日本共産党 書記局長参議院議員
小池 晃

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菅首相の姿勢問う 医療機関全体の支援を 震災復興策打ち切るな 参院本会議 小池書記局長が代表質問

2021年01月24日

赤旗2021年1月23日付

 

 日本共産党の小池晃書記局長は22日、参院本会議で代表質問に立ち、新型コロナウイルス対策、東日本大震災からの復興、沖縄米軍基地問題や大軍拡の動きなどについて菅義偉首相の姿勢をただしました。同日発効した核兵器禁止条約について、「『核なき世界』に向けた新しい時代の始まりを心から歓迎する」と述べ、条約批准を求めました。(関連記事質問全文


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(写真)質問する小池晃書記局長=22日、参院本会議

 

 小池氏は、新型コロナについて、「深刻な医療崩壊を食い止め、国民の命と健康を守る、政治の責任が求められている」と力を込め、コロナ患者受け入れ病院以外への支援が乏しい政府の対策を批判しました。

 

 小池氏は、コロナ患者の受け入れが少ないと指摘される民間病院について、コロナ対応病院と役割分担し「面で地域医療を支えている」との日本医師会・中川俊男会長の発言を紹介。発熱外来を扱う開業医、地域の医療体制維持のために肺炎・発熱患者を受け入れるコロナ未対応の病院、転院できない陽性者に対応する一般病院や介護事業所など、「医療機関や介護・福祉事業所は役割分担し懸命に努力している。その全体を対象に、減収を迅速かつ簡便な方法で補填(ほてん)するべきだ」と迫りました。

 

 菅首相は、民間病院が地域医療を支えていると認めながら、「緊急包括支援交付金の多くはコロナ患者受け入れ病院に支払われるべきだ」と強弁しました。

 

 年末年始にコロナの影響で困窮した人への相談・支援活動に参加した小池氏は、「非正規雇用の人たちがコロナ危機をきっかけに仕事も住まいも失い、深刻な状態に追い込まれた」と主張。親族への扶養照会が生活保護を権利として利用する際の障害になっているとして緊急に運用の見直しを求めました。

 

 東日本大震災から10年を迎えるもとで、被災地の基幹産業である漁業や水産加工業は、グループ補助金の返済、コロナ、主要魚種の大不漁の三重苦にあえいでいるとして、「期限を区切った被災者支援・復興策の打ち切りは許されない。支援強化を」と求めました。

 

 核兵器禁止条約については、「唯一の被爆国の政府が背を向け続けるのか」と批判し、「核兵器に固執する米国と密接な関係にある日本が署名・批准すれば、前向きな変化をもたらす」と迫りました。

