日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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参院公聴会

2022年03月09日

赤旗2022年3月9日付

 参院予算委員会は8日、中央公聴会を開き、「外交・安保」や「新型コロナウイルス対策」、「経済・財政」などについて公述人から意見を聞きました。

 

新型コロナ対策

 

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(写真)陳述する倉持仁公述人=8日、参院予算委

 新型コロナをめぐり、インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が、PCR検査の不足で感染区分けができず、結果的に救急医療が滞り死者が出ていると指摘。一方でPCRの診療報酬が下がり、検査しても赤字になる現状や、コロナ病棟補助金を受けても銀行から資金を借りなければ診療できないとして、検査体制拡充を訴えました。

 

 日本共産党の小池晃書記局長は倉持氏が指摘した補助金や診療報酬の問題点に触れ、政治に何を求めるかと質問。倉持氏は、当たり前に検査し、治療ができる環境をつくる必要性を強調し、「PCR検査が増える方向に制度面、税制面でもしてほしい」と求めました。

 

 また小池氏は、保健所が1994年から半分に削減され、コロナ禍のもとで過労死ラインを超えて働く職員が多数いる現状を示し、「今の保健所の事態が現場にどういう困難をもたらしているか」と質問。倉持氏は、保健所のひっ迫で「患者が医療にアクセスできない状態が続いている」と指摘。保健所と医療の機能が両輪で働く仕組みや財政的な投資、人への投資が必要だと語りました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 今日はありがとうございました。最後ですので、よろしくお願いします。
 保健所の問題、まず最初に聞きたいんですが、先ほど和田公述人から、二〇一〇年の厚労省新型インフルエンザ総括会議で指摘された課題が解決していないというお話ありまして、まさに十二年前に保健所の体制強化ということを言ったわけですが、実際には、九四年、八百四十七か所あった保健所が、二〇二〇年には四百六十九か所、半分になっていると。解決どころか削減が続いたわけですね。
 これ、実態ちょっと紹介すると、自治体労働者の労働組合、自治労連が昨年十二月から今年一月に保健所の職場実態調査をやっているんですが、これによりますと、回答は、人員は通常でも九二%が不足、第五波では一〇〇%不足と回答しています。過労死ラインの八十時間超えて残業している人が、回答のあった二十二保健所だけで二百三十八人、最高二百九十八時間もの時間外労働、つまり一日十五時間以上を三十日続けてやっていると。ある保健師さんは、これでは死ぬか辞めるかだとおっしゃったそうです。一方で、この今議論している予算に基づく地方財政計画だと、来年度の保健所の職員の増は四百五十人。だから、一か所一人です、せいぜいね。
 この問題、ちょっとお二人に聞きたいんですけど、和田公述人には公衆衛生学の立場で、憲法では公衆衛生の向上、増進、国の責務だとしているにもかかわらずなぜこうした事態が続いているのか、その原因どう考えていらっしゃるか。それから、倉持公述人には、臨床の現場から見て、この今の保健所の事態がどういう困難をもたらしているのか。そして、両公述人に、政治に対してやはりこの問題どう解決することを望まれるか、お答えください。

 

○公述人(和田耕治君) 御質問ありがとうございます。
 保健所においては、やはりその保健所、自治体ごとに様々な課題が異なっているのかなというふうに思います。
 やはり、減らしてきたという過程の中においては、かなり長寿も達成されてという中で、ある意味でのいい方向でもあったんだと思いますが、やはりこういった健康危機管理に対してどうだったのかということもありますし、やはり何よりも、高齢化が進む中でその健康をどういうふうに公的に支えていくのかというところが、もしかしたら我々の側にもそれをきちんと政治であったり市民の方に対してその役割などをお伝えできていなかったところはあるんだろうと思います。
 ただ、やはり今回、新型コロナということをきっかけとして、保健所というものがあってどういう役割をやっているのかといったことがかなり多くの方に分かっていただいたという点については、これはやはり我々にとってはある意味ではいい機会と考えますので、やはり市民の方にこの保健所であったり、またそのほか保健センターもあったりもしますので、その役割をきちんとお伝えしながら、使っていただくことが重要だろうと思っています。
 その中で、先ほどもおっしゃっていただいたような、いわゆる過労死寸前のようなリスクのあるような仕事をされておられる方はたくさんございます。その中で、どういうふうにこの配置数をチョッキンするのかということで、もちろん現場のマネジメントであったり都道府県からの支援であったり医療機関との連携で、できるだけ保健所がやるべきところをやって、診療等の調整は医療機関であったりいわゆる都道府県に上げていく、そういった取組はなされております。
 何よりも、少しやっぱりやらなければいけないのは、少し業務量を減らすということに関して、これアドバイザリーボードでも、オミクロン株に特化してということで蔓延時に特化していますが、五十歳未満については少しデータ入力を減らすとか、そういったことも柔軟にやりながら保健所機能をちゃんと守っていくことが今求められていると考えております。

