日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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「二重課税」論理破綻 小池氏、内部留保課税求める 参院財金委

2022年11月11日

赤旗2022年11月11日付

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(写真)質問する小池晃議員=10日、参院財金委

 日本共産党の小池晃議員は10日の参院財政金融委員会で、「二重課税」を口実に大企業の内部留保に課税することを拒む政府の主張の矛盾点を追及し、賃上げを軸に日本経済を立て直すため「前向きに考えるべきだ」と迫りました。

 

 小池氏は、大企業に時限的に課税した財源で、最低賃金引き上げのための中小・中堅企業支援強化をはかる党の経済政策を改めて紹介。「本会議での質問で岸田文雄首相は、『二重課税にあたる』との指摘があることから慎重な検討が必要と答弁した。二重課税の定義は何か」「どこからの指摘か」と質問しました。

 

 財務省の住澤整主税局長は「確定した定義があるわけではない」と述べた上で「関係する経済団体からの指摘」であると答えました。

 

 小池氏は、「所得税を取られた上、物を買うごとに取られる消費税は二重課税でないのか」と質問しました。

 

 住澤局長は、「所得税と消費税は課税の対象と方法が異なるので二重課税でない」と答弁。小池氏は、「その論理なら、内部留保課税は活用されていない資産に課税するので法人の利益を担税力とする法人税とは違う。二重課税にあたらないのではないか」とただしました。

 

 これに対し住澤局長は、「税引き後の利益に同じ法人税を課すので二重課税とのご指摘がある」と述べ、政府見解でない経済界の主張を展開しました。

 

 小池氏はさらに、特定同族会社の留保金課税制度が内部留保に課税をする仕組みになっているとして、「これは明らかな二重課税だ」と追及。住澤局長は、「二重課税のようなものとはご指摘の通り」と語り、税逃れを防止するための限定的な施策であると説明しました。

 

 小池氏は、「二重課税でも、政策判断があればできる。(ならば)やる気があるかどうかだ。『二重課税だから』と内部留保課税を否定する議論はやめ、前向きに考えるべきだ」と迫りました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 日銀の異次元の金融緩和について、今朝の朝日に元日銀理事の早川英男さんが述べておられるんですね。黒田総裁は当時、物価が上がれば賃金も上がると説明していました、ところが今は、物価は上がっているけど賃金は上がっていないので緩和を続けなければいけないと言っています、ちょっと待って、言っていることが違いますよねと、そもそも緩和を始めてから十年もたつのにまだ成果が出ないのなら、基本的にその政策は駄目だったということではないでしょうかと言われています。
 総裁は、二%の安定的な物価上昇を実現するためには三%の賃金上昇が必要だというふうにおっしゃるわけですが、早川さんがおっしゃっているように、十年間、金融緩和続けてきて、まあはっきり言って、ただの一度も目標を達成したことはないと。
 これから金融緩和継続して、どうして賃金上がるんですか。

 

○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げていますとおり、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して金融政策を運営しておりまして、その実現に当たっては、物価だけが上昇するのではなく、賃金の上昇を伴う形で実現することが重要であります。
 賃金は景気の持ち直しを反映して緩やかに増加しておりますし、先行きも、経済活動全体が回復していく下で、労使間の賃金交渉において、労働需給の引き締まりや物価上昇率の高まりを反映して賃金上昇率も高まっていくというふうに見ております。
 日本銀行としては、現在の金融緩和を継続して我が国経済をしっかりと支えることで企業が賃上げをできる環境を整えることが極めて重要であるというふうに認識しております。その下で、時間は掛かるものの、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に達成することは可能であるというふうに考えております。
 その上で、先ほども申し上げたとおり、コロナ感染症が起こる前までの時期を取りますと、デフレは解消し、成長も回復し、雇用も、先ほども申し上げたように、四百万人とも五百万人とも言われるほどの拡大を見たわけでありまして、まあ一%程度の実質経済成長も達成されたわけですが、他方で、この五百万人とも言われる労働力が、失業者から出てきたというよりも、むしろ女性や高齢者の就業率が上がるという形で、言わば新たな労働供給として出てきたこともありまして、労働市場が欧米のようにタイトになって賃金が上がっていくということになっていなかったわけですが、今や、先ほど来申し上げているように、女性の就業率は米国を上回っておりますし、高齢者も言わば後期高齢者が増えていますので、これ以上女性や高齢者の労働供給が大きく増加するという可能性は薄くなっています。
 そうした下で、需給ギャップがマイナスからプラスになり、労働市場がタイトになり、新たな労働力がもうもはや出てくる余地がなくなっているという下では恐らく賃金がかなり上がっていくということになると思いますが、それでも今の時点の見通しではまだ来年度の物価上昇率は二%に達しないということで、緩和を継続する必要があるというふうに見ているわけです。

