赤旗2022年2月2日付
「体制つくらなかった」自民認める
日本共産党の小池晃書記局長は1月31日、BS―TBSの番組「報道1930」に出演し、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染防止とワクチン接種について自民党の武見敬三参院議員(自民党新型コロナウイルス対策本部・本部長代理)らと議論しました。
番組では同日の全国の重症者が783人にのぼり、1月初旬の100人から急拡大していることが紹介されました。小池氏は「深刻な数字だ。医療従事者が濃厚接触者となり、外来の診療が止まるなど第5波とは違う形で医療ひっ迫が起きている。新規感染者、病床使用率などの数字だけで判断せず、いろんな指標を総合的に見ていかないといけない」と述べました。
厚生労働省は、これまでの変異株より待機期間が短くても発症のリスクが低いとの理由から、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間について、1月14日から10日間へ、同28日から7日間へ短縮しました。国立感染症研究所は濃厚接触者の発症リスクが10日間では1%まで下がる一方、7日間では5%程度だとしています。
小池氏は「7日間待機で5%程度の発症リスクがあるのは無視できない数字だ。潜伏期間が短いので短縮に合理性はあるが、その場合は検査も併せて行う必要がある。社会経済機能の維持と感染抑止を両立させる最大のツールは検査だ」と述べ、待機期間の短縮にはPCR検査の拡充が必須だと強調しました。
前倒しが後回し
番組では、日本のワクチンの3回目追加接種が3・2%(約408万人)にとどまり、OECD(経済協力開発機構)加盟国で最下位であること、接種期間の変更によって全国の自治体が対応に追われている様子がVTRで紹介されました。
武見氏が「国は供給の見通しがついてから変更の発表をしている。その流動性をきちんと理解している自治体はあっぱれだ」などと発言したのにたいし、小池氏は「政府が1月末までに接種目標とする1469万人にたいして現時点で408万人、3割もいっていない。前倒しどころか後回しだ」と指摘。
その上で小池氏は、昨年末にワクチンの在庫を確保していたにもかかわらず、政府が科学的根拠のない「原則8カ月」方針を打ち出したために東京・世田谷区などでは接種時期が遅れたことを示し、「自治体の接種開始にストップをかけた責任は大きい。国の失敗を棚に上げて『あっぱれ』などという資格はない」と厳しく批判しました。
松本哲哉国際医療福祉大学教授は「本当に国の判断がぶれた。自治体は右往左往しているような状況だ」と述べました。
司会の松原耕二氏から「『検査によって社会を回す』という体制をつくる発想がこの国はあまりなかったのでは」と問われた武見氏は、「おっしゃる通り。市中感染が広がった場合、経済社会を動かす検査体制を日本はつくってこなかった」「いろいろな課題を残していることは事実」などと述べました。
松本氏は「本当に準備をしてこなかったつけを払わされている。これが最後の波ではないと思い、次はくり返してほしくない」と批判しました。
各国にならって
小池氏は、岸田首相は抗原検査キットの供給量を1日80万回分まで引き上げるとしているが、アメリカは10億回分の検査キットを無料配布し、PCR検査について、日本は1日当たり38万件の能力だが、韓国は75万件、イギリスは96万件、アメリカは約800万件を実施していると指摘しました。
小池氏は「感染が下火になっていた昨年10月~12月にかけて検査体制・能力をつける一番いい時期だった。にもかかわらず、政府はこの3カ月間何をやってきたのか。検査し、感染者を保護するという感染症対策の基本がなっていない」と厳しく批判しました。「これを反省して、今からでも万全の検査体制をつくることに、総力を挙げなければいけない。それが命と暮らし、経済を両立させる道だ」と主張しました。