赤旗2022年1月7日付
沖縄新春のつどい 小池書記局長の訴え
沖縄県名護市長選(16日告示、23日投票)で「オール沖縄」岸本ようへい予定候補の必勝を目指す「新春のつどい」(5日・名護市内)での、日本共産党の小池晃書記局長の訴え(要旨)は次の通りです。
あけましておめでとうございます。
今年はまさに沖縄は選挙の年。その最初のたたかいの名護市長選で岸本ようへいさん、何としてもみんなの力で勝利を勝ち取ろうではありませんか。相手は必死です。自民党の幹事長、官房長官、そして菅前首相までやってきています。まさに本土の自公政権対市民・県民のたたかいです。辺野古新基地建設に終止符を打ち、誇りある豊かな名護市政をつくる大事な選挙です。
基地問題を脇において名護市政語れない
自民党は争点そらしに必死です。昨日の新聞に折り込まれたチラシには、「名護市がかかえる課題は基地問題だけではありません」と書かれていますが、なぜか基地問題だけが書かれていません。まさに争点そらしです。しかし、基地問題を脇において名護市政を語ることなど絶対にできません。
民意は明らかです。県民投票で73%の市民が新基地建設反対。この思いに現市長は全く応えていません。「国と県の係争を見守り、新基地の是非について言及する立場にない」などと言いながら、軟弱地盤による設計変更申請に「異議なし」。新基地受け入れと引き換えの再編交付金を受け取っている。「頭隠して、尻隠さず」とはこのことです。
「県民投票で民意は示された。新基地建設は絶対に認めない、ここで止める」ときっぱり訴える岸本ようへいさんこそ、名護市長にふさわしい人ではないでしょうか。
コロナ感染対策 米軍に国内法を適用せよ
沖縄では新型コロナウイルスの感染が米軍基地から広がっています。キャンプ・ハンセンでのクラスター発生以降、米軍基地で確認された新型コロナ感染者は996人です。そして今日、623人が県内で感染しました(1月5日時点)。デニー知事は「米軍の感染防止対策と管理体制の不十分さを示すもの。激しい怒りを覚える」と批判しました。米軍はフリーパスで入国し、ノーマスクで基地から出て町中をかっ歩。飲酒運転まで繰り返しています。キャンプ・ハンセンの部隊は、米国からの出国時にPCR検査をやっておらず、日本到着5日後に初めて検査しました。しかも、日本にある全米軍基地で9月以降、出国前の検査を取りやめていました。デニー知事は、「日本側の検疫が適用されない日米地位協定が根本的な問題」と指摘しています。ウイルスには治外法権などありえません。ドイツでは、ボン補足協定で「伝染病の予防などについては、ドイツの法令及び手続きが軍隊及び軍属に対しても適用される」として、米軍にも国内法を適用しています。地位協定を抜本改定し、国内法を適用する。当然のことではないでしょうか。
本土復帰50年、基地のない平和で安全な沖縄に
みなさん、今年は沖縄の本土復帰から50年です。過酷な米軍統治下で人権をじゅうりんされ、財産を奪われた沖縄県民が希求したのは、人間の尊厳の回復でした。1971年、当時の琉球政府・屋良朝苗主席による「復帰措置に関する建議書」にはこう書かれています。「異民族による軍事優先政策の下で、政治的諸権利がいちじるしく制限され、基本的人権すら侵害されてきた」
基本的人権の保障と基地のない平和な島が、復帰の原点だったのです。
ところが今も米軍基地の耐えがたい重圧が続き、感染症まで広げ、県民の健康と命、観光をはじめとする沖縄経済に深刻な打撃を与えています。沖縄本島の15%を米軍基地が占め、米軍が治外法権の特権を享受しています。こんなことを放置しておいていいのか、辺野古に新たにオスプレイ100機も配備できるような巨大基地を造っていいのか。米軍の特権や横暴を許さない。コロナから命を守る市長に岸本ようへいさん。必ず勝利させようではありませんか。
こうした事態の根底にあるのが、何でもアメリカいいなりの日米安保条約です。日本共産党は安保条約をなくして友好条約に切り替える、基地のない平和で安全な沖縄をつくろうと強く訴えます。
辺野古新基地建設は政治的にも不可能に