 

○小池晃君 恐らくとおっしゃるんですけど、私は今の話聞くと恐らく上がらないだろうなと、十年やってやっぱりできなかったわけですから。
 必要なのは、やっぱり本気で賃上げをやっていくことだというふうに思います。異常円安をもたらした金融政策を正常化するためにも、やはり賃上げを行い、日本経済を立て直すということが鍵だというふうに思うんですね。
 そこで、ちょっとこの賃上げのことをちょっと今日は財務省に聞きたいんですけど、私どもは具体策を提案しております。大企業の内部留保は四百八十兆円になった。内部留保というのは、これ企業経営にとっては必要です。だから、ゼロにしろなんて私たちは思いません。しかし、内部留保だけが巨額に積み上がっていくというのは、これは日本経済のゆがみだと思うんですね。
 前回、西田委員が消費税と法人税減税、所得税の最高税率引下げが内部留保を増やして所得格差を拡大させたと。私、西田さんとは世界観全く違いますけど、この御意見は全くそのとおりだと思います。
 私たちは、二〇一二年以降、内部留保、アベノミクスで増えた分についてこれ毎年二%課税をすると。で、五年間で合計一〇%の時限的課税を行うと。そうすると、毎年二兆円程度、総額で十兆円程度の税収できる。で、その際、課税対象額からは賃上げ分は控除する。それから、国内設備投資、まあ石炭火力とかはこれは控除できませんが、そこは控除する。これによって、大企業での賃上げとグリーン投資、これを加速する。十兆円程度のこの税収というのは、これは最低賃金を時給千五百円にしようということで、中小企業支援に使う。具体的には、やっぱり赤字企業が負担している社会保険料、これを賃上げに応じて軽減するのが一番効果的だと思っているんですね。で、こういう提案をしているわけです。
 これ、私、本会議でも岸田首相に問うて、岸田さんは、二重課税に当たるとの指摘があることから、慎重な検討が必要だと答弁されたんですね。
 改めて財務省に聞きますが、二重課税の定義は何ですか。

 

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
 いわゆるこの二重課税という言葉につきまして、講学上確定した定義があるわけではございませんが、一般には、同一の課税対象に対して同種の税が再度課税されることを意味する場合が多いものと承知をいたしております。

 

○小池晃君 いや、だから、その財務省の定義はないんですね。財務省の定義はないんですね。
 じゃ、二重課税だというのはどこからの指摘なんですか。

 

○政府参考人(住澤整君) この法人の内部留保に関する議論に関しましては、関係している経済団体その他の関係者からこの二重課税という指摘がなされているものと承知をいたしております。

 

○小池晃君 だから、法律上の定義があるわけじゃなくて、経団連とかが反対しているということですよね、言ってしまえば。
 私、これ二重課税というんだけど、例えば、消費者から見れば、所得税取られた上に物買うことに取られる消費税は、これは消費者から見ればこれ二重課税じゃないですか。ここはいかがなんですか。

 

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。
 所得税と消費税の間の二重課税という御指摘かと思いますが、先ほども申し上げましたように、いわゆる二重課税といわれる場合、同一の課税対象に対して同種の税が再度課されることをいう場合が多いものと承知をいたしております。
 こういった観点から所得税と消費税の関係について見てまいりますと、所得税の方につきましては、毎年毎年の所得を課税対象といたしまして、この所得の大きさに応じて負担を求めるという性格の税でございます。他方、消費税は、その消費に充てられる原資はともかくとして、消費一般を広く課税対象として、消費の大きさ、すなわち消費額に応じて負担を求める税であるという性格のものでございます。
 したがいまして、課税対象が両税においては異なっておりますし、課税の趣旨や性格も異なるため、二重課税には当たらないというふうに考えております。

