赤旗2022年6月1日付
中小規模郵便局の局長でつくる任意団体「全国郵便局長会」(全特)が、選挙活動の指導や局長候補者の配偶者も同席させた面接を実施していることが31日の参院予算委員会で明らかになりました。全特による「郵便局長の後継者育成マニュアル」を入手した小池氏が告発し、日本郵便の衣川和秀社長が同マニュアルの存在を認めました。(関連)
同マニュアルは、後継者育成の目的を「全特組織の目的と活動を理解させ、全特への帰属意識を高めることが重要」とし、局長候補者の「人物調査および面接」の実施について、「配偶者も同席させて面接を実施」などと明記。また、3年間の研修で「政治活動・選挙活動、地域活動の重要性について理解を深めさせる」「国会議員等との連携について説明」などの記述を盛り込んでいます。
小池氏は、郵便局長の選考について「こうしたプロセスで選んでいるのか」と追及。衣川社長は「人物本位で選考している」と否定しましたが、小池氏が「マニュアルの存在は認めるか」と迫ると衣川社長は「存在は承知している」とマニュアルの存在を認めました。
小池氏は、監督官庁である総務省に「調査すべきではないか」と追及。金子恭之総務相は、衣川社長がマニュアルの存在を認めたのに、個別の事業・人事に関することだとして「コメントは控える」と答弁したため、委員会室は騒然に。まともに答えようとしない姿勢に厳しい批判が飛び交う中、金子総務相は「採用に関することは、経営の裁量の範囲だ」「具体的な事実関係は日本郵便が説明すべき」と繰り返し述べるだけでした。
小池氏は、最近の参院比例代表選挙では、自民党の候補者のなかで3回連続、全特推薦候補がトップ当選していると指摘。この背景に郵便局長会による局長選考システムがあるとすれば「総理としても自民党総裁としても、このまま見過ごすわけにはいかないのではないか」と迫りました。岸田首相は「まずは会社に説明責任を果たしてもらい、必要があれば対応する」と述べるにとどまりました。