そもそも、辺野古新基地建設は技術的にも不可能です。私も19年の参院予算委員会でこの問題を取り上げました。大浦湾の軟弱地盤は深さが90メートル。現在の技術で地盤改良が可能なのは海外でも最大70メートルまで。3年間投入され続けた土砂も必要な土量全体の8%にすぎません。
しかも、沖縄の地上戦の戦没者の遺骨が混じっている本島南部の土砂を埋め立てに使う、戦没者の冒涜(ぼうとく)であり、遺族の気持ちをじゅうりんする許しがたい行為ではないでしょうか。本島南部の土砂使用については、本土でも106議会で反対の意見書が採択されています。こうした中、デニー知事は民意に応えて、軟弱地盤の改良に伴う政府の設計変更申請を不承認にしました。知事とスクラムを組む岸本さんが名護市長になれば、辺野古新基地建設は政治的にも不可能になります。
くらし支える仕事は基地に頼らなくとも実現できる
もう一つ訴えたいのはくらしの問題です。今の市長に命やくらしを預けることはできません。地方自治体の役割は、住民の福祉の増進を図ることですが、命を奪う米軍基地の建設を容認すること自体、福祉の増進に真っ向から反しています。これだけでも市長の資格はありません。
実際に福祉はどうか。浦添市は介護保険料を引き下げ、沖縄市や宜野湾市はすえ置きましたが、名護市は値上げです。お年寄りに冷たい。
保育所の待機児童も、稲嶺前市政時代の24人から142人に増えました。子育てにも冷たい。
国民健康保険証の取り上げも前の市政時代の6・6倍になりました。お年寄りにも子育てにも、命にも冷たい市長には退場願いましょう。
岸本ようへいさんは給食費、保育料、子ども医療費の無料化など、市民のくらしを支える仕事は、基地頼み、期限付きの再編交付金に頼らなくとも、名護市の予算430億円の1・5%で実現できるし、ずっと続けられる安定した無償化制度にできると訴えています。これこそ希望ある道です。
岸本さんとスクラム組み平和で誇りある名護に
岸本ようへいさんは「復帰っ子」で、若さと情熱にあふれています。名護高校のラグビー部でスタンドオフ、試合の状況に応じて戦略・戦術を組み立てる司令塔です。花園(全国高校ラグビー大会)にも出場しました。信念は「ノーサイド」。立場の違いを超えて分かり合うことです。みなさん、岸本さんとスクラムを組んで、平和で誇りある名護市をつくっていこうではありませんか。
東アジアを平和と協力の地域にするためにも
岸田政権は敵基地攻撃能力の保有を公言し、軍拡の道を走り、宮古・八重山に自衛隊のミサイル基地を造っています。日本共産党は、中国の東シナ海、南シナ海での覇権主義や台湾への軍事干渉を厳しく批判していますが、軍事対軍事の悪循環に突き進めば、再び沖縄が戦場になりかねません。
こうした事態を解決する上で必要なのは、中国も巻き込んで安全保障の枠組みをつくることです。そのお手本となるのがASEAN、東南アジア諸国連合です。この地域で戦争を起こさない、そのために友好協力条約(TAC)を結び、年間1000回を超える会議で信頼関係を深めています。いまASEANは平和友好条約を東アジア全体に広げようとしています。既に、ASEAN10カ国に加えて、米国や日本、中国など8カ国が参加する「東アジアサミット」が毎年開かれています。
東アジアを平和と協力の地域にしていく。その外交の先頭に憲法9条を持つ日本こそ立つべきだし、その中心に位置するのが沖縄です。ここに沖縄の希望ある未来があります。戦争のない東アジアをつくっていくためにも、新たな基地建設を許さない岸本ようへいさん、必ず勝利させようではありませんか。
国家権力をあげてこの名護市に襲いかかってきていますが、新基地建設反対の民意は揺るぎません。沖縄のみなさんは、「勝つ方法はあきらめないこと」―この合言葉でずっとたたかい、勝利を重ねてきました。その中で不屈に頑張り続けてきた日本共産党の役割は決定的です。党創立100周年の記念すべき年の最初の政治決戦が名護市長選です。ここから日本の政治の流れが変わった、アジアの平和の大きなうねりが始まったと言えるために、私も全力を挙げる決意です。