赤旗2022年3月9日付
参院予算委員会は8日、中央公聴会を開き、「外交・安保」や「新型コロナウイルス対策」、「経済・財政」などについて公述人から意見を聞きました。
外交・安保
松井芳郎名古屋大学名誉教授は、米国の核兵器を受け入れ国が共同運用する「核共有」は「非核三原則に反するだけでなく、核不拡散条約(NPT)第2条で、非核兵器国の義務を定める『核兵器の管理を直接または間接に受領しない』に違反する」と指摘しました。
日本共産党の山添拓議員は、核抑止力論への固執がいかに有害かが明らかになったとして、「核保有や核抑止の議論自体、世界の流れに逆行するのではないか」と質問。
松井氏は、核保有国は自国の国策を実行する手段として、核兵器を非保有国への脅しの手がかりにすると指摘。「現在のプーチン氏の議論はまさに典型的だ」として、それを止めるには、長期的には核兵器をなくすこと、短期的には核兵器は違法だという世論を強めることが重要だとして、政府に核兵器禁止条約を推進するよう求めました。
山添氏が、敵基地攻撃能力について見解をただすと、松井氏は「(自国への)攻撃はまだ発生していないが『恐れがある』段階で相手基地をたたくのは、損害が生じていないので、必要性と均衡性を説明するのは至難だ」「やるべきでない」と述べました。
新型コロナ対策
新型コロナをめぐり、インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が、PCR検査の不足で感染区分けができず、結果的に救急医療が滞り死者が出ていると指摘。一方でPCRの診療報酬が下がり、検査しても赤字になる現状や、コロナ病棟補助金を受けても銀行から資金を借りなければ診療できないとして、検査体制拡充を訴えました。
日本共産党の小池晃書記局長は倉持氏が指摘した補助金や診療報酬の問題点に触れ、政治に何を求めるかと質問。倉持氏は、当たり前に検査し、治療ができる環境をつくる必要性を強調し、「PCR検査が増える方向に制度面、税制面でもしてほしい」と求めました。
また小池氏は、保健所が1994年から半分に削減され、コロナ禍のもとで過労死ラインを超えて働く職員が多数いる現状を示し、「今の保健所の事態が現場にどういう困難をもたらしているか」と質問。倉持氏は、保健所のひっ迫で「患者が医療にアクセスできない状態が続いている」と指摘。保健所と医療の機能が両輪で働く仕組みや財政的な投資、人への投資が必要だと語りました。
経済・財政
経済・財政では、日本共産党の大門実紀史議員が、超富裕層や大株主へ課税する富裕税について質問。東京財団政策研究所の森信茂樹氏は、基本的に違和感はなく、「中・長期的に富裕税は考えうる」と述べました。