日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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命 暮らし 営業守る政治実現を 小池書記局長が代表質問

2021年10月14日

赤旗2021年10月14日付

参院本会議

 

 日本共産党の小池晃書記局長は13日、参院本会議での代表質問で、新型コロナウイルス対策や新しい日本をつくる「四つのチェンジ」を示し、命、暮らし、営業を守る政治の実現を迫りました。岸田文雄首相は、国民の切実な声に応えるよう求めた質問に正面から答えず、小池氏の提案にことごとく背を向けました。(小池氏の代表質問全文)


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(写真)代表質問に立つ小池晃書記局長。奥は岸田文雄首相=13日、参院本会議

 

 小池氏は、岸田首相が「国民の声が政治に届かない」「日本の民主主義が危機」と述べながら、世論に背を向け森友学園問題の公文書改ざんの再調査などを拒否していると批判。改ざんを強いられ自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻・雅子さんの「正しいことを正しいと言えない社会はおかしい」との声を示し、「このままでは安倍・菅政権と何も変わらない。民主主義の危機の打開など到底望めない」と追及しました。

 

 新型コロナ対策では、自公政権が「地域医療構想」に基づき、20万床の急性期病床を減らす計画を立て、「骨太の方針」でその「強化」「促進」を掲げていると告発。「医療難民ゼロ」を言うのであれば、地域医療構想と骨太の方針を「ただちに撤回すべきだ」と迫りましたが、岸田氏は推進姿勢を改めて示しました。

 

 小池氏は「コロナのもとで国民の生活と営業の疲弊は深刻」と述べ、コロナで収入が減った人に対する1人10万円の「暮らし応援給付金」の実施を提案。さらに、「コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っている」として「このままでは米が作れなくなる」との農家の悲鳴を紹介。大暴落はコロナ禍による過剰米が原因だと述べ、北海道と東北6県の農協中央会長や全国知事会などが求めている「過剰米の政府買い入れによる市場隔離」の実施を強く迫りました。

 

 しかし岸田首相は「需給操作のために運用するのは制度の趣旨に合わない」と述べ、ミニマムアクセス米(米国からの義務的輸入)についても「中止は難しい」と背を向けました。

 

 新自由主義からの転換では、格差を広げた不公正税制の問題を指摘。株取引の税率が極めて低く、所得1億円を超えると所得税の負担率が下がってしまうと述べ、「『分配なくして成長なし』というのであれば、(金融取引課税の見直しを)なぜ先送りするのか」と追及しましたが、岸田首相はまともに答えませんでした。

 

 気候危機の打開では、日本がG7で唯一、石炭火力からの撤退期限をもたない国だと批判。「これでどうして国際社会を主導できるのか」「石炭火力からいつ撤退するのか」と迫りましたが、岸田首相は答弁できませんでした。

 

 ジェンダー平等では、選択的夫婦別姓の導入を求めるとともに、最も身近な性暴力の一つである痴漢被害の対策をただしました。党東京都委員会・ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害調査で、初めて被害にあった年齢が18歳以下という回答が7割を超え「痴漢は子ども・未成年への性暴力でもある」と指摘。被害後も苦しみ続ける被害者の声を紹介し、「痴漢被害に本気で取り組むことを政治の課題にすべきだ」と求めました。国の責任での痴漢の実態調査を求めるオンライン署名が広がっていると紹介し、調査実施を要求。岸田首相は「今年度、内閣府で痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査を行う」と初めて答弁しました。

 

 沖縄・名護市辺野古の米軍新基地建設では、沖縄戦の激戦地の本島南部から、遺骨の混じった土砂を埋め立てに使おうとしていることに怒りが広がっていると紹介。「戦没者を冒涜(ぼうとく)する土砂採取計画は撤回し、設計変更申請は取り下げ、辺野古新基地建設は中止するべきだ」と迫りましたが、岸田氏は「防衛省が適切に判断する」と述べ、背を向けました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。

 

 会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。

 