速記録を読む

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 新型コロナウイルス感染症が深刻に広がっています。亡くなられた羽田雄一郎さん、そして全ての方々に心から哀悼の意を表します。闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。
 会派を代表して、総理に質問します。
 深刻な医療崩壊を食い止め、国民の命と健康を守る、政治の責任が求められています。しかし、医療機関に対する緊急包括支援交付金が現場に届いたのは総額三・二兆円の三分の一にもなりません。半年以上たっても現場に届かないのは、制度に問題があるからではありませんか。交付金の大半をコロナ患者受入れ医療機関に限定していることを見直すべきではないでしょうか。
 新型コロナと闘っているのは、感染患者を直接受け入れている病院だけではありません。日本医師会の中川俊男会長は、民間病院でコロナ患者の受入れが少ないとの指摘に対して、コロナ患者を診る医療機関と通常の医療機関が役割分担をした結果だ、民間病院は面として地域医療を支えていると述べました。総理にはそうした認識はありますか。
 今、公立、民間を問わず、多くの医療機関が役割を分担し、それぞれが力を尽くしています。発熱外来には、年末年始も多くの開業医が協力してきました。地域の救急医療体制を維持するため、コロナ患者に対応していない病院も肺炎や発熱の患者の受入れに協力しています。慢性期病院やリハビリテーション病院でも感染が軽快した患者を受け入れています。一般の病院や介護施設で陽性者が発生した場合、コロナ対応病院への転院が容易にはできず、数週間にわたってその施設で外来、新規入院・入所などを停止し、治療に当たるケースもあります。
 このように、日本中の医療、介護事業所が役割を分担しながら懸命に努力をしています。その全体を支援することなしに、コロナ危機を乗り越えることはできません。
 政府がやるべきことは、医療機関や介護福祉事業所の全体を対象に、感染拡大による減収を迅速かつ簡便な方法で補填することです。減収補填の必要性に対する明確な答弁を求めます。
 感染者の急増を抑え、医療崩壊を防ぐためには、無症状者も対象にした積極的なPCR検査などによって陽性者を早期に発見し、保護していかねばなりません。施政方針演説で総理は検査の方針について一言も触れませんでしたが、自治体任せにせずに、PCR検査を積極的に行う明確な戦略を示すべきではありませんか。
 新型コロナ感染症対策分科会に提出された資料によれば、五人以上の感染者が発生したクラスターの四五%は医療・福祉施設で、飲食関連の一九%を上回っています。医療・福祉施設でのクラスター発生の防止は、重症者を減らし、医療への負担を軽減する上で決定的に重要であり、全額国費による社会的検査を行うべきです。保健所の業務負担増にならないように、医療機関や介護施設などが民間機関も活用した自主検査を定期的に行う仕組みを国がつくり、その費用も国が全額負担すべきです。答弁を求めます。
 政府は、昨年春の緊急事態宣言並みの外出自粛などの徹底を国民に呼びかけています。ならば、お願いだけでなく補償が必要であり、昨年春に行った支援を今になって打ち切るなど言語道断です。
 ところが、政府の支援は、営業時間の短縮を求める飲食店には一日最大六万円の協力金、取引先には最大四十万円の一時金しかありません。これで十分だというのですか。事業規模に応じた補償の拡充が必要ではありませんか。
 持続化給付金、家賃支援給付金の打切りは撤回し、第二弾を実施すべきではありませんか。雇用調整助成金のコロナ特例の縮小、休業支援金の打切りも撤回し、感染収束まで継続し、対象を中堅企業や大手チェーン店などの労働者にも拡大すべきではありませんか。
 コロナ禍の下で外食需要が激減し、農業が大きな打撃を受けています。とりわけ米は、需要の消滅がそのまま在庫として積み上がるので、価格が大きく下がっています。
 ところが、政府の対策は、次の作付けで転作を要求するのみです。農家に減産を迫りながら、外国から七十七万トンものミニマムアクセス米の輸入を続けることは直ちに中止すべきではありませんか。
 米は基幹作物であり、国が余剰分を買い上げて市場から隔離し、需給均衡を図るべきではありませんか。
