなら、政府がまずやるべきは会員6名の任命拒否の経過と理由を明らかにすることだ」と述べ、日本学術会議の変質を強行する方針の撤回を求めました。首相はまともに答えず、「政府の考え方を学術会議に丁寧に説明し、さらなる改革を進める」などと強弁しました。

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