赤旗2022年12月25日付
岸田自公政権が23日に閣議決定した「税制改正の大綱」(納税環境整備)に、「税理士でない者が税務相談を行った場合の命令制度の創設等」が盛り込まれました。自営業者や農民、年金者、建設職人などが行う自主申告運動への介入に道を開くものであり、相談活動を厳罰で威圧することにもつながります。
政府が創設しようとしている「命令制度」は、税務相談を停止させる権限を財務大臣に与え、そのための実力行使も可能にするものです。停止命令を出すかどうかを調べるための質問検査権が国税庁・税務署に与えられます。
財務大臣の命令に従わなければ「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科されます。国税庁・税務署の調査を拒否したり、虚偽の答弁を行った場合、30万円以下の罰金となります。出された命令の内容は3年間インターネット上で公表されます。
日本の税制は、「納付すべき税額が、納税者のする申告により確定することを原則とする」(国税通則法16条)という申告納税制度を採用しています。日本国憲法の「国民主権」の原則にもとづき、主権者である国民が自己の税金を計算し、申告し、納税することを通じて政治に参加するという理念を持っています。
戦前は、政府が税額を決めて国民はそれに従うという賦課徴収制度でしたが、戦後の日本国憲法のもとで民主的な税制に即した手続き的権利のひとつとして認められたのが「申告納税制度」です。
「命令制度」を創設して、納税者同士の税金相談に国家権力が介入し、厳罰で「停止」させることは、日本国憲法の基本的人権や幸福追求権などに反するものと言わねばなりません。
徹底して知らせ 反対を広げよう
日本共産党の小池晃書記局長・参院議員の話 今回、政府がたくらむ「命令制度」の創設は、申告納税制度を形骸化させるものです。大軍拡・大増税やインボイス導入と軌を一にしていることも重大であり、業者や農民、市民の自主申告運動への弾圧立法という危険性もはらんでいます。徹底して知らせ、反対世論を急速に広げていきましょう。