 三次補正予算は、緊急事態宣言発令前に作られたもので、感染の収束を前提としてGoTo事業に一兆円以上を付けています。このような予算案をこのまま成立させるのは、政治の責任放棄にほかなりません。すぐには必要でない事業はやめて、その財源を医療や補償などに回す抜本的な組替えを行うべきではありませんか。
 年末年始には市民団体やボランティアによる相談支援活動が各地で取り組まれ、私も参加しました。そこで見たのは、非正規雇用の人たちがコロナ危機をきっかけに仕事も住居も失い、日々の食事にも事欠く深刻な状態に追い込まれた姿です。生活困窮者、低所得者の手元に直ちに届く新たな給付金が必要ではありませんか。
 相談会では、所持金が数百円という貧困状態にあっても、生活保護制度は受けたくないと拒否される方が相次ぎました。つくろい東京ファンドが行ったアンケートによれば、生活保護を利用していない理由で最も多かったのは、家族や親戚に知られるのが嫌だというものでした。福祉事務所が親兄弟や子供などの親族に援助が可能かどうかを問い合わせるためです。
 厚労省は、生活保護の申請は国民の権利ですと呼びかけましたが、親族への扶養照会は生活保護を権利として利用する際の大きな障害になっています。有害な扶養照会はやめるべきです。緊急に運用を見直すべきではありませんか。
 政府は、コロナ特措法や感染症法の改定に、時短要請に応じない飲食店や入院措置に応じない患者への罰則、コロナ患者を受け入れない病院名の公表を盛り込みましたが、感染症対策は、国民の納得と合意、十分な補償、そして社会の連帯で進められるべきであります。
 罰則や制裁による強制は相互監視や社会の分断を進めることになり、感染症対策に逆行するのではありませんか。総理の見解を求めます。
 コロナ対策において何より大切なのは政治への信頼、とりわけ政治リーダーに対する信頼です。しかし、総理は、吉川元農水大臣の疑惑についても、学術会議への任命拒否の理由についても、国民に説明していません。総理はこれで国民の信頼を得られると思いますか。
 総理は、桜を見る会前夜祭をめぐる自身の答弁について、事実と異なるものがあったと認めました。安倍前総理のうそをオウム返しにし、疑惑解明を妨害してきた責任は重大です。たった一言のおわびで済むとお考えですか。
 前夜祭は桜を見る会とセットです。功労、功績のある者という招待者の選定基準が守られていれば、安倍氏の後援会員が大量に招待されることはなく、前夜祭による買収疑惑も起こりませんでした。当時、菅総理は官房長官として招待者選定の責任者でした。全容解明のための調査を行うつもりはあるか、お答えいただきたい。
 前夜祭の会費を補填した費用の原資についてもいまだに説明がなされず、領収書も明細書も提出されていません。安倍前総理の説明には根拠が全くありません。真相解明には、更にうそをつけば偽証罪に問われる証人喚問が不可欠ではありませんか。
 昨日、河井あんり参院議員に有罪判決が下されました。参議院選挙で莫大な資金を提供し応援した責任を総理はどう考えていますか。河井克行氏とともに証人喚問が必要ではありませんか。国会が決めることと逃げずにお答えください。
 今年で東日本大震災から十年となります。政府は、十年の復興・創生期間終了後、岩手、宮城などは五年、福島は十年で被災者支援や復興策に区切りを付けようとしていますが、期限を切って打ち切ることは許されません。被災者の生活となりわいの再建を目指して国が最後まで責任を果たすべきではありませんか。
 経産省のグループ補助金交付先アンケートによれば、被災地で売上げが震災直前の水準まで回復している事業者は四四%にとどまっています。そこに新型コロナが襲い、被災地の基幹的な産業である漁業、水産加工業や観光業は大打撃を受けています。
 漁業では、被災地の主要魚種であるサケ、サンマ、スルメイカの大不漁が続き、コロナによる飲食業の需要減も直撃しています。水産加工業の再建にグループ補助金は大きな役割を果たしましたが、その返済時期に大不漁、コロナが重なり、文字どおりの三重苦となっています。一層の支援強化が求められるのではありませんか。
 東京電力福島第一原発事故の汚染水の海洋放出の動きには、漁業者を始めとして、今までの努力を水の泡にすると、不安と怒りが広がっています。東京電力の試算では、現在タンクにためられている水の七三%にトリチウム以外のヨウ素やストロンチウムなどが含まれ、最大で基準値の二万倍とされています。当面は陸上保管を継続し、国内外の英知を結集し解決すべきではありませんか。
