赤旗2021年10月18日付
日本共産党の小池晃書記局長は17日のNHK「日曜討論」で、衆院選にどう臨むか、新型コロナ対策や今後の経済対策、脱炭素社会の実現などにどう取り組むか、各党幹部と議論しました。
衆院選にどう臨むか
「共通政策」実現への閣外協力合意、共産党独自政策や立場持ち込まない
番組では最初に、衆院選にどう臨むか各党が表明しました。
自民党の甘利明幹事長は日本共産党が立憲民主党と「閣外からの協力」で合意したことについて、政府の意思決定に、自衛隊や天皇の制度に「きわめて否定的」な考え方をする「共産党の意思が入る」ことになると指摘。今回の衆院選は「体制選択選挙」だと主張しました。
小池氏はそれに対し、共産党が立憲民主党、れいわ新選組、社民党と20項目にわたる「共通政策」を確認し、立民とは「その『共通政策』を実現する範囲での限定的な閣外からの協力」で合意したと指摘。「共産党の独自の政策や立場を政権に持ち込むことはしないと明言している」と強調しました。
コロナ対策
新規感染者が減少している今こそ、いつでもだれでも無料PCR検査を
小池氏は、新規感染者が減少している今こそ、「ワクチン接種と一体にいつでもだれでも無料にPCR検査を受けられる」ようにすることが必要だと強調。「保健所も感染症病床も1990年代に比べると半分に減らされた」ことが「コロナに感染しても病院に入れず亡くなるような事態を生んだ原因だ」と指摘し、「感染症病床や保健所などへの予算を2倍にすることを提案している」と表明しました。
また今後の対策として、▽コロナで減収の人、中間層も含めて生活に困っている人に1人10万円を基本に暮らし応援給付金を出す▽持続化給付金、家賃支援給付金を改善して再度支給する▽消費税の5%への緊急減税を実施する▽中小企業への支援を増やし、最低賃金を1500円に引き上げ、8時間働けば普通に暮らせる社会をつくる―ことを提案。米価下落を食い止めることも必要だと述べました。
経済・財政政策
大企業や富裕層への分配ではなく、中小企業や働く人への分配こそ必要
司会者が、NHKの世論調査で「衆院選で最も重視する政策課題」として「経済・財政政策」が33%で最も多かったことを紹介。小池氏に「岸田首相は『新しい資本主義』を掲げているが、どう対峙(たいじ)するか」と問いかけました。
小池氏は「『新しい資本主義』と言うが、『アベノミクス』を継承するのでは、貧困と格差を広げてきたこの9年間と全く同じだ」と批判。「新しい資本主義」と言うのであれば、「歯止めなき非正規雇用の拡大でワーキングプアを増大させてきた路線を転換する。ジェンダー平等実現のために男女賃金格差をなくす。社会保障の削減政策を改めて医療・介護を抜本的に拡充する」ことなどが必要だと述べました。
また消費税をめぐって、社会保障に充てるといいながら「実際には大企業の法人税の減税や、富裕層の所得税減税の穴埋めに使われてきた」と批判。バイデン米大統領が「1%の富裕層や大企業の増税をしたくないという人たちには、代わりにだれの税金を上げ、誰の税金を下げるのかと聞いてほしい」と述べたことを挙げ、「私も岸田首相に聞いてみたい。大企業と富裕層にしっかりと負担を求める路線に転換してこそ、本当の意味での『新しい資本主義』がつくられる」と述べました。
それに対し甘利氏は、「成長」と「分配」が互いに押し上げあうことが重要だと表明。企業の「内部留保を単に賃上げに回すだけではだめだ。企業は労働者のスキルアップ(技能向上)に投資すべきだ」と述べました。
小池氏は「内部留保は賃上げに回っていない」と反論。「アベノミクス」の9年で内部留保は133兆円増えたが、実質賃金は年収ベースで22万円減っていると指摘しました。
そのうえで「問われているのは、誰に分配するのかだ」として、「大企業や富裕層への分配ではなく、中小企業や働く人への分配が必要だ」と指摘。法人税についても、大企業向けにはさまざまな優遇措置があり、実際の負担率は大企業10%台、中小企業20%台だと批判しました。
ところが、岸田政権は金融所得課税の引き上げすら先送りしようとしており、「自民党政権ではコロナ危機を乗り越えることも、財政再建もできないと言わざるを得ない。政権交代で『トリクルダウン』ではなく『ボトムアップ』の経済をつくることを訴えたい」と述べました。
エネルギー政策
「原発のない脱炭素社会」の実現は、雇用を生み出し、地球の未来を守る
司会者が「政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目標にしている」と指摘し、脱炭素社会の実現について各党の考えを聞きました。
れいわ新選組の山本太郎代表は原発の即時禁止、50年までの100%自然エネルギー化を表明。社民党の福島みずほ代表は脱炭素・脱原発・省エネ・再エネを掲げていると述べました。
小池氏は、「脱炭素社会の実現は地球の未来、若者の未来にかかわる緊急課題であるにもかかわらず、岸田政権からは危機感が感じられない」と指摘しました。国連は先進国に対して30年までに石炭火力発電からの撤退を求めているのに、日本はこれから9カ所も新設すると指摘。さらに、「最悪の環境破壊を起こし、いまだに福島で苦しみが続いている原発を環境のためだといって再稼働、推進するなどあり得ない」として、廃炉を求めました。
日本共産党は省エネと再生可能エネルギーを組み合わせて、30年までに二酸化炭素を5~6割削減、50年にはゼロにするという戦略を具体的に数字も示しており、「原発のない脱炭素社会」は野党の「共通政策」にも入っていると強調。地域の発電所などは250万人を超える雇用を生み出すとして、「循環型経済で地域を元気にして、地球の未来も守る。ここにこそ未来があると訴えたい」と述べました。