 

○小池晃君 所得、同一のものに対して同種の課税をするのが二重課税であるというふうにおっしゃるわけですが、その、そういう論理でいくと、内部留保に課税するというのは、これは活用されていない、言わば積み上がって、結局活用されていない資産になっていると、そこに課税するわけですよね。法人の利益を担税力とする法人税とこれは違うじゃないですか、性格が。これ、二重課税に当たらないと、今のロジックを当てはめてもね、そういうことになりませんか。

 

○政府参考人(住澤整君) 内部留保といいました場合に、法人税が課税された後のいわゆる利益剰余金をいう場合が多いものと考えられますけれども、このいわゆる内部留保課税というものにつきましては、税引き後の利益に対して再度同じ法人税を課税していくという意味において二重課税という指摘がなされているものと承知をいたしております。

 

○小池晃君 いやいや、法人税掛けると言っているわけじゃないんでね。我々の提案はストックに対する課税ですから、これ違うわけですよ、性格は。だから、今のロジックでいったら、これは二重課税に当たらないじゃないですかということを私は言っているんですが、いかがですか。

 

○政府参考人(住澤整君) これは、そういう議論があるということで申し上げておりますけれども、内部留保というものがあくまでその課税後の利益が積み上がってできていると、それに対して再度この法人税を掛けるのはどうかという御指摘があるということを申し上げているわけです。

 

○小池晃君 だから、御指摘がある御指摘があるって、財務省はそう思っていないんだったら、私は取る議論をしているんで、珍しい話なんですよ、これ、はっきり言ってね。前向きに言っているわけだから。まあ言わば財務省を応援するような話をやっているわけですからね。これちょっと前向きに考えてもらわないといけないんじゃないですか。だから、まあいいや。では、ちょっと、それはそういうことで、違うとおっしゃるんで。
 じゃ、これはどうですか。これは以前、中山恭子議員がこの委員会でも取り上げたことがあるんですが、特定同族会社の留保金課税制度ね。今日資料配っていますけど、これは同族会社のこの内部留保から一定の控除をした上で課税するわけですよね。これ、内部留保課税じゃないですか。これはまさに二重課税になるんじゃないですか。これどうなんですか。20221110資料①

 

○政府参考人(住澤整君) この特定同族会社の留保金課税の趣旨でございますが、確かに、この税引き後の利益に対して法人税の課税を再度行っているという点において二重課税のようなものではないかということは御指摘のとおりでございますが、ただし、この特定同族会社の留保金課税制度の趣旨は、少数の株主が支配をしている同族会社におきましては、配当の時期ですとか給与の支払の時期など、様々なものを自由に調整することが少数の株主の判断によって可能でございますので、そういった中で、配当の時期を例えば意図的に後ろにずらすということによりまして、配当すれば行われていたであろう累進税率による所得税の負担、これを回避することが可能であるということが背景にあるわけでございます。
 こういった特定の同族会社における個人段階の所得課税の潜脱、こういったものを防止するという観点から、この内部留保に対して課税を行うという趣旨で行われているものでございまして、広範にこの内部留保に対して法人税の課税を行うという意味での内部留保課税とは性格が異なるものと考えております。

 

○小池晃君 ということは、要するに、二重課税とかいうことを原理的に否定しているわけではなくて、政策判断で場合によってはやるという理解でよろしいですか。

 

○政府参考人(住澤整君) こういった特定同族会社の留保金課税のように、所得税の負担との関係において、個人所得課税とこの、あっ、失礼しました、法人形態と個人形態の事業の間のこの税負担のバランスを取るといった意味での留保金課税は現に行われているということでございます。

 

○小池晃君 はっきり答えてくれないんですけど、これ政策的な判断なんですよ。これ、やる気があるかどうかなんですよ。
 私が言っているのは、これは、法人税、行き過ぎた減税やったわけですね、前回、西田さん言ったみたいに。それ取り戻すと、そのために限定的にやろうじゃないかと言っているわけで、これは二重課税だからっていうことで否定する議論はもうやめていただきたい。きちんと前向きに考えていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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