 

○公述人(倉持仁君) 我々臨床の現場から、例えば五波のときは、重症な患者さん、肺炎の患者さんが次から次へと送られてきて、この人死ぬんじゃないか、死ぬんじゃないかってすごく毎日怖かったんですね。六波のときは、なかなか保健所さんが患者さんを送ってこないんですね。それ、どうやってトリアージしているのかよく分からないんですが、つまり、我々医療機関は、今回、六波に関しては、保健所さんが盾になってくれていたのでそんなに正直逼迫していない面もある一方、実はその状態というのは、患者さんが医療アクセスできない状態がずっと続いているんですね。本来、コロナかもしれない、あるいは、体調悪いけれども、いや、熱がないから病院行かなくていいよみたいな、そういうロジックになってしまっていますから。
 特に怖いと思うのは救急医療ですね。酸素飽和度の数字が大丈夫だからといって搬送しないような状況が続いているんですね。こんなことは、医者の立場からすると、呼吸が悪くなるというのは本当に死ぬ前の話なんで、あくまでもこのコロナに関しては最初に呼吸状態で拾えるということで、そういうトリアージの、もう全然、指標が何かそれが当たり前にされてしまっているので非常に怖いので、やはりきちんと保健所の機能と医療の機能が両輪で働くような仕組みづくりというのを、やはり、コロナ問題が出て、根本的にやはりそこの対策とやはり財政的な投資、人の投資というのは必要だと思います。

 

○小池晃君 保健所の人員体制の強化は待ったなしだと私も思っております。
 ちょっと発熱外来のことについてお聞きしたいんですが、倉持公述人、先ほどコロナ病棟の補助金の問題点指摘されました。非常に深刻だなと思いながら聞いたんですが、やはり今、コロナ診療においては発熱外来が非常に大きな役割を果たしている。しかし、補助金の出方などにもいろんな問題があると聞いておりますし、先ほどお話の中に、PCR検査の診療報酬点数下げられたということで大変だという話がありました。
 補助金や診療報酬について感じておられる問題点、改善のために政治に求めることをお聞かせください。

 

○公述人(倉持仁君) 実際に我々、コロナを積極的に診療するようになって、当然、余りお金の計算していないでやり出して、後から補助金が出るとか出ないとか分かってですね。
 やはり、その検査が普及しないというところの問題点の一つは、やはりそれに対するメリットがないからということが大きな、これは厚労省の問題だと思うんですけれども。その理由はよく分からないんですが、実際にそれ以外の制度面というのが、やはりポストコロナになって、その辺の話合いとか改革とか改善とかがされていない面というのは正直あると思うんですね。
 ですから、先ほど私も、自分で補助金もらったのはいいんですけど、結局九割は税金なんですね。ですから、私、手元にお金ないんで、今どうしようと困っているのが現状なんですね。
 そんな状況では、やはり、当然これ、PCRの検査の点数が下がることは、広く検査が受けられるようになるという意味ではいいのかもしれないんですが、あるいは自治体の負担が減るという意味ではいいのかもしれないんですが、逆に現場では余り積極的にPCRしないような方向になっている面もあると聞きますので、やはり適正に、先ほど言いましたが、医療というのは、当たり前に検査をして、そして早期治療ができる環境をつくることでその病気が一般の病気として普通の感染症になりますので、やはりきちんとそういうところは、そういう方向、PCR検査が増える方向に、制度面でも税制面でもしていただけると有り難いと思います。

 

○小池晃君 ありがとうございます。
 先ほど私、和田公述人述べられた二〇一〇年の新型インフルエンザ総括会議の中身は、感染症に対応する医療体制の強化ということもあそこでは言っていたんですよね。
 その点でいうとどうかということでいうと、昨年第六波に備えて政府が確保した病床は四万六千、うち一万五千は公立・公的病院だったわけです。しかし、地域医療構想の名で四百三十もの病院の統廃合が計画が進んでいる、それから急性期病床は二十万床削減するという計画があるわけですね。こういう状態、これ、しかも、この削減計画というのは新型コロナパンデミックの前に計画されております。
 やっぱり、これだけコロナで深刻な病床の逼迫が生じたわけですから、私はやはり医療提供体制、削減ありきのこの計画というのは、一旦やっぱりこれは見直すということが必要になってきているのではないかなと。感染症医療体制を強化するという立場から和田公述人に、そして臨床の現場の最前線の立場から、病床はやっぱり減っていくと第一線の医療機関も大変だと思いますので、その点についてお聞かせください。

 