 一たび事故が起これば、甚大な被害をもたらし、長期にわたり先の見えない苦難を強いるのが原発です。脱炭素を口実に原発に固執するなど、愚の骨頂ではありませんか。再稼働をきっぱり断念し、原発ゼロへかじを切るべきではありませんか。
 沖縄の米軍新基地建設に関して聞きます。
 政府が辺野古の埋立てに使用する土砂を、住民を巻き込んだ凄惨な地上戦の激戦地である沖縄本島南部から採取しようとしていることに、県民の怒りが広がっています。
 私は、昨年十月の本会議でこのことについて総理の認識を問いました。ところが、総理の答弁は、関係法令で認められた採石場から調達されるという一言だけでした。戦没者の血が染み込み、遺骨の眠る地域から土砂を採取し、米軍基地の建設に使用することに総理は何の痛みも感じないのですか。
 戦没者の遺骨収集は国の責務です。政府は、戦没者の無念と遺族の心情に寄り添い、遺骨の収集と返還に全力を挙げるべきではありませんか。戦没者を冒涜する土砂採取計画の撤回を強く求めます。
 普天間基地を始めとする沖縄の米軍基地は、米軍が戦時国際法に違反して住民を収容所に入れている間に土地を取り上げ、建設したものです。そして、本土復帰後も米軍に奪われた土地は地主に返還されず強制使用が続きました。県民は、基地あるがゆえの事件、事故に苦しめられ、憲法に保障された基本的人権が踏みにじられてきました。
 総理は、官房長官のときに、当時の翁長雄志知事がこうした沖縄の歴史を語り、県民には魂の飢餓感があると述べたのに対し、私は戦後生まれなので沖縄の歴史は分からないと答えました。余りに無情です。私は昨年の本会議でこのことを指摘しましたが、答弁がありませんでした。
 改めて伺います。総理は今でも沖縄の歴史は分からないというのですか。そうした態度が沖縄の皆さんの心に寄り添うものだと言えますか。
 沖縄県民は、度重なる選挙と県民投票で辺野古新基地建設反対の民意を示し続けてきました。政府はこの民意に応え、新基地建設の断念と普天間基地の閉鎖、撤去に正面から取り組むべきではありませんか。
 来年度予算案には、これまで政府が進めてきたF35ステルス戦闘機と、同機に搭載する長距離巡航ミサイルの取得、「いずも」型護衛艦を空母化するための改修費に加え、新たに国産の地対艦誘導弾の射程を大幅に増やし、戦闘機や艦船に搭載可能にすることなどが盛り込まれました。これらは、今まで政府が他国に脅威を与えるから保有できないとしてきたものばかりです。敵基地攻撃能力の保有と一体どこがどう違うのか、御説明いただきたい。
 また、陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの代替策としてイージスシステム搭載艦二隻を新造するための予算も計上されています。しかし、その建造費は五千億円以上で、ミサイル取得費やランニングコストを含めれば一兆円を超え、青天井になることが指摘されています。総理はそのことを認めますか。
 今、国民の命を守るために緊急に必要なのは、敵基地攻撃能力でも米軍新基地建設でもなく、検査、医療、補償などのコロナ対策に予算を振り向けることではありませんか。過去最大の軍事費を削ってコロナ対策に回せ、このことを強く求めるものであります。
 本日、核兵器禁止条約が発効しました。核兵器が道義的に非難されるだけでなく、違法なものとなりました。日本共産党は、核なき世界に向けた新しい時代の始まりを心から歓迎するものです。
 昨年の国連総会では、条約への参加を訴える決議が加盟国の三分の二を超える百三十か国の賛成で採択されました。ある国の大使は演説で、条約の批准は核兵器の犠牲者に払える最高の敬意だと述べました。世界の多数の国々が被爆者の努力をたたえ行動に踏み出しているときに、唯一の被爆国の政府が背を向け続けるのですか。世論調査でも、禁止条約への参加支持は七割に達しています。これらの声に真摯に応えるのが被爆国政府の責務ではありませんか。
 核兵器に固執する米国と密接な関係にある日本が禁止条約に署名、批准をすれば、核軍縮の停滞が言われる情勢にも前向きな変化をもたらします。北東アジアの平和と非核化にとっても新たな展望を開くに違いありません。
 今こそ被爆国にふさわしい世界への発信と行動を、そのことを強く求めて、質問を終わります。