 総理は所信表明演説で、国民の声を真摯に受け止め、形にする、信頼と共感を得られる政治が必要と述べました。しかし、森友公文書改ざんについて再調査すべきという世論にも、桜を見る会についての安倍元総理の説明に納得できないという世論にも背を向けたままで信頼と共感が得られるとお考えか、お答えください。

 

 森友公文書改ざんを強いられ自死された赤木俊夫さんの妻、雅子さんは、総理への手紙に、岸田さんなら分かってくれると書いた理由をこう述べています。

 

 総裁選のとき、岸田さんは最初、再調査をするような発言をしていました。でもすぐに変わりました。誰かから何か言われたんでしょうか。本当は再調査すべきだと思っているから最初そう言ったんだと思います。正しいことが正しいと言えない社会はおかしい。それが誰より分かるはずだから、こう書きました。

 

 この声をどう受け止めますか。総理は、国民の声が政治に届かない、政治の説明が国民の心に響かないとし、今まさに日本の民主主義が危機であると述べられましたが、このままでは安倍、菅政権と何も変わりません。民主主義の危機打開など到底望めないのではありませんか、お答えいただきたい。

 

 新型コロナウイルス感染症をどう抑え込むか、政治の最大の課題です。

 

 日本共産党は、ワクチンと一体での大規模検査、医療、保健所への支援、そしてまともな補償という三本柱での対策を求めています。

 

 感染の伝播を断ってコロナを封じ込めるには、大規模、頻回、無料の検査体制確立が必要です。いつでも誰でも無料でPCR検査が受けられるようにすべきです。職場、学校、保育所などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように国が思い切った補助を行うべきです。見解を伺います。

 

 昨年、厚生労働省は、PCR検査の拡大が医療崩壊を招くとする文書を配布して検査抑制を図りました。しかし、全く逆に、必要な検査を怠ったことが感染を拡大させ、医療崩壊を引き起こす要因となったのです。

 

 総理は、厚生労働省による検査抑制策の誤りを認めますか。根本的に清算し、国の責任による大規模検査の推進へかじを切るべきではないか。お答えください。

 

 全国の保健所は、自民党政権の行革路線の下、九〇年代の八百五十二か所から四百六十九か所へ、半分に減らされました。その結果、感染拡大の際に、保健所の業務が逼迫し、検査で陽性と判定された人に保健所からの連絡すら届かず、自宅で重症化するなどの事例も相次ぎました。

 

 総理、保健所の削減がコロナ対応の大きな障害になったことを反省し、コロナ対策の最前線で奮闘する保健所の予算を抜本的に引き上げ、保健所の数も職員の数も大幅に増やすべきではありませんか。

 

 総理は、公立・公的病院の統廃合計画について、病床の削減や統廃合ありきではないと答弁しました。しかし、自公政権が地域医療構想に基づいて二十万床の急性期病床を減らす計画を立て、骨太の方針でその強化、促進を掲げているのは紛れもない事実です。

 

 岸田内閣が本当に医療難民ゼロを実現しようというなら、それに反する地域医療構想と骨太の方針、消費税収を使った病床削減の仕組み、とりわけ急性期病床を削減、縮小する計画を直ちに撤回すべきです。答弁を求めます。

 

 コロナの下で、国民の生活と営業の疲弊は深刻です。

 

 総理は、所信表明演説で、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金を支給しますと述べました。規模に応じた給付金や対象拡大は、かねてから我が党を含む野党が要求してきたものです。持続化給付金、家賃支援金の再支給だけでなく、中身の改善、拡充を直ちに実現していただきたい。

 

 また、総理は、非正規、子育て世代など、お困りの方々を守るための給付金も実行すると述べました。我が党はコロナで収入が減った人に対する十万円の暮らし応援給付金を提案していますが、今全ての党が給付金を出そうと言っているのであります。コロナで困っている人たち全てに今すぐ給付金出しましょう。答弁を求めます。

 

 コロナ禍で米価の大暴落が農村を襲っています。昨年と比べ二割から三割下落し、一俵一万円を下回る銘柄も続出し、このままでは米が作れなくなるという悲鳴が全国の農村に広がっています。先人から営々として受け継ぎ、人々の命や我が国の歴史、文化を支えてきた米作りが崩壊しかねない深刻な事態だという認識が総理にはありますか。

