赤旗2021年10月14日付
参院本会議
日本共産党の小池晃書記局長は13日、参院本会議での代表質問で、新型コロナウイルス対策や新しい日本をつくる「四つのチェンジ」を示し、命、暮らし、営業を守る政治の実現を迫りました。岸田文雄首相は、国民の切実な声に応えるよう求めた質問に正面から答えず、小池氏の提案にことごとく背を向けました。(小池氏の代表質問全文)
小池氏は、岸田首相が「国民の声が政治に届かない」「日本の民主主義が危機」と述べながら、世論に背を向け森友学園問題の公文書改ざんの再調査などを拒否していると批判。改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻・雅子さんの「正しいことを正しいと言えない社会はおかしい」との声を示し、「このままでは安倍・菅政権と何も変わらない。民主主義の危機の打開など到底望めない」と追及しました。
新型コロナ対策では、自公政権が「地域医療構想」に基づき、20万床の急性期病床を減らす計画を立て、「骨太の方針」でその「強化」「促進」を掲げていると告発。「医療難民ゼロ」を言うのであれば、地域医療構想と骨太の方針を「ただちに撤回すべきだ」と迫りましたが、岸田氏は推進姿勢を改めて示しました。
小池氏は「コロナのもとで国民の生活と営業の疲弊は深刻」と述べ、コロナで収入が減った人に対する1人10万円の「暮らし応援給付金」の実施を提案。さらに、「コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っている」として「このままでは米が作れなくなる」との農家の悲鳴を紹介。大暴落はコロナ禍による過剰米が原因だと述べ、北海道と東北6県の農協中央会長や全国知事会などが求めている「過剰米の政府買い入れによる市場隔離」の実施を強く迫りました。
しかし岸田首相は「需給操作のために運用するのは制度の趣旨に合わない」と述べ、ミニマムアクセス米(米国からの義務的輸入)についても「中止は難しい」と背を向けました。
新自由主義からの転換では、格差を広げた不公正税制の問題を指摘。株取引の税率が極めて低く、所得1億円を超えると所得税の負担率が下がってしまうと述べ、「『分配なくして成長なし』というのであれば、(金融取引課税の見直しを)なぜ先送りするのか」と追及しましたが、岸田首相はまともに答えませんでした。
気候危機の打開では、日本がG7で唯一、石炭火力からの撤退期限をもたない国だと批判。「これでどうして国際社会を主導できるのか」「石炭火力からいつ撤退するのか」と迫りましたが、岸田首相は答弁できませんでした。
ジェンダー平等では、選択的夫婦別姓の導入を求めるとともに、最も身近な性暴力の一つである痴漢被害の対策をただしました。党東京都委員会・ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害調査で、初めて被害にあった年齢が18歳以下という回答が7割を超え「痴漢は子ども・未成年への性暴力でもある」と指摘。被害後も苦しみ続ける被害者の声を紹介し、「痴漢被害に本気で取り組むことを政治の課題にすべきだ」と求めました。国の責任での痴漢の実態調査を求めるオンライン署名が広がっていると紹介し、調査実施を要求。岸田首相は「今年度、内閣府で痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査を行う」と初めて答弁しました。
沖縄・名護市辺野古の米軍新基地建設では、沖縄戦の激戦地の本島南部から、遺骨の混じった土砂を埋め立てに使おうとしていることに怒りが広がっていると紹介。「戦没者を冒涜(ぼうとく)する土砂採取計画は撤回し、設計変更申請は取り下げ、辺野古新基地建設は中止するべきだ」と迫りましたが、岸田氏は「防衛省が適切に判断する」と述べ、背を向けました。