赤旗2022年6月29日付
BSフジ番組
日本共産党の小池晃書記局長は27日夜のBSフジ番組「プライムニュース」で、外交・安全保障や物価高騰対策など参院選の基本政策について縦横に語りました。
小池氏は、ロシアによるウクライナ侵略に乗じた軍事費倍増や敵基地攻撃能力の保有、9条改憲など軍拡の大合唱について、「軍事力一辺倒でいいのかが問われている。憲法9条を生かした徹底した平和外交こそ必要だ」と強調しました。
政治ジャーナリストの田崎史郎氏から「ロシアのウクライナ侵攻を見て、外交や国連の無力さを感じる人が多いのではないか」と問われた小池氏は、ウクライナの国連大使が「国連は完璧ではないけれど、国連全体が失敗したというのは言い過ぎだ。もし国連がなくなれば悪の目的に資することになる」と述べたと紹介。国連特別総会で圧倒的多数がロシアの侵略を非難し、国際刑事裁判所や国際司法裁判所がロシアを糾弾していることを示し、「国連は無力だといわれるが、決してそんなことはない。組織全体としての力は発揮されている」と強調しました。
小池氏は、侵略の責任はあげてロシアにあるとした上で、ソ連崩壊後にロシアを含む全ヨーロッパ諸国を包摂する欧州安全保障協力機構(OSCE)ができたにもかかわらず、その機能が生かされず、北大西洋条約機構(NATO)もロシアも軍事的な抑止を進めた結果、戦争に至ったことを指摘。「東アジアに、中国などすべての国を包摂した安全保障体制をつくることが、日本がウクライナ危機から学ぶべき教訓だ。『価値観』などで線引きして中国を排除すれば、ヨーロッパと同じ誤りを繰り返す」と語り、東南アジア諸国連合(ASEAN)が進める安全保障の枠組みを東アジアに広げる努力に、日本も応えるべきだと提案しました。
田崎氏から「軍事力を強化しないと守れないのではないか」と問われた小池氏は、自衛隊が新たに導入しようとしているミサイルや空母は日本を守るためではなく、他国を攻撃するための兵器だと指摘。集団的自衛権の行使を可能にした安保法制のもとで軍事費を倍増させ、敵基地攻撃能力を保有すれば、日本が攻撃されなくても米国とともに武力行使することになり、「逆に戦火を呼び込むことになる」と警告しました。「日本は憲法9条を持ち、戦争しないということで世界から信頼されてきた国だ。世界の緊張が高まりつつあるときに、武力行使を普通にやる国になるというメッセージを送るのは日本にとって大きなマイナスだ」と強調しました。
司会の反町理氏から抑止力への見解を問われた小池氏は「抑止に走れば、相手より上回るために軍拡の悪循環になり、究極的には核軍拡に暴走する」と指摘しました。米国の「核の傘」によって日本は攻撃を受けなかったとの考え方には、「むしろ逆だ。日本が米国の『核の傘』のもとにあることで、北朝鮮の核開発を正面から批判する正当性も道義性も持てなかった」と強調。日米同盟によって「アジアでの軍拡競争が加速されたし、日本がベトナム戦争はじめ海外の戦争への出撃拠点にさせられたのは間違いない事実だ」と語りました。
物価高騰対策
共産党が主張する物価高騰対策のための消費税減税の財源について問われた小池氏は、消費税導入以来34年間で、消費税収476兆円に対し、法人税は324兆円も減り、所得税と住民税が289兆円減ったとして、「消費税は所得税や法人減税の穴埋めに使われたのは紛れもない事実だ」と強調。この間の所得税、法人税の減税を元に戻し、金融所得課税を見直すなどの税制の大改革によって財源はつくれると語りました。また、アベノミクスで増え続けた大企業の内部留保に課税し、最低賃金1500円を実現するための中小企業支援に充てるほか、大企業での賃上げやグリーン投資への控除の仕組みを設けることも提案しました。
「内部留保課税は、二重課税の議論があるが」との田崎氏の問いに小池氏は、二重課税は法律で禁止されているのかとの国会質問に鈴木俊一財務相が「法律にはない。禁止されていない」と答えたと紹介。「二重課税(禁止)は法律にないし、財界側が文句を言っているだけだ。二重課税というなら、最悪の二重課税は所得税をとられたうえに、ものを買うごとに消費税をとられることだ」と反論しました。
野党共闘 前に
今回の参院選で野党共闘の成果が出なかった場合の対応を問われた小池氏は、「共闘で政治を変えるのは、共産党の一時的な方針ではない。綱領では、あらゆる改革を共産党単独ではなく、他の政党や団体や人々と一致できる課題で協力して実現することを基本方針としている。一回の選挙結果でこの方針を変えることはない」と強調。「共産党の議席を増やすことは、野党の共闘を前に進める決定的な力になる」と述べ、参院選で比例5議席と東京選挙区の議席を絶対確保する決意を表明しました。
最後に、「我が党かく戦うべし」と題したフリップに小池氏は「100年」と書き込み、「他の政党は戦争に賛成し、名前を変えてきた中で、共産党は戦前戦後、名前を変えずにやってきた。逆流に立ち向かってきた党として、翼賛体制づくりを止め、市民と野党の共闘で新しい政治をつくる。自由と平和を貫いた100年をぜひ訴えていきたい」と決意を語りました。