 

 今回の大暴落は、直接的にはコロナ禍による過剰米が原因です。米価の回復には、過剰米を政府が買い入れ、市場から隔離する以外にありません。北海道と東北六県の農協中央会会長を始め、全国知事会、米どころの自治体や地方議会も一致して求めています。

 

 総裁選で総理は市場隔離を含めた十分な支援を検討するとしていましたが、国会で示したのは十五万トンの特別枠で支援というもので、これでは米価下落は止められません。即効性のある対策は、過剰米の政府買入れによる市場隔離です。制度の趣旨に合わないなどと言っている場合ではありません。明確な答弁を求めます。

 

 過剰在庫を理由に史上最大の減反拡大を米農家に押し付ける一方で、この期に及んでも国内需要の一割にも及ぶ七十七万トンものミニマムアクセス米の輸入を続ける。こんな不条理ともきっぱり決別すべきではありませんか。お答えください。

 

 総理は所信表明で、新自由主義的な政策については、富める者と富まざる者との深刻な分断を生んだと述べました。

 

 そのとおりです。それがまさにアベノミクスの九年間だったではありませんか。

 

 二〇一二年以来、大企業の経常利益は一・六倍、株主への配当金は一・八倍となり、報酬一億円以上の役員数は二百九十五人から五百四十四人と二倍近くになり、内部留保は八年間で百三十三兆円も増加しました。その一方で、実質賃金は年収ベースで二十二万円も減ったのです。

 

 総理は、アベノミクスが富める者と富まざる者の分断を生んだことを認めますか。富裕層と大企業ばかりが富を増やし、格差を拡大させたアベノミクスを反省し、経済政策を転換すべきではありませんか。

 

 格差を拡大している大きな原因が、日本の不公平税制です。

 

 日本の所得税の現状は、累進課税とは名ばかりで、実際には、所得が一億円程度を超えると負担率が逆に下がります。株取引に対する税率が極めて低いからです。

 

 株式売却益に対する日本の税率は、所得税一五%、住民税五%。これに対して、アメリカ・ニューヨーク市の場合には、国税だけで最高二〇%、州税と市税を合わせれば三二%を超えます。しかも、バイデン政権は国税分の最高税率の五%引上げを提案しており、実現すれば合計で三七%を超えます。

 

 日本の株取引への税率の低さは、経済同友会やOECDからも指摘され、その引上げが提案されてきました。総理が分配なくして次の成長なしと言うのであれば、なぜ先送りをするのか。優先順位が下がったのはなぜなのか、お答えください。

 

 消費税増税は家計に大きな打撃を与え、そのたびに消費が落ち込みました。そこにコロナ禍が重なり、戦後最悪の消費の落ち込みで、日本経済は深刻な危機に陥っています。

 

 世界では、コロナ危機から暮らしと営業を守るために付加価値税の減税を実施又は実施予定の国が六十二か国に上っています。経済危機の打開のためにも、格差是正のためにも、消費税を五%に引き下げるべきではありませんか。答弁を求めます。

 

 ノーベル物理学賞を受賞される眞鍋淑郎さんは、気候変動は新型コロナウイルスなどとともに人類の危機だと訴えています。世界中で若者たちが中心になって、地球の未来を守ろうと真剣な取組が広がっています。

 

 総理は、昨日も脱炭素社会の実現に向けて国際社会を主導すると述べましたが、G7の中で唯一石炭火力からの撤退期限を持たない国です。総理は、これでどうして国際社会を主導できるというのでしょうか。

 

 国連は、石炭火力からの計画的な撤退を強く要請し、グテーレス国連事務総長は、日本など最も豊かな国々に石炭火力発電から二〇三〇年までの段階的な廃止を求めています。

 

 今月末には、国連の気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、COP26が迫っています。我が国は石炭火力からいつ撤退するのか、その期限を明確にお答えください。

 

 ジェンダー平等が当たり前となる社会をつくることも政治の責任です。

 

