赤旗2022年11月11日付
小池・田村氏が会見
日本共産党の小池晃書記局長と田村智子政策委員長は10日、国会内で記者会見し、日本共産党の「物価高騰から暮らしと経済を立て直す緊急提案」を発表しました。小池氏は「物価高騰から暮らしと営業を守るために、賃上げを軸に実体経済を立て直す緊急提案だ」と説明。同時に、「日本経済のぜい弱な体質『冷たく、弱い』経済を『やさしく、強い』経済へと大本から改革し、持続可能な成長を実現する経済政策の抜本的転換の提案だ」と述べました。(緊急提案全文)
提案は(1)賃上げを実現する緊急で効果のある対策(2)消費税の緊急減税、社会保障と教育の負担軽減(3)中小企業・小規模事業者の大量倒産・廃業の危機を打開する抜本的な支援策(4)食料・エネルギーの自給率向上―の4本の柱から構成されています。
第1の柱では、大企業の内部留保に課税し、大企業も中小企業も賃上げを行うことなどを提案。政府ができる賃上げ策として、国・自治体が管轄する分野での賃上げを速やかに行うことなどを盛り込みました。ケア労働者の賃上げ、国・自治体などで働く非正規労働者の時給を直ちに1500円以上に引き上げることを求めています。
第2の柱では、物価高騰に対する最も有効な政策として消費税の5%への減税を提起。物価が上がっても年金額を上げない仕組み(マクロ経済スライド)の撤廃とともに、年度途中であっても物価高騰に見合った年金額の引き上げを行うことなどを求めています。
第3の柱では、中小・小規模事業者が新型コロナ禍、物価・原材料の高騰、過剰債務の「三重苦」に陥っているとして踏み込んだ支援策を提案。インボイス導入中止と消費税の減免とともに、新型コロナ禍で受けてきた無利子・無担保の融資を別枠にし、新たな融資を受けられるようにすることなどを提起しています。
また、「地域経済再生給付金」(仮称)を創設することも提案。都道府県、政府系金融機関、地域金融機関などで構成する「委員会」をつくり、基準と要件を明確にした上で、地域の産業・業種の事業者の再生を支援するもの。田村氏は、中小企業は個々の事業者だけでなく、地域全体の雇用や経済にかかわっているとして「面的に地域経済全体を支える観点での提起だ」と説明しました。
第4の柱では、食料・エネルギーの自給率向上が、食料危機や気候危機の打開、国民生活・経済の安定の側面から重要との観点から提起。とくに、農業への支援策として緊急の価格補てんなどを求めています。
提案は全体で27兆円規模で、恒久的財源が必要になるのは20兆円程度です。法人税制や所得税制の改革、富裕層への株取引への課税強化、富裕税の創設など新しい税制や、軍事費や大型開発、原発推進予算の削減などで20兆円の恒久財源を生み出すことを提案。ほかに内部留保課税で年間2兆円、残り5兆円を国債発行でまかなうとしています。
小池氏は、政府は5年で軍事費を2倍化し、暮らしの予算を犠牲にする大軍拡に進もうとしているとして、「大軍拡は中止し、暮らしを守って日本経済を立て直す方向に進んでいきたい。提案は補正予算審議などで具体的に迫っていきたい」と表明しました。
緊急提案の主なポイント
賃上げを軸に内需を活発にして実体経済を立て直す
1、働く人が豊かになってこそ、経済も強くなる……賃上げを実現する緊急で効果のある対策を
2、消費税の緊急減税、物価高騰の中だからこそ、社会保障と教育の負担軽減を
3、中小企業・小規模事業者をつぶさない――大量倒産・廃業の危機を打開する本格的な支援策を
4、食料・エネルギーの自給率向上――国民生活と経済の安定のためにも、食料危機・気候危機打開という人類的課題のためにも
富裕層・大企業に応分の負担を求め、暮らしも経済も押しつぶす大軍拡をやめる――財源についての日本共産党の立場