赤旗2021年6月8日付
参院決算委
日本共産党の小池晃書記局長は7日の参院決算委員会で、東京五輪の開催が新型コロナウイルスの変異株を拡大させる危険性を指摘し、「このままでは国内あるいは世界に感染を広げてしまう危険がある」と五輪中止の決断を迫りました。菅義偉首相は「国民の命や健康を守ることが大前提だ」を繰り返すだけで、小池氏が具体的に示した危険性については何一つ答えられませんでした。(論戦ハイライト)
小池氏が五輪開催のリスクについてただすと、政府分科会の尾身茂会長は「リスクをどう低減できるか選択肢も含めてやることはわれわれの責務だ」と答弁。これを受けて、小池氏は、国民はいくら「安全安心の大会だ」と言われてもリスク評価が分からなければ安心できないとして、菅首相に「政府分科会に諮問して意見を聞くべきだ」と迫りました。
ところが、菅首相は「分科会は感染状況について対応するところ」と述べるだけ。小池氏は「都合の悪い意見には耳を傾けようとしない」と厳しく批判しました。
その上で小池氏は、英国で見つかった変異株(アルファ株)に加え、インドで見つかった変異株(デルタ株)が新たに広がる危険性を指摘。デルタ株PCR検査はまだ試行段階で、今年2~4月は外国人の入国者は1カ月で2万人以下なのに、陽性者が急増(グラフ)しているとして、「デルタ株の感染力はこれまでの2倍以上だといわれている。五輪を開催すれば入国者は今の5倍以上になり、しかも水際対策は緩和される。変異株によって感染爆発の危険があるのではないか」とただしました。
田村憲久厚労相は「入国前にPCR検査をやり、国内に入ってからも検査をやる」と答弁。小池氏は、デルタ株が確認されてからの7週間では、入国前にPCR検査を受けているにもかかわらず、インドとネパールからの入国者6200人のうち陽性者が230人にのぼり、180人からデルタ株が確認されていると指摘。しかも「外出自粛中」の発症例が10件以上、無症状者を含めればさらに多い可能性もあるとして、「水際で、明らかに水漏れが起きている」と批判しました。
さらに、小池氏は、五輪選手や大会関係者を外部と遮断する「バブル方式」にも問題があると指摘。IOC(国際オリンピック委員会)の委員など「五輪ファミリー」の送迎のため確保される車両は24時間体制で運行させるうえ、日本人運転手にはワクチン接種やPCR検査もなく公共交通機関を使って通勤することなどを挙げ、「遮断などされていない」とただしました。
菅首相は「徹底した対策を行うと報告を受けている」と答弁。小池氏は「30万人の日本人が五輪業務にかかわるのに、こういう人たちを守る仕組みが全く検討されていない。バブルに大穴があいている。それこそバブルは“泡”と消える」と述べ、五輪中止を重ねて主張しました。