○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
戦没者の遺族に対する特別弔慰金は一九六五年に制定されて、日本共産党は制度創設以来賛成をしております。戦後七十年、遺族が高齢化しております。戦後の皆さんの労苦考えたときに、引き続き戦没者遺族等に対する援護施策全体、充実が必要だと考えますが、大臣の基本認識を伺います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今年は戦後七十年という大きな節目でございます。これを迎えて、戦没者の遺族が高齢化をされているわけでありまして、さきの大戦の記憶を風化させることなく次の世代につないでいくということが極めて重要だと思っております。
先ほど永岡副大臣からも御答弁申し上げましたけれども、今年の八月十五日の全国戦没者追悼式に、若い人、十八歳未満の御遺族を招待をして献花をいただこうとか、あるいは、小学生、高校生、こういう方々に昭和館やしょうけい館を通じてこの記憶を共有してもらう、あるいは、証言映像を今のうちにしっかりと撮ってこれをつないでいくというようなことをやっているわけでありますけれども、いずれにしても、この今充実すべきということでありますが、一柱でも多くの御遺骨をできる限り早期に収容できるように、私どもとしても、海外の公文書館の集中的な資料調査など、あるいは遺骨情報収集の強化を行って、戦没者の遺骨収集帰還事業の促進も図らなければならないと思っております。また、洋上の慰霊の実施などの慰霊巡拝事業も強化をしなければいけないということで、こういった形で援護施策を充実をすべきというふうに考えております。
○小池晃君 平和遺族会という団体がございまして、そこが特別弔慰金の問題で厚生労働省要請やったときに、たまたま同席した人が、その場でのやり取り聞いて初めて自分が対象だったということを聞いたということがあったんですね。この方は木村康子さんといって、毎年一万人以上の人が集まる日本母親大会の実行委員長も務めてこられた、そういう方なんですよ。この方は、幼い頃に両親が離婚して、お父様戦死していたけれども詳しいこと分かっていなくて、知らずにその厚生労働省の交渉に参加していたら、あっ、これ自分も対象だということを知ったと。この方は、この給付金はまさに父の命を懸けたあかしだと、自分が父の子供であったというあかしだと、これは大切にしたいと、それで申請されました。
私、これ、七年前の当委員会でこの実例紹介したんですが、その後この方どうなったかというと、受け取ることができた。平和遺族会の「ふみつたえ」という機関紙の中で、七十三年目の父と題してこう言っています。九か月後、私の住む日野の市役所から一通の封筒が届きました、開けると戦没者等の遺族に対する特別弔慰金受領交付通知書でした、やった、ほかに誰もいないのに私は声を出して叫んでしまいました、うれしかったのですと。こういう気持ちで受け取っておられる遺族の方は少なくないと思うんですね。
私は、戦後七十年、改めて国としての弔慰を表すという意味で、いま一度こういう制度があるということを本当に徹底して知らせていくべきだというふうに思っておりますし、同時に、今回の改正でも申請期間三年という条文残っているわけで、五年ごとの申請になったけれども、時効になってしまうと、その期間は短くなったとはいえ、次の申請まで待たなければならない。御高齢の方多いわけで、もっと柔軟に支給漏れないようにする努力、一層求められていると思います。
大臣、周知徹底、運用の改善、ちょっと時間短いのでコンパクトに御答弁お願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、時効の問題をお触れになられましたけれども、一定期間継続したこの事実状態を尊重して法的安定性を図るために設けられているわけでありますので、特別弔慰金に限って特例的に時効を廃止するというのはなかなか難しいなということ。
それから、一方で、請求漏れを防ぐために制度の周知を図り、遺族の方々に確実に特別弔慰金を受領していただくことは、これは当然重要であって、具体的な方法として、現在、特別弔慰金を受給されている御遺族に対しては、先ほどお話あったように郵便局でちゃんと周知をする、あるいは都道府県や市区町村の職員が請求窓口においてリーフレットによりお知らせをするというようなことで、また、新たに特別弔慰金の支給対象者となる方については、新規の対象者となる可能性がある恩給法や援護法の遺族年金等の失権届を提出した御遺族に対して、総務省からも恩給法の失権届出者に関する情報提供を受けて個別に制度の御案内を行うことを予定しておりまして、それぞれの持ち場で更に徹底をしなければならないというふうに考えております。
○小池晃君 私はこれ、時効の問題は、やっぱり議員立法も含めて解決すべき問題ではないかなというふうに思っております。