○公述人(和田耕治君) ありがとうございました。
 やはり、病院の経営で見ていくと、常に病床稼働率八五ぐらいないとなかなかもう利益もといったところがあって、非常に厳しい状況があります。
 その中において、やはり今回のような新型コロナもでしょうし、やはり国内においては災害も非常に多いということを考えると、少しこう、余裕といったらあれなんですが、少し残せる機能といったものは残しながらいかなければ、やはりこういった事態に、救える命が救えないといったことがあるんだろうというふうに考えております。
 まだちょっとこの先がどうなるか分かりませんが、まさに議論は継続していく必要があるというふうに考えておりますが、削減一辺倒ではないやり方が必要だと考えております。

 

○公述人(倉持仁君) 私、二〇〇八年から三年間ほど警察医というのをやったことがあったんですね。何で私、これだけいろいろテレビに出るかというと、そこで、認知症の奥さんを持っているおじいちゃんが、それを苦にして自殺なさって、その現場見にいって、そしてその一か月後に今度、認知症のおばあちゃんが掘りごたつの中に落ちて死んでいるんですね。
 そういう矛盾というのをたくさん見てきて、やはり病床削減というのが本当に正しいのかなと。お年寄りを自宅に追いやっている面も正直ありますし、一方、やはりそういうお金がないという現実と向き合っていかなければいけない面もあって、やはりそこをしっかりと、やはり国民の、やっぱり現実をきちんと説明して、どこでコンセンサスを得るのかというのが政治がやるべき姿だというふうに思っています。

 

○小池晃君 倉持公述人の書かれた「コロナ戦記」、私も読ませていただきました。やっぱり、国民皆保険制度が壊れているという怒りがあの本からは伝わってきました。
 私も本当にそのとおりだと思っていて、私も医療機関で働いておりましたけれども、やっぱり今の現場の人々の話聞くと、入院させるべき患者さんを入院させられないと、医療従事者としてこんな苦しいことはないと、もう存在意義に関わる問題として本当に心からの怒りをみんな持っているし、やっぱりその検査をキャパシティーだと言ってできなくなって、検査逼迫して、みなし陽性、こういうことはやっぱり医師として、医療従事者としてあり得ない話、中等症なのに病院に入院できない、こういう国民皆保険が壊れているという今の実態について、倉持公述人、是非、どういった点でそういったことを感じておられるか、お聞かせいただきたいなと思います。

 

○公述人(倉持仁君) 私が、そのコロナが来る前から、宇都宮に二〇〇八年に戻ったんですが、やはり、そのぐらいからやはり入院させるべき患者さんが徐々に入院のハードルが上がっていたという状況はあります。
 そして、残念ながら、医療もお金がない、それから人手もない、その中で、元気な人だけを効率よく治療するという仕組み、DPCの方式ですね。もう入院する、病名で値段が決まって、そして退院する期間も決められていると。そういう方向で、極力医療現場の合理化とコスト削減という中でこのコロナの問題が起こってきたんですね。
 一方、このコロナの問題では、今は八十、九十の高齢の方が診断が遅れ、治療が遅れることで重症化というか、中等症とか軽症と判断されるんですが亡くなっている現状があって、やはり今までのその医療費削減の問題と高齢化の問題ということに対して、皆保険を守っていくという姿勢なのか、あるいはその医療配分を変えていくのか、そこら辺のところは、やはりしっかりと政治的に話合いをしていただいて、コンセンサスを得るべきだというふうに考えています。

 

○小池晃君 社会保障制度というのはもう抑制ありき、効率化ありきということで議論進んできた面あると思うんですが、やっぱり、コロナの経験を経てやっぱり根本的な見直しが私は必要だというふうに思っております。
 和田公述人にも、今後の医療の在り方についてお考えあれば聞かせていただきたいと思います。

 

○公述人(和田耕治君) もちろん、コロナが今後どうなるかというところはあるわけですけれども、やはり医療は国民皆保険の中でどういうものなのかといったことはきちんと、我々学術サイドもきちんとデータをまとめて、政治の先生方にもお示ししますし、国民にもお示しするといったところがあるんだろうと思います。
 一方で、これだけのお金を使っていながら、市民の方の調査をすると、かなり医療に対して不満もあるといったところもありますし、諸外国に比べると、かなり自己負担も抑えているといったところもあります。今後、やはりそこを増やしていかなければもたないといったところもあるわけですが、やはり市民ともきちんと対話をしつつ、データを出しながら、政治的に御判断いただくようなところは是非ともお願いできればと思っております。

 

○小池晃君 ありがとうございました。
 一年前に倉持公述人とはここで同じ形で話しさせていただいて、基本的にあのときにいろいろとお話ししたことがほとんど解決していないなという、今日も倉持公述人のお話も聞いて感じております。やっぱり政治の責任が問われていると。コロナの下でもう本当に失われるべきでない命が失われるような事態をなくすために、国会として責任を果たすべきだということを申し上げて、質問終わります。

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