 

○内閣総理大臣(菅義偉君) 緊急包括支援交付金の執行についてお尋ねがありました。
 現時点で医療機関等からの申請額約一・四兆円に対し、昨年末までに約一・一兆円が実際に支払われたとの報告を受けています。執行にかなりの時間を要したことは問題であり、自治体の医療担当部局の業務が過剰になっている実態を踏まえ、国から直接執行する仕組みも取り入れているところであります。
 また、交付金は新型コロナ対応をしていない医療機関も含めて助成しておりますが、新型コロナ患者に向けての更なる病床確保が必要であることや、患者受入れ病院の医療従事者が大変な状況にあることなどを考慮すれば、交付金の多くはこうした病院に支払われるべきものと考えています。
 交付金の中には年度後半に費用が発生するものもあり、引き続き早期執行に努めてまいります。
 民間病院の役割についてお尋ねがありました。
 政府としても、新型コロナ患者を受け入れていない民間病院も含めて、地域で役割分担をしながら地域医療を支えているものと認識しております。コロナ対応を行っていない医療機関も含めた三・二兆円の支援や、過去に例のない無利子、無担保等の危機管理融資を実施しております。
 医療機関及び介護福祉事務所全般に対する減収補填の必要性についてお尋ねがありました。
 これまでも、コロナ対応を行っていない医療機関への支援も含めて三・二兆円の医療機関支援を行うとともに、今回の補正予算案で一・四兆円の追加支援を計上するなど、現場のニーズを酌み取りながら支援を行ってまいります。
 また、介護福祉事業者に対しては、コロナ対応に必要な経費について、今回の補正予算を含めて約七千億円を措置しており、引き続き必要な支援を実施してまいります。
 政府としては、こうした必要な支援を行うことで、実質的に新型コロナ患者を受け入れる医療機関等がそれによって損失を被ることがないようにしております。
 検査の戦略についてお尋ねがありました。
 必要な方が検査を受け、その結果、感染者を早期に把握し、療養等の対応を行うことが感染拡大を防ぐ基本であり、これまでも都道府県とも連携し、可能な限りの検査体制の拡充を図ってきたところであります。
 引き続き、都道府県とも連携しつつ、必要な検査を受けられるよう検査体制の拡充を図るとともに、感染拡大地域では症状のない方も含めた大規模、集中的な検査を実質的に国の費用負担で実施してまいります。
 社会的検査及び民間機関も活用した自主検査の実施についてお尋ねがありました。
 重症化リスクの高い方のいる施設に対し重点的な検査を実施することとし、感染拡大地域の医療や介護の施設の従業員や入院・入所者などに対して、実質的に国の費用負担で検査を実施できるようにしております。その際に、保健所の業務負担を軽減する観点から、あらかじめ自衛隊と施設が調整を行った上で、施設の配置医師等の協力を得て、保健所が関与することなく検体採取を行うことも可能としております。
 政府としては、引き続き都道府県とも連携しながら、この枠組みを活用してそうした方への検査を実施してまいります。
 飲食店への支援についてお尋ねがありました。
 事業者の規模にかかわらず、事業を継続し、雇用を維持していただけるよう、公庫等によるきめ細かな資金繰りや、さらに支援、雇用調整助成金の特例などを行っているところです。
 こうした支援に加え、飲食店への協力金や納入業者等への一時金の支給を併せて行うことで、対策をより実効的なものとすることとともに、事業と雇用を守ってまいります。
 給付金や雇用調整助成金などについてお尋ねがありました。
 給付金については、申請期限を延長したところであり、今回の緊急事態宣言を踏まえ、無利子、無担保融資の限度額引上げ及び一時金の支給を行います。
 雇用調整助成金などの特別措置につきましては、先ほど申し上げましたように、延長する方向で調整しています。
 米の需給均衡に向けた対策についてお尋ねがありました。
 米のミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉において全加盟国の合意の下に設定されたものであり、その中止は困難です。
 現在の米政策の考え方は、農家が自由に作物を決め、所得を向上させるものであり、国による買上げはこの考え方に沿わないものです。政府としては、野菜などの高収益作物への転換を支援してまいります。
 第三次補正予算についてお尋ねがありました。
 三次補正予算においては、病床の確保、雇用や事業の支援に加え、必要なコロナ予算費を確保しており、組替えを行わなくても新型コロナ対策にしっかり対応できる予算としております。この補正予算を早期に成立させ、コロナ予備費も活用しつつ、感染拡大を防止し、経済と国民生活を守ってまいります。
 生活に困窮されている方への支援についてお尋ねがありました。
 国民の命と暮らしを守ることは政治の責務であります。緊急小口資金等の特例貸付けや住居確保給付金の支給など重層的なセーフティーネットにより、それぞれのニーズに応じて支援を行っております。まずは一日も早く感染を収束させ、皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻すべく全力を挙げてまいります。
 生活保護制度についてお尋ねがありました。
 扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは生活保護法に明記された基本原理であり、扶養照会は必要な手続であります。
 他方で、DVや明らかに交流が断絶している場合などにおいては照会を不要とする取扱いを認めており、引き続き、必要な配慮の周知徹底に努めてまいります。
 特措法改正案等の罰則についてお尋ねがありました。
 特措法や感染症法については、個人の自由と権利に配慮して、必要最小限の私権の制限とした上で、支援や罰則の規定を設けるなど、必要な見直しを検討してまいりました。感染症対策に逆行するとは考えておりません。
 本日の閣議において、与野党の御意見も踏まえた上で法案を決定したところであり、今後、国会で速やかに御審議いただくようお願いを申し上げます。