実際の実務のことをちょっと聞きたいんですが、窓口は身近な市町村です。これ事務費については、厚生労働省から特別給付金等支給事務委託費、来年度予算では三・九億円と聞いております。これはどういうふうに使われるのか。来年度以降予定されている財政措置なども今考えられているようですので、それも含めて簡潔に御答弁ください。
○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
特別弔慰金につきましては、戦没者等の本籍地の都道府県に対しまして、請求に係る審査及び裁定事務をお願いしております。また、請求者の居住地の市区町村に対しましては、請求受付事務をお願いしています。
これらの事務に必要な経費として、議員御指摘のように平成二十七年度予算では三・九億円を計上しているところでございますけれども、その具体的な内容は、裁定の補助を行う臨時職員の人件費、さらに、都道府県と市区町村間などで請求書類等を送付する郵送料、都道府県が管内の市区町村に対して説明会を実施するための経費などとなっているところでございます。
また、この事務委託費につきましては、平成二十七年度から三十年度までの四年間を想定しておりまして、合計では十二億円の予算が必要になると現時点では見込んでいるところでございます。
○小池晃君 岩手県奥州市の我が党の議員団が予算要望をやっていまして、奥州市というのは、これ水沢市とか江刺市とか五つ合併してできた五十七キロ、三十七キロという広大なところです。
十年前には五つの市町村合計で二千二百件、今回も二千件下らないと。合併で職員が減らされていてぎりぎりなんで、臨時職員をこのために六人雇用するというんですね。そのために市は来年度予算に、賃金で七百五十一万円、社会保険、雇用保険で百二十三万円、計八百七十四万円、これ予算計上していると。これに対して、奥州市に来るのは、十年前の実績だと、一年で十万円程度、三年間だと三十万円程度だと。
これ、結構大変なんですよ。市町村は住民からの請求を都道府県に上げて、支給が決まると請求者に通知書を交付して、国債は市の担当者が銀行に取りに行って、請求者に対して窓口に来てくださいと通知するって、二回通知しなきゃいけない。
これ結構、郵送料だけでもばかにならないと。国からの委託費だけでは到底賄えないという実態があります。
やっぱり、これ実務を担う現場は大変ですから、大臣、これ一層のやっぱり財政支援、財政措置とるべきじゃないですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 特別弔慰金については、今御説明少しありましたけれども、戦没者等の本籍地の都道府県に対して請求に係る審査とかあるいは裁定事務をお願いをし、請求者の居住地の市区町村に対して請求受付事務をお願いをしているということになっております。
このようなことで、都道府県それから市区町村の事務が負担としてあるわけでありまして、今先生御指摘がございましたけれども、必要な事務委託費の確保には更に努めてまいらなければならないというふうに考えます。
○小池晃君 これは充実すべきだと思います。
最後に、東京大空襲、大阪空襲などの被害者らが国に謝罪と賠償を求めて提訴していた訴訟で、原告側は要するに、法の下の平等に反する、憲法に反する、軍人軍属に対しては補償があるのに空襲被害者には援助がないのは不当だというふうに主張していました。
これは、原告の訴えは裁判では退かれました。
しかし、大阪空襲判決では、憲法上の平等原則に反することもあり得るというふうにしましたし、住民に逃げることを禁止した防空法制、この歴史的事実も認めました。それから、東京大空襲の判決では、原告らが旧軍人らとの間の不公平を感じることは心情的には理解できるけれども、どのような援助をするかは立法を通じて解決すべきだというふうにしました。
今これ超党派で、先ほども議論ありましたけど、鳩山夫議員なども参加をして、やっぱり立法が必要だという動きもあります。
大臣、これはやはり、空襲被害者に何の補償もされない状態を、このままでいいのか、解決すべき問題だという認識、お持ちですか。お答えください。
○委員長(丸川珠代君) 塩崎大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたように、この戦傷病者戦没者遺族等援護法を所管をしている厚生労働省としては、対象は法定をされている中にあって補償をしていると、こういうことでありまして、一般戦災者、これに対する補償については厚生労働省としては所管をしている立場ではないということで先ほども答弁は差し控えさせていただいたわけでありまして、やはり私どもとしては、厚生労働省としては法の執行をするということでありますので、法の執行者としてはこの範囲内での執行をきちっとやることであり、あとはやはり国会の中で御議論をいただいて、立法があればそれに従うということだろうというふうに思います。
○小池晃君 空襲被害者援護法は、やはりこれは国会の責務として各党各会派で実現すべきだと私は思いますので、そのことを主張して、質問を終わります。
閉じる