 総理は、三月に発足した自民党の選択的夫婦別姓制度を早期に実現する議員連盟の呼びかけ人に名を連ねていました。ところが、今では、国民の間に様々な意見があり、引き続きしっかりと議論すべきと、早期実現とは程遠い対応です。半年前に早期実現を呼びかけながら、手のひらを返した対応は余りに無責任ではありませんか。

 

 今やどの世論調査でも選択的夫婦別姓の導入への賛成意見が多数です。幅広い国民の理解にもかかわらず、導入を阻んでいるのが自民党内の強硬な反対派です。

 

 総理の聞く耳というのは、国民の声ではなく、党内反対派に対するものなのでしょうか。政治家として、自らの言動に責任を持つべきではありませんか。答弁を求めます。

 

 最も身近な性暴力の一つであり、性犯罪である痴漢被害への対策について聞きます。

 

 これまで痴漢は、ささいな問題、あるいは女性が注意すれば済むこととされ、多くの被害者が泣き寝入りさせられてきました。しかし、その実態は非常に深刻です。

 

 昨年、我が党の東京都委員会ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害のウエブ調査では、初めて被害に遭った年齢が十八歳以下という回答が七割を超え、中高校生の、通学中ほぼ毎日被害に遭うという回答も目立ちました。

 

 痴漢は、子供、未成年への性暴力でもあるのです。

 

 被害の後、電車に乗ろうとすると過呼吸になり仕事を辞めた、頻繁なフラッシュバックに苦しみ続けているという声も多数寄せられました。被害が一人一人の人生に大きな苦しみをもたらしていることを私たちは重く受け止めるべきではないでしょうか。

 

 電車に乗る。道を歩く。そんな当たり前の日常が性暴力の危険にさらされていることを、政治が無視し、軽んじていいのか。痴漢被害に本気で取り組むことを政治の課題にすべきではありませんか。お答えください。

 

 今、高校生、大学生の皆さんが始めた「本気の痴漢対策求めます!」というオンライン署名が広がっています。ここで求められているのは、国の責任による痴漢の実態調査です。

 

 国が本格調査に乗り出すことは、この問題が、決して迷惑行為というような問題ではなく、政治の責任で根絶しなければならない性犯罪であることを明らかにするメッセージともなります。実態調査の必要性について、この問題に取り組む人々に勇気と希望を与える答弁を求めたいと思います。

 

 沖縄名護市辺野古での米軍新基地建設に関して聞きます。

 

 政府が、沖縄戦最後の激戦地である本島南部から遺骨の混じった土砂を採取して新基地建設の埋立てに使おうとしていることに、全国の自治体で反対の意見書が可決されるなど、怒りの声が広がっています。沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの具志堅隆松代表は、自民党総裁選の立候補者全員にこの問題についての公開質問状を出しましたが、誰一人として回答しませんでした。

 

 具志堅氏は記者会見で、回答すらなくがっかりした、戦没者に対する救済の意識を持っていないと思える、そういう人がこれから先、日本の国をリードすると思うと、残念というよりも非常に悲しいと述べています。総理はこの声にどう応えますか。

 

 南部からの土砂採取計画は、軟弱地盤改良のためとして、政府が設計変更申請で盛り込んだものです。戦没者を冒涜し、遺族の心情を踏みにじる土砂採取計画は撤回し、設計変更申請は取り下げるべきではありませんか。

 

 沖縄県民は、日米両政府が普天間基地の全面返還で合意してから四半世紀、一貫して新基地建設に反対の意思を示し続けてきました。県民投票では、辺野古の埋立てに反対が七割を超えました。総理、この県民の声に真摯に応えるべきではありませんか。

 

 辺野古新基地建設の断念、普天間基地の閉鎖、撤去の決断を強く求めるものです。

 

 総理は、所信表明で、被爆地広島出身の総理大臣であると語りながら、広島の悲願である核兵器禁止条約について一言も触れませんでした。

 

 核兵器禁止条約の発効へ国際社会を動かしたのは、核兵器は人類と共存できないという被爆者の訴えでした。総理は、昨日の答弁でも、核兵器国が一か国も参加していないとして、条約への参加に背を向けました。しかし、核兵器の非人道性をどの国よりも理解する唯一の戦争被爆国がやるべきことは、核兵器禁止条約に参加をして、そして、世界の国々や世界の市民とともに核兵器国に核廃絶を迫ることではありませんか。お答えください。