 政治への信頼についてお尋ねがありました。
 政治資金については、法令にのっとって取り扱わなければならないことは言うまでもありません。政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう、常に襟を正すべきものと考えています。証人喚問については、国会がお決めになることであると思います。
 河井あんり議員に関する党からの政治資金については、所定の基準と手続を経た上で交付されたものです。なお、裁判は係属中であり、行政府の長としてこれ以上お答えすべきではないと考えます。
 また、日本学術会議の会員の任命については、法律に沿って、求められた役割等も踏まえて、任命権者として適切に判断をしたものであります。
 桜を見る会についてお尋ねがありました。
 今回、桜を見る会前夜の夕食会に関する私の答弁の中に事実と異なるものがありました。国民の皆さんに対して大変申し訳ない思いであり、施政方針演説において改めておわびを申し述べさせていただきました。
 安倍前総理は国会においてできる限りの説明をされたと考えておりますが、いずれにしろ、証人喚問については国会がお決めになることであると考えます。
 また、桜を見る会については、様々な御指摘について必要な調査を行い、国会の場でも繰り返し御説明をしてまいりましたが、御批判も踏まえ、少なくとも私の任期中は開催しないこととしました。
 東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
 発災から十年を迎え、復興は着実に進展している一方で、今後も被災者の心のケア等の課題が残り、福島の復興再生には中長期的な対応が必要です。引き続き政府の最重要課題として、福島の本格的な復興再生、そして東北復興の総仕上げに全力を尽くしてまいります。
 被災地の水産加工業への支援についてお尋ねがありました。
 被災地復興の着実な進展に従い、水産加工施設も着実に再開をしています。その一方で、売上げの回復の遅れや原料不足といった困難も抱えていると承知しています。
 このため、政府としては、グループ補助金の償還猶予や販路開拓のための加工機器の導入支援などを講じているところです。また、その際、新型コロナの影響を調査し、被災地の中核産業である水産加工業の着実な復興に支障が生じないよう万全を期してまいります。
 福島第一原発のALPS処理水についてお尋ねがありました。
 タンクが増加し、敷地が逼迫する中、いつまでも方針を決めずに先送りすることはできません。
 これまで六年以上にわたる専門家による検討などの議論を積み重ねてきたところであり、今後、適切な時期に政府として責任を持って処分方針を決めます。その際、風評対策にもしっかりと取り組みます。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 資源に乏しい我が国において、電気料金上昇や気候変動問題などを考えれば、原発ゼロで最適な政策を実現できるとは思いません。
 原発については、安全最優先、すなわち原子力規制委員会が世界で最も厳しい水準の新規制基準に適合すると認めた原発のみ、地元の理解を得ながら進めていくのが政府の方針であります。
 辺野古問題に係る埋立土砂と戦没者の遺骨収集についてお尋ねがありました。
 さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、厚生労働省と沖縄県が役割を分担して御遺骨の収集を進めております。
 変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は決まっておりませんが、仮に沖縄本島南部の鉱山から土砂の調達が行われるとしても、採石業者において御遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われるものと承知しています。
 沖縄の歴史と辺野古移設についてお尋ねがありました。
 悲惨な地上戦を経験し、返還まで多くの時を要した沖縄に、今もなお大きな基地負担を背負っていただいている事実を重く受け止めております。
 私は、これまで多くの沖縄の皆さんと会い、その基地負担の経緯や現状について率直なお気持ちを伺ってまいりました。だからこそ、私は、沖縄のために力を尽くし、那覇空港第二滑走路や北部訓練場の返還などを実現してきました。
 普天間飛行場の危険性の除去については、日米同盟の抑止力の維持と考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であります。
 この方針に基づき着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現につながることについて、地元の皆様の御理解を得る努力を続けてまいります。
 防衛予算についてお尋ねがありました。
 来年度予算案に計上している御指摘の装備は、いずれも我が国防衛に必要な自衛のための必要最小限度のものであります。また、敵基地攻撃を目的としたものではありません。イージスシステム搭載艦の総経費については引き続き検討することとしており、現時点でお答えすることは困難です。
 なお、新型コロナ対策に必要な予算はしっかり確保しています。
 被爆国政府の責務についてお尋ねがありました。
 我が国は唯一の戦争被爆国として核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組をリードする使命を有しており、これは我が国の確固たる方針であります。
 御指摘の核兵器禁止条約については、これまでも進めてきている政府の立場に照らし、署名する考えはありませんが、我が国としては引き続き核軍縮の進展に向け、立場の異なる国々の橋渡しを務め、国際的な議論に積極的に貢献をしてまいります。

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