赤旗2022年12月7日付
国に被害調査要求
メチル水銀を含んだ工場排水で汚染された魚介類を食べ、手足がしびれる感覚障害などを発症した水俣病と新潟水俣病の患者らによる集会が6日、国会内で開かれました。未認定患者や支援者らが「全ての被害者の一日も早い救済を」と切実な思いを語りました。
水俣病は公式確認から66年、新潟水俣病は公表から57年が経過。高齢になった患者らは早急な健康被害調査を国に求めています。
水俣病不知火(しらぬい)患者会の男性(72)=熊本県水俣市=は、肩から手足の指先までしびれや震えがあり、食べながら上唇をかんでしまうこともよくあるとして「患者には多様な症状があります。自分の神経症状を水俣病だと気づかない人も多く、何の補償も受けていない」と訴えました。
水俣病による健康被害の補償を求める訴訟の原告数は、全国で1700人以上です。
鹿児島県阿久根市で生まれ育った女性(74)は「10代の頃から手にしびれがあり、字がうまく書けません。足の感覚も鈍くて真っすぐ歩けず、何度も側溝に落ちました。裁判官には、手足がもぎ取られたような苦しみが死ぬまで続くことを分かってもらいたい」と語りました。
新潟県の原告は「汚染されているとは知らずに魚を食べ続け、手足のしびれや視野狭窄(きょうさく)の症状があります。(加害企業の)昭和電工と国が起こした公害の一日も早い解決を」と力を込めました。
日本共産党の小池晃書記局長をはじめ、立憲民主党や国民民主党など野党の国会議員10人が参加しました。
小池氏は、1987年の不知火海沿岸一斉検診に研修医として参加して症状の深刻さに驚いた経験を語り、「地域などで線引きするのは非科学的だ」と指摘。国やチッソなど加害企業が被害を小さく見せようとしている状況で、国会での徹底的な追及と党派を超えて全ての被害者救済をめざす決意を述べました。