 

 被爆者であるサーロー節子さんは、広島出身の首相ということでこれまで以上に世界からは注目される、市民や被爆者の声に耳を傾け、リーダーシップを発揮してほしいと求めています。総理はこの声にどう応えますか。被爆地出身の総理大臣にふさわしい世界への発信と行動が求められていると思いませんか。

 

 そのことを強く求めて、私の質問を終わります。

 

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

 

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員の御質問にお答えいたします。

 

 まず、森友学園問題の再調査についてお尋ねがありました。

 

 近畿財務局の職員の方がお亡くなりになられたこと、これは誠に悲しいことであり、残された御遺族のお気持ちを思うと言葉もなく、静かに謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

 

 御指摘のお手紙は拝読いたしました。その内容についてはしっかりと受け止めさせていただきます。

 

 その上で、本件については、民事訴訟において法的プロセスに委ねられており、その裁判の過程において、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、丁寧に対応するよう財務省に対して指示を行ったところです。

 

 いずれにしても、森友学園問題については、財務省において捜査当局の協力も得て事実を徹底的に調査し、自らの非を認めた調査報告、取りまとめております。また、会計検査院も二度にわたる検査報告を国会に提出をしております。さらに、第三者である検察の捜査も行われ、結論が出ているものと承知をしております。

 

 本件については、これまでも国会などにおいて様々なお尋ねに対し説明を行ってきたところと承知をしており、今後も必要に応じてしっかりと説明をしてまいります。

 

 大事なことは、今後、行政においてこうした国民の疑惑を招くような事態を二度と起こさないことであり、今後も国民の信頼に応えるために、公文書管理法に基づき文書管理を徹底してまいります。

 

 また、桜を見る会については、必要な調査が行われ、国会の場などでも繰り返し説明がなされてきたものと承知をしております。

 

 いずれにしても、国民の信頼と共感を最優先にする政治姿勢を堅持し、丁寧な対応を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策を取り込んでいく、こうしたことによってのみ民主主義の危機、乗り越えていけるものと信じております。

 

 新型コロナの検査についてお尋ねがありました。

 

 検査については、これまで、症状の有無にかかわらず、医師が必要と判断した方などが確実に検査を受けられるよう、検査の充実、図ってまいりました。

 

 段階的な行動規制の緩和に向け、日常生活の中でスムーズに検査ができるよう、検査の拡充も重要な課題であり、冬に向け、再度の感染拡大に備えて、インフルエンザ流行に伴う需要も勘案しつつ、予約不要の無料検査の拡大や抗原検査キットの職場や学校等での活用の促進など、検査体制を今後更に強化してまいります。

 

 保健所の機能強化及び地域医療構想についてお尋ねがありました。

 

 保健所数の減少は、平成六年に制定された地域保健法に基づき、住民に身近な保健サービスの市町村への委譲や、保健所の機能強化を図るため、施設設備の拡充を図りつつ、所管区域を二次医療圏等とおおむね一致させることなどにより集約化が進んだものと認識をしております。

 

 その上で、今般の新型コロナ対応を踏まえ、感染症対応業務に従事する保健師の増員など、適切に地方財政措置を講じてきております。

 

 また、全国の保健所業務の好事例を示すなど、保健所業務の効率化も併せて進めており、引き続き、新型コロナ対応の中心となる保健所の体制強化に努めてまいります。

 

 地域医療構想については、人口構造の変化を踏まえ、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して取り組むものです。こうした観点から、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対して支援を行っています。

 

 病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。

 

 給付金支給についてお尋ねがありました。

 

 新型コロナの影響を受けた事業者や、この影響により苦しんでおられる方々に対する支援に万全を期すことは喫緊の課題であると認識をしています。

 

 このため、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で事業規模に応じた給付金、支給いたします。また、新型コロナの影響により苦しんでおられる非正規雇用、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援も実行してまいります。

 

 先日の閣議において新たな経済対策の策定を指示したところであり、総選挙後速やかに決定できるよう、政府としてしっかりと検討を進めてまいります。

 

 米価下落対策についてお尋ねがありました。

 

 政府備蓄米は、不測の事態に備えて一定量の国産米を保有することを目的としており、これを需給操作のために運用することは制度の趣旨に合わないものと考えております。

 

 新型コロナによる米価の下落は深刻な課題であると認識しており、当面の需給の安定に向けて、新型コロナによる需給減に対応する十五万トンの特別枠を新たに設け、飲食店、子供食堂等への米の販売、提供を支援してまいります。

 

 また、米のミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において全加盟国の合意の下に設定されたものであり、その中止は困難であると考えます。

 

 格差についてお尋ねがありました。

 

 アベノミクスは、六重苦と言われた旧民主党政権の経済苦境から脱し、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大しました。国民みんなの稼ぎである総雇用者所得も増加しました。このように、我が国経済の成長、体質強化に大きな役割を果たしました。

 

 その上で、世界における一九八〇年代からの新自由主義的な政策に伴う格差の拡大に目を向け、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指すことが重要であると考えています。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現します。成長も分配も実現するために、官民協働してあらゆる政策を総動員いたします。

 

 金融所得課税の見直しについては、成長と分配の好循環を実現するための様々な分配政策の選択肢の一つとして挙げてまいりました。分配政策として多くの方策を用意してきましたが、賃上げに向けた税制の強化や下請対策の強化などをまずやるべきであると考えております。

 

 いずれにせよ、今後の税制の在り方については、国民の様々な御意見を踏まえ、政府や与党の税制調査会の場で御議論いただきたいと考えております。

 

 消費税については社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。

 

 石炭火力発電についてお尋ねがありました。

 

 エネルギーをめぐる状況は各国で千差万別です。資源が乏しく、周囲を海で囲まれた日本において、安全性、自給率、経済性、環境適合を満たす単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源を活用することが重要です。しかしながら、石炭火力は二酸化炭素の排出量が多いため、電力の安定供給を確保しながら、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていかなければなりません。

 

 そのため、二〇三〇年に向けて、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進してまいります。

 

 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。

 

 選択的夫婦別氏制度の導入については、国民の間に様々な意見があると承知をしております。私は、政治家として選択的夫婦別氏制度の、制度に賛成の方の声にも反対の方の声にもしっかりと耳を傾けてきたつもりであり、それらの声を踏まえた上で、本件は引き続きしっかりと議論すべき問題であると考えているところであります。

 

 政府としても、選択的夫婦別氏制度について、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めてまいります。

 

 痴漢被害への対策についてお尋ねがありました。

 

 まず、痴漢は犯罪であり、決して許されるものではありません。特に電車内における痴漢については、今後も徹底した取締りを行うなど、厳正に対処してまいります。

 

 また、今年度、内閣府において、痴漢を含む若年層の性暴力被害の実態調査、これを行う予定にしております。政府については、性犯罪・性暴力対策の強化の方針に基づき、令和四年度までの三年間を集中強化期間として、性犯罪・性暴力対策の強化を進めてまいります。

 

 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。

 

 変更承認後の埋立土砂の調達先については、現時点で確定していないと承知をしています。

 

 さきの大戦で凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今なお戦没者の御遺骨の収集が進められており、御遺骨の問題は大変重要です。こうしたことを踏まえ、埋立土砂の調達については防衛省が適切に判断すると考えます。

 

 また、変更承認申請については、沖縄防衛局において有識者の助言を得つつ十分な検討を行ってきたと承知をしております。沖縄県において適切に対応していただけると認識をしております。

 

 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは地元の皆様との共通認識であると思います。

 

 日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です。この方針に基づき着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながるものです。これからも、丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築いてまいります。

 

 核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。

 

 被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器のない世界の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 

 核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておりません。

 

 御指摘のような対応よりも、我が国は唯一の戦争被爆国として核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。唯一の同盟国である米国の信頼を得た上で、核兵器のない世界を実現するために共に前進していきたいと考えております。

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